日本語でわかる最新の海外医学論文|page:937

非心臓手術の周術期β遮断薬投与、死亡率を抑制/JAMA

 心リスクが高い非心臓/非血管手術患者では、周術期早期のβ遮断薬投与により全死因死亡や心合併症の発生率が低下することが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のMartin J London氏らの検討で示された。非心臓手術患者における周術期β遮断薬投与の有効性や安全性は現在も結論が得られておらず、現行の非心臓手術周術期の評価と治療に関するAHA/ACCガイドラインでは、他の疾患のためにすでにβ遮断薬が投与されている患者に限って周術期も継続投与すべきとされる(class I)。JAMA誌2013年4月24日号掲載の報告。

入院期間の長い認知症患者の特徴は?:大阪大学

 認知症患者の長期入院では、しばしば重篤な周辺症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia、以下BPSD)の治療が必要となる。また、重篤なBPSD患者は、長期間の入院を必要とする。大阪大学の杉山 博通氏らは、認知症病棟のよりよいリソース管理のため長期入院に関連する因子の同定を試みた。International psychogeriatrics誌オンライン版2013年4月23日号の報告。

キーンベック病の長期予後、血管柄付き骨移植術は良好

 血管柄付き骨移植術(VBG)は、進行期のキーンベック病に対する治療法の一つであるが、この治療法の長期予後に関する報告はほとんどなかった。日本・京都府立医科大学講師の藤原浩芳氏らは、VBGを施行したキーンベック病患者を10年以上追跡し、長期予後は良好であることを報告した。The Journal of Hand Surgery誌2013年5月号(オンライン版2013年4月2日号)の掲載報告。

慢性HCV感染患者、新規ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬の上乗せ効果を確認/NEJM

 未治療の慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染患者の治療において、新規ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬ソホスブビルを標準治療であるペグインターフェロンアルファ2a+リバビリン療法に追加すると有効性が改善され、ソホスブビル+リバビリン療法の効果は標準治療に対し非劣性であることが、米国テキサス大学健康科学センターのEric Lawitz氏らの検討で示された。慢性HCV感染患者は世界で約1億7,000万人に及び、年間35万人以上がHCVに起因する肝疾患で死亡しているという。ソホスブビルは、第II相試験で未治療の遺伝子型1、2、3型の慢性HCV感染患者に対する有効性が確認されている。NEJM誌オンライン版2013年4月23日号掲載の報告。

母親の血中ビタミンD値、子どもの骨塩量とは無関係/Lancet

 妊娠中の母体における血中ビタミンD値と、その子どもの9~10歳時の骨塩量との関連について大規模集団における検討の結果、有意な関連は認められなかったことが報告された。英国・ブリストル大学のDebbie A Lawlor氏らが、約4,000組の母子について行った前向き調査「エイボン縦断試験」の結果で、Lancet誌オンライン版2013年3月19日号で発表した。これまでの研究で、妊婦の最大70%がビタミンD不足または欠乏していることが明らかとなっており、また小規模研究において妊婦のビタミンD値が子どもの骨塩量を規定することが示唆され、もしそれが真実であれば重大な公衆衛生上の問題になると危惧されていたという。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(90)〕 否定された『減塩パラドックス』―降圧の基本は、やはり減塩。

 食塩摂取と高血圧とは、いわば切っても切れない関係にある。薬剤による降圧療法は日常的に行われているが、各国の高血圧診療ガイドラインでは、薬物療法に先行する生活習慣の改善(life style modification)、なかでも『減塩』の履行・遵守を強く勧めている。高血圧診療における、生活習慣の改善の代名詞が『減塩』であり、日本高血圧学会でも学会をあげて『減塩』に取り組んでいる。たとえば、例年開催される学会のランチは減塩弁当であり、また昨年初めて行われた減塩サミットの共催に名を連ねた。

双極性障害の自殺予防に求められるのは・・・

 双極性障害患者では自殺行動の頻度は高い。英国・オックスフォード大学ウォーンフォード病院のKate EA Saunders氏らは、双極性障害患者の自殺予防の臨床的評価と危機介入戦略を見直すため、これまでの研究成果の注目すべき所見を明確にし、今後の研究で重点を置くべき分野を特定するために文献レビューを行った。その結果、双極性障害患者の自殺行動の要因は多岐にわたり、患者に積極的に働きかける危機介入プラン作成とマネジメントが求められることを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年4月9日号の掲載報告。

過去20年間で、メラノーマによる社会的疾患負荷が2倍以上に

 オランダ・エラスムス大学医療センターのC. Holterhues氏らは、1991~2010年のオランダのメラノーマ登録患者のデータを解析した結果、オランダ社会においてメラノーマが重大な疾患負荷となっていることを報告した。疾患負荷は、疾患による健康損失や死亡を表すが、これまで一般集団におけるメラノーマについて十分に研究されていなかったという。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年3月29日号の掲載報告。

統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか?

 統合失調症治療では、一般的にさまざまな薬理作用を有する薬剤を組み合わせた治療が行われている。ドイツ・ミュンヘン工科大学のMarkus Dold氏らは、抗精神病薬にベンゾジアゼピン系薬剤を追加投与した際の有用性をメタ解析により評価した。European neuropsychopharmacology誌オンライン版2013年4月17日号の報告。

高い尿酸値はパーキンソン病の進行を遅らせる!?-メタ解析の結果から-

 男性において、高い尿酸値がパーキンソン病の進行を遅らせる可能性があることが、中国・浙江大学のChunhong Shen氏らの報告によって示唆された。しかしながら、今後も詳細な調査が必要であると指摘している。The Canadian journal of neurological sciences誌2013年1月号の掲載報告。

「かくれ骨粗鬆症」を救うために

 2013年4月23日(火)、日本イーライリリー株式会社開催のセミナーにて、近畿大学医学部奈良病院の宗圓 聰氏(整形外科・リウマチ科)と聖隷浜松病院の森 諭史氏(骨・関節外科)が、原発性骨粗鬆症の診断基準ならびに椎体骨折評価基準の改訂がもたらす積極的な診断・治療の広がりと、臨床に潜む「かくれ骨粗鬆症」の実態について語った。

日本人2型糖尿病患者においてリナグリプチンの追加療法は有効か?

 リナグリプチン(商品名:トラゼンタ)について、経口糖尿病治療薬(OAD)の追加療法としての長期的な安全性・有効性を検証するため、京都大学の稲垣暢也氏らは多施設オープンラベル並行群間試験を実施した。Diabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2013年4月8日付の掲載報告。

慢性胃食道逆流症、噴門形成術は薬物治療より長期アウトカムも良好/BMJ

 慢性胃食道逆流症(GORD)への腹腔鏡下噴門形成術は、薬物治療と比べて長期的な生活の質(QOL)についても改善することが明らかにされた。英国・アバディーン大学のA.M.Grant氏らが行った多施設共同無作為化試験「REFLUX」の結果で、BMJ誌オンライン版2013年4月18日号で発表された。GORD患者に対する腹腔鏡下噴門形成術は、短期的な症状の軽減については、薬物治療よりも良好である可能性が高いことを示すエビデンスは示されていたが、長期的アウトカムについては不明だった。

全年齢対象の非ホジキンリンパ腫に対するR-CHOP療法、強化療法vs.標準療法/Lancet

 びまん性大細胞型B細胞性非ホジキンリンパ腫に対するR-CHOP療法の全年齢を対象とした強化療法(毎2週投与)について、標準療法(毎3週投与)と比べて有意な改善を示さなかったことが報告された。英国・ロイヤルマーズデンNHS財団トラストのDavid Cunningham氏らが第3相無作為化試験の結果、報告した。これまでに、2004年に60歳以上を対象とした試験でCHOP強化療法(毎2週×6サイクルvs. 毎3週×6サイクル)の全生存の改善が示されていた。ただし、その後日本で行われた強化療法(毎2週×8サイクル)を検証した小規模試験では改善が示されず、またCHOP+エトポシド療法の検討においても全年齢の全生存改善は示されなかった。Lancet誌オンライン版2013年4月22日号掲載より。

アルツハイマー病治療、学歴により疾患への対処に違いあり?

 イタリア・ジェノア大学のSilvia Morbelli氏らは、アルツハイマー病(AD)患者の前駆期(prodromal)における学歴別の脳代謝状態を検討した。その結果、高学歴の患者では神経の温存あるいは代償性の神経ネットワークの存在を背景に、より良好な疾患への対処が望める可能性を示唆した。Journal of Nuclear Medicine誌オンライン版2013年4月16日号の掲載報告。

疼痛性障害に対し、学際的な通所疼痛リハビリテーションプログラムが有効

 米国・ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部シカゴリハビリテーション研究所のChristine M. Gagnon氏らは学際的疼痛リハビリテーションプログラムの効果について検討し、多くの患者で精神的苦痛と疼痛が減少するとともに、就労が可能となったことを示した。Pain Practice誌2013年4月号(オンライン版2012年8月3日)の掲載報告。

非定型抗精神病薬治療、忍容性の差を検証

 英国・UCLスクール・オブ・ファーマシーのNoor B. Almandil氏らは、小児と青年期若者の非定型抗精神病薬治療による体重増加とその他の代謝への影響について、システマティックレビューとメタ解析を行った。解析に組み込まれたのは、オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾールの3剤であった。Pediatric Drugs誌2013年4月15日号の掲載報告。

糖尿病は軽度認知障害発症リスクを上昇させる

 高齢者において、糖尿病が軽度認知障害(MCI)発症リスクを上昇させることが米国メイヨークリニックのRosebud O. Roberts氏らの研究によって明らかになった。また、本研究により対象者の性別やMCIサブタイプ、障害領域の数によってその相関の強さが異なることも示された。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2013年4月3日付の報告。  

妊娠中の抗うつ薬服用は出生児の自閉症リスク増大と関連/BMJ

 妊娠中の抗うつ薬服用(SSRIと非選択的モノアミン再取り込み阻害薬)は、出生児の自閉症リスク増大と関連していたことを、英国・ブリストル大学のDheeraj Rai氏らによる住民ベースのネスティッドケースコントロール研究の結果、報告した。知的障害との関連はみられなかったという。しかし著者は、今回示された関連性について、妊娠中の重度のうつ病が自閉症リスクを増大する原因なのか、あるいは反映しているのかについてはさらなる研究が必要だとまとめている。また、「自閉症が認められたのは、服用者の1%未満の子どもについてであったことから、妊娠中の抗うつ薬服用が有意にリスクの増大に関与した可能性は低いと思われる」と言及している。BMJ誌オンライン版2013年4月19日号掲載の報告より。

CHD、脳卒中患者の健康的な生活習慣の実践状況が明らかに/JAMA

 冠動脈心疾患(CHD)および脳卒中患者における健康的な生活習慣の実践率は世界的に低く、所得が低いほど実践状況も悪くなることが、カナダ・ハミルトンの公衆衛生研究所のKoon Teo氏らが行ったPURE試験で示された。急性冠症候群患者の観察試験では、より健康的な生活習慣を遵守することで再発リスクが低下することが確認されており、禁煙は死亡や心筋梗塞のリスクを低下させ、質のよい食事や定期的な運動は死亡や心筋梗塞後の心血管疾患の再発リスクを低減することが明らかにされている。一方、CHD、脳卒中患者における健康的な生活習慣の世界的な実践状況は、これまでほとんど知られていなかったという。JAMA誌2013年4月17日号掲載の報告。