腰椎椎間板ヘルニア患者、オピオイド使用は手術回避には結びつかない

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/10

 

 The Spine Patient Outcomes Research Trial(SPORT)は、腰椎椎間板ヘルニアに対する手術的治療と保存的治療を比較する多施設前向き無作為化研究である。同研究参加者について、米国・トーマスジェファーソン大学のKris Radcliff氏らが行ったサブグループ解析の結果、オピオイド使用患者は試験開始時からの疼痛とQOLの悪化が著しかったこと、またオピオイド使用の有無で4年後の臨床転帰に差はなく、オピオイド使用により手術を回避できるわけではないことが明らかになった。また、オピオイド使用患者の大半は4年後に使用を中止していたという。Spine誌オンライン版2013年4月15日の掲載報告。

 Kris氏らは、SPORT研究において、試験開始時にオピオイド薬を投与された患者542例(オピオイド群)と投与されなかった患者520例(非オピオイド群)を比較検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・オピオイド群は、主要評価項目および副次的評価項目のベースラインのスコアが有意に低かった(p<0.001)。
・オピオイド群は、症状や神経障害が悪化した患者の割合が増加し(p<0.001)、手術を受ける患者の割合も高かった(p<0.001)。
・追跡4年時点において、主要評価項目、副次的評価項目あるいは手術の効果について、オピオイド群と非オピオイド群とで有意差は認められなかった。
・オピオイド投与は手術的治療への変更を増加し(p=0.005)、手術回避の減少(p=0.01)と関連していた。
・4年後におけるオピオイド使用率は、オピオイド群で16%、非オピオイド群で5%であった。

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(ケアネット)