日本語でわかる最新の海外医学論文|page:855

トファシチニブ単剤療法、活動性関節リウマチに対する有用性を確認/NEJM

 2年間のトファシチニブ単剤療法は、関節リウマチの徴候や症状の改善効果および関節の構造的損傷の進行の抑制効果が、メトトレキサートよりも良好であることが、韓国・ソウル大学校医科大学のEun Bong Lee氏らが行ったORAL Start試験で示された。メトトレキサートは関節リウマチの1次治療において最も使用頻度の高い抗リウマチ薬である。トファシチニブはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬と呼ばれる新たなクラスの薬剤で、既存の生物学的製剤が静注薬であるのに対し本薬剤は経口薬であり、すでにいくつかの第III相試験でその有用性が確認されているが、重症感染症や検査値異常などが問題とされる。NEJM誌2014年6月19日号掲載の報告。

APOC3遺伝子変異による低TG値でも虚血性血管疾患リスク減/NEJM

 APOC3遺伝子の機能欠失型変異により血漿トリグリセライド(TG)値が低下し、虚血性血管疾患のリスクが減少することが、デンマーク・コペンハーゲン大学のAnders Berg Jorgensen氏らの検討で示された。非空腹時の血漿TG高値は虚血性心血管疾患のリスクを増大させることが知られている。APOC3遺伝子はアポリポ蛋白C3(APOC3)をコードする遺伝子で、その変異により非空腹時血漿TG値が低下するが、APOC3遺伝子変異を保因するため生涯にわたり低TG値の集団は、虚血性心血管疾患のリスクが低いか否かは、これまで明らかにされていなかった。NEJM誌2014年6月18日号掲載の報告。

入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか

 英国では、精神科病棟への入院の代替として、危機解決在宅医療チームによる地域ケアの利用がますます増えている。しかし、これらのチームによるケアが自殺率にどのような影響を及ぼすかについて、系統的な分析は行われていない。英国・マンチェスター大学のIsabelle M Hunt氏らは、危機解決在宅医療チームによる治療を受けた患者および精神科入院患者について、自殺率ならびに自殺者数の比較検討を行った。また、家庭または病院で自殺し、死亡した患者の臨床的特徴を評価した。Lancet Psychiatry誌オンライン版2014年6月18日号の報告。

うつ病診療:混乱から地域連携へ 第110回日本精神神経学会学術総会

 第110回日本精神神経学会学術総会(会長:北里大学精神科学 宮岡 等氏)が、2014年6月26日(木)より、神奈川県横浜市にて開催された。会長の宮岡氏は、冒頭の会長講演「うつ病診療:混乱から地域連携へ」で、うつ病診療の現状の課題について同大学の取り組みも併せて紹介した。

大腸がん診断後のカルシウム・牛乳摂取量が生存率に関連

 カルシウム、ビタミンD、乳製品の高い摂取量は大腸がん発生率の低下と関連しているが、大腸がんの生存率に及ぼす影響は不明である。米国がん協会(ACS)のBaiyu Yang氏らは、大腸がん患者において、がん診断前後のカルシウム(全体、食事由来、サプリメント)、ビタミンD(全体、食事由来)、乳製品(全体、牛乳のみ)の摂取量と、全死因死亡率および大腸がん特異的死亡率との関連を評価した。その結果、非転移性大腸がん患者では、がん診断後における総カルシウムと牛乳の高い摂取量が死亡リスクの低下に関連する可能性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年6月23日号に掲載。

高齢肺炎入院患者へのアジスロマイシン、心イベントへの影響は?/JAMA

 高齢の肺炎入院患者へのアジスロマイシン(商品名:ジスロマックほか)使用は他の抗菌薬使用と比較して、90日死亡を有意に低下することが明らかにされた。心筋梗塞リスクの増大はわずかであった。肺炎入院患者に対して診療ガイドラインでは、アジスロマイシンなどのマクロライド系との併用療法を第一選択療法として推奨している。しかし最近の研究において、アジスロマイシンが心血管イベントの増大と関連していることが示唆されていた。米国・VA North Texas Health Care SystemのEric M. Mortensen氏らによる後ろ向きコホート研究の結果で、JAMA誌2014年6月4日号掲載の報告より。

off-pump CABGは長期の腎機能保護に寄与するか/JAMA

 off-pump冠動脈バイパス術(CABG)は、on-pump CABGと比べて、術後急性腎障害のリスクを低下するが、腎機能保護には影響しなかったことが示された。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のAmit X. Garg氏らが、無作為化試験CORONARYの腎機能サブスタディから報告した。入院中の急性腎障害は、おもに血清クレアチニン値の突然の軽度~中等度の上昇によって定義づけられ、症状は数日間にわたって持続する。また長期的な腎機能の低下と関連している。しかし、急性腎障害のリスクを低下する介入が、長期にわたって腎機能保護に寄与するのかは明らかではなかった。JAMA誌2014年6月4日号掲載の報告より。

抗精神病薬服用が骨密度低下を引き起こすのか:千葉大学

 これまでに、統合失調症患者において長期の抗精神病薬服用により骨粗鬆症/骨減少症の高リスクが引き起こされる可能性を示唆するエビデンスが蓄積されてきた。しかし、抗精神病薬服用がどの程度、骨密度(BMD)低下を引き起こすのかについては明らかになっていなかった。千葉大学の沖田 恭治氏らは、統合失調症患者における第二世代抗精神病薬と骨代謝との関連について検討した。その結果、統合失調症患者のBMD低下について複雑な原因を示唆する知見が得られたことを報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年5月30日号掲載の報告。

がんの痛みは我慢しない! 疼痛管理の現状と問題点を第一人者がレクチャー

 6月24日、金原出版は、患者向けの解説書である『患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド(第1版)』(特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会編)の出版を記念し、編者の1人である佐藤 哲観氏(弘前大学医学部附属病院 麻酔科 緩和ケア診療室)を講師に迎え、「がんの痛みはとれるんです!」と題するプレスセミナーを開催した。同書は、患者にがん性疼痛管理の内容を知ってもらうために制作されたものである。

乳がんリスクが上がるタンパク源は?~約9万人の前向き研究/BMJ

 乳がんリスクへの高タンパク摂取の影響が報告されているが、タンパク源となる食物は栄養プロファイルがさまざまであり、乳がんリスクへの影響が異なる可能性がある。米国ハーバード大学のMaryam S Farvid氏らは、成人早期の食事性タンパクと乳がんリスクとの関連を調べるため、米国の看護師における前向きコホート研究を実施した。その結果から、成人早期の赤肉(red meat;牛、羊、豚などの成獣肉)の多量摂取が乳がんの危険因子であり、赤肉を豆類・鶏肉(七面鳥も含む)・ナッツ類・魚の組み合わせに置き換えることで乳がんリスクが減少する可能性が示唆された。BMJ誌オンライン版2014年6月10日号に掲載。

血圧変動は心血管イベントや死亡率を予測するか:日本を含む国際研究

 自由行動下血圧の血圧変動と死亡率や心血管イベントとの関連が議論されているが、血圧変動が高血圧患者における心血管イベントおよび死亡率を予測するかどうか、日本を含む国際研究において検討された。その結果、夜間の血圧変動が全死因死亡率、心血管疾患死亡率、心血管イベントの独立した予測因子であったことをイタリア・パドヴァ大学のPaolo Palatini氏らが報告した。Hypertension誌オンライン版2014年6月16日号に掲載。

閉塞性睡眠時無呼吸、CPAP vs. 夜間酸素補給/NEJM

 心血管疾患または複数の心血管系リスク因子を有する閉塞性睡眠時無呼吸患者に対して、夜間酸素補給ではなく持続的気道陽圧(CPAP)療法を行うことで、血圧の有意な低下に結びつくことが示された。米国・退役軍人ボストンヘルスケアのDaniel J. Gottlieb氏らが無作為化試験の結果、報告した。閉塞性睡眠時無呼吸は、高血圧、炎症、心血管リスクの増大と関連している。CPAPは血圧を低下するが、アドヒアランス不良の頻度が高く、その有益性について従来リスク因子の管理を上回るのか不明であった。NEJM誌2014年6月12日号掲載の報告より。

パーキンソン病初期治療は、レボドパ単独が長期的に有益/Lancet

 パーキンソン病の初期治療は、レボドパ単独療法がレボドパ併用療法(ドパミンアゴニストまたはモノアミン酸化酵素B阻害薬[MAOBI])よりもごくわずかではあるが、患者評価の運動能スコアについて持続的有益性があることが示された。また初回併用療法としてはMAOBI併用がドパミンアゴニスト併用よりも有効であった。英国・バーミンガム大学PD MED共同研究グループが非盲検プラグマティック無作為化試験の結果、報告した。これまでパーキンソン病の早期患者について、レボドパ、ドパミンアゴニスト、MAOBIの3種のうちどれを初期治療として用いることが有用なのか確認されていなかった。Lancet誌オンライン2014年6月11日号掲載の報告。

冬季の血圧は外気温より室温に強く関連~日本における大規模研究

 冬季における脳心血管疾患による死亡率上昇は、冬季の気候が厳しい地域より外気温の低下が少ない地域で大きいことが報告されている。このことから、冬季の死亡率上昇は外気温よりも室温による影響が考えられる。これまで、皮膚温低下による血圧上昇、外気温低下による血圧上昇は報告されているが、室温が自由行動下血圧に及ぼす影響は明らかになっていない。奈良県立医科大学の佐伯 圭吾氏らは、室温および外気温と自由行動下血圧との関連性を比較し、寒い時期において外気温より室温のほうが血圧との関連が強いことを報告した。Journal of Hypertension誌オンライン版2014年6月16日号に掲載。

ADHD女性に対する薬物治療、その課題は

 英国・南エセックスパートナーシップ大学NHS財団トラストのFrank M C Besag氏は、出産可能年齢女性の注意欠如・多動症(ADHD)薬物治療に関する課題を提起した。ADHDに対する薬物治療が胎児や新生児に及ぼす影響に関する情報が少ないとしたうえで、治療継続あるいは治療中止が母子に及ぼす影響を慎重に考慮することの重要性を強調している。Drug Safety誌2014年6月号の掲載報告。

日本発! 大豆・イソフラボンの摂取は子宮内膜がん発症予防に関与するか

 日本人女性の集団ベース前向きコホート研究では、大豆やイソフラボンの摂取が子宮内膜がんの発症リスクを防ぐ関連性は認められないことが、国立がん研究センター・がん予防・検診研究センターのSanjeev Budhathoki氏らの報告によって明らかとなった。BJOG誌オンライン版2014年6月18日号掲載の報告。