白内障・網膜硝子体の二役を担う「ステラリスPC」発売:ボシュロム・ジャパンに単独インタビュー

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/02/06

 

Vision Careから眼科サージカル分野への進出





ボシュロム・ジャパンの売上はコンタクトレンズおよびコンタクトレンズケア用品、即ちVision Careが大部分を占める。一方、ボシュロムは眼科に特化したサージカル領域、医薬品領域という柱を持ち、Vision Careと合わせた3本でグローバルに展開している。


ボシュロム・ジャパンとしてもVision Care以外の2本の柱の増強が中・長期目標だという。「なかでも、今年大きく躍進したいと思っているのがサージカル領域」と代表取締役社長 足利英幸氏は語る。
多彩な特徴を持つ「ステラリスPC」の発売




ボシュロム・ジャパンには「ステラリス」という製品があり、白内障手術の装置として2009年から日本で発売している。今回の「ステラリスPC」は網膜硝子体手術の承認を受け、白内障・網膜硝子体の両手術に適応できる装置として発売することとなった(1月23日発表)。

「ステラリスPC」は白内障・網膜硝子体両手術の適応だけでなく、その切り替えが簡便だという。そのほかにも、毎分5,000サイクルの高速硝子体カッター、底面積457×457mmという省スペース設計、ワイヤレスフットペダルによる複数パラメーターの同時コントロールが可能など、日本の眼科手術事情に適した特徴を有する。

網膜硝子体手術は白内障手術と併せて行われることが多い。「ステラリスPC」は一つの機械、一回の手術で双方行えるため、患者さんの侵襲をより少なく済ませることが可能である。

提携で市場導入と保守をカバー




ボシュロム・ジャパンは「ステラリスPC」発売にあたり、眼科医療総合メーカー 株式会社トプコンメディカルジャパンと共同販促・販売提携契約を締結した。ボシュロム・ジャパンが製品を輸入し、トプコンメディカルジャパンが販売・保守を担当、プロモーションは両社で行う。そこには、眼科領域に実績のあるトプコンとの連携で早期の市場導入を図り、保守体制を整えるという狙いがある。「新発売時から保守にも万全の体制を整えます。外科に注力するという具体的な構想が、この提携に表れているといえます」と足利氏。

今後とも網膜・硝子体手術は益々重要に




白内障手術は毎年3%程度増えているが、網膜硝子体手術もすでに年間10万例と推定されている。網膜疾病は、日本の視覚障害原因の第二位であるが(第一位は緑内障)、なかでも糖尿病性網膜症が最も多い。それ以外にも強度近視由来の網膜剥離や高齢者の黄斑円孔など、いずれも失明につながるものの承認された有効な薬物療法がなく、網膜・硝子体手術が第一適応である。高齢化の加速、糖尿病の増加などに伴い、今後も網膜・硝子体手術の重要性は増していくといえる。

医療機器分野の参入に積極的




ボシュロムには、「ステラリスPC」以外にもフェムトセカンドレーザーをはじめ高品質の製品パイプラインがあり、日本においても医療機器分野のラインアップを増やしていく方針だという。

「眼は生まれてから死ぬまでお付き合いするもの。今回のサージカル領域への参入により、Vision Careから疾病治療まで、眼に関して一生のお付き合いができる会社になっていきたいと思っています」と足利氏は目標を語った。ボシュロムは創業160年、日本でも40周年になる。今回の「ステラリスPC」導入は、日本での同社の歴史の中で一歩、その目標に近づいた節目といえるかもしれない。

ボシュロム・ジャパン プレスリリース
http://www.bausch.co.jp/company/news/20120123.html

(ケアネット 細田 雅之)