日本語でわかる最新の海外医学論文|page:997

非喫煙者の非小細胞肺がんにおける予後予測因子

 非喫煙者における肺がん(LCINS)は、病因や臨床的特徴、予後の違いから、喫煙者における肺がんとは異なる疾患として認識されている。今回、LCINSにおける特異的予測マーカーの同定を目的とした米国MDアンダーソンがんセンターのXia Pu氏らの研究から、炎症関連遺伝子の変異がLCINSの臨床的転帰に影響する可能性があることが示唆された。Clinical Cancer Research誌オンライン版2012年 9月13日号に掲載された。

小児期の吸入グルココルチコイド服薬と発育との関連/NEJM

 思春期前の小児における吸入グルココルチコイドの使用は、服薬開始後数年間の発育を低下し、大人になった時の身長は低くなるが、発育の低下は進行も累積もしないことが明らかにされた。米国・ニューメキシコ大学のH. William Kelly氏ら小児喘息マネジメントプログラム(CAMP)研究グループが、「服薬開始後1~4年の発育の低下が、成人でも発育を低下するとは考えられない」として、同プログラム参加者を対象に調査した結果で、NEJM誌2012年9月6日号(オンライン版2012年9月3日号)にて発表した。

CT検出の肺動脈拡張、COPDの重度増悪と関連

 CTによって検出される肺動脈拡張(PA:A比>1)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)重度増悪のリスク因子であることが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のJ. Michael Wells氏らによる多施設共同観察試験の結果、明らかにされた。COPDの増悪は、肺機能の急激な低下および死亡と関連し、それらイベントリスクのある、とくに入院を要するような患者を同定することは重要とされる。急性増悪の予測として重度肺高血圧症があるが、これは進行したCOPDの重大な合併症である。一方で、肺血管の異常はCOPD早期に発生する。そこで研究グループは、CTで検出した肺血管疾患とCOPDの重度増悪との関連について検討した。NEJM誌2012年9月6日号(オンライン版2012年9月3日号)掲載報告より。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(20)〕 冠動脈カルシウムは冠動脈疾患予測の精度を顕著に改善するため実臨床で真に有用なリス評価マーカーとして認知されるべきか?

 冠動脈カルシウムが冠動脈疾患リスクの予測を改善するとの報告はこれまで散見されているが、単一のコホート研究で複数の冠動脈リスク因子を直接比較した研究は皆無である。これまでの研究では比較対照となるコホートが異なっており、一次エンドポイントも微妙に異なっているため正確な直接的比較は困難であった。

4人中3人が「自分が認知症と診断されたら、認知症であることを知りたい」
47都道府県 認知症に関する意識・実態調査より

 エーザイ株式会社 エーザイ・ジャパンでは、65歳以上の親がいる男女9,400人(各都道府県 各200人)を対象に、「認知症に関する意識・実態調査」のインターネットアンケート調査を実施し、その集計結果を発表した(調査期間:2012年8月16日~17日)。

心筋梗塞後のクロピドグレルの効果は、糖尿病合併の有無で違いがあるか?

 心筋梗塞発症後のクロピドグレル(商品名:プラビックス)服用について、糖尿病がある人は、ない人に比べ、全死亡リスクや心血管死リスクへの有効性が低下することが報告された。デンマーク・コペンハーゲン大学のCharlotte Andersson氏らが、心筋梗塞発症患者約6万人について追跡し明らかにしたもので、JAMA誌2012年9月5日号で発表した。糖尿病患者は、クロピドグレルを服用しているにもかかわらず、薬力学試験において高い血小板反応性が認められている。臨床試験においては、糖尿病患者へのクロピドグレル服用効果が非糖尿病患者と同等であるか否かについて、明らかな結果は出ていなかったという。

CMRは心電図より無症候性心筋梗塞を高率に検出する

 高齢者で心血管核磁気共鳴画像法(CMR)により無症候性心筋梗塞が検出された人は、症候性心筋梗塞患者よりも死亡率が約1.5倍高いことが明らかにされた。一方で心電図(ECG)により無症候性心筋梗塞が検出された人では、死亡率の増大が認められなかった。米国国立衛生研究所(NIH)のErik B. Schelbert氏らが、約900人について行った地域ベースのコホート試験から報告したもので、JAMA誌2012年9月5日号で発表した。無症候性心筋梗塞の検出は予後予測にとって重要だが、ECGでは同検出能に限界があるとされていた。

抗てんかん剤であるAMPA受容体拮抗剤Fycompa 欧州にて新発売

 エーザイ株式会社は13日、自社創製のファースト・イン・クラスの抗てんかん剤である、AMPA受容体拮抗剤「Fycompa(一般名:ペランパネル)」を、12歳以上のてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法を適応として、世界に先駆けて欧州で新発売した。同日英国で発売するのを皮切りに、ドイツ、オーストリア、デンマークなど欧州各国で順次、発売予定。

ロタウイルスワクチン接種、小児の胃腸炎による入院予防に効果

 ロタウイルスワクチン(商品名:ロタリックス、ロタテック)接種は、ロタウイルス胃腸炎小児の入院の予防に有効なことが、ベルギー・アントワープ大学のTessa Braeckman氏らの検討で示された。ロタウイルスは世界的に、小児の重篤な急性胃腸炎の最大の原因であり、高所得国では死亡例はまれだが、WHOはすべての国がロタウイルスワクチンを導入するよう勧告している。低・中所得国ではワクチンのルーチン接種の有効性が示されているが、高所得国におけるエビデンスは少なく、ベルギーはEUで最初のルーチン接種導入国だという。BMJ誌2012年9月1日号(オンライン版2012年8月8日号)掲載の報告。

プロゲスチン単独避妊薬は静脈血栓塞栓症リスクを増大させない

 プロゲスチンのみを含有する経口避妊薬は、女性の静脈血栓塞栓症のリスクを増大させないことが、米国・Lahey Clinic(マサチューセッツ州、バーリントン)のSimon Mantha氏らの検討で示された。ホルモン系避妊薬による静脈血栓塞栓イベントのリスクは、エストロゲンの量およびプロゲスチンの剤型の影響を受ける。静脈血栓塞栓症の発症リスクが高い女性(産後、遺伝性血栓性素因、静脈血栓塞栓症の既往など)は、プロゲスチン単独による避妊が好ましいとされるが、プロゲスチン単独避妊薬と血栓の関連を評価したデータはわずかだという。BMJ誌2012年9月1日号(オンライン版2012年8月7日号)掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(19)〕 CKDは糖尿病に匹敵する心筋梗塞のリスク

 糖尿病が心筋梗塞発症の重大なリスクであるとの報告は枚挙にいとまがないが、なかでも有名なものは1998年にN Engl J Medに発表されたFinnish研究である(Haffner SM et al. N Engl J Med. 1998 ; 339: 229-234.)。7年間の心筋梗塞の発症頻度が、非糖尿病の3.5%に対して、糖尿病患者では20.2%と心筋梗塞既往例の再発率の18.8%に匹敵するリスクと報告された。

うつ病や拒食症の女性における感情調節困難調査

 境界性人格障害とも関連する感情調節困難は、うつ病や拒食症などのさまざまな精神障害の進展や持続に重要な役割を果たすと考えられてきた。しかし、これまでの研究では、感情調節困難の疾患特異性を詳細に理解できていなかった。Brockmeyer氏らは、女性における感情調整困難に関する調査を行った。Psychiatry Res誌オンライン版2012年8月18日号の報告。

変形性関節症の関連遺伝子座を同定:arcOGEN試験

 変形性関節症と強い関連を示す5つの遺伝子座の存在が、英国・Wellcome Trust Sanger InstituteのEleftheria Zeggini氏らarcOGEN Consortium and arcOGEN Collaboratorsの検討で明らかとなった。変形性関節症は世界的に最も高頻度にみられる関節炎で、高齢者における痛みや身体障害の主要原因であり、その医療経済的な負担は肥満の増加や加齢に比例して増大する。変形性関節症には強力な遺伝要因がみられるが、以前に行われた遺伝子解析はサンプル数が少なく、表現型の不均一性のためその限界が指摘されていた。Lancet誌2012年9月1日号(オンライン版2012年7月3日号)掲載の報告。

心筋梗塞のリスクはCKDが糖尿病よりも高い、約127万人のコホート試験

 心筋梗塞による入院のリスクは、心筋梗塞の既往歴がある場合に最も高いが、既往歴がない場合はCKDが糖尿病よりも高リスクであることが、カナダ・Alberta大学のMarcello Tonelli氏らAlberta Kidney Disease Network(AKDN)の検討で示された。糖尿病の冠動脈イベントのリスクは心筋梗塞の既往歴に匹敵すると考えられている。慢性腎臓病(CKD)も冠動脈イベントのリスクが高い(とくに蛋白尿がみられる場合)とされるが、CKDによる冠動脈イベントのリスク等価性を糖尿病と比較した試験はなかったという。Lancet誌2012年9月1日号(オンライン版2012年6月19日号)掲載の報告。