10年先を見据えた抗精神病薬選択のポイント 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/03/07 米国・コロンビア大学のT Scott Stroup氏らは、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンからアリピプラゾールへの切り替えについて、フラミンガムリスクスコア(FRS)およびメタボリックシンドローム(MetS)に基づいた心血管疾患(CVD)発症リスクの影響を調査し、その臨床的意義を検討した。Schizophrenia research誌2013年2月21日号の報告。 現在の治療(オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)で安定している患者を、現在治療継続群とアリピプラゾール切り替え群(24週間のフォローアップ)に無作為に割り付け、BMI 27以上とnon-HDL-C 130mg/dL以上の患者間でのFRSとMetSの変化を比較した。FRSは心筋梗塞や冠動脈死といった重篤な冠動脈性心疾患(CHD)アウトカムの10年リスクを予測できる。また、MetSは脳卒中、糖尿病などCVDリスクの増加に関連している。すべての対象者には健康的な食事と運動を推進するプログラムを実施していた。 主な結果は以下のとおり。 ・現在治療継続群98例、アリピプラゾール切り替え群89例を含む患者から、あらかじめ分析に必要なベースライン値の値を測定した。 ・CHD10年リスクの最小二乗平均推定値は、現在治療継続群(7.4%→6.4%)と比較し、アリピプラゾール切り替え群(7.0%→5.2%)でより多く減少した(p=0.0429)。 ・最終観察時にメタボリックシンドロームを有するオッズ比は1.748であった(現在治療継続群 vs アリピプラゾール切り替え群、95%Cl:0.919~3.324、p=0.0885)。 ・メタボリックシンドローム発症に関しては、統計学的に有意な差は認められなかった。 ・アリピプラゾールに切り替えた上で、健康的な食事と運動を推進するプログラムを実施することで、CHD10年リスクをより軽減させることが期待できる。 ・切り替え時には治療中止などのリスクを考慮する必要があるが、本研究では症状の増悪や入院の有意な増加は認められなかった。 関連医療ニュース ・抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 ・第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は・・・ ・抗精神病薬投与前に予後予測は可能か? (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Stroup TS, et al. Schizophr Res. 2013 Feb 21. pii: S0920-9964(13)00051-0. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] LVEF保持/軽度低下例へのβ遮断薬、死亡・MACEの複合を抑制/NEJM(2025/09/18) 前立腺がん診断、bpMRIは標準検査になりうる/JAMA(2025/09/18) タルラタマブ、サイトカイン放出症候群の警告追記/厚労省(2025/09/18) 「また、にしない。まだ、にしない。」認知症早期対応のための合言葉を発表/リリー(2025/09/18) 医療費適正効果額は1千億円以上、あらためて確認したいバイオシミラーの有効性・安全性(2025/09/18) インフルワクチンの効果、若年には有意だが80歳以上で認められず/日本臨床内科医会(2025/09/18) 抗不安薬の有効性と受容性の比較〜ネットワークメタ解析(2025/09/18) GLP-1受容体作動薬は気候変動対策にも有益(2025/09/18)