日本語でわかる最新の海外医学論文|page:935

ホルモン補充療法、慢性疾患予防として支持されず/JAMA

 閉経後女性に対するホルモン療法は、症状の管理に有効な場合があるものの、慢性疾患の予防法としては適切でないことが、Women’s Health Initiative(WHI)試験の長期的追跡の結果から明らかとなった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJoAnn E Manson氏らが、JAMA誌2013年10月3日号で報告した。米国では、当初、ホルモン療法は主に血管運動症状の治療法として用いられていたが、次第に冠動脈心疾患(CHD)や認知機能障害など加齢に伴う多くの慢性疾患の予防法とみなされるようになったという。現在も日常臨床で施行されているが、慢性疾患の予防におけるリスクやベネフィットに関する疑問は解消されずに残されたままだった。

B細胞除去療法はANCA関連血管炎のスタンダードな治療となるか?(コメンテーター:杉原 毅彦 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(140)より-

 主要臓器障害を伴うAntineutrophil cytoplasmic antibody(ANCA)関連血管炎の治療はステロイド療法とシクロホスファミド(CY)により寛解導入を行い、再発率を減らすためにアザチオプリン(AZA)やメトトレキサートなどの免疫抑制剤で維持療法することが主流であるが、B細胞を標的とする生物学的製剤のリツキシマブとステロイドによる6ヵ月後の寛解導入率はステロイド+CYと同等であること、再発例ではリツキシマブのほうが有効であることが、2010年にランダム化比較試験(RCT)により検討された。

高齢女性では脊椎骨折歴が腰痛と関連

 高齢者の健康関連QOL(Health-related quality of life:HRQL)に対する、脊椎骨折既往歴の影響はほとんど知られていない。ノルウェー・トロムソ大学のSvanhild Waterloo氏らは、地域住民ベースの「トロムソ研究」に参加した50歳以上の男女について解析し、女性においては脊椎骨折既往歴が腰痛リスクの増加およびHRQL低下に関連することを明らかにした。BMC Geriatrics誌オンライン版2013年9月30日号の掲載報告。

抗精神病薬性の糖尿病、その機序とは

 第二世代抗精神病薬(SGA)により誘発される、インスリン分泌異常の主要機序について、オーストラリア・ウーロンゴン大学のKatrina Weston-Green氏らがレビューの結果を報告した。部分的な中枢および末梢神経でのムスカリンM3受容体(M3R)の阻害によると考えられ、M3Rが初期にインスリン分泌とグルコースホメオスタシスを破壊し、慢性治療中に次第にインスリン抵抗性や糖尿病に結びつく可能性があるという。CNS Drugs誌オンライン版2013年10月10日号の掲載報告。

心血管疾患治療のための用量固定配合剤(FDC)投与は治療改善につながるや否や?(コメンテーター:島田 俊夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(139)より-

 本臨床試験で使用された用量固定配合剤(FDC):(アスピリン+スタチン+2種類の降圧剤2剤の組み合わせ)を用いることにより、いかなる利益と問題点が生じたかを本試験から読み取ってみたい。UMPIRE試験はヨーロッパの3国(イギリス、アイルランド、オランダ)と、インドを対象地域とした無作為化オープンラベル盲検エンドポイント試験である。心血管疾患の既往、または5年以内に15%以上の心血管リスクを持つ受診者を対象とした。

乾癬、にきびへのパルスダイレーザー治療はどこまで有効か

 オランダ・Amphia Hospital BredaのAngelina Erceg氏らは、炎症性皮膚疾患に対するパルスダイレーザー(PDL)治療の有効性について、系統的レビューを行った。その結果、PDL治療は、限局性慢性尋常性乾癬とざ瘡について有効かつ安全な治療であると推奨できること(推奨グレードB)、その他の炎症性皮膚疾患については、勧告レベルがレベルCを上回らなかったが、治療は有望と思われることを報告した。

初回エピソード統合失調症患者はプロラクチン値が高い

 プロラクチンは精神医学分野において大きな注目を集めているホルモンである。ドパミン阻害の抗精神病薬に対して血清プロラクチン値上昇がしばしばみられる一方で、血清プロラクチン値の減少は抗精神病薬の効果を反映するとみなされている。しかし、未治療の初回エピソード統合失調症(FES)患者のベースライン時のプロラクチン値を調べた調査は、これまで限られていた。トルコ・Namik Kemal大学のYakup Albayrak氏らは、初の実証研究として検討を行った。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年10月7日号の掲載報告。

LDL-Cを40%低下させた新しいタイプの薬、RNA干渉薬/Lancet

 低分子RNA干渉薬ALN-PCSによる前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9(PCSK9)の合成阻害は、LDLコレステロール(LDL-C)を低下させる安全な作用メカニズムである可能性が、米国・Alnylam Pharmaceuticals社のKevin Fitzgerald氏らの検討で示された。研究の詳細はLancet誌オンライン版2013年10月3日号に掲載された。2006年、セリンプロテアーゼであるPCSK9の機能喪失型遺伝子変異によってLDL-Cが低下し、冠動脈心疾患のリスクが著明に低減することが確認された。それ以降、PCSK9を標的とする新たな脂質低下療法の開発が活発に進められ、これまでに抗PCSK9抗体のLDL-C低下効果が確認されているが、RNA干渉に基づくPCSK9合成阻害に関する報告はないという。

重度ICU患者、せん妄期間と認知機能障害リスクは有意に関連/NEJM

 ICUの重症患者のうち7割以上が、入院中にせん妄を発症するリスクがあり、せん妄期間が長いほど長期の認知機能障害発症リスクが高いことが明らかになった。米国・ヴァンダービルト大学のPratik P. Pandharipande氏らが、800例超のICU重症患者を対象に行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2013年10月3日号で発表した。重症疾患から回復した人は、認知機能障害を発症することが多いものの、その特徴についてはあまり調査がされていなかったという。

小児のアトピー性皮膚炎とイボは、感染症の増加に影響するか

 先行研究において、アトピー性皮膚炎は、皮膚および皮膚以外の感染症の素因となる異常な免疫反応との関連が示唆されている。米国セント・ルークス・ルーズベルトホスピタルセンターのJonathan I .Silverberg氏らにより、小児のアトピー性皮膚炎がイボ、皮膚以外の感染症、その他のアトピー性疾患のリスク増加に影響するかどうか調査、報告された。

ゲル充填人工乳房「ナトレル 410 ブレスト・インプラント」日本での製造販売承認を取得

 アラガン・ジャパン株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 レオ・ワイ・リー)は2013年10月11日、ゲル充填人工乳房「ナトレル410ブレスト・インプラント」について、乳房再建術又は成人女性の乳房増大術に対する製造販売承認を厚生労働省よりに取得したと発表。(医療機器承認番号:22500BZX00460000)

わが国の高齢胃がん患者に対する内視鏡的粘膜下層剥離術、医療経済的な効果は?

 高齢の胃がん患者に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の医療経済的な効果についての情報は、現在ほとんどない。産業医科大学の村田 篤彦氏らは、全国の管理データベースを用いて、高齢患者におけるESDの医療経済的な効果を調査した。その結果、胃がんでESDを受けた高齢患者では、非高齢患者と比べて、ESD関連合併症の発症率に差は認められなかったが、在院日数と入院中の医療費の有意な増加が示された。Journal of Digestive Diseases誌オンライン版2013年10月16日版に掲載。

救急部門での急性頭痛、クモ膜下出血除外の新ルール/JAMA

 神経障害のない急性頭痛症状の患者のクモ膜下出血の除外に、オタワSAH基準の感度がきわめて高いことが示された。カナダ・オタワ病院のJeffrey J. Perry氏らが行った、多施設共同コホート試験の結果で、JAMA誌2013年9月25日号で発表した。本検討は、先行研究で、クモ膜下出血の精査を必要とする患者を特定することについて示された3つの臨床決定ルール(それぞれ4つの指数が示されており1つ以上該当する場合は該当すると判定)が、急性頭痛患者でも効果があるのか、精度、信頼性、臨床許容性、ルール改良の可能性を検討することが目的であった。

アルコール依存症に介入療法は有効か?/JAMA

 アルコールおよび薬物依存症患者に対し、医療・福祉サービスを調整・包括して提供する慢性疾患ケア管理(chronic care management:CCM)の有効性について検討した結果、通常プライマリ・ケアによるサービス提供と比べて、12ヵ月時点の離脱率に有意差はみられなかったことが報告された。米国・ボストン医療センターのRichard Saitz氏らが、無作為化試験「AHEAD」を行い報告した。依存症患者は、健康問題を抱え高度な医療を受けていたり、併存症を有している頻度が高いが、多くの場合、質の低い治療を受けているとされる。CCMは、同患者への治療およびアウトカムを改善するアプローチとして提唱された。JAMA誌2013年9月18日号掲載の報告より。

喫煙や肥満は膀胱がん再発の危険因子

 膀胱がんは再発が多く、再発率を減少させるために危険因子を特定することが必要である。米国ダートマス大学のAsaf Wyszynski氏らが、膀胱がん患者の喫煙習慣とBMI、長期予後を調査した結果、とくに喫煙者においては肥満が膀胱がん再発の危険因子であることが示唆された。Cancer誌オンライン版2013年10月10日号に掲載。