日本語でわかる最新の海外医学論文|page:855

S状結腸鏡での大腸がん検診、発症・死亡を抑制/JAMA

 1回のS状結腸鏡検査、または+便潜血検査を行うスクリーニングは、大腸がんの発生および死亡を抑制したことが示された。ノルウェー・Sorlandet病院のOyvind Holme氏らが50~64歳の一般集団レベルを対象に、スクリーニングをしない集団と比べた無作為化試験の結果、報告した。JAMA誌2014年8月13日号掲載の報告より。

統合失調症の妄想低減へ、新たな介入方法

 統合失調症患者に対する認知療法としてのメタ認知トレーニング(MCT)は、抗精神病薬治療の効果を上回る妄想減少の持続的効果があることが示された。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのSteffen Moritz氏らが無作為化試験の結果、報告した。MCTは妄想に関する認知バイアスをターゲットとする介入だが、さらに3年時点では自尊心やQOL改善といった、予期しない“スリーパー”効果などもみられたという。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年8月6日号の掲載報告。

日本血管病理研究会 第19回学術集会開催のお知らせ

 血管障害に関わる疾患の中で「血管炎」とは、病理学的に「血管壁の壊死と炎症細胞の浸潤」と定義される。民族や国・地域によって、疾患の頻度やその臨床症状が異なるために、臨床現場で血管炎の診療は難しく、専門的な知識と経験が必要となる。そのため、血管炎は古今東西の難しい学問・臨床分野の1つであると考えられ、年月を経ても理解に至らない疑問が数多く存在する。

肥満で10がん腫の発症増加/Lancet

 過体重や肥満は、子宮体がんや胆嚢がんなど10のがん種の発症増加に寄与していることが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のKrishnan Bhaskaran氏らの検討で示された。前立腺がんと閉経前乳がんは肥満者では少ないこともわかった。BMIが高いと特定のがんに罹患しやすくなることが、いくつかのコホート試験やメタ解析で示されている。しかし、がんのリスクパターンの特性を、可能性のある交絡因子を補正したうえで、大規模かつ詳細に検討した試験はこれまでなかったという。Lancet誌オンライン版2014年8月14日号掲載の報告。

塩分過剰による心血管死、世界で年間165万人/NEJM

 全世界の平均ナトリウム摂取量は、基準値のおよそ2倍で、ナトリウム過剰摂取に起因する心血管疾患死は、年間165万人に上ることが明らかになった。米国・ハーバード公衆衛生大学院のDariush Mozaffarian氏らが、世界の成人の約74%について行った調査で明らかにした。ナトリウム摂取が心血管死亡率に与える影響について、世界レベルの検討はこれまで行われていなかった。NEJM誌2014年8月14日号掲載の報告より。

認知症にイチョウ葉エキス、本当に有効なのか

 認知障害および認知症に対するイチョウ葉エキスの有益性および有害事象については、長年にわたって議論の的となっている。中国海洋大学のMeng-Shan Tan氏らは、認知障害および認知症に対しイチョウ葉エキス(EGb761)の有効性および有害性についてシステマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、同240mg/日の22~26週投与により、認知、機能、行動の低下および全般的な低下を、阻止あるいは遅らせうることが、とくに神経精神症状を伴う患者で示されたと報告した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2014年8月11日号の掲載報告。

COPD増悪患者の換気法 口or鼻?

 オープンマウスピース換気法は、従来型の鼻マスクによる換気法と同様に、軽症から中等症アシドーシスのCOPD患者のガス交換において、さらなる悪化を防ぐ可能性があることを、イタリアのセストリ・レヴァンテ病院のAntonello Nicolini氏らが明らかにした。RESPIRATORY CARE誌オンライン版2014年8月19日号の掲載報告。  オープンマウスピース換気法は神経筋の疾患を有する患者に対して、効果的であることがわかっている。そこで今回、軽症から中等症のアシドーシスでCOPD増悪を起こしている患者に、この換気法を実施した。

お米を食べるほど睡眠は良質に?

 これまでに、GI(グリセミック指数、食後血糖値の上昇度を示す指標)の高い食品が良好な睡眠の質に関連することが報告されている。金沢医科大学の米山 智子氏らは、日本人男女の集団において、GI値の異なる3種類のデンプン食(米・パン・麺類)の摂取量および食事のGI値と睡眠の質との関連を調査した。その結果、高GI食と米の高摂取が良好な睡眠の質と有意に関連する一方、パン摂取量は睡眠の質と関連せず、麺類摂取量は低い睡眠の質と関連することが示された。著者らは、これらのデンプン食と睡眠の質における関連性の違いは、各食品のGI値の違いによると推測している。PLoS One誌2014年8月15日号に掲載。

6分間歩行で統合失調症患者の身体評価

 フランス・モンペリエ第1大学のP. Bernard氏らは、統合失調症患者を対象とした研究での6分間歩行試験(6MWT)の意義について、システマティックレビューにて評価を行った。その結果、統合失調症患者が6分間に早歩きできる距離(6MWD)は健常成人と比べ概して短いこと、BMIが高値、喫煙量が多い、高用量の抗精神病薬服用、身体的な自己認識が低いことと負の関係にあることなどを報告した。そのうえで著者は、統合失調症患者の身体的健康モニタリングに6MWTが使用可能であるとし、「今後の研究において、その予測因子としての役割を検討するとともに、その測定特性の評価を継続すべきである」と述べている。Disability and Rehabilitation誌オンライン版2014年8月7日号の掲載報告。

高齢者へのインフルワクチン、高用量で効果増/NEJM

 65歳以上高齢者への高用量3価不活化インフルエンザワクチン(IIV3-HD)接種は、標準量同ワクチン(IIV3-SD)接種に比べ、インフルエンザ様疾患の予防効果が高く、抗体反応の誘導は有意に高いことが示された。米国・ピッツバーグ大学のCarlos A. DiazGranados氏らが約3万2,000例の高齢者を対象に行った第IIIb~IV相臨床試験の結果、報告した。これまでの報告で、抗体反応が向上することは報告されていた。NEJM誌8月14日号掲載の報告より。

塩分摂取と死亡リスクの関係はJカーブ/NEJM

 心血管の健康に最適なナトリウム摂取量は3~6g/日(食塩換算量:7.5~15.0g/日)であり、これより多くても少なくても、死亡や心血管イベントのリスクが高くなることが、カナダ・マックマスター大学のMartin O’Donnell氏らが行ったPURE試験で示された。世界の心血管疾患予防ガイドラインが推奨するナトリウム摂取量は1.5~2.4g/日だが、これを達成するには、ほとんどの人が食生活の根本的な変更を迫られると考えられる。ナトリウム摂取量の減少が心血管疾患リスクの低下をもたらすことを証明した大規模無作為化試験はなく、前向きコホート試験の結果からは一致した見解は得られていないという。NEJM誌2014年8月14日号掲載の報告。

暴力的なゲームが子供の心に与える影響は

 米国・UTHealth公衆衛生院のTortoleroSusan R氏らは、前思春期において、暴力的なビデオゲームを毎日することと、うつ病との関連を調べた。結果、両者間には有意な相関性があることが判明した。著者は、「さらなる検討で、この関連における因果関係を調査し、症状がどれほどの期間持続するのか、また根底にあるメカニズムと臨床的な関連性を調べる必要がある」と報告している。Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking誌オンライン版2014年7月9日号の掲載報告。

PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet

 前立腺がん(PSA)検診の有効性に関して評価するヨーロッパ前立腺がん検診の無作為化試験(ERSPC)のフォローアップ13年時点の成績が発表された。これまで検診9年後、11年後において、前立腺がん死亡の有意な減少が報告されていたが、今回もさらなる減少が確認され、大幅な有効性の増大が認められたという。オランダ・エラスムス大学医療センターのFritz H Schroder氏らERSPC研究チームが報告した。しかしながら著者は、「今回の結果にかかわらず、住民ベースのスクリーニング導入の前提条件として、さらなる検診の有害性の定量化と減少が検討されなければならない」とまとめている。9年、11年時に有効性が示された時も、過剰診断といった有害イベントを理由にスクリーニングの実施については論争の的となっていた。Lancet誌オンライン版2014年8月7日号掲載の報告より。

日本初のIFNフリー併用療法、海外第3相でも有用/Lancet

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1b型感染患者に対し、開発中のNS5A複製複合体阻害薬ダクラタスビル+NS3プロテアーゼ阻害薬アスナプレビルの経口2剤併用療法(日本では今年7月承認、海外では未承認)は、82~90%と高率の持続的ウイルス消失(SVR)を達成し、忍容性も良好であったことが示された。ドイツ・ハノーバー医科大学のMichael Manns氏らが第III相の国際マルチコホート試験の結果、報告した。所見は、未治療、前治療無効および不適格・不耐容であった患者で認められた。慢性HCV感染治療については、インターフェロンやリバビリンを用いない治療が希求されているが、著者は、「今回の結果は、肝硬変患者を含むHCV遺伝子型1b型感染患者に対して、インターフェロンやリバビリン不要の完全経口療法として、ダクラタスビル+アスナプレビルの使用を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告。