日本語でわかる最新の海外医学論文|page:911

モース顕微鏡手術の安全性を確認 重大有害イベント発生はごくわずか、死亡例なし

 モース顕微鏡手術(MMS)の安全性について、米国内23施設・2万821例を検討した結果、有害イベント発生率は0.72%であり、重大有害イベント発生率は0.02%で非常に低く、死亡例はなく、「同手術は安全である」ことを米国・ノースウェスタン大学のMurad Alam氏らが報告した。

双極性障害に対するリチウム療法の効果を予測する遺伝子変異/NEJM

 双極性I型障害患者に対するリチウム維持療法では、GADL1遺伝子変異の状態によって効果に差があることが、台湾中央研究院のC-H Chen氏ら台湾バイポーラ・コンソーシアムの検討で示された。リチウム維持療法は双極性障害患者における躁状態およびうつ状態の予防の第一選択の治療法とされ、再発や自殺のリスクを低減することが示されている。その一方で、効果がみられない患者も多いという。これまでに、リチウム治療の奏効と関連し、臨床での使用に十分な感度を有する一塩基多型(SNPs)はみつかっていない。NEJM誌オンライン版2013年12月25日号掲載の報告。

小児の慢性片頭痛に認知行動療法が有効/JAMA

 小児の慢性片頭痛の治療として、認知行動療法(CBT)が有効であることが、米国・シンシナティ小児病院医療センターのScott W Powers氏らの検討で示された。小児の慢性片頭痛に関しては、現在、米国FDAによって承認された治療法がないため、実臨床ではエビデンスに基づかない種々の治療が行われているという。心理学的介入の中でも、対処技能の訓練に焦点を当てバイオフィードバック法に基づくリラクセーション訓練を導入したCBTは、これらの患者における慢性、再発性の疼痛の管理に有効であることを示唆するエビデンスが報告されていた。JAMA誌2013年12月25号掲載の報告。

脳動静脈奇形(未破裂)の予防的切除や塞栓術などの介入療法では予後を改善できない(コメンテーター:中川原 譲二 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(167)より-

 これまで未破裂脳動静脈奇形の予防的切除や塞栓術の臨床的ベネフィットは明らかになっていなかった。未破裂脳動静脈奇形を対象とした多施設共同非盲検無作為化試験「ARUBA」では、内科的管理単独(神経学的症状に応じた投薬治療)と内科的管理+介入療法(脳外科手術、塞栓術、定位放射線療法の単独または複合など)の死亡及び症候性脳卒中のリスクが比較された。その結果、内科的管理単独のほうが、内科的管理+介入療法よりも死亡及び脳卒中のリスク抑制に優れていることが明らかにされ、介入療法の限界が示された。

COPDにマクロライド系抗菌薬の長期療法は有効か

 1年間マクロライド系抗菌薬の長期療法を行うことでCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の増悪リスクは減少するが、聴力の低下やマクロライド系耐性菌が増えるリスクもあることが米国・テンプル大学病院のFrederick L. Ramos氏らによって報告された。Current Opinion in Pulmonary Medicine誌オンライン版2013年12月28日の掲載報告。

全身性硬化症に有用な新たなバイオマーカー/NEJM

 全身性硬化症の発症リスクや進行予測および合併症有無のバイオマーカーとして、形質細胞様樹状細胞に発現するCXCL4値の測定が有用であることが、米・ボストン大学のL. van Bon氏らによる検討の結果、示された。形質細胞様樹状細胞は、I型インターフェロン産生を事前に示唆するという機序により、全身性硬化症の病因に関連することが知られていた。研究グループは、健常者および臨床像が異なる全身性硬化症患者の形質細胞様樹状細胞を用いて、同細胞の役割を特定することを試みた。NEJM誌オンライン版2013年12月18日号掲載の報告より。

食物繊維を多く摂っている人ほど心血管疾患が発症しにくい/BMJ

 食物繊維の摂取量が多いほど、心血管疾患および冠動脈心疾患のリスクは低いことが、系統的レビューとメタ解析の結果、明らかにされた。英国・リーズ大学のDiane E Threapleton氏らが報告した。これまで、同関連については多数の観察研究で示唆されていたが、エビデンスとなる報告はなかったという。また、既存の文献レビューは非系統的なもので、由来食物に着目した検討はなされておらず、リスクとの関連性を摂取量で定量化した評価は行われていなかった。BMJ誌オンライン版2013年12月19日号掲載の報告より。

急性心不全治療には新たな展開が必要では?(コメンテーター:平山 篤志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(166)より-

増加しつつある心不全患者に対して、β遮断薬やRA系抑制薬に加え、更なる予後改善のために急性期からの介入試験が行われるようになった。しかし、トルバプタンやネチリシドを用いた大規模臨床試験では、いずれの薬剤も急性期の症状改善は得られても予後改善効果は認められなかった。そこで、長期予後を最終評価とする大規模試験ではなく、予後と関連する腎機能保護効果をサロゲートエンドポイントした臨床試験が行われるようになった。

月1回の持効性抗精神病薬、安全に使用できるのか

 新規の持効性抗精神病薬であるパリペリドンパルミチン酸エステルは、4週間に1回投与を行う持効性注射製剤である。臨床応用にあたっては、安全に使用できるかがポイントとなる。米国のDong-Jing Fu氏らは、有害事象に対し感受性の高い発症初期の統合失調症患者におけるパリペリドンパルミチン酸エステルの有効性・忍容性を評価した。International clinical psychopharmacology誌2014年1月号の報告。

脊柱管狭窄症の硬膜外ステロイド注射、より有効な注射経路は?

 腰部脊柱管狭窄症において、硬膜外ステロイド注射は短期的な疼痛改善に有効であることはよく知られているが、その注射経路によって効果に違いがあることがギリシャ・ヨアニナ大学病院のAvraam Ploumis氏らの研究で明らかになった。坐骨神経痛を有する腰部脊柱管狭窄症患者を対象とした検討で、注射6ヵ月後の疼痛改善は、仙骨注射より経椎間孔注射のほうが優れていた。Pain Medicine誌オンライン版2013年12月16日の掲載報告。

多発性硬化症とてんかんの併発は偶然ではない!? −大規模人口ベースの記録照合研究より

 多発性硬化症とてんかんの併発は、偶然より高い頻度で起こっており、その理由として多発性硬化症の病変部がてんかん発作の焦点となりうることが考えられると、英国オックスフォード大学のAlexander N Allen氏らが報告した。BMC neurology誌2013年12月4日号掲載の報告。

「二次災害としての感染症」「東アジアで急増するエイズ」に関する講演会のご案内

 2014年1月12日(日)、順天堂大学大学院医学研究科 研究基盤センターの坪内 暁子氏らが、科学教育の一環として「二次災害としての感染症」「日本ほか、東アジアで急増するエイズ」について講演する。本講演は、高校生などの若年層を対象にしているが、教員、その他の方々の聴講も歓迎している。

チオトロピウム、日本における喘息への適応拡大を申請

チオトロピウム レスピマット(製品名:スピリーバ R2.5μgレスピマット60吸入)は、現在喘息の治療薬として承認されていません。  日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)は1月6日、長時間作用性抗コリン薬チオトロピウム(製品名: スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入)の適応を喘息患者の治療に拡大する申請を提出したと発表した。

歯周炎治療によってHbA1cは改善するか/JAMA

 慢性歯周炎を有する2型糖尿病患者について、慢性歯周炎の非外科的治療を行っても、HbA1c値の改善は認められないことが、米国・ニューヨーク大学歯学部のSteven P. Engebretson氏らが、患者500例超について行った無作為化比較試験の結果、明らかにされた。慢性歯周炎は糖尿病患者において広く認められる。これまで限定的ではあるが、歯周炎を治療することで血糖コントロールが改善する可能性があることが示唆されていた。JAMA誌2013年12月18日号掲載の報告より。

下腿潰瘍に対する弾性ストッキングの治癒効果、弾性包帯と同等/Lancet

 静脈性下腿潰瘍患者に対し、2層弾性ストッキングと4層弾性包帯の潰瘍治癒効果は、同等であることが示された。英国・ヨーク大学のRebecca L Ashby氏らが、約450例の患者について行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。静脈性下腿潰瘍に対しては、4層弾性包帯が標準治療とされているが、包帯がずれてまき直しが必要になるといった欠点も認められていた。Lancet誌オンライン版2013年12月6日号掲載の報告より。

糖尿病は前立腺がんの死亡リスクを2割以上増加させる

 2型糖尿病が前立腺がんによる死亡と全死因死亡のリスク増加に関連していることが、カナダ・ジューイッシュ総合病院のLeah Bensimon氏らの大規模コホート研究で示唆された。著者らは、さらに「高インスリン血症などの糖尿病関連の代謝障害が、がんの悪性度と関連しているかもしれない」としている。Cancer causes & control誌オンライン版2014年1月3日号に掲載。

統合失調症患者への抗精神病薬追加投与、うまくいくポイントは

 統合失調症に対する抗精神病薬の治療効果を妨げる要因として脂質代謝と酸化還元レギュレーションが関係する可能性が示唆されている。ノルウェー・Diakonhjemmet病院のH Bentsen氏らは、急性エピソード統合失調症患者に、抗精神病薬を追加投与する場合、ω-3脂肪酸とビタミンE+Cの両剤を追加することが安全であるという研究結果を報告した。どちらか単剤の追加からはベネフィットは得られず、血中多価不飽和脂肪酸(PUFA)値が低い患者では精神病性症状が誘発されることが示された。Translational Psychiatry誌オンライン版2013年12月17日号の掲載報告。

美白化粧品、大量水銀含有製品が世界に蔓延?

 米国・ロマリンダ大学のCarsten R. Hamann氏らは、美白化粧品549製品に含まれる水銀成分量について分析調査を行った。米国食品医薬品局(FDA)では、化粧品製品の含有水銀量は1ppmと制限しているが、調査の結果、その基準値の千倍超の商品が6.0%あり、水銀を含有していた全製品のうち基準値の1万倍超のものが45%を占めていることなどが判明したという。