治療抵抗性高血圧の血圧コントロールのために有用なのは、アドヒアランスの改善か、薬物治療の強化か?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/08/22

 

 治療抵抗性高血圧の要因には、血圧測定上の問題、白衣現象、アドヒアランス不良のような偽治療抵抗性、生活習慣の問題、薬物治療の問題、二次性高血圧があるが、これらの要因の解消が血圧コントロールにつながるかは明らかにされていなかった。Daugherty氏らは治療抵抗性高血圧患者のデータをレトロスペクティブに解析した結果、血圧コントロールの改善と薬物治療の強化は有意な相関を示したが、血圧コントロールの改善とアドヒアランスの改善とは有意な相関を認めなかったことをHypertension誌に発表した。Daugherty氏らは、なぜ血圧コントロール不良例が薬物治療の強化を受け入れないのかを調査する必要性があることを強調している。

 米国コロラド大学のDaugherty2002年〜2006年に2つの健康管理システムに登録された治療抵抗性高血圧またはコントロール不良高血圧をレトロスペクティブに分析した。3,550例が該当し、コホートの49%が男性、平均年齢は60歳であった。これらのコホートの薬物治療内容、服薬アドヒアランス、薬物治療の強化の有無、1年後の血圧コントロール状況を抽出した。

主な結果は下記のとおり。

(1) ベースラインより1年後には次の降圧薬が処方されていた患者は有意に減少していた。
   利尿薬 92.2% → 77.7%(P<0.01)
   β遮断薬 79.4% → 71.2%(P<0.01)
   RA系阻害薬 70.1% → 64.8%(P<0.01)
(2) 血圧コントロールは22%から55%に有意に改善していた(P<0.01)。
(3) アドヒアランスと血圧コントロールの改善は無関係であった。
   オッズ比 1.18(95%信頼区間=0.94-1.17)
(4) 血圧上昇が認められた外来患者の21%だけが薬物治療が強化されていた。
(5) 薬物治療の強化と血圧コントロールの改善は有意な相関を示した。
   オッズ比 1.64(95%信頼区間=1.58-1.71)

(ケアネット 藤原 健次)