日本語でわかる最新の海外医学論文|page:997

関節リウマチ治療薬への新たな期待 【アバタセプト全例調査 中間解析結果】

2012年4月に開催された第56回日本リウマチ学会総会・学術集会(JCR2012)において、アバタセプト(商品名:オレンシア)の使用成績調査(全例調査)の中間解析結果が報告された。これを受けて2012年5月25日、ブリストル・マイヤーズ株式会社による記者発表会が開催され、産業医科大学第1内科学講座の田中良哉氏によって講演が行われた。

低侵襲食道切除術、切除可能食道がんの術後合併症を低減

切除可能な食道がんの治療では、低侵襲食道切除術が開胸食道切除術に比べ術後の肺感染症の頻度が低く、短期的なベネフィットをもたらすことが、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのSurya S A Y Biere氏らの検討で示された。切除可能な食道がんの唯一の根治的治療は食道切除術とされるが、開胸食道切除術では患者の半数以上に術後の呼吸器合併症の発現がみられる。胸腔鏡と腹腔鏡を用いた低侵襲食道切除術は、術後の肺感染症の合併が少ないため在院日数が短縮することが知られているが、これまで無作為化試験による評価は行われていなかったという。Lancet誌2012年5月19日号(オンライン版2012年5月1日号)掲載の報告。

パゾパニブ、転移性軟部肉腫の無増悪生存期間を有意に延長

マルチターゲットの経口チロシンキナーゼ阻害薬であるパゾパニブは、化学療法施行後に病態が進行した非脂肪細胞性の転移性軟部肉腫の新たな治療選択肢となることが、オランダ・Radboud大学医療センターのWinette T A van der Graaf氏らが実施したPALETTE試験で示された。軟部肉腫は成人のがんの1%ほどのまれな間葉腫瘍で、米国では年間約1万1,280人が罹患、約3,900人が死亡し、欧州では年間に10万人当たり5人の割合で発症しているという。パゾパニブは非脂肪細胞性の進行軟部肉腫に対する抗腫瘍効果が確認されている。Lancet誌2012年5月19日号(オンライン版2012年5月16日号)掲載の報告。

抗悪性腫瘍剤「ザーコリカプセル200mg/250mg」新発売

ファイザーは29日、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC:Non-Small Cell Lung Cancer)の効能・効果で、抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤「ザーコリカプセル200mg/250mg」(一般名:クリゾチニブ、以下:ザーコリ)を発売した。また、同日付で薬価収載もされた。

双極性障害患者に対するオランザピン単剤 or 併用の忍容性

リリー・リサーチ・ラボラトリーズの片桐氏らは日本人双極性障害患者に対しオランザピンを単剤または気分安定薬との併用にて18週間投与し、長期の安全性および有効性を検討した。その結果、「日本人でも欧米と同様、良好な結果が得られた」として、Curr Med Res Opin誌2012年5月号(オンライン版4月10日号)にて報告した。

コーヒー摂取と原因別死亡との関連

 米国立衛生研究所(NIH)のNeal D. Freedman氏らによる、50~71歳の男女約40万人を対象に、コーヒー摂取とその後の全死亡および死因別死亡との関連を調べた結果、逆相関の関連が認められたことが報告された。ただし、その結果がコーヒー摂取によるものなのかどうか、あるいはコーヒー摂取が関連しているのかどうかは今回のデータからは判然としなかったと補足しまとめている。コーヒーは広く消費されている飲料の1つであり、抗酸化作用や生理活性作用の源となる物質を豊富に含むことが知られているが、死亡リスクとの関連は明らかとなっていない。NEJM誌2012年5月17日号掲載報告より。

抗菌薬と心血管死リスクとの関連

抗菌薬と心血管死リスクとの関連について、米国・ヴァンダービルト医科大学のWayne A. Ray氏らによる検討の結果、治療1~5日目において、マクロライド系のアジスロマイシン(商品名:ジスロマック)使用患者は、ニューキノロン系のシプロフロキサシン(商品名:シプロキサンほか)より有意に増加したがレボフロキサシン(商品名:クラビットほか)とは有意差は認められなかったことが明らかにされた。Ray氏らは「5日間の治療中、アジスロマイシン服用者の心血管死亡の絶対数増加はわずかであるが、基線での心血管疾患リスクが高い患者では顕著に増加した」と結論している。NEJM誌2012年5月17日号掲載報告より。

抗精神病薬を処方された患者は本当に薬を服用しているのか?

Stephenson氏らは経口第二世代抗精神病薬を服用している患者について、医師が認識しているアドヒアランスと患者による薬局への薬剤請求から判定した実際のアドヒアランスを比較し、「医師が思っているよりも患者のアドヒアランスは良好でないため、再発予防も見据え適切な介入を行うことが重要である 」と結論づけた。本報告はInt J Clin Pract誌6月号(オンライン版5月11日号)に掲載された。

血管疾患の低リスク例に対するスタチンによるLDLコレステロール低下の効果:17万超患者データのメタ解析

27の無作為化試験の個々データをメタ解析した結果、スタチンによる治療は、血管疾患の低リスク例でも、ベネフィットが大きいことが、Cholesterol Treatment Trialists’ (CTT) Collaboratorsにより発表された。5年主要血管イベント発症リスクが10%未満の患者において、LDLコレステロール1 mmol / Lの低下は、5年間で1,000人あたり約11人の主要血管イベントの絶対的減少を招き、この利益は、スタチン療法の危険性を超えているとされた。現在のガイドラインは、概して、血管イベントリスクの低い患者は、LDL低下療法に適しているとはされていないが、研究グループは「今回の報告は、これらのガイドラインに再考の必要性があることを示唆している」と主張した。

バングラデシュ貧困地域の妊婦、妊娠早期からの微量栄養素補給で乳児死亡率などが大幅減少

バングラデシュの貧困地域に住む妊婦に対し、妊娠9週目からの複合微量栄養素補給(multiple micronutrient supplementation;MMS)をすることで、妊娠20週目からの栄養素補給に比べ、乳児死亡率や5歳未満死亡率が大幅に減少することが明らかにされた。スウェーデン・ウプサラ大学病院の、Lars Ake Persson氏らが、バングラデシュの貧困地域に住む約4,400人の妊婦を対象に行った試験の結果で、JAMA誌2012年5月16日号で発表した。

医師やケースマネジャーへの教育で、ACSのエビデンスに基づく治療実施率が増大

ブラジルの公立病院で、急性冠症候群(ACS)の治療に関し、医師向けの教育資料やケースマネジャーの訓練といった質改善プログラムの介入を行うことで、エビデンスに基づく治療を受ける患者の割合は、有意に増大することが明らかにされた。ブラジル・Research Institute HCorのOta’vio Berwanger氏らが行った、BRIDGE-ACS(Brazilian Intervention to Increase Evidence Usage in Acute Coronary Syndromes)試験の結果で、JAMA誌2012年5月16日号で発表した。先行研究から、ACSの患者は、特に低・中所得国の医療現場でエビデンスに基づく治療を受けていない現状が明らかになっていた。

東日本大震災1年 透析患者移送その後の記録

財団法人ときわ会 常磐病院新村 浩明 2012年5月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 東日本大震災からすでに1年以上が経過しました。以前、この場をお借りして東日本大震災時の透析患者移送に関して報告させていただきました。(Vol.404 東日本大震災透析患者移送体験記 http://medg.jp/mt/2012/02/vol404.html)震災から1年を経過したのを機に、ときわ会グループのうち、震災時に透析移送にかかわった4施設(いわき泌尿器科、常磐病院、泉中央病院、富岡クリニック)において透析されていた方々のこの1年の経過をまとめてみましたのでここに報告したいと思います。

転移性大腸がんにおけるXELOX+ベバシズマブ:dose-denseと標準スケジュールとの比較

米国の転移性大腸がん患者に対する第II相無作為化比較試験において、「2週ごとdose-dence XELOX〔カペシタビン(商品名:ゼローダ)+オキサリプラチン(商品名:エルプラット)、2週ごと、カペシタビン7日間投与〕+ベバシズマブ(商品名:アバスチン)」は、「標準的なXELOX(3週ごと、カペシタビン14日間投与)+ベバシズマブ」に比べて、有効性、安全性とも下回ることが、The Oncologist誌オンライン版2012年5月23日号に報告された。この結果から、Hurwitz氏は「2週ごとdose-dence XELOX+ベバシズマブは、米国の転移性大腸がん患者の1stライン治療には推奨できない。現在の標準的な3週ごとのXELOXが、転移性大腸がんの治療に適している」と結論している。

パリペリドンはリスペリドンよりも安全性プロファイルが良好

Yoon氏らはパリペリドン徐放剤(ER)とリスペリドン両薬剤間に安全性プロファイルの違いがあるかをプラセボ対照二重盲検比較試験にて検討した。著者らは「パリペリドンERは主観的な陰性症状や認知機能への影響が少なく、安全性プロファイルが良好な薬剤だと考えられる」と結論づけている。この論文は、Hum Psychopharmacol誌2012年5月号に掲載された。

アログリプチンとメトホルミンの国内併用試験

 日本人2型糖尿病患者を対象に、メトホルミン+アログリプチン併用療法とメトホルミン単剤療法の有効性と安全性を比較した国内試験結果が発表された。関西電力病院の清野氏らによる研究で、Diabetes Obes Metab誌オンライン版に2012年5月14日掲載された。  対象は食事療法、運動療法に加えてメトホルミン(500 mg /日または750 mg /日)を追加しても血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者288名。無作為二重盲検並行群間比較法により、メトホルミン投与に加え、アログリプチン(12.5 mg/日または25mg/日)またはプラセボを1日1回12週間投与した。

南相馬市立総合病院での初期研修について

 亀田総合病院初期研修医1年 山本 紘輝 2012年5月27日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 初めに、昨年起こった東北地方太平洋沖地震でお亡くなりになられた方にお悔やみ申し上げます。南相馬市立総合病院にて実習をおこなった経験から、当院における今後の研修の可能性について私見を述べさせて頂きます。