日本語でわかる最新の海外医学論文|page:746

抗うつ薬による自殺行為の増加、5剤のSSRI/SNRIで検証/BMJ

 抗うつ薬の有害事象として、攻撃行動の増加がみられ、小児/青少年では自殺行為も増えているとの北欧コクランセンター(デンマーク)のTarang Sharma氏らによる研究成果が、BMJ誌オンライン版2016年1月27日号に掲載された。この研究では、抗うつ薬の臨床試験や治験総括報告書(clinical study report)の治療関連有害事象のデータには限界があることも示された。治験総括報告書は製薬企業が医薬品の市販の承認を得るために規制機関に提出する臨床試験の結果の詳細な概要であるが、最近のレビューは、公表された論文には患者の転帰に関する重要な情報が欠けていることが多いと指摘している。

生体吸収性スキャフォールドの1年転帰:4つのABSORBメタ解析/Lancet

 留置1年後における生体吸収性エベロリムス溶出スキャフォールド(BVS、Absorb)の有害事象の発現状況は、コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステント(CoCr-EES、Xience)とほぼ同等との研究結果が、米国・コロンビア大学のGregg W Stone氏らによってLancet誌オンライン版2016年1月26日号で報告された。BVSは、薬剤溶出金属製ステントに比べ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の長期的なアウトカムを改善する可能性が指摘されているが、これらのデバイスの1年後の安全性や有効性は知られていない。

うつ病患者への運動介入、脱落させないコツは

 運動による抑うつ症状の改善効果は確立している。無作為化試験(RCT)の脱落率は試験間で異なり、RCTにおける脱落はエビデンスに基づく信頼性に脅威を与える。英国・South London & Maudsley NHS Foundation TrustのBrendon Stubbs氏らは、運動RCTに参加したうつ病成人における脱落率とその予測因子を調査し、システマティックレビューとメタ解析を行った。Journal of affective disorders誌2016年1月15日号の報告。

進行NSCLC治療、全例への遺伝子検査は有用か/Lancet

 進行性非小細胞肺がん(NSCLC)治療に関して、患者の分子プロファイリングを日常診療として全国的に実施することは可能であり、その作業は遺伝子変異や融合遺伝子など遺伝子異常の頻度、所要日数および治療効果からみても有用であることが確認された。フランス・マルセイユ公立病院機構(APHM)のFabrice Barlesi氏らが、French Collaborative Thoracic Intergroup(IFCT)による1年間のプログラムの成果を踏まえて報告した。NSCLCの治療においては、既知のドライバー遺伝子について日常的に患者の分子プロファイルを調べることが推奨されているが、その国家的な実現性や有用性は不明であった。Lancet誌オンライン版2016年1月14日号掲載の報告。

女性の不妊に関わる遺伝子変異が判明/NEJM

 βチューブリン遺伝子(TUBB)8の変異が、微小管の形成や動態、卵母細胞の減数分裂と紡錘体形成ならびに卵母細胞の成熟を妨害し、優性遺伝的に女性の不妊症を引き起こすことを、中国・復旦大学Ruizhi Feng氏らが、不妊症の女性を含む24家族のDNA解析の結果、明らかにした。受精は、第二減数分裂中期で停止している成熟した卵母細胞に精子細胞が侵入することで開始するが、ヒト卵母細胞の成熟停止の原因となる遺伝的異常は明らかにされていなかった。NEJM誌2016年1月21日号掲載の報告。

「妊娠、抗てんかん薬」検索結果は患者に役立つか?

 女性てんかん患者(WWE)は、インターネットなどの多くのソースから妊娠関連の重要な情報を入手していることを調査が示している。イスラエル・ヘブライ大学のTal Lavi-Blau氏らは、妊娠、授乳中における4種類の抗てんかん薬使用について、Google検索により提供されているWebサイトのタイプを評価した。Epilepsy & behavior誌オンライン版2016年1月12日号の報告。

食道腺がん診断後のスタチン使用、死亡リスク低下に関連

 大規模な集団ベースコホート研究により、食道腺がんと診断された後のスタチン使用が、食道がん特異的死亡率と全死因死亡率の減少に関連しているということを、英国・ノーフォーク&ノリッチ大学病院のLeo Alexandre氏らが明らかにした。Gastroenterology誌オンライン版2016年1月8日号掲載の報告。

心房細動患者の死亡リスク、女性のほうが高い/BMJ

 心房細動患者において、女性は男性に比べて全死因死亡リスクが約1.1倍、心血管死リスクは1.9倍、いずれも大きいという。英国・オックスフォード大学のConnor A. Emdin氏らが、30件のコホート試験について行ったメタ解析の結果、明らかにした。これまでの研究結果から、心血管疾患リスクについては、そのリスク因子である糖尿病や喫煙などについて、男女差があることは知られていた。BMJ誌オンライン版2016年1月19日号掲載の報告。

高齢がん患者の病院死亡率とコスト、欧米7ヵ国で比較/JAMA

 欧米先進7ヵ国で、がん患者の死亡した場所や死亡前半年間の医療費などを比べたところ、急性期病院での死亡割合はベルギーとカナダが最も高く過半数を占め、一方、米国やベルギーは20%台と低かった。死亡前半年間の医療費については、高額だったのはカナダ、ノルウェー、米国で1万9,000~2万2,000ドル、低額だったのは英国、オランダで9,000~1万1,000ドルだった。米国・ペンシルベニア大学のJustin E. Bekelman氏らが、2010年以降にがんで死亡した65歳超について、後ろ向きコホート試験を行った結果、明らかにされた。JAMA誌2016年1月19日号掲載の報告より。

精神疾患患者に対するECT後の転帰を予測することは可能か

 発作後における見当識障害の回復速度から電気ショック療法(ECT)の結果が予測可能かどうか、これまで検討されたことはなかった。ノルウェー・Diakonhjemmet病院のTor Magne Bjolseth氏らは、見当識障害の回復速度から高齢うつ病患者におけるECT治療の効果を予測できるかを検討した。Journal of affective disorders誌2016年1月15日号の報告。

肥満は眼圧上昇の独立リスク因子

 眼圧上昇は緑内障の最も重要なリスク因子の1つであることが知られている。イスラエル・テルアビブ大学のEytan Cohen氏らは、約1万9,000例のデータを後ろ向きに解析し、男性および女性のいずれにおいても、肥満が眼圧上昇の独立したリスク因子であることを明らかにした。Journal of Glaucoma誌オンライン版2016年1月13日号の掲載報告。

心不全への遺伝子治療、AAV1/SERCA2aは予後を改善するか/Lancet

 アデノ随伴ウイルス1(AAV1)をベクターとして筋小胞体/小胞体Ca2+-ATPase(SERCA2a)を導入する遺伝子治療(AAV1/SERCA2a)は、試験用量では心不全患者の予後を改善しないことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のBarry Greenberg氏らが行ったCUPID 2試験で示された。SERCA2aは、心臓拡張期にサイトゾル由来のCa2+を筋小胞体内へ輸送することで心筋細胞の収縮と弛緩を調整している。心不全患者はSERCA2a活性が不足しており、遺伝子導入によってこの異常を是正することで心機能が改善する可能性が示唆されている。Lancet誌オンライン版2016年1月20日号掲載の報告。

卵アレルギーと弱毒生インフルエンザワクチン(解説:小金丸 博 氏)-475

インフルエンザワクチンの製造には、インフルエンザウイルスを鶏卵に接種し培養する工程があるため、ワクチンにはオバルブミンなど卵の成分が含まれる。そのため、卵アレルギーのある人にインフルエンザワクチンを接種すると、重大な副反応が起こる可能性があると広く認識されている。近年、オバルブミン含有量の少ない不活化インフルエンザワクチンは、卵アレルギーのある患者に安全に接種できるとの報告があるが、経鼻的に投与される弱毒生インフルエンザワクチン(LAIV)の安全性に関しては、十分なデータがなかった。

家庭の味が認知症ケアには必要

 伝統的な食品は、帰属感、アイデンティティ、伝統の感情を強め、認知症患者の文化的アンデンティティやQOLの保持や強化に役立っている。味覚は、生理学的というよりも文化的なものである。食習慣は、人生の早い段階で確立され、その変更は難しい場合がある。また、なじみのない料理は、失望や裏切られたような気持ち、愛されていない感覚につながる可能性がある。ノルウェー・Lovisenberg diakonale hogskoleのIngrid Hanssen氏らは、施設に入居する認知症患者に対する伝統的な食品の意味について検討を行った。Journal of clinical nursing誌オンライン版2016年1月11日号の報告。

耐性克服に再生検を!~肺がん治療~

 2016年1月21日都内にて、「肺がん治療におけるアンメットメディカルニーズ」と題するセミナーが開かれた(主催:アストラゼネカ株式会社)。演者である中川 和彦氏(近畿大学医学部内科学腫瘍内科 教授)は、第3世代EGFR-TKIの登場に伴う再生検の重要性に触れ、「耐性変異を調べることが、最終的に患者さんの利益につながる」と述べた。

術後補助化学療法が有効なStageII大腸がんのバイオマーカー/NEJM

 StageII大腸がんのうち、腫瘍細胞にcaudal-type homeobox transcription factor 2(CDX2)の発現がみられない患者は再発リスクが高く、術後補助化学療法からベネフィットを得る可能性が高いことが、米国・コロンビア大学のPiero Dalerba氏らの検討で明らかとなった。高リスクStageII大腸がんの同定は、術後補助化学療法を要する患者の選択において重要とされる。マイクロアレイによる幹細胞や前駆細胞由来の多遺伝子発現解析が期待されているが、臨床での使用は困難だという。NEJM誌2016年1月21日号掲載の報告。