日本語でわかる最新の海外医学論文|page:744

「リウマチ治療のブレークスルーとなりうるか」 JAK1/2阻害剤baricitinib第III相国際共同臨床試験日本人部分集団解析より

 長足の進歩を遂げてきた関節リウマチ(RA)治療であるが、それでもいまだ解決されない課題も存在する。多くの臨床医にとって頭の痛い問題は、アンカードラッグであるメトトレキサート(MTX)に不耐となった場合、十分な有効性を示す治療オプションが限定されていることである。また、MTX不応となり、生物学的製剤を選択する場合、多くの生物学的製剤がMTX併用下で有用性を示しているため、MTXを併用せざるを得ないことが多く、単剤で十分な有効性を示す治療選択肢がきわめて少ないことも課題といえよう。

慢性特発性蕁麻疹へのオマリズマブ、最も有効な用法・用量は?

 慢性特発性蕁麻疹は、6週間以上持続するかゆみのある蕁麻疹、血管性浮腫、またはその両方と定義される。オマリズマブは、肥満細胞と好塩基球の機能に影響を及ぼす抗IgE抗体で、慢性特発性蕁麻疹の有望な新しい治療選択肢である。ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のZuo-Tao Zhao氏らは、慢性特発性蕁麻疹患者を対象にさまざまな用量で行われたオマリズマブの無作為化二重盲検プラセボ対照試験についてメタ解析を行い、オマリズマブの用法・用量は4週間に1回300mg投与が最も有効性が高く安全性も良好であることを示した。

慢性腰痛治療のゴールは「何ができるようになりたいか」

 慢性腰痛症に伴う疼痛に対し、2016年3月、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)のデュロキセチン塩酸塩(商品名:サインバルタ)の適応追加が承認された。これを受けて、4月19日、本剤を販売する塩野義製薬株式会社と日本イーライリリー株式会社が、痛みのメカニズムと治療薬の適正使用をテーマにメディアセミナーを開催した。

慢性心不全、エナラプリルへのアリスキレン追加は有用か/NEJM

 慢性心不全患者に対し、エナラプリルに加えてアリスキレン(商品名:ラジレス)を投与しても、有害事象が増大するだけでベネフィットは増大しないことが、英国・グラスゴー大学のJohn J.V. McMurray氏らによる無作為化試験の結果、示された。アリスキレンのエナラプリルに対する非劣性は示されなかった。慢性心不全患者に対し、ACE阻害薬は死亡および入院の発生を減少することが知られている。しかし、それら患者に対するレニン阻害薬がどのような役割を果たすのかは不明であった。NEJM誌2016年4月21日号(オンライン版2016年4月4日号)掲載の報告。

中等度虚血性MRへのCABG+僧帽弁形成術、2年時点の結果/NEJM

 中等度の虚血性僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対する冠動脈バイパス移植術(CABG)単独手術vs.CABG+僧帽弁形成の併用手術について検討したCTSN(Cardiothoracic Surgical Trial Network)による無作為化試験の、2年アウトカムの結果が米国・マウントサイナイ医科大学のR.E. Michler氏らにより発表された。左室逆リモデリングの有意差は認められず、併用群ではより多くの弁修復が認められたが、単独群と比較して生存の改善、全有害事象や再入院の減少に関する有意差は認められず、一方で神経学的合併症や上室性不整脈の早期発生リスク増大が確認された。本検討については1年時点の評価報告でも、左室収縮終末期容積係数(LVESVI)や生存率の有意差はみられず、有害事象も併用群で多かったが中等度~重度MRの有病率低下がみられ、長期アウトカムの結果における変化が期待されていた。NEJM誌オンライン版2016年4月3日号掲載の報告。

非定型うつ病を評価するT&P日本語版の信頼性は:群馬病院

 2006年、Parker氏らは、さまざまなストレス要因や病前性格スタイルに起因する非メランコリー型うつ病の特定のサブタイプを分類するための新規アプローチとして、Temperament and Personality Questionnaire(T&P)を提案した。群馬病院の工藤 由佳氏らは、T&P日本語版を開発し、その信頼性と妥当性を評価した。その結果、T&P日本語版は、日本人非メランコリー型うつ病患者の気質や性格を評価するうえで、信頼性が高く、有効な尺度であることを報告した。Journal of affective disorders誌オンライン版2016年3月26日号の報告。

安全性情報(2016年4月21日改訂指示分)

2016年4月21日改訂指示分 【成分名】 ・ガバペンチン ガバペンチン エナカルビル レボドパ レボドパ・ベンセラジド塩酸塩 レボドパ・カルビドパ水和物 レボドパ・カルビドパ水和物・エンタカポン エドキサバントシル酸塩水和物 リバーロキサバン ビルダグリプチン ビルダグリプチン・メトホルミン塩酸塩 シタグリプチンリン酸塩水和物 アファチニブマレイン酸塩 トラベクテジン フェキソフェナジン塩酸塩・塩酸プソイドエフェドリン オセルタミビルリン酸塩 ペラミビル水和物

院外心停止に対するアミオダロン vs.リドカイン vs.プラセボ/NEJM

 電気的除細動抵抗性の心室細動(VF)または無脈性心室頻拍(VT)の院外心停止患者に対し、アミオダロンまたはリドカインの投与はプラセボと比較して、生存率や良好な神経学的アウトカムの改善に結び付かないことが、約3,000例を対象とした無作為化二重盲検試験の結果、示された。難治性ショックVF/VTの院外心停止患者に抗不整脈薬が投与されるのは一般的になっているが、生存ベネフィットは実証されていなかった。NEJM誌オンライン版2016年4月4日号掲載の報告。

心房細動患者の出血リスク予測に有用な新規スコア/Lancet

 心房細動患者の抗凝固薬治療に伴う出血リスクを予測するのに有用な新たなスコアが開発された。バイオマーカーベースの「ABC出血リスクスコア」と名付けられたこのスコアは、年齢(Age)、バイオマーカー(Biomarkers)、病歴(Clinical history)の、5つの予測変数(年齢、cTnT-hs、GDF-15[growth differentiation factor-15]、ヘモグロビン、出血歴)から成る。スウェーデン・ウプサラ大学のZiad Hijazi氏らが開発したもので、検証試験の結果、これまでのHAS-BLEDスコアやORBITスコアよりもパフォーマンスに優れていることが示された。著者は「ABC出血リスクスコアを、心房細動患者の抗凝固薬治療に関する意思決定支援に活用すべきである」と報告している。Lancet誌オンライン版2016年4月4日号掲載の報告。

成人期まで持続するADHD、その予測因子は

 注意欠如・多動症(ADHD)は、診断された症例の半数において成人期まで症状が持続する神経発達障害と考えられている。現在、疾患の経過に関連する因子を明らかにするエビデンスは得られていない。ブラジル・リオグランデドスール連邦大学のArthur Caye氏らは、ADHD症状の成人期までの持続を予測するため、小児期のリスクマーカーに関する文献を検索し、システマティックレビューを行った。European child & adolescent psychiatry誌オンライン版2016年3月28日号の報告。

虚血性心筋症、CABG+薬物治療で生存ベネフィット改善/NEJM

 虚血性心筋症の患者に対し、冠動脈バイパス術(CABG)と薬物治療を併用することで、薬物治療のみの場合に比べ、約10年間の全死因死亡率(主要アウトカム)、心血管死亡率や全死因死亡または心血管系が原因の入院の発生率(副次アウトカム)は、いずれも2~3割有意に減少することが示された。米国・デューク大学のEric J. Velazquez氏らが、約1,200例の患者を対象に行った無作為化比較試験STICHESの結果、明らかにしNEJM誌オンライン版2016年4月3日号で発表した。薬物治療のみと比較したCABG+薬物治療の生存ベネフィットは、冠動脈疾患、心不全、および重篤な左室収縮機能障害を有する患者については不明であった。

中等度リスク患者へのスタチン+降圧薬治療の効果は?/NEJM

 心血管疾患既往のない、心血管イベントリスクが中等度の患者に対し、ロスバスタチンと、カンデサルタン+ヒドロクロロチアジドを投与しコレステロール値と血圧値を下げることで、主要心血管イベントリスクは約3割減少することが示された。カナダ・Population Health Research InstituteのS. Yusuf氏らが、約1万3,000例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験HOPE-3の結果、明らかにした。NEJM誌オンライン版2016年4月2日号掲載の報告。