日本語でわかる最新の海外医学論文|page:609

MGUS、M蛋白の違いで多発性骨髄腫などへの進行リスクに差/NEJM

 意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)において、IgM型MGUS患者と非IgM型MGUS患者では、進行リスクに大きな違いがあることが確認された。また、MGUS患者の全生存期間(OS)は、対照集団の予測OSより短いことも示された。米国・メイヨー・クリニックのRobert A. Kyle氏らが、中央値で約34年という長期にわたる追跡調査の結果を報告した。MGUSは50歳以上の約3%に生じ、患者の7~19%で5~10年後にがん化することが示唆されている。これまでの研究は症例数が少なく追跡期間も短期で、OSに関する情報は限定的であった。NEJM誌2018年1月18日号掲載の報告。

病的肥満に対する袖状胃切除術 vs.ルーワイ胃バイパス術/JAMA

 病的肥満患者を対象とした、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術と腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術の比較検討で、術後5年時点での超過BMI減少率に有意差は確認されなかったことが示された。スイス・St ClaraspitalのRalph Peterli氏らが、減量、併存疾患の変化、QOLの改善、有害事象という点で、両手術の間で違いがあるかを検証した無作為化比較試験「SM-BOSS試験」の結果を報告した。病的肥満の治療において、スリーブ状胃切除術の使用が増加しているが、標準治療であるルーワイ胃バイパス術と比較した場合の、スリーブ状胃切除術の長期成績は不明であった。JAMA誌2018年1月16日号掲載の報告。

PAD患者の跛行症状にGM-CSF製剤を皮下注しますか?(解説:中澤達氏)-804

PROPEL試験の結果、末梢動脈疾患(PAD)患者において、トレッドミルを利用して定期的に行う運動療法は、定期的にレクチャーを行い注意喚起を促す介入と比べて、6分間歩行距離でみた歩行能を有意に改善することが示された。また、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)製剤は、単独投与または運動療法と組み合わせて投与した場合も、歩行能を有意に改善しないことが示された。

プライマリPCI実施後のプラスグレル対チカグレロル、1年後の比較

 プライマリPCIが適応の急性心筋梗塞患者において、P2Y12阻害剤であるプラスグレルとチカグレロルの有効性および安全性を比較したPRAGUE-18 trialの早期の結果では、2剤に有意差は認められなかった。チェコ共和国のZuzana Motovska氏ら研究グループによる1年フォローアップでは、さらに2剤の有効性と安全性を比較し、退院後により安価なクロピドグレルに変更することが虚血イベントの発生に影響を与えるかどうか検証した。Journal of American College of Cardiology誌11月9日号に掲載。

TV視聴1日5時間以上で卵巣がんリスクが2倍~日本人女性

 座って過ごすことと卵巣がん発症率の関連は疫学研究の75%で報告されているが、わが国では検討されていない。今回、大規模な全国コホート研究であるJACC研究(Japan Collaborative Cohort Study)で、主な座位行動であるテレビ視聴時間と卵巣がん発症の関連を調べたところ、1日平均視聴時間が5時間以上の人は2時間未満の人より2.15倍発症リスクが高かった。この結果から、座って過ごす時間の短縮が卵巣がん予防に有益である可能性が示唆された。Cancer causes & control誌オンライン版2018年1月16日号に掲載。

統合失調症における抗精神病薬単独療法前後の陰性症状と報酬系回路

 陰性症状は、統合失調症の中心的な症状であり、機能アウトカムと強く相関する。脳の報酬系回路の障害は、モチベーションや快楽体験の減少による陰性症状の主な要因であることが示唆されている。デンマーク・コペンハーゲン大学のMette Odegaard Nielsen氏らは、amisulprideでの治療後に陰性症状が改善した患者と改善しなかった患者における、報酬関連の脳の活動を比較した。Clinical EEG and neuroscience誌2018年1月号の報告。

FDA、EGFR変異陽性NSCLCに対するアファチニブの適応拡大を承認

 Boehringer Ingelheim社は2018年1月16日、米国食品医薬品局(FDA)がEGFR変異陽性の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に対する、アファチニブ(商品名:ジオトリフ)の追加新薬申請(sNDA)FDAを承認したと発表。アファチニブは、exon19delまたはexon21 L858RのEGFR変異NSCLCを対象としていたが、今回L861Q、G719X、S768Iの3つのEGFR変異が追加された。

病的肥満にスリーブ状胃切除術vs.ルーワイ胃バイパス術/JAMA

 病的肥満患者に対し、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術に比べ、5年後の超過体重減少率において、その効果は同等ではないことが明らかにされた。また、ルーワイ胃バイパス術のほうがスリーブ状胃切除術と比べて5年後の超過体重減少率はより大きかったが、その差は事前規定の同等性マージンに照らして統計的に有意ではなかった。フィンランド・トゥルク大学のPaulina Salminen氏らが、240例を対象に行った多施設共同非盲検無作為化試験「SLEEVEPASS試験」の結果で、JAMA誌2018年1月16日号で発表された。同研究グループによれば、腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術と比較した長期的エビデンスがないにもかかわらず、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の施術件数は急増しているという。

卵巣がんアジュバント、腹腔内温熱化療で生存延長/NEJM

 StageIII上皮性卵巣がんの患者において、術前補助化学療法後の中間期腫瘍減量手術に、シスプラチンによる腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を追加することで、無再発生存期間、全生存期間ともに延長することが示された。副作用の発現率も有意に高率とはならなかった。オランダ・Netherlands Cancer InstituteのWillemien J.van Driel氏らが、245例を対象に行った第III相多施設共同非盲検無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年1月18日号で発表した。新規診断の進行卵巣がんでは、通常、腫瘍減量手術と全身化学療法が行われる。

ニボルマブ後のEGFR-TKI、厚労省がILDへの注意喚起

 厚生労働省は、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の使用成績調査の中間報告で、ニボルマブ(同:オプジーボ)投与歴のある患者にオシメルチニブを投与した際、間質性肺疾患(ILD)が33 例報告されたことを受け、1月24日付で安全対策に関する通知(薬生安発0124第1号 薬生安発0124第2号)を発出した。

空腹時血糖異常なしでも脂肪肝指数で糖尿病発症を予測

 わが国の一般集団において、性別および空腹時血糖異常(impaired fasting glucose:IFG)の有無にかかわらず、脂肪肝指数(fatty liver index:FLI)が糖尿病発症と関連することを、慶應義塾大学の平田 あや氏らが報告した。IFGのない人でもFLIが糖尿病発症リスクの予測因子として有用であることが示唆された。Hepatology research誌オンライン版2018年1月17日号に掲載。

認知症者の自動車運転を停止するためのワークショップ

 認知症者にとって、自動車運転は大きな危険を伴う。カナダの医師は、不適切な運転手を報告する法的な責任を負っており、その決定を患者に明らかにする必要がある。医師は患者との健全な関係を維持したいと考えているものの、認知症者は洞察力が不足しており、運転免許の喪失に対して非常に強い感情を示す。これらが、正確な情報交換を妨げる可能性がある。カナダ・オタワ病院のAnna Byszewski氏らは、このような難しい通達を行う医療従事者のための戦略と支援を提供する目的で、マルチメディアモジュールの開発を試みた。Canadian geriatrics journal誌2017年12月22日号の報告。

ペムブロリズマブ、化学療法併用でNSCLC1次治療のOS延長(KEYNOTE-189)

 Merck社は2018年1月16日、転移性非扁平上皮性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療の第III相KEYNOTE-189試験において、ペムブロリズマブとペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチンの併用が、主要評価項目である全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を達成したと発表。独立データモニタリング委員会による中間解析では、ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ化学療法との併用は、ペメトレキセド+プラチナ化学療法単独よりもOSおよびPFSを延長した。この併用におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルは以前の報告と一致していた。KEYNOTE-189の結果は、今後の医学会議で発表され、規制当局に提出される。

ウイルス抑制HIVの維持療法、ドルテグラビル+リルピビリンが有望/Lancet

 ウイルスが抑制されているHIV-1感染患者の維持療法において、ドルテグラビル+リルピビリン療法は、現在の抗レトロウイルス療法(ART)レジメン(current ART regimen:CAR)に対し非劣性であることが、スペイン・Germans Trias大学病院のJosep M. Llibre氏らが行ったSWORD-1とSWORD-2試験のプール解析で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年1月5日号に掲載された。HIV-1感染の1次および2次治療では、3剤によるARTが標準とされるが、投与は生涯にわたることから、累積的な薬剤の曝露や毒性を最小化するために、2剤併用レジメンへの関心が高まっている。ドルテグラビル(インテグラーゼ鎖転移阻害薬)とリルピビリン(非核酸系逆転写酵素阻害薬)の安全性、忍容性、有効性は、この2剤に併用レジメンとしての適合性があり、実質的に有効である可能性を示唆していた。

角膜可塑性は緑内障のリスク因子

 緑内障発症のリスク因子として角膜可塑性(CH)の役割が注目されている。米国・デューク大学のCarolina N. Susanna氏らは、前向き観察コホート研究において、CH低値が緑内障の視野欠損発症リスクの増加と有意に関連していることを明らかにした。著者は、「本研究は前向きの縦断研究であり、緑内障発症のリスク因子としてのCHの役割を支持する結果である」とまとめている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2018年1月2日号掲載の報告。

成人不眠症に対する音楽療法に関するメタ解析

 原発性不眠症は、成人における最も一般的な問題の1つである。しかし、不眠症に対する非薬理学的介入として、音楽療法を用いるべきか、またどのような治療を優先すべきか、についてはよくわかっていない。中国・The 302nd Hospital of Chinese PLAのFan Feng氏らは、原発性不眠症患者を対象に、音楽療法群(介入群)と非音楽療法群(対照群)との比較を実施するため、検討を行った。International journal of nursing studies誌2018年1月号の報告。

経済的インセンティブで、医療の質は改善しない/BMJ

 OECD加盟国では医療の質改善に経済的インセンティブを用いており、低・中所得国でその傾向が増大している。ただ、先頭を走っているのは米国と英国であり、他国は両国の施策をモニタリングし導入を決定している状況にある。米国ではここ10年で、病院医療の質改善にインセンティブを与えることは一般的になっているが、先行研究で「P4P(Pay for Performance)プログラムは、臨床的プロセスへの影響は限定的で、患者アウトカム改善や医療費削減に影響を及ぼさない」ことが示されている。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のIgna Bonfrer氏らは、これまで行われていなかった、米国における時期の異なる2つのプログラム(HQID[2003~09年]、HVBP[2011年~])参加病院の、インセンティブの影響について比較する検討を行った。その結果、HQIDから参加し10年以上インセンティブを受けている病院が、HVBPからの参加病院と比べて、医療の質が優れているというエビデンスは認められなかったという。BMJ誌2018年1月3日号掲載の報告。