日本語でわかる最新の海外医学論文|page:884

ドナーの年齢や性別の不一致は予後に影響する?HCV感染/非感染者への肝移植

 C型肝炎ウイルス(HCV)感染者への肝移植は、50歳以上のドナーからの移植を回避することで、予後を向上させる可能性があることが、ポーランド・ワルシャワ医科大学のMichal Grat氏らの報告により明らかになった。一方、ドナーとレシピエントの性別の一致/不一致で予後が左右されることはなかった。Annals of transplantation誌2013年12月23日号の報告。

BPSD治療にベンゾジアゼピン系薬物治療は支持されるか

 米国・テキサス大学サンアントニオ校のRajesh R. Tampi氏らは、認知症の行動・心理症状(BPSD)に対するベンゾジアゼピン系薬物治療の有効性と忍容性に関する、無作為化試験のシステマティックレビューを行った。その結果、現状の入手できたデータは、限定的ではあるが、BPSDへのベンゾジアゼピン系薬物治療をルーチンに行うことを支持しないものであったことを報告した。ただし特定の状況では使用される可能性があることも示唆されている。American Journal of Alzheimer's Disease and Other Dementias誌オンライン版2014年3月6日号の掲載報告。

乳がん術後リンパ節転移への放射線療法、効果が明確に/Lancet

 乳房切除術および腋窩郭清後の放射線療法の効果について、1~3個のリンパ節転移があり全身治療が行われた場合でも、再発率、乳がん死亡率を低下することが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のEarly Breast Cancer Trialists 共同研究グループ(EBCTCG)が22試験、8,135例の患者データをメタ解析し報告した。先行研究のメタ解析で、乳がん切除後の放射線療法は、リンパ節転移が認められる全女性について、再発および乳がん死亡の両リスクを低下することが示されていた。しかし、転移が1~3個と少ない患者におけるベネフィットは不明であり、本検討は、それらの患者の放射線治療の効果について評価することが目的であった。Lancet誌オンライン版2014年3月19日号掲載の報告より。

高齢者の肺塞栓症除外には年齢補正Dダイマー値が有用/JAMA

 血漿Dダイマー値を用いた急性肺塞栓症(PE)患者の除外診断について、固定指標値500μg/Lをカットオフ値として用いるよりも、年齢補正Dダイマー値を用いたほうが有用であることが、スイス・ジュネーヴ大学病院のMarc Righini氏らによる多施設共同前向き試験ADJUSTの結果、示された。Dダイマー測定は、PEが臨床的に疑われる患者において重要な診断戦略として位置づけられている。しかし、高齢者の診断ではその有用性が限定的で、年齢補正の必要性が提言されていた。JAMA誌2014年3月19日号掲載の報告より。

急性心筋梗塞後にも心房細動患者にはCKDのステージに関わらずワルファリンを投与すべき!でも、日本でも同じ?(コメンテーター:平山 篤志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(190)より-

 ワルファリンは、心房細動患者で心原性脳梗塞や全身性塞栓症を予防するには有効な薬剤で、出血のリスクはあっても、Net Clinical Benefitの点からCHADS2 Scoreを考慮して使用すべきとされている。しかし、CKDのステージが進行するにつれ出血のリスクが増加することから、ワルファリン投与についてはControversialであった。

術後患者の生存率は看護師の人数と学歴で改善できる(コメンテーター:中澤 達 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(189)より-

 コストカット目的での看護師減員は患者アウトカムに悪影響をもたらす一方で、学士号取得の看護師配置を手厚くすると院内死亡は減少するという研究報告が発表された。本検討は、病院運営上最も大きなコスト要素の1つである、看護師に関する意思決定を目的としたRN4CAST研究である。RN4CASTには12ヵ国が参加しているが、今回の検討では、同様の患者退院データを有する9ヵ国(ベルギー、英国、フィンランド、アイルランド、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス)300病院における、2009~2010年のデータより解析が行われた。

抗うつ薬が奏効しないうつ病患者への抗精神病薬追加投与は本当に有効か

 抗うつ薬による治療後に症状が悪化した患者に対するうつ病治療(抗精神病薬による補助療法を含む)の有効性は十分に検討されていない。米国・カリフォルニア大学のJ Craig Nelson氏らは、抗うつ薬による治療で効果不十分であった大うつ病性障害患者に対するアリピプラゾール補助療法の有効性、安全性、忍容性を検討した。CNS spectrums誌オンライン版2014年3月18日号の報告。

ヒトライノウイルス感染後の細菌感染、繰り返すCOPD増悪の原因に

 ヒトライノウイルス(HRV)感染後は、二次性細菌感染を起こすことがよくあり、これがCOPD増悪の再発の機序と考えられ、新たな治療に向けた潜在的なターゲットとなりうることが、ロンドン大学のSiobhan Nicole George氏らによって報告された。The European Respiratory Journal誌オンライン版2014年3月13日の掲載報告。  HRV感染はCOPD増悪の重要なトリガーであるが、増悪の自然史において、その頻度を決定づけるHRVのフェノタイプや感染後の経過についてはあまり知られていない。HRV(388サンプル)と肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス(89サンプル)の両方に関して、77例の患者からの喀痰サンプルをリアルタイム定量PCRによって分析した。増悪の定義は、日誌で呼吸器症状の悪化が認められた場合とした。

米成人の半数がスタチン治療を受ける時代に?/NEJM

 米国心臓病学会および米国心臓協会(ACC/AHA)は昨年11月、関連するガイドラインを改訂したが、デューク大学臨床研究所のMichael J. Pencina氏らは、その影響について調べた。結果、スタチン治療が適格となる患者が1,280万人増大し、米国成人(40~75歳)の約半数(48.6%)5,600万人がスタチン治療対象者となることが推算されたという。増大者のうち大半は心血管疾患を有さない高齢者であった。NEJM誌オンライン版2014年3月19日号掲載の報告より。

重症敗血症、アルブミンを投与しても死亡率変わらず/NEJM

 重症敗血症または敗血症性ショックの患者に対し、晶質液に加えてアルブミンを投与しても、晶質液単独投与と比較して28日、90日の生存率は改善しなかったことが示された。イタリア・ミラノ大学のPietro Caironi氏らが、1,818例対象の多施設共同非盲検無作為化試験ALBIOSの結果、報告した。先行研究において、重症敗血症に対するアルブミン投与のベネフィットが示唆されたが、有効性については十分には確立されていなかった。NEJM誌オンライン版2014年3月18日号掲載の報告より。

子供はよく遊ばせておいたほうがよい

 小児および思春期の身体活動パターンと将来のうつ病との関連はほとんど知られていない。オーストラリア・Menzies Research Institute TasmaniaのCharlotte McKercher氏らは、小児期から成人期における余暇の身体活動パターンと青年期うつ病リスクとの関連についてナショナルサーベイ被験者を対象に検討した。その結果、小児期に不活発であった群に比べ、活動的であった群では青年期にうつ病を発症するリスクが少ないことを報告した。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2014年3月14日号の掲載報告。

握力強い中高年は心血管・呼吸器疾患の死亡リスク低い~久山町研究

 高齢者では握力減少が全死因死亡の危険因子であることが報告されているが、中年期の握力と一般集団での全死亡および死因別死亡リスクとの関連は不明である。九州大学の岸本 裕歩氏らは、久山町研究において40歳以上の一般集団の日本人における握力の強さが全死亡および死因別死亡に与える影響を検討した。その結果、中年期以降における握力の強さは、全死亡およびがん以外の原因疾患(心血管疾患、呼吸器疾患など)による死亡リスクと逆相関していることが示唆された。Journal of epidemiology and community health誌オンライン版2014年3月12日号に掲載。

パーキンソン病患者の骨の状態は?―系統的レビューとメタ解析結果より―

パーキンソン病患者は健常者と比較して、骨粗鬆症および骨量減少ともにリスクが高く、とくに男性よりも女性でリスクが高いことが、英・West Middlesex病院のKelli M Torsney氏らによって明らかとなった。著者らはまた、パーキンソン病の患者では骨密度(BMD)も低く、骨折リスクが高まっていると示している。Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry誌オンライン版2014年3月11日号掲載の報告。

妊婦の禁煙にニコチンパッチは有効か?/BMJ

 ヘビースモーカーの妊婦に対するニコチンパッチを用いた禁煙補助療法は、禁煙率の達成および出生児の体重増のいずれにも寄与しなかったことが報告された。フランス・パリ第6大学(ピエール・エ・マリー・キュリー)のIvan Berlin氏らが402例を対象に行った多施設共同無作為化プラセボ対照試験の結果、判明した。ガイドラインでは、ニコチン置換療法(NTR)の一般集団に対する優れた安全性と有効性を踏まえて、妊婦の喫煙者への禁煙介入にNTRを追加することを提案している。しかし、そのエビデンスとして確定的なものは示されていなかった。BMJ誌オンライン版2014年3月11日号掲載の報告より。

ピアレビュー論文、Wiki引用が増加/BMJ

 健康科学系のピアレビュー論文でも、Wikipedia(ウィキペディア、以下Wiki)からの引用が増加していることが明らかにされた。定義に関する引用は31.6%、解説に関する引用は23.5%であったという。カナダ・オタワ大学のM Dylan Bould氏らが2011年に発表された1,008誌1,433論文を調べ報告した。Wikiからの引用については、同サイト発足時から議論の的となっており、近年その引用が増加傾向にあることが指摘されていた。先行研究では、Wikiの内容と妥当性に関する検討は行われていたが、健康科学系論文でWikiがどのように利用されているかについてエビデンスは示されていなかった。BMJ誌オンライン版2014年3月6日号掲載の報告より。