日本語でわかる最新の海外医学論文|page:763

ホジキンリンパ腫の二次がんリスク、長期にわたって増加/NEJM

 ホジキンリンパ腫患者の治療後の二次がんリスクは、一般集団と比べて、治療後35年を経過しても3.9倍に上ることが明らかにされた。また、二次固形がんリスクについて、1989~2000年に治療を受けた群は、それ以前に治療を受けた群に比べても低くはなっていなかったという。オランダ・がんセンター研究所のMichael Schaapveld氏らが、1965~2000年にホジキンリンパ腫の治療を始めた3,905例について行った試験で明らかにした。NEJM誌2015年12月24日号掲載の報告。

第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索

 イタリア・Scientific Institute IRCCS Eugenio MedeaのMarco Pozzi氏らは、薬物血中濃度モニタリング(TDM)の観察研究にて、小児患者の実生活における第2世代抗精神病薬(SGA)の血中濃度特性を調べた。その結果、リスペリドンは成人よりも低値だが、アリピプラゾールは類似しているなどの特性が明らかになったという。著者らは、「今回のデータをより大規模な患者集団で検証すれば、小児患者におけるリスペリドンやアリピプラゾールの至適治療域を明確化できる可能性がある」と報告している。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2015年11月28日号の掲載報告。

子供の近視、今も昔も変わらぬ“あの”原因

 先行研究で、15~22歳の近視/強度近視について出生順との関連を調べた結果、長子のほうが次子以降よりも約10%多いとの報告がある。同関連について英国・カーディフ大学のJeremy A. Guggenheim氏らは、40~69歳集団について調べ、より上の世代でも同様の傾向がみられるのか、また関連の傾向は「次子以降では親の教育熱心さが低減するから」という仮説によって予測可能なのかを検証した。その結果、仮説を裏付ける結果が得られたという。JAMA Ophthalmology誌2015年12月号の掲載報告。

治療前血圧によらず、降圧で心血管リスクが減少/Lancet

 英国・オックスフォード大学のDena Ettehad氏らは、システマティックレビューとメタ解析の結果、ベースラインの血圧値や併存疾患を問わず、降圧は心血管リスクを有意に減少することを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「解析の結果は、130mmHg未満に対する降圧を、そして心血管系疾患、冠動脈疾患、脳卒中、糖尿病、心不全、慢性腎臓病を有する人の降圧治療の提供を強く裏付けるものであった」と報告している。心血管疾患予防に対する降圧のベネフィットは確立されているが、その効果が、ベースラインの血圧値や、併存疾患の有無、降圧薬の種類によって異なるかは明白になっていない。Lancet誌オンライン版2015年12月23日号掲載の報告。

中皮腫の初回治療、ベバシズマブ上乗せでOS延長/Lancet

 悪性胸膜中皮腫の初回治療について、標準療法であるシスプラチン+ペメトレキセドの併用療法へのベバシズマブの上乗せは、全生存期間(OS)を有意に改善することが、フランス・カーン大学のGerard Zalcman氏らによる第III相の非盲検無作為化試験の結果、示された。毒性効果として循環器系の有害事象が増えるものの、著者は、「予想の範囲内のものであり、ベバシズマブの上乗せは適切な治療と見なすべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年12月21日号掲載の報告。

認知症ドライバーの通報規定、どう考えますか

 米国では、各州で医師による認知症ドライバーに関する州政府自動車省(DMV)への通報規定が異なっており、義務となっている州もあれば任意の州もある。また、この問題に関して規定がない州もあり、アーカンソー州もその1つである。一方でアーカンソー州の医師には、意に反して患者をDMVへ通報した場合に法的責任を負わされるリスクがある。そこで、ニューメキシコ州立大学のErika M. Gergerich氏がアーカンソー州の医師が抱える認知症ドライバー問題を明らかにする目的で調査を行ったところ、アーカンソー州議会が任意の通報規定を採択するよう求める結果が示された。著者は、「認知症患者の運転適性評価の訓練と同様、州の通報規定に関する医師への教育も必要である」と述べている。Gerontologist誌オンライン版2015年11月25日号の掲載報告。

日本人における便秘と心血管疾患死のリスク

 大阪大学の久保田 康彦氏らは、排便頻度および下剤使用と心血管疾患(CVD)との関連について、日本人の大規模コホート研究であるJACC(Japan Collaborative Cohort)Studyで検討した。その結果、便秘はCVD危険因子への曝露を示すマーカーとなる可能性があり、下剤使用は冠動脈疾患と虚血性脳卒中による死亡の危険因子となりうることが示唆された。Journal of epidemiology誌オンライン版2015年12月26日号に掲載。

安全性情報(2016年1月12日改訂指示分)

2016年1月12日改訂指示分 【成分名】 ・アジルサルタン ・アジルサルタン・アムロジピンベシル酸塩 ・アムロジピンベシル酸塩 ・アリスキレンフマル酸塩・アムロジピンベシル酸塩 ・イルベサルタン・アムロジピンベシル酸塩 ・テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩 ・カンデサルタン シレキセチル・アムロジピンベシル酸塩 ・バルサルタン・アムロジピンベシル酸塩 ・アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物 ・ニンテダニブエタンスルホン酸塩 ・タゾバクタム・ピペラシリン水和物 ・ピペラシリンナトリウム ・アトバコン ・アトバコン・プログアニル塩酸塩 ・イトラコナゾール

既治療PD-L1陽性NSCLCへのpembrolizumabの有効性を確認/Lancet

 既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療において、pembrolizumabは標準治療に比べ全生存期間(OS)を延長し、良好なベネフィット・リスク比を有することが、米国・イェール大学医学大学院のRoy S Herbst氏らが行ったKEYNOTE-010試験で示された。免疫療法はNSCLCの新たな治療パラダイムであり、活性化B細胞やT細胞表面のPD-1受容体を標的とする免疫チェックポイント阻害薬が有望視されている。pembrolizumabは、PD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体であり、米国では第Ib相試験(KEYNOTE-001試験)のデータに基づき、プラチナ製剤ベースレジメンによる治療中または治療後に病勢が進行した転移性NSCLCの治療薬として迅速承認を取得している。Lancet誌オンライン版2015年12月18日号掲載の報告。

イブプロフェンは尿路感染症の代替治療となりうるか/BMJ

 単純性尿路感染症の女性患者の初回治療において、イブプロフェンによる対症療法はホスホマイシンによる抗菌薬治療に比べ抗菌薬の使用を抑制するが、症状の緩和効果は低く、腎盂腎炎の発症が増加する傾向がみられることが、ドイツ・ゲッティンゲン大学医療センターのIldiko Gagyor氏らの検討で示された。単純性尿路感染症の女性患者には通常、抗菌薬治療が行われるが、本症は無治療で回復する症例も多く、耐性菌増加の防止の観点からも、抗菌薬の処方の抑制対策が進められている。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であるイブプロフェンは、パイロット試験において、症状消失に関して抗菌薬治療に対し非劣性で、3分の2の患者で抗菌薬の処方なしに回復したことが報告されていた。BMJ誌オンライン版2015年12月23日号掲載の報告より。

ドパミンD2/3受容体拮抗薬、統合失調症患者の脳白質を改善

 精神病症状は、統合失調症の中核症状だが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のBjorn H. Ebdrup氏らは、陽性症状は前頭皮質に投影している白質路の不規則性に起因するという最近の仮説を検証する目的で、拡散テンソル画像を用いた解析を行った。その結果、未治療の統合失調症患者では、白質の微細な障害が認められることを明らかにした。とくに陽性症状は前頭の神経線維束の整合性と関連しており、選択的ドパミンD2/3受容体拮抗薬が白質を修復する可能性が示唆されたという。結果を踏まえて、著者らは「ドパミンD2/3受容体拮抗薬の再ミエリン化作用をさらに検討する必要がある」とまとめている。Journal of Psychiatry Neuroscience誌オンライン版2015年11月24日号の掲載報告。

糖尿病による認知症リスクに男女差あり~230万人の解析

 2型糖尿病により上乗せされる心血管疾患リスクは、男性より女性で大きい。糖尿病は認知症の危険因子でもあるが、その関連性に男女差がないかどうかは不明である。オーストラリアAlfred HealthのSaion Chatterjee氏らは、男女の糖尿病患者と認知症発症における性特異的な関連を検討するために、未発表データを用いてメタ解析を行った。その結果、2型糖尿病患者は非糖尿病者に比べて認知症の発症リスクが約60%高いこと、また、血管性認知症の上乗せリスクは女性のほうが大きいことが示唆された。Diabetes Care誌オンライン版2015年12月17日号に掲載。

メイヨー・クリニックで疼痛関連疾患への補完代替医療が増加

 補完代替医療(CAM)は、先進国で広く行われている。中国中医科学院広安門医院のRan Pang氏らは、米国のメイヨー・クリニックにおけるCAMの実施について調査した。その結果、CAMが主に疼痛関連疾患および精神障害(ストレス)に対して利用されており、CAMを受けている患者数は増加傾向にあることを報告した。American Journal of Chinese Medicine誌オンライン版2015年11月30日号の掲載報告。

ASTRAL-2,-3試験:遺伝子型2型3型のHCVに対するソホスブビル・velpatasvir併用療法(解説:中村 郁夫 氏)-466

本論文は、HCV(遺伝子型2型および3型)に対するソホスブビル(核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害薬)・velpatasvir(NS5A阻害薬)併用療法(SOF・VEL)の治療効果に関する治験の報告である。遺伝子型3型は、欧米では本邦と比べて頻度が高い。遺伝子型3型のHCV患者は、線維化の進行が早く、発がん率が高いことから、欧米では治療法の開発が急務である。2015年11月にサンフランシスコで行われた米国肝臓学会年会においても、3型のHCV患者に対する治療法に関して、多数の発表がなされた。

うつ病のプラセボ効果、そのメカニズムとは

 米国・ミシガン大学のMarta Pecina氏らは、大うつ病性障害(MDD)患者におけるプラセボ効果のメカニズムを明らかにするため、プラセボを用いた導入期、主に選択的セロトニン再取り込み阻害薬を用いたオープンラベル期の2期で構成した臨床試験を実施した。その結果、プラセボによりμ-オピオイドシステムの活性化がもたらされ、これがプラセボによる抗うつ効果に関連し、さらに抗うつ薬の効果にも関連している可能性を報告した。JAMA Psychiatry誌2015年11月号の掲載報告。

高血圧に関する川柳・標語を募集中【日本高血圧学会/日本高血圧協会 共同企画のご案内】

 日本高血圧学会と日本高血圧協会は2016年1月10日より、「高血圧」に関する川柳と標語の募集を開始した。本企画は、高血圧学会と高血圧協会と共同企画で、会員の意識を高めると同時に一般市民への啓発を図る目的で展開するもの。川柳・標語のお題はともに「高血圧」で、減塩・減量などの生活習慣、医師・患者関係、家族関係、社会風刺などユーモアやウイットに富んでインパクトのある、多くの人に親しまれる作品が集まることが期待される。