日本語でわかる最新の海外医学論文|page:853

ダーモスコピーによる黒色腫の診断感度、最も高いのは?

 トルコ・Zekai Tahir Burak Women's Health教育研究病院のEzgi Unlu氏らが、ABCDルール、7ポイントチェックリスト、3ポイントチェックリスト、CASHアルゴリズムによる診断感度と特異度、診断精度を比較して報告した。ダーモスコピーの診断アルゴリズムを比較した検討は今回初めて行われたという。

百日咳ブースターワクチン、思春期接種も必要?/BMJ

 英国では2001年に、就学前の百日咳ブースターワクチン接種が導入され、導入前には長引く咳でプライマリ・ケアを受診した学齢児の37%で、百日咳が見つかっていた。しかし導入後もいまだに5人に1人(20%)の割合で百日咳が見つかることが、オックスフォード大学Kay Wang氏らによる5~15歳児を対象とした前向きコホート研究の結果、明らかにされた。著者は、「ワクチン接種を完了した小児においても臨床的に重大な咳が起きる可能性が示された」と述べ、「今回の結果は、思春期における百日咳ブースターワクチン接種の必要性を考えるべきであることを知らしめるものとなるだろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年6月24日号掲載の報告より。

安定冠動脈疾患、CABGが薬物療法より予後改善/BMJ

 安定冠動脈疾患患者に対し冠動脈バイパス術(CABG)は薬物療法と比較して、死亡、心筋梗塞および再血行再建術リスクを低下することが、ネットワークメタ解析の結果、明らかにされた。スイス・ベルン大学病院のStephan Windecker氏らが行った検討によるもの。そしてCABGに次いでステントベースの冠動脈再建術が、種類を問わず薬物療法と比べて血行再建術の必要性を低下したことも示された。ステント術の中では新世代の薬剤溶出ステントの低下が顕著で、著者は、「薬物療法戦略と比較してCABGと新世代の薬剤溶出ステントに、生存改善のエビデンスがあることが示された」とまとめている。BMJ誌オンライン版2104年6月23日号掲載の報告より。

大腸がん肝転移切除患者の予後予測バイオマーカー

 大腸がん肝転移の根治的切除により長期的ベネフィットがもたらされる患者の割合は40%以下である。そのため、臨床管理を改善し、無意味な手術を減らすために、予後予測バイオマーカーが必要となる。上皮成長因子受容体(EGFR)およびプロスタグランジンエンドペルオキシド合成酵素2(PTGS2)の発現が、発がんおよび生存期間と関連したことから、オランダ・VU大学医療センターのJ A C M Goos氏ら(the DeCoDe PET group)は、大腸がん肝転移切除後の患者におけるEGFRとPTGS2発現の予後予測的価値を調べた。その結果、これらの発現は、切除可能な大腸がん肝転移患者における予後予測分子バイオマーカーであることが示唆された。British Journal of Cancer誌オンライン版2014年7月1日号に掲載。

うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに

 これまで、うつ病と殺虫剤曝露が関連する可能性は指摘されていたが、うつ病エピソードの経過または殺虫剤個々についての検討はほとんど行われていなかった。米国・ノースカロライナ大学のJohn D Beard氏らは、Agricultural Health Studyに登録された殺虫剤を個人で散布した男性のデータを解析し、殺虫剤の曝露とうつ病との関連を調べた。その結果、2系統(燻蒸剤・有機塩素系)、7種類(リン化アルミニウム、二臭化エチレン、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、ジエルドリン、ジアジノン、マラチオン、パラチオン)において、うつ病との明らかな関連が認められたことを報告した。Environmental Health Perspectives誌オンライン版2014年6月6日号の掲載報告。

論文投稿のためのガイドラインを評価するエビデンスは不十分/BMJ

 ヘルス研究報告の改善のために開発された報告ガイドラインについて、カナダ・オタワ病院研究所のAdrienne Stevens氏らは、システマティックレビューによる評価を行った。報告ガイドラインのうち著名なCONSORT声明については、これまでにシステマティックレビューが行われている。その結果、一部のチェックリスト項目で報告を改善することが示されており、論文投稿時のガイドラインとしてCONSORTを推奨する学術誌で発表された研究報告は、完全性が高いとされている。しかし、その他の報告ガイドラインの包括的なシステマティックレビューは行われていなかった。BMJ誌オンライン版2014年6月25日号掲載の報告より。

「心筋梗塞治療」を追いかける「虚血性脳卒中治療」(解説:後藤 信哉 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(223)より-

歴史は繰り返す。1980年代に、急性心筋梗塞に対するt-PA治療が米国を中心に広く普及した。当初、「発症後6時間以内の心筋梗塞」が適応とされていたが、「発症後24時間以内」でも有効とされ適応が広まった。医療機関へのアクセスが遠い米国では、心筋梗塞症例を救急搬送するときに救急車内での投与も施行された。血栓溶解により虚血を改善すれば、臓器機能の改善の著しい症例が一部ある。

日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学

 抗うつ療法(ADT)を施行した日本人の大うつ病性障害(MDD)患者におけるアリピプラゾール補助療法を検討した無作為化プラセボ対照試験であるADMIRE研究において、アリピプラゾール補助療法はADT単独よりも優れ、忍容性も良好であったことが報告されている。名古屋大学の尾崎 紀夫氏らは、人口統計学的因子および疾患関連因子の影響、また各症状の改善とMDD全体の改善との関連についてサブ解析を実施した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2014年6月26日号の報告。

喫煙する家族と暮らす女性は脳卒中リスクが増加~日本の大規模前向きコホート研究

 大阪・愛知・宮城の三府県コホート研究グループでは、日本の大規模前向きコホート研究のデータを用いて、成人期の受動喫煙曝露と脳卒中およびそのサブタイプとの関連を検討した。その結果、成人期の家庭内受動喫煙曝露が非喫煙女性の脳卒中リスクの増加に関連していることが示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版2014年6月28日号に掲載。

原因不明の脳卒中後の心房細動検出に、着用型長期間心臓モニターが有用/NEJM

 原因不明の脳卒中後の心房細動(AF)の検出に関して、植込み型心臓モニター(ICM)を用いた長期の心電図モニタリングが従来法よりも有用であることが、無作為化対照試験の結果、明らかにされた。イタリアのサクロ・クオーレ・カトリック大学のTommaso Sanna氏らCRYSTAL AF研究グループが報告した。現行のガイドラインでは、脳梗塞発症後の心房細動のルールアウトには、少なくとも24時間のECGモニタリングを行うことが推奨されている。しかし、最も有効なモニタリングの期間および様式は確立されていなかった。NEJM誌2014年6月26日号掲載の報告より。

抗精神病薬の多剤大量処方からの安全で現実的な減量法~日本精神神経学会学術総会より

 現在、わが国では抗精神病薬の多剤大量処方を是正する動きがある。今年4月の診療報酬改定においては、非定型精神病薬加算が見直され、3種類以上の処方で10点の加算が削除、2種類以下の15点加算のみになった。しかし、すでに多剤大量処方されている場合には処方薬の種類を減らすことは簡単ではない。このようななか、第110回日本精神神経学会学術総会(2014年6月26~28日)にて、国立精神・神経医療研究センターの山之内 芳雄氏が「抗精神病薬多剤大量処方からの安全で現実的な減量法」と題して講演し、SCAP法(Safety Correction of Antipsychotics Poly-pharmacy and hi-dose)による減量試験の結果を紹介した。

有機リン中毒誘発のてんかん重積、有用な対処法は

 成熟ラットモデルを用いて有機リン中毒誘発のてんかん重積状態(SE)の転帰ならびにベンゾジアゼピン系薬の有用性について、イスラエル・テルアビブ大学のShai Shrot氏らは検討を行った。その結果、SE発症後迅速なミダゾラム投与により、SEから慢性てんかんへの移行を抑制しうることを報告した。Toxicology誌オンライン版2014年6月2日号の掲載報告。

トラスツズマブ、長期補助療法での心イベント発症は?(BIG1-01)

 トラスツズマブの忍容性は一般的に高いものの、心機能障害については、とくにアントラサイクリンベースの化学療法との併用において、議論となっている。今回の研究は、トラスツズマブの補助療法を評価する世界的臨床試験HERA(Herceptin Adjuvant )トライアルの8年にわたる観察期間における心イベント発症について、ベルギー・Jules Bordet InstituteのEvandro de Azambuja氏らが検討している。Journal of clinical oncology誌オンライン版2014年6月9日号の掲載報告。

前立腺がん治療剤ザイティガ(アビラテロン)日本での承認取得

 ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:ブルース・グッドウィン)および、アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ガブリエル・ベルチ)は、7月4日付で、前立腺癌治療剤ザイティガ錠250mg(一般名:アビラテロン酢酸エステル)の日本における製造販売承認を取得した。  ザイティガ錠は、アンドロゲン合成酵素であるCYP17を選択的に阻害することで抗腫瘍効果を示すCYP17阻害剤で、「去勢抵抗性前立腺癌」を適応とする。

APOC3遺伝子の突然変異、冠動脈疾患リスクの低下と関連/NEJM

 血漿トリグリセライド(TG)値の低下に、アポリポ蛋白C3(APOC3)をコードする遺伝子(APOC3遺伝子)の機能欠失型変異が関与しており、この突然変異のキャリアでは冠動脈疾患のリスクが低いことが明らかにされた。米国・マサチューセッツ総合病院のSekar Kathiresan氏らThe TG and HDL Working Group of the Exome Sequencing Project(米国立心臓・肺・血液研究所による)が報告した。これまでにTG値は遺伝性のもので、冠動脈疾患リスクと関連していることは判明していた。NEJM誌オンライン版2014年6月18日号掲載の報告より。

隔年マンモグラフィ検診導入後、乳がん死は約3割減/BMJ

 マンモグラフィ検診導入前後の乳がん死亡率比を検討した結果、導入後は乳がん死が約28%減少したことが、ノルウェー科学技術大学のHarald Weedon-Fekjaer氏らによる住民前向き追跡コホート研究から報告された。1970~80年代に行われた無作為化試験でマンモグラフィ検診は、乳がん死を予防可能であることが示され、ノルウェーでは1995~2005年に順次検診プログラムが導入されている。しかしその後、初期に行われた試験の方法論に問題があることが指摘され、結果の妥当性に疑念が及ぶこととなった。研究グループは、検診導入効果を検討する新たな試験を行うことは非現実的であるとして、今回観察研究のアップデートにより検診群と非検診群の比較を行い検討した。BMJ誌オンライン版2014年6月17日号掲載の報告より。