肺炎入院歴は心血管疾患のリスク因子/JAMA

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 肺炎による入院歴がある集団では、これがない集団に比べ心血管疾患(CVD)の発症率が、短期的および長期的にも高いことが、カナダ・オタワ大学のVicente F. Corrales-Medina氏らの検討で示された。65歳以上では、30日発症率が約4倍に達し、その後10年まで有意なリスクの増大がみられ、65歳未満でも2年目まで有意なリスク上昇が確認された。CVDの至適な予防戦略を確立するには、リスク因子の特性化が重要であり、感染症はCVDの短期的、長期的なリスク因子である可能性が指摘されている。JAMA誌2015年1月20日号掲載の報告。

2つのコホート研究から肺炎のCVDリスクを評価
 研究グループは、肺炎による入院と、CVDの短期的、長期的リスクの関連を検討するマッチ化コホート試験(matched-cohort study)を実施した(国立心肺血液研究所[NHLBI]、国立神経疾患・脳卒中研究所[NINDS]、国立老化研究所[NIA]の助成による)。

 Cardiovascular Health Study(CHS、5,888例、登録時年齢65歳以上、登録期間1989~1994年)と、Atherosclerosis Risk in Communities study(ARIC、1万5,792例、登録時年齢45~64歳、登録期間1987~1989年)の、2つの地域住民ベースの多施設共同観察的コホート研究のデータを使用した。フォローアップは2010年12月31日まで行われた。

 個々の研究の参加者のうち肺炎で入院した患者を選出し、それぞれの研究の対照群と背景因子をマッチさせた。マッチング後10年間、肺炎群と対照群におけるCVDの発症状況を追跡した。人口統計学的因子、CVDのリスク因子、潜在性CVD、併存疾患、身体機能状態などで補正したハザード比(HR)を推算した。CVD(心筋梗塞、脳卒中、致死性の冠動脈心疾患)の発症を主要評価項目とした。

30日発症率がCHSで約4倍、ARICでも2倍以上に
 CHSの1,773例[肺炎群:591例(平均年齢73.9歳、女性57.8%)、対照群:1,182例(72.6歳、65.8%)]、ARICの2,040例[680例(55.8歳、53.8%)、1,360例(55.4歳、56.8%)]が解析の対象となった。

 CHSの肺炎群591例のうち、入院から10年の間に206例(34.85%)がCVDを発症した[心筋梗塞104例(50.5%)、脳卒中35例(17.0%)、致死性冠動脈心疾患67例(32.5%)]。対照群と比較した肺炎群のCVDリスクは、入院後1年までが最も高く(0~30日:HR 4.07、95%信頼区間[CI]:2.86~5.27/31~90日:2.94、2.18~3.70/91日~1年:2.10、1.59~2.60)、その後10年にわたり有意に高い状況が持続した(9~10年:1.86、1.18~2.55)。

 ARICでは、肺炎群の680例のうち入院後10年間で112例(16.5%)がCVDを発症した(心筋梗塞:33例[29.5%]、脳卒中36例[32.1%]、致死性冠動脈心疾患:43例[38.4%])。2年目までは、対照群に比べ肺炎群でCVDリスクが有意に高い状態が続いた(0~30日:HR 2.38、95%CI:1.12~3.63/31~90日:2.40、1.23~3.47/91日~1年:2.19、1.20~3.19/1~2年:1.88、1.10~2.66)が、2年以降は有意な差はなくなった(9~10年:1.54、0.74~2.34)。

 著者は、「肺炎による入院は短期的および長期的にCVDリスクを増大させており、肺炎はCVDのリスク因子である」と結論している。感染がCVDリスクを増大させる機序については、短期的なメカニズムに関する議論はいくつかあるが、長期的メカニズムはほとんどわかっていないという。

(菅野守:医学ライター)

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コメンテーター : 島田 俊夫( しまだ としお ) 氏

地方独立行政法人静岡県立病院機構 静岡県立総合病院 臨床医学研究センター(臨床研究部)部長

J-CLEAR評議員

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