むち打ち関連障害(外傷性頸部症候群)の治療、活動への恐怖心軽減が重要

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/03

 

 外傷性頸部症候群(whiplash-associated disorders:WAD)では、活動への恐怖と回避が障害を助長する一因となる可能性がある。米国・ワシントン大学のJames P. Robinson氏らは、WAD患者を対象に恐怖の役割について検討し、恐怖を軽減させることが治療効果に影響を及ぼすことを明らかにした。Pain誌2013年3月号(オンライン版2012年12月1日)の掲載報告。

 Robinson氏らは、WAD後の恐怖の役割を検討するため、3つの治療法の有効性を評価した。

 対象は約3ヵ月間症状を有するグレードI~IIのWAD患者191例で、次の3群のいずれかに無作為に割り付け、Neck Disability Index(NDI)等の質問票を用いて評価した。

 IB群:WADおよび活動再開の重要性を解説している小冊子の提供
 DD群:小冊子提供+医師による説明
 ET群:小冊子提供+恐れている活動に対する想像および直接的な曝露療法
 (DD群およびET群の患者は2時間の治療を3回受けた)

 主な結果は以下のとおり。

・NDIスコアの改善は予想どおりET群が最も大きかった(絶対値:ET群14.7、DD群11.9、IB群9.9)。
・治療後の疼痛スコアは、ET群がIB群ならびにDD群と比較して有意に低かった(ET群vs IB群:1.5 vs 2.3、p<0.001/ET群vs DD群:1.5 vs 2.0、p=0.039)。
・NDIスコアの改善における最も重要な予測因子は、恐怖心の軽減(β=0.30、p<0.001)で、次いで痛みの軽減(β=0.20、p=0.003)、うつ症状軽減(β=0.18、p=0.004)であった。
・以上から、亜急性期の外傷性頸部症候群においては、曝露療法や教育的介入による恐怖への対処が重要であることが示唆された。

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(ケアネット)