呼称変更から10年、統合失調症患者へのスティグマを減らすためには:日本医科大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/12/07 日本医科大学精神神経科の大森 中氏らは、臨床研修医の統合失調症患者に対する潜在的な態度と患者と接する上での影響について調べた。また、精神科での臨床トレーニング前後の態度と接し方の変化についても評価した。統合失調症患者とその家族は、スティグマに非常に苦しんできた。名称変更など偏見やスティグマを根絶するためのさまざまな努力にもかかわらず、いまだ医療従事者においてすら偏見にとらわれている者がいる。また、臨床研修医が患者とどのように向き合っているのかについてはほとんど知られていなかった。BioMed Central Psychiatry誌オンライン版2012年11月22日号の掲載報告。 研究グループは、臨床研修医について、統合失調症に関する日本語の名称変更の影響を評価した。また、精神科での1ヵ月間の臨床トレーニング前後の統合失調症に対する態度を比較し、それらの統合失調症患者と接する上での影響を評価した。評価は、IAT(Implicit Association Test)とLinkスティグマ尺度にて行った。 主な内容は以下のとおり。 ・51人の臨床研修医が参加した。 ・トレーニング前、旧名称である「精神分裂病」は新名称「統合失調症」よりも、犯罪と結び付く傾向が強かった。 ・ところがトレーニング後、まったく予想に反して、旧名称よりも新名称についてより強く犯罪と結び付ける傾向が強まった。 ・Linkスティグマ尺度とIATとには有意な相関性は認められなかった。 ・統合失調症への名称変更は、臨床研修医における統合失調症の負のイメージを減少したが、統合失調症患者とのコンタクトが、予想に反してネガティブな態度への変化を増長した。 ・これらの結果は、統合失調症に関するネガティブな態度の形成を理解することに寄与し、懸念される偏見やスティグマを減らすための精神科での適切なトレーニングを開発する一助となるだろう。 関連医療ニュース ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ ・検証!非定型抗精神病薬の神経保護作用 ・抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 (ケアネット) 原著論文はこちら Omori A, et al. BMC Psychiatry. 2012 Nov 22;12(1):205. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 心理教育的介入で、地域社会の精神保健ケア構築は可能か/Lancet(2025/09/08) システム統合型の転倒予防プログラムは高齢者に有効か/JAMA(2025/09/08) 慢性咳嗽のカギ「咳過敏症」、改訂ガイドラインで注目/杏林(2025/09/08) 男女間におけるレビー小体とアルツハイマーにおける認知機能低下の違い(2025/09/08) HR+/HER2+転移乳がんへのパルボシクリブ+トラスツズマブのOS(PATRICIA)/ESMO Open(2025/09/08) 全年齢で130/80mmHg未満を目標に、『高血圧管理・治療ガイドライン2025』発刊/日本高血圧学会(2025/09/08) 中年期の高コルチゾール値は閉経後のアルツハイマー病発症リスクと関連(2025/09/08)