日本語でわかる最新の海外医学論文|page:909

進行期パーキンソン病に対する新たな遺伝子治療/Lancet

 進行期パーキンソン病に対し、新たな遺伝子治療「ProSavin」の有効性と安全性、忍容性を検討した第1/2相試験の結果が発表された。フランス・パリ第12大学のStephane Palfi氏らが同患者15例を、低・中・高用量投与の3群で12ヵ月間検討した結果、いずれの投与群でも安全性と忍容性が認められ、また全患者について運動症状の改善がみられたことを報告した。パーキンソン病では経口ドパミン補充療法が行われているが、治療が長期にわたると、運動合併症や衝動制御障害が起きることから根治につながる治療が求められている。Lancet誌オンライン版2014年1月9日号掲載の報告より。

破裂性腹部大動脈瘤に対する開腹手術 vs. 血管内修復術/BMJ

 破裂性腹部大動脈瘤に対する治療戦略について、血管内治療と外科治療では30日死亡率低下およびコストに差がないことが、無作為化試験の結果、示された。同治療戦略について検討する英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJanet T Powell氏らのIMPROVE試験研究グループが、30施設・613例について検討した結果、報告した。これまで選択的患者を対象とした英国内単施設の検討では、血管内治療が外科治療よりも30日死亡率が約30%低いことが示されていたが、他の施設や他国の多施設で行われた試験では、いずれも小規模試験だが両者間の違いは示されなかった。BMJ誌オンライン版2014年1月13日号掲載の報告より。

双極性障害の診断、DSM-IV-TRでは不十分

 双極性障害を正確に診断することは容易ではない。とくに、かかりつけ医においてはうつ病との鑑別が困難な場合も少なくない。スイス・チューリッヒ大学精神科病院のJules Angst氏らは、ICD-10基準で双極性障害(BD)と診断が付いている患者が、プライマリ・ケアの場面でDSM-IV-TRによってBDと診断されるかを検証した。その結果、診断された患者はわずかで、DSM-IV-TRのBD診断基準は限定的であることが示された。過去20年の間に、DSM-IVおよびDSM-IV-TRにおける軽躁病の診断概念が、非常に限定的であるとのエビデンスが蓄積されていた。Journal of Affective Disorders誌2014年1月号の掲載報告。

よいメタ解析、悪いメタ解析?(コメンテーター:後藤 信哉 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(171)より-

 心房細動の脳卒中予防の適応取得を目指した、いわゆる新規経口抗凝固薬の開発試験の結果が出揃った。最後に残っていたのはTIMI groupの主導するENGAGE-TIMI 48試験であった。試験対象となったエドキサバンは、日本の第一三共の薬剤であったが、試験は実績のあるTIMI groupに持って行かれてしまった。ENGAGE TIMI 48試験は2013年11月のAHAにおいて発表された。それまでTIMI group以外のものは試験結果にアクセスすることはできない。最後に残った心房細動の脳卒中予防試験の結果を抱えているTIMI groupは、新規経口抗凝固薬の臨床試験の情報について昨年の11月まで圧倒的に有利な状況にあった。

アリピプラゾールは急性躁病治療のファーストラインになりうるか

 急性躁病のファーストライン治療は薬物療法であり、まず初めに興奮、攻撃性、危険な行動を迅速にコントロールすることが目的とされている。非定型抗精神病薬アリピプラゾールは、躁病治療において、単独また他剤との併用いずれもが行われている。また、英国精神薬理学会(British Association of Psychopharmacology)のガイドラインでは、単独療法プラセボ対照試験において、アリピプラゾールを含む非定型抗精神病薬は急性躁病また混合性エピソードに有効であることが示唆されたとしている。そこで、英国・Oxford Health NHS Foundation TrustのRachel Brown氏らは、急性躁病症状または混合性エピソードの軽減について、アリピプラゾールの単独または他の抗躁薬との併用治療の有効性と忍容性を評価するとともに、プラセボまたは他剤との比較を行った。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年12月17日号の掲載報告。

NSAIDs誘発の蕁麻疹/血管性浮腫、慢性蕁麻疹には進展せず

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)によって誘発された蕁麻疹/血管性浮腫(NIUA)が、慢性蕁麻疹(CU)発症に先行するものとは認められなかったことが、スペイン・カルロス・アヤ病院のI. Dona氏らによる12年間の追跡調査の結果、報告された。NSAIDsは、薬物アレルギー反応と関連する頻度が最も高い薬物で、なかでもNSAIDs誘発であるNIUAの頻度が最も高い。

治療抵抗性高血圧に対する腎デナーベーションの治験、一時中断

 米Medtronic社は、1月9日、治療抵抗性高血圧患者を対象とした腎デナーベーションの臨床試験(SYMPLICITY HTN-3)において、試験実施前に計画していた降圧効果が得られなかったとの結果を公表した。なお、データ安全性モニタリング委員会は、試験において安全性には問題ないと発表している。この結果を受けて、倫理的な観点からMedtronic社は、腎デナーベーションに関するすべての臨床試験(日本でのHTN-Japanを含む) を一時中断し、詳細な分析結果より今後の方向性を判断するとしている。

オビヌツズマブ併用療法、慢性リンパ性白血病の無増悪生存期間を延長/NEJM

 慢性リンパ性白血病(CLL)と他疾患を併存する未治療患者に対して、オビヌツズマブ(GA101)+クロラムブシル(いずれも国内未承認)の併用治療のほうが、リツキシマブ(商品名:リツキサン)+クロラムブシルの併用治療に比べ、より効果的であることが示された。ドイツ・ケルン大学病院のValentin Goede氏らによる第3相オープンラベル3群試験の結果、報告された。先行研究において、同患者に対して抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブが全生存期間を延長することが示されていたが、今回の結果を踏まえて著者は、「同患者集団へのクロラムブシルとの併用効果は、リツキシマブよりもオビヌツズマブのほうが優れていた」と報告している。NEJM誌オンライン版2014年1月8日号掲載の報告。

タバコ規制、精神疾患患者には効力弱い/JAMA

 2004~2011年の間に、精神疾患患者においても喫煙率の低下はみられたが、精神疾患を有さない人の低下と比べるとその割合は有意に少なかったことが示された。一方で精神疾患患者の禁煙率は、精神科治療を受けている人が受けていない人と比べて有意に高率だったという。米国・ハーバード・メディカル・スクール/ケンブリッジ・ヘルスアライアンスのBenjamin Le Cook氏らが報告した。米国では大幅な喫煙率低下が進んできたが、「タバコ規制運動」は精神疾患患者よりも一般集団にフォーカスされてきた。精神疾患患者では喫煙率やニコチン依存の割合が高いという背景がある。JAMA誌2014年1月8日号掲載の報告より。

冠動脈プラーク評価におけるフッ化ナトリウムおよびFDG‐PETの比較(コメンテーター:近森 大志郎 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(170)より-

 近年の基礎研究の発展により、動脈硬化は慢性的な炎症性疾患であると理解されるようになってきた。そして、分子生物学的にはマクロファージ・血管新生・細胞アポトーシス・サイトカインなどが重要な役割を果たしており、これらの反応過程をイメージングするmolecular imagingの進歩が著しい。なかでも、活性化したマクロファージの代謝を利用してイメージングするfluorodeoxyglucose(FDG) 陽電子放射断層撮影(PET)が高リスク動脈硬化病変の検出に有用である。

日本女性におけるBMIと乳がんの関連~大規模コホート研究のプール解析

 西洋人での研究から、閉経後の女性ではBMIと乳がんリスクの間に正の相関があることが報告され、また閉経前の女性では弱い逆相関があることが示唆されている。一方、アジアの女性、とくに閉経前の女性においては、乳がんリスクに対するBMIの影響は明らかではなかった。

ベンゾジアゼピン部分アゴニスト、新たなてんかん治療薬として期待

 ドイツ・Drug-Consult.NetのChris Rundfeldt氏らは、てんかんに対する新たな治療薬として、ベンゾジアゼピン(BZD)受容体部分アゴニストの可能性について言及した。現在、BZD受容体部分アゴニストとしてイミダゾロン誘導体のイメピトインが、イヌのてんかん治療薬として承認されており、従来のBZDでみられる有害事象、忍容性、依存性などの問題を解決する新たな治療薬としてヒトへの応用が期待されることを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2013年12月号の掲載報告。

社会保障および経済成長のエンジンとしての医療 ―二つの視点から医療問題を考えよう シンポジウムのご案内

 京都大学大学院薬学研究科 医薬産業政策学講座は、2月14日(金)午後2時から7時まで、東京駅前の丸ビルホールにてシンポジウム「社会保障および経済成長のエンジンとしての医療 ―二つの視点から医療問題を考えよう」を開催する。

CPAP施行困難な睡眠時無呼吸に対する植込み型デバイス/NEJM

 中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸の治療法として、新たに開発された植込み型の上気道刺激デバイスが有用であることが、米国・ピッツバーグ大学医療センター・モンテフィオーリ病院のPatrick J. Strollo氏らが実施したSTAR試験で示された。閉塞性睡眠時無呼吸に対しては、持続的気道陽圧法(CPAP)が健康リスクを軽減することが確認されているが、治療へのアドヒアランスが十分でないと効果は低くなる。中等度以上の患者ではCPAPの施行が困難な場合が多い。NEJM誌2014年1月9日号掲載の報告。

新規抗スクレロスチン抗体、閉経後の骨密度を増大/NEJM

 閉経後に骨密度(BMD)が低下した女性に対する抗スクレロスチン抗体romosozumab投与は、腰椎BMDを12ヵ月で5~11%改善することが示された。米国・オレゴン骨粗鬆症センターのMichael R. McClung氏らが、romosozumabの有効性について検討した第2相臨床試験の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2014年1月1日号で発表した。

患者に「歩け、歩け運動」を勧める具体的なエビデンス(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(169)より-

 糖尿病や耐糖能障害例では運動療法が推奨されているが、本研究は「運動療法が心血管イベントを減少させる」というエビデンスを世界規模のコホート研究で実証した点で価値がある。NAVIGATOR試験は、高リスクの耐糖能障害例において、1)インスリン分泌促進薬であるメチグリニド系血糖降下薬ナテグリニド と、2)ARBバルサンタン が各々心血管イベントを抑制するか否かを検討した2×2の介入試験である、いずれの薬物も心血管合併症を抑制するという結果をもたらさなかった。

小児の原発性多汗症におけるイオントフォレーシス療法は有用?

 小児の原発性多汗症における水道水イオントフォレーシス(イオン導入)療法の有効性と安全性が、トルコのSeval Dogruk Kacar氏らにより調査・報告された。その結果、イオントフォレーシス療法は、有効性および信頼性において小児の原発性掌蹠多汗症、原発性腋窩多汗症に有用な治療であることが示された。これまで、小児におけるイオントフォレーシス療法の有効性について調査した研究は限られていた。