日本語でわかる最新の海外医学論文|page:822

慢性非弁膜症AF、専門看護師による訪問ケアで生存延長/Lancet

 心不全のない慢性非弁膜症心房細動患者に対し、退院後、心臓専門看護師による家庭訪問を含む、心房細動に特異的なケアを行うことで、非入院生存日数が有意に長期化することが示された。オーストラリア・カトリック大学のSimon Stewart氏らが、335例の患者を対象に行った無作為化比較試験「SAFETY」の結果、報告した。慢性心房細動患者の入院は増加している。疾患特有の“マネジメント”が入院を減らし、生存を延長する可能性はあるが、そうした“治療アプローチ”の有用性を裏付けるエビデンスはなく、研究グループは本検討を行った。Lancet誌オンライン版2014年11月17日号掲載の報告より。

STEMI患者の53%に非IRA閉塞性疾患/JAMA

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において、非梗塞関連動脈(IRA)での閉塞性疾患発症者は約53%に上り、疾患発症が認められた患者の30日死亡率は非発症患者と比べて有意に高いことが明らかにされた。韓国・蔚山大学校医学部のDuk-Woo Park氏らが、約3万例のSTEMI患者が参加した8試験について後ろ向きプール解析を行い、報告した。これまでSTEMI患者におけるIRA疾患の特性についてはほとんどわかっていなかったが、今回の結果について著者は、「前向き試験で確認が必要だが、所見はSTEMI患者における非IRA血行再建術を行うことの妥当性およびタイミングについて疑問を呈するものであった」と指摘している。JAMA誌2014年11月19日号掲載の報告より。

Bare metal stentは本当に劣っているのか?(解説:上田 恭敬 氏)-288

 従来のメタ解析とは異なり、対象となる試験内の個々の症例データを用いて解析する新しいメタ解析の手法で、5つの無作為比較試験(RCT)の4,896症例のデータを用いて、bare metal stent(BMS)とcobalt-chromium everolimus eluting stents(EES)の成績を比較検討した報告である。各試験のPIによって、それぞれの試験の対象症例個々のデータがこの解析のために提供されている。対象となる試験の選択基準は、BMSとEESの無作為比較が行われた試験で1年以上のフォローアップ期間があるものとしている。あらかじめ決められた主要評価項目は心臓死で、副次評価項目は全死亡、心筋梗塞、ステント血栓症、標的血管再血行再建(TVR)、心臓死+心筋梗塞、全死亡+心筋梗塞である。

認知症によいサプリメント、その効果は

 大豆レシチンより生成したホスファチジルセリン(PS)とホスファチジン酸(PA)を配合したサプリメントは、高齢者において記憶、気分、認知機能を改善すること、アルツハイマー病(AD)患者の日常機能や感情に対して有益な影響を及ぼすことが明らかにされた。ドイツ・Analyze & realize GmbHのMargret I. More氏らによる検討の結果、示された。Advances in Therapy誌オンライン版2014年11月21日号の掲載報告。

プライマリPCIのD2B時間短縮、どう解釈すべきか/Lancet

 プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(pPCI)は、入院から再灌流までの時間(door-to-balloon:D2B)が短いほど、患者個人レベルでは入院死亡率や6ヵ月死亡率は低下することが明らかにされた。D2Bが10分短縮するごとに、入院死亡率は8%低下、6ヵ月死亡率は6%低下することが示されたという。米国・ミシガン大学のBrahmajee K. Nallamothu氏らが、423病院15万例超のpPCI実施症例について行った後ろ向き試験の結果、明らかにした。近年、D2Bは徐々に短縮しているが集団レベルの死亡率は低下していなかった。今回の分析でも集団レベルでは、永続的な死亡増大傾向が示され、著者は、「D2B短縮の重大性は変わらないこと、および集団レベルの傾向を個人レベルの傾向として解釈すべきではないことが示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年11月19日号掲載の報告より。

がん生存率の動向~日本含む67ヵ国2,570万例のデータ/Lancet

 CONCORDワーキンググルーブでは、1995~2009年における67ヵ国のがん登録データを調査し、がん種別、国・地域別、期間別に5年生存率を推定した結果を報告した。生存率の大きな違いは、早期診断と最適な治療へのアクセスの差による可能性が高い。著者らは、「継続的な世界的サーベイランスは、がん患者と研究者において不可欠な情報源となり、また保健政策と医療システム改善のための政治家への刺激となるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年11月26日号に掲載。

最新、抗精神病薬の体重増加リスクランキング

 第二世代抗精神病薬(SGA)は、いくつかの精神疾患に対し広く使用されている。その際、抗精神病薬誘発性の体重増加が問題となるが、そのリスクは薬剤間で異なる。抗精神病薬誘発性の体重増加は、メタボリックシンドロームや心血管イベントの増加と関連しており、これらのリスクに対する知識は、さらなるモニタリングや対策を行ううえで重要である。ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのRichard Musil氏らは、関連する直接比較試験についてシステマティックレビューとメタアナリシスを行った。Expert opinion on drug safety誌オンライン版2014年11月15日号の報告。

クリゾチニブ、ALK陽性NSCLCの1次治療薬へ/NEJM

 治療歴のないALK遺伝子陽性非小細胞肺がん(以下、ALK陽性NSCLC)に対し、ALKチロシンキナーゼ阻害薬クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)は、標準的な化学療法よりも優れた有用性を持つことが、オーストラリア・メルボルンのPeter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J Solomon氏らの研究で示された。

ステント留置後の2剤併用抗血小板療法、1年超は有用か/NEJM

 薬剤溶出ステント(DES)留置後に、チエノピリジン系薬とアスピリンによる2剤併用抗血小板療法を1年を超えて行うことは、ステント血栓症発症率や心血管イベント発生率を有意に減少するが、中程度~重度出血率も増大することが明らかにされた。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のLaura Mauri氏らが、DESを留置した1万例弱について行った無作為化比較試験「DAPT」の結果、報告した。冠動脈ステント留置後には、血栓性合併症予防のため2剤併用抗血小板療法が推奨されているが、1年を超えて行うことのベネフィットやリスクについて不明であった。NEJM誌2014年12月4日号(オンライン版2014年11月16日号)掲載の報告より。

リクシアナ効能追加で静脈血栓症、心房細動に広がる治療選択肢

 2014年11月26日、都内にて「経口抗凝固療法の新潮流」をテーマにプレスセミナー(主催:第一三共株式会社)が開催された。本セミナーは、今年9月に同社のリクシアナ(一般名:エドキサバン)が、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制(AF)」および「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制(VTE治療・二次予防)」に対する、効能追加承認を取得したことを受けて行われたものである。ここでは、孟 真氏(横浜南共済病院 心臓血管外科部長)によって講演された静脈血栓塞栓症にフォーカスし、レポートする。

抗うつ薬と妊娠中絶との関連は

 抗うつ薬の使用は選択的妊娠中絶と関連するのであろうか。また、薬剤間で差はあるのだろうか。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や三環系抗うつ薬、ミルタザピン、ベンラファキシン、その他の抗うつ薬が妊娠後の中絶にどのような影響を与えるかを、スウェーデン・カロリンスカ研究所のH Kieler氏らが評価した。BJOG誌オンライン版2014年11月14日号の報告。

コレステロール流出能と心血管イベントは逆相関/NEJM

 アテローム硬化性心血管疾患の新たなバイオマーカーとして、コレステロール流出能(cholesterol efflux capacity)が有望であることが、米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのAnand Rohatgi氏らによる検討の結果、明らかにされた。一般健康集団(心血管疾患のない)を対象とした検討において、コレステロール流出能とイベント発生が逆相関の関連性を有することが示され、同関連性は伝統的な心血管リスク因子、HDLコレステロール(HDL-C)値、HDL粒子数で補正後も維持されたことが示された。NEJM誌オンライン版2014年11月18日号掲載の報告より。