日本語でわかる最新の海外医学論文|page:883

安全性情報(2014年6月3日改訂指示分)

2014年6月3日改訂指示分 【成分名】 ・アラセプリル ・イミダプリル塩酸塩 ・エナラプリルマレイン酸塩 ・カプトプリル ・キナプリル塩酸塩 ・シラザプリル水和物 ・テモカプリル塩酸塩 ・デラプリル塩酸塩 ・トランドラプリル ・ベナゼプリル塩酸塩 ・ペリンドプリルエルブミン ・リシノプリル水和物 ・アジルサルタン ・イルベサルタン ・オルメサルタンメドキソミル ・カンデサルタンシレキセチル ・テルミサルタン ・バルサルタン ・ロサルタンカリウム ・アジルサルタン・アムロジピンベシル酸塩 ・イルベサルタン・アムロジピンベシル酸塩 ・イルベサルタン・トリクロルメチアジド ・オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピン ・カンデサルタンシレキセチル・アムロジピンベシル酸塩 ・カンデサルタンシレキセチル・ヒドロクロロチアジド ・テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩 ・テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド ・バルサルタン・アムロジピンベシル酸塩 ・バルサルタン・シルニジピン ・バルサルタン・ヒドロクロロチアジド ・ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド ・ロサルタンカリウム ・ロスバスタチンカルシウム ・イミダフェナシン ・フィルグラスチム(遺伝子組換え)[バイオ後続品を含む] ・レノグラスチム(遺伝子組換え) ・ナルトグラスチム(遺伝子組換え)

喘息患者へのビタミンD3、治療失敗や増悪を改善しない/JAMA

 成人喘息患者に対するビタミンD3の投与は、ステップ1の吸入ステロイド薬治療の失敗や増悪を改善しなかったことが、米国・ワシントン大学のMario Castro氏らが行った無作為化試験VIDAの結果、示された。著者は「症候性の喘息患者に対するビタミンD3投与の治療戦略について、裏づけは得られなかった」とまとめている。喘息などの疾患において、ビタミンD不足と有害転帰との関連が示唆されている。しかし、経口ビタミンD3の摂取により、吸入ステロイド薬治療を受けているビタミンD不足の喘息患者のアウトカムが改善するかについては、明らかではなかった。JAMA誌2014年5月28日号掲載の報告より。

抗TSLP抗体薬、アレルゲン誘発性喘息に有望/NEJM

 新規開発中の喘息治療薬AMG157について、軽症アレルギー性喘息患者に対する、抗アレルゲン誘発性喘息反応が確認された。カナダ・マックマスター大学のGail M. Gauvreau氏らが実証検証試験として行った二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。AMG157は、アレルギー性炎症にかかわる重大なサイトカインである胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)に結合し、受容体との相互作用を妨げる抗ヒトTSLPモノクローナル免疫グロブリンG2λとして開発中である。今回の結果について著者は「アレルギー性喘息患者における、アレルゲン誘発性の気道反応および持続性気道炎症に、TSLPが重要な役割を果たしていることが確認された。抗TSLP抗体薬が臨床的価値を有するかは確認できなかったが、所見は、さらなる検討を行い、喘息コントロール不良の患者へのAMG157の作用機序と有益性調査の実施を支持するものである」とまとめている。NEJM誌2014年5月29日号(オンライン版2014年5月20日号)掲載の報告より。

徴候と症状と心不全の入院歴でHFpEFは定義できない―ナトリウム利尿ペプチド上昇で定義したHFpEFにはスピロノラクトンが有効である可能性(コメンテーター:原田 和昌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(207)より-

左室駆出率が保持された症候性心不全(HFpEF)の有効な治療薬はまだない。抗アルドステロン薬のスピロノラクトンは、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者の予後を改善することからガイドラインで推奨されている。

マグネシウム摂取と脳内NMDA受容体の関与が明らかに

 これまで、うつ病の一因としてマグネシウム(Mg2+)の1日摂取量の減少が示唆されており、前臨床試験において食事性マグネシウム摂取の制限(MgR)により、うつ病様行動を増強させることが実証されていた。オーストリア・ウィーン大学医学部のMaryam Ghafari氏らは、マウス実験の結果、MgRは脳内のGluN1を含むNMDA受容体複合体を変化させることを報告した。Brain Structure and Function誌オンライン版2014年5月8日号の掲載報告。

【ご案内】NPO法人「ヘルスケアリーダーシップ研究会」が2014年度メンバーを募集

 NPO法人「ヘルスケアリーダーシップ研究会(IHL)」は、医療・ヘルスケアの未来を変革しようとする志を持つ、医師・看護師、介護従事者、IT・製薬企業、官僚などを対象とした1年間のリーダーシップ醸成プログラムである。各界のヘルスケア分野に携わる人たちが、選りすぐりの著名講師や仲間たちとリーダーシップを磨く、学びと研鑽の場である同研究会では、このたび2014年度の新規メンバーの募集を6月1日に開始した。

緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究

 高齢者における認知症や軽度認知障害(MCI)の発症に、緑茶・コーヒー・紅茶の摂取が影響を与えるのか――。金沢大学神経内科の山田正仁氏、篠原もえ子氏らの研究グループは、石川県七尾市中島町での「なかじまプロジェクト」において、60歳超の地域住民の集団ベースによる前向き研究を実施した。その結果、緑茶をまったく飲まない群と比べて、緑茶を週に1~6回飲む群では約5年後の認知機能低下リスクが約1/2に、緑茶を毎日1杯以上飲む群では約1/3に減少した。一方、コーヒーや紅茶ではこのような認知機能低下との関連はみられなかった。PLoS One誌2014年5月14日号の掲載報告。

肺腺がんの分子標的薬選択に多重アッセイ法が有用か/JAMA

 腫瘍形成ドライバー(がん化と増殖に関わる遺伝子変異)をターゲットとする治療薬(分子標的薬)の開発は、肺腺がん患者の治療を変貌させたといわれる。米国・スローンケタリング記念がんセンターのMark G. Kris氏らLung Cancer Mutation Consortiumは、試験担当医が適切に標的治療薬を選択でき、患者を臨床試験に登録できるよう、肺がんの腫瘍形成ドライバーの10遺伝子について検査する多重アッセイを用いて検討した。その結果、検討した肺腺がん患者の64%でターゲットとなるドライバーが検出され、医師が治療法を選択するうえで多重アッセイ法が有用であることが示されたという。JAMA誌2014年5月21日号掲載の報告より。

手術の有効性評価試験でプラセボ群は設定すべきか/BMJ

 英国・オックスフォード大学のKarolina Wartolowska氏らはシステマティックレビューによる検討の結果、外科手術手技の有効性をプラセボ対照の試験で検討することは、効果的であり、実施可能であることを報告した。プラセボに関連した有害事象リスクはわずかであり、解析に組み込んだ53試験の約半分で、検討した手技の継続的使用を指示するエビデンスが提供されていたという。著者は、「プラセボ設定試験デザインを改善しなくても問題はない」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年5月21日号掲載の報告より。

若年発症統合失調症、脳の発達障害が明らかに

 10代の若年発症統合失調症患者では、神経学的ソフトサイン(neurological soft signs:NSS)の有病率およびスコアが高いことが明らかとなった。NSSは、中枢神経系の特定領域を限定せず、また特定の神経症症候群にも属さないわずかな脳の発達障害を示すサインである。一般的に統合失調症のような疾患症例で観察され、とくに18歳未満の若年発症における脳発達モデルの裏付けとなる。実際にNSSは、統合失調症患者における臨床的、認知的、電気生理学的および脳の障害を反映する神経解剖学的なマーカーに属しているという。検討を行ったチュニジア・Razi病院のS. Bourgou Gaha氏らは、「それらは脳の構造的な異常を示すもので、脳の発達障害に帰結し、脳の発達障害に関する病理学的な仮説を裏付けるものである」と述べている。Encephale誌オンライン版2014年5月19日号の掲載報告。

進行非小細胞肺がんの2次・3次治療におけるエルロチニブとドセタキセルの比較

 既治療のEGFR変異不特定の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者における、エルロチニブとドセタキセルの有効性を評価したDELTA試験の結果が、国立病院機構近畿中央胸部疾患センターの川口 知哉氏らにより報告された。同試験は、国内で行われた第III相無作為化試験である。Journal of Clinical Oncology誌 2014年5月19日号の掲載報告。

成人喘息増悪予防、ICS/LABA戦略が有効かつ安全/BMJ

 喘息増悪の予防において、低用量吸入ステロイド薬+長時間作動型β2刺激薬(ICS/LABA)治療戦略が最も有効で安全であることが、オランダ・アムステルダム大学のRik J B Loymans氏によるネットワークメタ解析の結果、報告された。解析では若干の不均一性はみられたが、ICS/LABA維持療法+リリーバー、もしくは固定用量/日のICS/LABA療法の2つが同程度に有効かつ安全であることが示された。結果を踏まえて著者は、「低用量吸入ステロイド薬では不十分な場合、これら2つの戦略の選択が好ましく、ステップアップ治療の根拠となりうる」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年5月13日号掲載の報告。

メタボリックシンドロームに関与する遺伝子を特定/NEJM

 米国・イェール大学医学大学院のAli R. Keramati氏らは、メタボリックシンドロームの遺伝形質と関連する遺伝子を特定したことを発表した。これまでも遺伝子解析により、個別の心血管リスク因子に関して、原因となる突然変異遺伝子の特定には成功していた。しかし、メタボリックシンドロームのような心血管リスクの遺伝形質が集約した感受性遺伝子のマッピングは限定的なものであったという。NEJM誌2014年5月15日号掲載の報告。

統合失調症への抗精神病薬、第一世代vs. 第二世代の注射製剤の効果は

 長時間作用型注射製剤の抗精神病薬は、幅広い統合失調症疾患群で薬物治療のアドヒアランスおよび再発の低下を目的に用いられている。しかし、第二世代と第一世代の抗精神病薬について、長時間作用型注射製剤に関する相対的な有効性の評価は行われていなかった。米国ジョージア・リージェンツ大学のJoseph P. McEvoy氏らは、統合失調症または統合失調感情障害の成人患者を対象に、第二世代のパリペリドンパルミチン酸と第一世代のハロペリドールデカン酸の有効性を比較する多地域二重盲検無作為化試験を行った。その結果、パリペリドンパルミチン酸治療は、ハロペリドールデカン酸治療と比べて、治療不成功について統計的有意差は示されなかったことが明らかにされた。一方で、体重増加や血清プロラクチン値上昇との関連が認められたが、アカシジアとの関連はハロペリドールデカン酸でみられた。著者は、「それでも信頼区間(CI)値から、パリペリドンパルミチン酸には臨床上の有効性のアドバンテージがある可能性は排除できない」と述べている。JAMA誌2014年5月21日号の掲載報告。

ネットを介したポジティブ活動介入でも疼痛を緩和できるか

 先行研究において、ポジティブな状態になると疼痛が軽減し、疼痛への耐性が高まることが、実験的な研究において明らかになっている。米国・ピッツバーグ大学のLeslie R.M. Hausmann氏らは今回、日常生活においてポジティブな活動を行うことが実際に疼痛を軽減させるかについて、オンラインを利用した介入研究を行った。

HIV-1感染患者にイソニアジド予防投与は有効/Lancet

 抗レトロウイルス療法を受けているHIV-1感染患者へのイソニアジド(商品名:イスコチンほか)投与は、結核1次予防に有効であることが、南アフリカ共和国・ケープタウン大学のMolebogeng X Rangaka氏らが行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。結果を踏まえて著者は、「発生リスクの高い地域では、抗レトロウイルス療法を受けている患者全員に、イソニアジド接種を推奨すべきである」と提言している。Lancet誌オンライン版2014年5月14日号掲載の報告より。