日本語でわかる最新の海外医学論文|page:876

統合失調症治療、家族への介入に効果はあるか

 支援的でポジティブな家族がいることは、統合失調症患者のアウトカムを改善する。一方で、家族が批判的で敵対的あるいは関与が過剰な場合は、アウトカムが不良で再発頻度が高いことが示唆されている。そこで現在、ポジティブ環境を広め、家族間の感情レベルを低減するようデザインされた心理社会的介入が、広く導入されるようになっている。英国・ノッティンガム大学のUzuazomaro Okpokoro氏らは、統合失調症もしくは統合失調症様障害患者の短期的家族介入の効果を評価することを目的にレビューを行った。Cochrane Database Systematic Reviews誌オンライン版2014年3月5日号の掲載報告。

血圧長期変動性よりも若年時の血圧が、冠状動脈石灰化スコアに影響を及ぼすことが明らかになる(コメンテーター:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(186)より-

 高血圧のもつリスクは、大きく二種類に分けることができる。固有の血圧値に由来するリスクと、変動する血圧値に由来するリスクの2つである。近年、ABPMや家庭血圧計の普及により、高血圧治療の質を高めるために、日内変動や、日間変動といった血圧変動を評価することが勧められている。

躁病の早期発見・予防は可能となるか

 米国ジャッカー・ヒルサイド病院のChristoph U Correll氏らは、10代後半の思春期躁病の前駆症状について系統的評価を行った。その結果、思春期に双極I型障害(BD-I)を呈した人では、比較的長期にわたり閾値下の躁病や抑うつ的精神病理学的症状を含む、遅発の躁病前駆症状が一般的にみられることを報告した。著者は、「これらの所見は、双極性障害における早期診断と介入が可能であることを示唆するものである」として、躁病発症直前の臨床症状と関連する生物学的マーカーを特定することが、躁病が完全に発症する前の早期の検出および予防の機会を増すことに結びつく可能性があると報告している。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年3月5日号の掲載報告。

アトピー性皮膚炎、自家血療法の効果に迫る

 先行研究において、アトピー性皮膚炎(AD)患者における自家血療法(ABT)の臨床的有効性が無作為化二重盲検プラセボ対照試験によって示されているが、韓国・亜洲大学校のSu-Mi Cho 氏らによる検討の結果、同効果をもたらしている血液成分は、高分子量の血漿蛋白分画に存在する可能性が示唆された。

気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ

 気道感染症に対する抗菌薬治療では、即時的処方に比べ待機的処方で抗菌薬服用率が顕著に低いが、症状の重症度や持続期間に差はないことが、英国・サウサンプトン大学のPaul Little氏らの検討で示された。同国のプライマリ・ケアでは、気道感染症の治療の際、抗菌薬の不必要な使用を抑制するために非処方または待機的処方という戦略が一般に行われている。一方、文献の系統的レビューでは、待機的処方は即時的処方に比べ症状の管理が不良であり、非処方よりも抗菌薬の服用率が増加する可能性が示唆されている。待機的処方には、服用に関する指示書を付して処方薬を渡したり、再受診時に渡すなどいくつかの方法があるが、これらの戦略を直接に比較した試験は、これまでなかったという。BMJ誌オンライン版2014年3月5日号掲載の報告。

早期前立腺がん、根治切除の長期生存ベネフィットが判明/NEJM

 根治的前立腺切除術は、前立腺がん患者の長期的な生存を実質的に改善することが、スウェーデン・ウプサラ大学のAnna Bill-Axelson氏らが進めるScandinavian Prostate Cancer Group Study Number 4(SPCG-4)の最長23年以上に及ぶ追跡調査で確認された。SPCG-4は前立腺特異抗原(PSA)の臨床導入以前に診断された患者を対象とし、すでに15年のフォローアップにおける根治的前立腺切除術の生存ベネフィットが示されている。一方、PSA検査導入初期に行われたProstate Cancer Intervention versus Observation Trial(PIVOT)では、手術による12年後の全死亡、前立腺がん死の改善効果は得られておらず、PSA検診の影響の大きさが示唆されている。NEJM誌2014年3月6日号掲載の報告。

中国で初めて報告された鳥インフルエンザA(H10N8)のヒト感染例―既報のトリ由来H10N8とは異なるタイプと判明―(コメンテーター:吉田 敦 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(185)より-

 鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染し、重症となるケースがあとを絶たない。A型のH5N1やH7N9がその代表であり、H7N9は2014年1月27日までに既に中国で250例が報告され、うち70例が死亡している。一方H10N8は、これまで北米、欧州、アジア、オーストラリアなど広い範囲で主にカモから分離されていたものの、ヒトへの感染例はなかった。しかしながら2013年11月、中国江西省南昌市で最初の感染例が報告された。さらに患者から分離されたH10N8は既報の鳥由来ウイルスとは異なる、新たな再集合体であることが判明した。

認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット

 多くの認知症患者において精神症状や抑うつを含むBPSDがみられる。抗精神病薬が適応外使用でしばしば処方されているが、それらは著明な副作用を発現しうる。さらに、抗精神病薬の薬効を比較した前臨床試験はきわめて少なく、新規薬物療法の開発は遅れていた。ポーランド・Adamed社のMarcin Kolaczkowski氏らは、認知症患者にみられるBPSDに対して処方される抗精神病薬の有用性を検討するため、ラットを用いて抗精神病薬8剤の抗うつ活性および認知障害を検討した。Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology誌オンライン版2014年3月6日号の掲載報告。

糖尿病による脳卒中リスクに男女差はあるか?/Lancet

 脳卒中のリスク因子としての糖尿病について、性差による違いがあるかどうかを調べた結果、男性よりも女性のほうが受ける影響が強いことが明らかになった。オランダ・ユトレヒト大学のSanne A E Peters氏らがシステマティックレビューとメタ解析にて、被験者77万5,385例、うち脳卒中1万2,539例を含む64コホートを分析し報告した。糖尿病は脳卒中の強力なリスク因子であるが、これまで性差により違いがあるのかについては検討されていなかった。Lancet誌オンライン版2014年3月7日号掲載の報告より。

どのCKDステージにおいてもワルファリンは有用/JAMA

 慢性腎臓病(CKD)で急性心筋梗塞後に心房細動を呈した患者へのワルファリン治療は、CKDの重症度にかかわらず、出血リスクを高めることなく転帰を改善することが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のJuan Jesus Carrero氏らによる2万4,317例を対象とした多施設共同前向き観察試験の結果、示された。ワルファリン非使用群と比べた1年時点の複合アウトカム(死亡・心筋梗塞・虚血性脳卒中)ハザード比(HR)は0.57~0.87であり、出血リスクのHRは0.52~1.10だった。これまで、CKDが進行した心房細動患者に対する、ワルファリン治療と死亡・虚血性脳卒中発生との関連については、相反するエビデンスが報告されていた。JAMA誌2014年3月5日号掲載の報告より。