日本語でわかる最新の海外医学論文|page:881

回復期リハ退院後の30日再入院率は11.8%/JAMA

 米国でメディケア受給者の急性期後(回復期)リハビリテーション(postacute inpatient rehabilitation)後の30日再入院率を調べた結果、最も低かったのが下肢関節置換術後の患者で5.8%、最も高かったのが患者の衰弱の18.8%であったことなどが、テキサス・メディカル・ブランチ大学のKenneth J. Ottenbacher氏らによる調査の結果、明らかにされた。米国のメディケア・メディケイドサービスセンターでは最近、リハビリテーション施設に対して、医療の質の評価指標として30日再入院率を定義づけた。Ottenbacher氏らは、この動きを受けて同施設の再入院率とその因子を明らかにするため、メディケア受給者73万6,536例を対象とした後ろ向きコホート研究を行った。JAMA誌2014年2月12日号掲載の報告より。

待機手術を受けた患者の3%が90日以上のオピオイド投与が必要だった/BMJ

 主要待機的手術を受けたオピオイド未使用患者のうち、約3%が術後90日間オピオイドを継続使用していたことが、カナダ・トロント総合病院のHance Clarke氏らによる住民ベースの後ろ向きコホート研究の結果、報告された。低年齢、低所得、糖尿病などを有するといった患者の特性や術式による長期オピオイド使用の傾向も明らかになり、著者は「今回の所見は、オピオイド治療を長期化させない患者群を特定し介入する根拠となるものだ」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年2月11日号掲載の報告より。

新薬が不承認となる最大の原因は有効性の欠如だった(コメンテーター:折笠 秀樹 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(176)より-

 米国FDAによる過去12年間の承認審査に関するレトロスペクティブ調査である。302件の新薬申請のうち151件(50%)はすんなり承認されたが、残る151件は書類の再提出を求められ、71件は最終的には承認、80件は不承認であった。本調査は再提出を求められた151件について、最終的に承認されたか否かの原因を探った。一発承認の要因について言及がなかったのは残念である。

日本人も肺炎クラミジア感染で冠動脈疾患リスクが上がる~約5万人のコホート研究

 欧米では、肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)感染がアテローム性動脈硬化症と冠動脈疾患の危険因子と考えられている。しかし、日本人は欧米人に比べて冠動脈疾患リスクが低いため、日本人におけるエビデンスは非常に少ない。今回、日本人における肺炎クラミジア感染と冠動脈疾患リスクとの関連について、JPHCスタディ(厚生労働省がん研究班による多目的コホート研究)で検討した。その結果、肺炎クラミジア感染と冠動脈疾患リスクとの間に正の相関が認められた。Atherosclerosis誌オンライン版2014年1月23日号に掲載。

遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学

 慶應義塾大学の吉田 和生氏らは、統合失調症患者にみられる抗精神病薬使用後の遅発性ジスキネジア(TD)と、ドパミンD2受容体占有状況との関連について検討を行った。その結果、不随意運動を認めた例では、認めなかった例に比べて、ドパミンD2受容体占有レベルのトラフ値が有意に高く、強力なドパミンD2受容体阻害がTDのリスクを増大させる可能性が示唆されたという。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年2月1日号の掲載報告。

レストレスレッグス症候群におけるプレガバリンの可能性/NEJM

 レストレスレッグス症候群(RLS、むずむず脚症候群、Willis–Ekbom病)の治療薬として、プレガバリン(商品名:リリカ)はプラセボよりも有意に治療アウトカムを改善し、プラミペキソール(同:ビ・シフロールほか)に比べ症状の増強(augmentation)が少ないことが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のRichard P Allen氏らの検討で確認された。RLSの症状はプラミペキソールなどの短時間作用型ドパミン作動薬によって軽減するが、長期間投与すると医原性の悪化(症状の増強)の原因となる可能性がある。プレガバリンは、鎮痛作用および抗痙攣作用を有する非ドパミン作動性の薬剤であり、最近、無作為化試験でRLSに対する効果が示されている。NEJM誌2014年2月13日号掲載の報告。

マンモグラフィ検診は乳がん死を抑制しない/BMJ

 40~59歳の女性に対するマンモグラフィ検診は、乳房触診検査や通常診療のみの場合に比べ乳がん死を低減しないことが、Canadian National Breast Screening Studyの最長25年に及ぶ追跡調査で示された。検診から15年後も、22%が過剰診断である可能性も示唆された。カナダ・トロント大学のAnthony B Miller氏らが発表したもの。BMJ誌オンライン版2014年2月11日号掲載の報告より。一般に、触知不能でマンモグラフィで検出された乳がん患者の生存期間は、触診で病変が見つかった患者よりも長期に及ぶ。これには、組織型検診(organized screening)やリードタイム・バイアス、過剰診断の影響があると考えられるが、その影響の程度は正確には知られていないという。

C型慢性肝炎に対する治療法の開発は最終段階へ!―IFN freeの経口薬併用療法の報告―(コメンテーター:中村 郁夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(175)より-

 C型慢性肝炎のうち、1型高ウイルス量の患者に対する現時点での標準治療はPEG-InterferonとRibavirin・Protease阻害薬(Telaprevir またはSimeprevir)の併用療法(24週)である。この治療法により、Sustained Virological Response(SVR:治療終了後6ヵ月の時点での血中HCV陰性化)を得られる頻度は、初回治療例、前治療無効例で約80~90%とされている。

糖尿病患者のトータルケアを考える

 2014年2月19日(水)都内にて、糖尿病患者の意識と行動についての調査「T-CARE Survey」を題材にセミナーが開かれた(塩野義製薬株式会社 開催)。演者である横浜市立大学の寺内 康夫氏(分子内分泌・糖尿病内科学 教授)は、患者が治療に前向きに取り組むためには「治療効果の認識」「症状の理解」が重要と述べ、患者の認知・理解度に応じて個々に合ったアプローチをすべき、と述べた。

膵NETが1.2倍、消化管NETが1.8倍に~神経内分泌腫瘍の全国疫学調査

 神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)はまれな腫瘍であるが、患者数は増加している。しかしながら、わが国では2005年からNETの疫学的研究はなされておらず、有病率は不明である。今回、膵および消化管NETの2005年の疫学データを報告している九州大学の伊藤鉄英氏らが、2010年における受療者の全国調査を実施し、疫学的変化を報告した。Journal of gastroenterology誌オンライン版2014年2月6日号に掲載。

双極性障害、男女間で肥満割合に違いあり

 カナダ・クイーンズ大学のAnusha Baskaran氏らは、双極性障害(BD)における肥満の性差とその背景因子について、論文レビューを行った。その結果、BD女性は、BD男性および一般集団の男女と比較して、腹部肥満の割合が高いことを報告した。性別に基づく多彩な要因が、BD女性の肥満を促進していたことも判明した。Bipolar Disorders誌2014年2月号の掲載報告。

HIV患者へのエファビレンツ、低用量でも/Lancet

 抗レトロウイルス未治療のHIV-1感染患者に対する、テノホビル+エムトリシタビン(商品名:ツルバダ)に加えたエファビレンツ(同:ストックリン)投与において、1日400mg(低用量)投与が600mg投与に対し非劣性であることが示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のRebekah L. Puls氏らENCORE1試験グループが、13ヵ国38ヵ所の医療機関を通じて行った二重盲無作為化比較試験の結果、報告した。エファビレンツに関連した有害事象の発生は標準用量のほうが頻度が高く、著者は「低用量エファビレンツがルーチン治療の一部として推奨されるべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年2月10日号掲載の報告より。

抗精神病薬非服用の統合失調症、認知療法で症状が軽減/Lancet

 抗精神病薬を服用していない統合失調症スペクトラム障害の患者に対し、標準治療に加えて認知療法を行うことで、短期~長期の症状軽減効果が認められることが示された。英国マンチェスター大学のAnthony P Morrison氏らが行った試験で明らかにした。薬物療法が統合失調症の第一選択療法であるものの、治療薬を服用しない選択をしたり、服用を中止してしまう患者が少なくないのが現状である。著者らは、抗精神病薬を服用しないことを選択した患者で認知療法が症状を軽減できるかについて明らかにするため、今回の検討を行った。Lancet誌オンライン版2014年2月6日号掲載の報告より。

農薬によるパーキンソン病発症リスクの高い遺伝子多型は

 環境毒物によるパーキンソン病発症機序を考えるうえで、アルデヒド脱水素酵素(以下ALDH)の阻害が、とくに遺伝的に脆弱な集団において重要であることが、米国・UCLAデイヴィッド・ゲフィン医科大学院のArthur G Fitzmaurice氏らによって明らかとなった。Fitzmaurice氏らは今回の結果から、パーキンソン病の発症率を減らす、もしくはその進行を遅らせるための潜在的な介入の可能性を示唆している。Neurology誌2014年2月4日号掲載の報告。

新規開発のEMA401、帯状疱疹後神経痛に有望/Lancet

 新規の神経障害性疼痛治療薬として開発中のアンジオテンシンIIタイプ2型受容体(AT2R)拮抗薬EMA401は、帯状疱疹後神経痛(PHN)の疼痛改善に有望であることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAndrew S C Rice氏らによる第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。1日2回100mgの経口投与による28日間の試験終了時点で、プラセボと比較してPHNの有意な緩和が認められ、忍容性も良好であった。PHNおよび一般的な神経障害性疼痛に対する既存治療は、効果がわずかで好ましくない副作用がある。AT2Rは、神経障害性疼痛の新しいターゲットで、EMA401はこのAT2Rに高い選択性を有するという。Lancet誌オンライン版2014年2月5日号掲載の報告より。

CHD死亡率、10年で約43%低下/BMJ

 英国・グラスゴー大学のJoel W Hotchkiss氏らは、2000~2010年のスコットランドにおける冠動脈性心疾患(CHD)死亡の傾向について分析した。その結果、同期間にCHD死亡は約半減(43%減)しており、背景要因として薬物療法の選択肢が増大したこと、その有益性をスコットランド国民保健サービス(NHS)が社会経済的階級を問わず公正に供給したことがあったと思われたことを報告した。一方で、血圧やその他リスク因子の低下による、かなりの寄与は、肥満や糖尿病の有害性で減弱していたことも判明した。著者は、「次の10年におけるCHD死亡減少と不公正性の解消を図るために、付加的な広域集団への介入を急がなければならない」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年2月6日号掲載の報告より。