疼痛治療「プラセボでも一定の効果が」臨床試験に課題も

線維筋痛症(FMS)の症状軽減に対しプラセボ以上の治療効果が期待できる薬物療法は少なく、有害事象による脱落率が増加するといわれてきた。最近のシステマティックレビューによると、慢性疼痛の試験において、治療薬の有用性や副作用のかなりの割合は、プラセボに起因することが実証された。Winfried Häuser氏らはプラセボおよびノセボ反応(プラセボにより副作用が発現すること)の大きさを測定し、FMS適応承認のための医薬品の臨床試験においてそれらが薬の有用性に及ぼす影響を評価した。Clinical and experimental rheumatology誌オンライン版2012年11月8日号の報告。
FMS患者を対象とした、デュロキセチン、ミルナシプラン、プレガバリン、ナトリウムオキシベートを用いた無作為化二重盲検プラセボ対照試験のうち、2012年6月30日までに報告された試験を、CENTRAL、MEDLINE、clinicaltrials.govより検索した。プラセボへの反応は、プラセボにより痛みが50%軽減する推定値を評価した。ノセボ反応は、プラセボ群における有害事象による推定脱落値を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・プラセボ群3,546例を含む18試験が抽出された。
・プラセボにより痛みが50%軽減する推定値は18.6%であった(95%CI:17.4~19.9)。
・プラセボ群における有害事象による推定脱落値は10.9%であった(95%CI:9.9~11.9)。
・臨床ではプラセボ効果を期待する場合もあるが、治験医師はプラセボ効果を低下させることを目指している。また、臨床試験においてはノセボ反応を減らすことが重要である。
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(ケアネット 鷹野 敦夫)
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