日本語でわかる最新の海外医学論文|page:881

抗認知症薬の神経新生促進メカニズムに迫る:大阪大学

 大阪大学の喜多 祐紀氏らは、ガランタミンによる神経新生促進メカニズムについて、マウスを用いて検討した。その結果、ガランタミンはM1ムスカリン受容体およびα7ニコチン性アセチルコリン受容体を介して、神経新生を促進している可能性が示唆されたことを報告した。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2014年5月12日号の掲載報告。

患者とパートナーの仲は腰痛で変わる?

 慢性痛は患者と患者のパートナーとの関係性に、どのような影響を及ぼすのだろうか。英国・キール大学のArani Vivekanantham氏らによる慢性腰痛患者とそのパートナーを対象としたアンケート調査の結果、患者の痛みについて、患者のパートナーがとくにうつ病を有する場合に二人の関係性に質的な影響を及ぼす可能性があることが示唆された。

妊娠中のプロゲステロン低値 女児のアレルギー性気道疾患リスクを高める

 妊娠中のプロゲステロンの値が低いと、生まれた女児のアレルギー性気道疾患のリスクが高くなる可能性があることが、ドイツのハンブルク大学エッペンドルフメディカルセンターのIsabel R.V.Hartwig氏により報告された。Journal of Molecular Medicine誌オンライン版2014年6月3日号の掲載報告。

ACC/AHAの推奨クラスIのガイドライン項目、改訂後も維持は約8割/JAMA

 米国・ペンシルベニア大学のMark D. Neuman氏らは、米国心臓病学会/米国心臓協会(ACC/AHA)の臨床診療ガイドラインの推奨クラスIの項目について、改訂後も推奨度が変わらなかった項目は約8割であったことが明らかにされた。1998~2007年に発表され、2006~2013年に改訂された11本のガイドラインを調べた結果で、残り2割は、推奨クラスを下げたか項目が削除されていたものが約半々であったという。また、複数の無作為化試験による裏づけがなかった項目において、クラスを下げたり削除された項目が多かったことが明らかになった。これまで臨床診療ガイドラインの推奨項目の維持状況については、ほとんどわかっていなかった。JAMA誌2014年5月28日号掲載の報告より。

整形外科医は年間35件以上の手術を行う必要がある?/BMJ

 初回人工股関節全置換術(THA)を受けた患者コホートを分析した結果、手術経験が年間35件以下だった医師の手術を受けた患者の脱臼や再手術のリスクが、35件超の医師による手術の場合と比べて有意に増大していたことが、カナダ・トロント大学のBheeshma Ravi氏らによる検討の結果、明らかにされた。著者は、「合併症リスクを最小化するためにも年間35件の手術経験を課すことを検討すべきである」と述べている。また、このような整形外科医の経験値と合併症発生との関連の視覚化の手法は、どのような保険制度下にも適用でき、地方の保健医療当局にとって有用な情報となるであろうとまとめている。BMJ誌オンライン版2014年5月23日号掲載の報告より。

C型慢性肝炎に対するIFN-freeの治療法に関する検討 ―レディパスビル・ソホスブビル療法の期間短縮は可能か―(コメンテーター:中村 郁夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(211)より-

C型慢性肝炎のうち、1型高ウイルス量の患者に対する現在の標準治療はペグインターフェロン(PEG-IFN)・リバビリン・シメプレビル(第2世代Protease阻害薬)の3剤併用療法(24週)である。治療効果の向上、患者の負担軽減を目指した治療法として、IFN freeの経口薬併用療法の開発が進められている。HCVを減らす経口薬として、(1)NS3 Protease阻害薬、(2)NS5B Polymerase阻害薬(核酸型・非核酸型)、(3)NS5A阻害薬が挙げられる。このうち、核酸型のNS5B Polymerase阻害薬に属するソホスブビルは、耐性ウイルスの出現率が低いことが知られ、さらに、ソホスブビルとNS5A阻害薬であるレディパスビルの12週間の内服併用治療は、有効性が高く、副作用が低いことが報告されている。

機能性ディスペプシアの診療ガイドライン~プライマリケアでの対応も掲載

 今年4月の日本消化器病学会総会において、「機能性消化管疾患診療ガイドライン-機能性ディスペプシア(FD)」(日本消化器病学会編)が発表された。6月6日に開催されたメディアセミナー(ゼリア新薬工業・アステラス製薬共催)では、本ガイドラインのポイントや、国内で唯一FDに適応を持つアコファイド(一般名:アコチアミド)の有用性について、兵庫医科大学内科学消化管科 主任教授 三輪 洋人氏が講演した。

統合失調症治療に園芸療法は好影響をもたらすのか

 園芸療法は、習熟したセラピストまたは医療者による助けのもと、特別な治療目標の達成または単に健康改善のために、果物、野菜、花、木などを利用するプロセスである。同療法は認知、身体的、社会的、感情的およびレクリエーションなどにおけるベネフィットを期待して、治療またはリハビリテーションプログラムとして用いられており、身体的、心理的、精神的状態を改善させるとされている。

化学療法はがん患者の認知機能と脳活性を低下させるか

 がん化学療法後の認知機能障害は患者のQOLに悪影響を及ぼす。多くの横断的前向き試験が、神経心理学的ながん治療後の認知変化について述べている。しかしながら、決定的な知見はまだない。この試験は最新の神経学的イメージングシステムを用い、乳がん治療後の認知愁訴と脳活性度の変化の関連を検討している。ベルギーのルーヴェン・カトリック大学Sabine Deprez氏らの前向き比較試験。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年5月27日号の掲載報告。

イブルチニブ、治療抵抗性のメカニズムが明らかに/NEJM

 慢性リンパ性白血病(CLL)への有効性が認められているブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブ(国内未承認)について、米国・オハイオ州立大学のJennifer A. Woyach氏らにより治療抵抗性のメカニズムが明らかにされた。再発患者の血液検体を用いた遺伝子解析の結果、イブルチニブ結合が起きるシステイン残基に突然変異がみられる頻度が高かったという。NEJM誌オンライン版2014年5月28日号掲載の報告より。

心血管疾患高リスク患者への合剤治療、リスク因子の改善はわずか/BMJ

 プライマリ・ケアにおける心血管疾患リスクの高い患者の治療について、推奨されている抗血小板薬、スタチン、降圧薬すべてを組み合わせた固定用量配合剤の利用は、アドヒアランスを改善したが、血圧やコレステロールなどリスク因子の改善はわずかで統計的有意差はみられなかったことが報告された。ニュージーランド・オークランド大学のVanessa Selak氏らによる非盲検無作為化試験IMPACTの結果で、配合剤に対する受容性は一般医(GP)、患者ともに高かったが、一方で投与の中断率が高かったことも報告されている。BMJ誌オンライン版2014年5月27日号掲載の報告より。

双極性障害のミスマッチ陰性電位:九州大学

 九州大学の島野 聡美氏らは、双極性障害患者を対象とし、前注意の自動処理過程を反映すると考えられているミスマッチ陰性電位(MMN)の状況を健常対照と比較検討した。その結果、双極性障害患者では健常対照に比べMMNの減弱が認められ、前注意聴覚機能障害が周波数-MMNm反応の減弱として表れている可能性を示唆した。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年5月8日号の掲載報告。

健康的なライフスタイルで脳卒中発症が3分の2に

 独・ハイデルベルク大学のKaja Tikk氏らは、欧州の前向き研究であるがん栄養調査(EPIC)のハイデルベルクコホートを分析し、ライフスタイルでの脳卒中の主な危険因子について、中年男女における一次予防の可能性を評価した。その結果、過体重、喫煙、多量飲酒、不健康な食事、運動不足を避けることが脳卒中の強力な一次予防になる可能性が確認された。Stroke誌オンライン版2014年5月29日号に掲載。

高齢者において腰椎変性疾患の手術は禁忌ではない

 腰椎変性疾患は整形外科医が日常診療において最もよく直面する疾患で、手術を必要とする患者も少なくない。スペイン・Hospital del Mar のDaniel Perez-Prieto氏らの調査によれば、腰椎変性疾患の手術を受けた患者のQOLや満足度は、高齢者でも非高齢者と同様の改善が得られており、とくに機能障害の改善が高齢者で大きいことが判明した。

がん患者のうつ病を簡単にスクリーニングするには

 がん患者ではうつ病を併発することも少なくない。診療ガイドラインでは、がん患者のうつ病に対する認識の改善や迅速かつ適切な管理のために、体系的なスクリーニングを推奨している。台湾・E-Da HospitalのChun-Hsien Tu氏らは、構造化されたツールを使用して、がん入院患者のうつ病をスクリーニングし、その適用性を探索した。Psycho-oncology誌オンライン版2014年5月6日号の報告。

肥満の有病率は世界的に増加している/Lancet

 1980~2013年の33年間に、世界の過体重、肥満の有病率は、先進国/開発途上国、年齢、性別を問わず実質的に増加していることが、米国・ワシントン大学のMarie Ng氏らの調査で明らかとなった。2010年には、世界的に340万人が過体重または肥満で死亡したと推定され、これは損失生存年数の3.9%、障害調整生存年数(DALY)の3.8%に相当するという。公衆衛生学的な影響を定量し、医療活動の優先順位を決定するには、肥満の程度や傾向に関する比較可能な最新の情報が必要となる。Lancet誌オンライン版2014年5月29日号掲載の報告。