インフルエンザワクチンの有効性、前シーズンの感染・接種歴で変動―17シーズン解析

提供元:CareNet Academia

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公開日:2026/08/17

 

 前シーズンのインフルエンザ感染歴は今シーズンのワクチン有効性(VE)を高め、前シーズンの接種歴はVEを減弱させることが、日本臨床内科医会 インフルエンザ研究班の河合 直樹氏らによる日本での17シーズンにわたる前向きコミュニティベースコホート研究の解析で示された。今シーズン未接種者における罹患率(AR)は、前シーズン接種歴のある小児で14.0%、接種歴のない小児で8.6%と有意差が認められた(p<0.001)。研究成果はThe Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2026年7月11日付で発表された。

日本の17シーズン、コミュニティベースコホート研究のデザインと対象

 本研究は、日本で2002~03年シーズンから2018~19年シーズンにかけて実施された17シーズンにわたる前向きコミュニティベースコホート研究のデータを用いた解析である。14万8,108人・シーズン分のデータが対象となった。インフルエンザ感染の確認には迅速抗原検査が用いられた。今シーズン未接種者におけるARをベースラインリスクの代理指標として、前シーズンの感染歴および接種歴によって定義されたグループ間でARおよびVEを比較した。統計解析には多変量ロジスティック回帰が用いられ、検査確定インフルエンザA型感染(あり/なし)をアウトカムとして、調整オッズ比(aOR)および相対調整オッズ比(rOR)が推定された。

今シーズンのワクチン接種効果と前シーズン歴による変動

 今シーズンのワクチン接種はインフルエンザA型感染のオッズを低下させ、全体のaORは0.52(95%信頼区間[CI]:0.47~0.57)であった。前シーズンにインフルエンザ感染歴がある個人では、この効果がより顕著であり(aOR:0.35、95%CI:0.25~0.49)、前シーズンに接種歴がある個人では効果が減弱したものの依然として有効であった(aOR:0.59、95%CI:0.50~0.70)。すべてのグループでaORは1未満であり、今シーズンのワクチン接種による保護効果は各群で維持されていた。また、今シーズン未接種者のARは前シーズンの感染歴の有無によらず類似していたが、前シーズン接種歴がある場合にはARが高い傾向が認められた。

罹患率とワクチン有効性を併せた解釈の重要性

 本解析の結果は、前シーズンの感染歴が今シーズンのワクチン接種のVEを高める一方、前シーズンの接種歴はVEを減弱させるものの有効性は保たれることを示している。さらに、今シーズン未接種者のARが前シーズン接種歴のある集団で高かったことは、集団間のベースラインリスクの差異がVEの解釈に影響しうることを示唆している。著者らは、ARはベースラインリスクの差を反映するものであり、VEと並行してARを解釈することの重要性を強調している。インフルエンザワクチンの効果を正確に評価するうえで、前シーズンの感染・接種歴を考慮した解析の枠組みが今後さらに検討される必要がある。