日本語でわかる最新の海外医学論文|page:609

Stage IV胃がん2次治療、ペムブロリズマブ対パクリタキセル(KEYNOTE-061)/ASCO2018

 現在、Stage IV胃がんでは、国際的には1次治療としてフッ化ピリミジン系抗がん剤と白金製剤の併用、2次治療ではタキサン系抗がん剤のパクリタキセルと分子標的治療薬のラムシルマブの併用、あるいはパクリタキセル、ドセタキセル、塩酸イリノテカンの単剤が用いられている。

統合失調症の精神病理および認知機能障害に対する抗認知症薬に関するメタ解析

 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、統合失調症に対する抗認知症薬と抗精神病薬の併用(ADD+AP)に関する二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。The international journal of neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年5月14日号の報告。

EGFR変異陽性NSCLCへのエルロチニブ、ベバシズマブ併用でOS 4年(JO25567)/ASCO2018

 EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるエルロチニブ+ベバシズマブの併用が、エルロチニブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが、第II相試験JO25567のこれまでの解析により確認されている。同試験の生存追跡調査結果を、国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科の山本 昇氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。

ウルソデオキシコール酸無効のPBCにベザフィブラートの追加投与/NEJM

 ウルソデオキシコール酸治療で効果不十分な原発性胆汁性胆管炎(PBC)の患者に対し、ベザフィブラートの追加投与はプラセボ追加投与と比較して、生化学的完全奏効率が有意に高いことが、フランス・Assistance Publique-Hopitaux de Paris(APHP)のChristophe Corpechot氏らによる第III相の二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、示された。ウルソデオキシコール酸治療で効果不十分なPBC患者は、病勢進行のリスクが高いが、PPAR(peroxisome proliferator-activated receptors)アゴニストのフィブラート系薬を併用することでベネフィットがもたらされる可能性が示唆されていた。NEJM誌2018年6月7日号掲載の報告。

腎がんの分子標的治療に腎切除は必要か/NEJM

 転移を有する腎細胞がん患者において、スニチニブ単独療法は、腎切除後にスニチニブ投与を受ける標準治療に対し、非劣性であることが示された。フランス・ジョルジュ・ポンピドゥー欧州病院のArnaud Mejean氏らによる、第III相の無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年6月3日号で発表された。この20年の間、転移を有する腎細胞がんの治療は、無作為化試験や大規模後ろ向き試験によって腎切除術が標準とされてきたが、研究グループは、近年の分子標的薬の台頭を受けて、腎切除術の役割について評価を行った。

日本の児童・思春期におけるADHD治療薬の処方率に関する研究

 児童・思春期における注意欠如多動症(ADHD)の有病率は、地域差が小さいが、ADHD治療薬の処方率には、大きな地域差があるといわれている。薬剤処方の地域差を理解することで、潜在的に過剰または過小な処方の状況に関する示唆が得られる。しかし、日本人におけるADHD治療薬の処方率についてはよくわかっていない。医療経済研究機構の奥村 泰之氏らは、日本の児童・思春期におけるADHD治療薬の処方、新規処方、継続率を明らかにするため、調査を行った。Epidemiology and psychiatric sciences誌オンライン版2018年5月28日号の報告。

進行肺がんへのアテゾリズマブ単剤療法、効果予測因子としての血中TMBの値は?(B-F1RST)/ASCO2018

 非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)2次治療におけるアテゾリズマブ単剤療法の有効性を評価した2つの無作為化試験(第III相OAK試験、第II相POPLAR試験)において、腫瘍遺伝子変異量(TMB)が高レベルの患者で、PFSのベネフィットが大きいことが確認されている。血液中のTMB(bTMB)がアテゾリズマブの効果予測因子となりうるかについて評価したB-F1RST試験の中間解析結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、米国・クリーブランド・クリニックのVamsidhar Velcheti氏により発表された。

新たな抗PD-1抗体、進行皮膚扁平上皮がんに奏効/NEJM

 進行皮膚扁平上皮がん患者において、抗PD-1抗体cemiplimabは、約半数の患者に奏効し、有害事象は免疫チェックポイント阻害薬で一般的にみられるものと同じであった。米国・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのMichael R. Migden氏らが、cemiplimabの有効性および安全性を検討した第I/II相臨床試験の結果を報告した。進行皮膚扁平上皮がんは、腫瘍の遺伝子変異量が高く疾患リスクは免疫抑制と強い関連があることから、免疫療法が奏効する可能性があり、cemiplimabの第I相用量漸増試験では、転移を有する皮膚扁平上皮がんに対する持続的かつ深い奏効が観察されていた。NEJM誌オンライン版2018年6月4日号掲載の報告。

メガファーマスポンサーの臨床試験は結果公表率が高い?/BMJ

 臨床試験のデザインと結果の公表は、疾患領域だけではなく資金提供組織のタイプや規模によっても大きく異なるという。英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのMagdalena Zwierzyna氏らが、資金提供組織と専門領域別に臨床試験の実施状況、デザインの特性および公表(dissemination)について調査した記述分析の結果を報告した。登録された臨床試験であっても、試験デザインが最適でなかったり、結果の公開が遅れることはよくあり、全試験のほぼ半数が試験完遂後何年も公表されないままである。現在、さまざまな組織が臨床試験に資金提供を行っており、報告される割合やその他の研究の質は、資金提供組織のタイプによって異なる可能性が指摘されていた。BMJ誌2018年6月6日号掲載の報告。

「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」5年ぶりの改訂

 日本腎臓学会は6月、5年ぶりの改訂となる「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」を発行した。今回は専門医だけではなく、かかりつけ医や非専門医の利用を想定して制作されており、全面改訂する際に「CKD診療ガイド2012」と「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013」を一元化させている。

吸入薬の使い方、効果発現の要は舌を下げること

 気管支喘息治療の根幹はステロイド薬を中心とした吸入薬であり、正しい吸入操作を行うことが必要不可欠である。今回、藤田保健衛生大学の堀口 高彦氏らは、吸入デバイスの操作だけでなく、目に見えない口腔内の状況、とくに舌に焦点を当て、吸入薬使用時の望ましい舌の位置について検討を行った。その結果、舌を下げて吸入薬の通り道をつくることで、より多くの薬剤が咽頭に到達し、気管方向に流入していく様子が確認できた。舌が吸入薬の流入経路の妨げにならないよう、舌と舌根をなるべく下げ、喉の奥を広げるよう患者に指導することが望ましい。今回の結果は、The journal of allergy and clinical immunology:In practice誌2018年5~6月号に掲載された。

主観的な睡眠の質は認知症と関連せず

 睡眠と認知症リスクは関連しているが、主観的な睡眠の質との関連ははっきりしない。今回、オランダ・エラスムス医療センターのThom S. Lysen氏らがロッテルダム研究で検討したところ、主観的な睡眠の質の低さと認知症リスクの関連は認められなかったという。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2018年5月31日号に掲載。

思春期の双極I型障害における睡眠変動と衝動性の関連

 睡眠障害と衝動性は、双極性障害(BD)の経過を予測する重要な因子である。睡眠障害は衝動性を強めることが示唆されており、これら2つの要因が、BDにおいてどのような相互作用を有するかについての研究は、あまり行われていない。思春期は、BD発症において非常に重要な時期であり、衝動性の増大や実質的な睡眠の変化と関連することが多い。米国・スタンフォード大学のAnda Gershon氏らは、睡眠障害が思春期の衝動性を高めること、その作用がBD患者においてより顕著であるとの仮説の検証を試みた。Bipolar disorders誌オンライン版2018年5月20日号の報告。

80歳以上の収縮期血圧、死亡リスク最低は129mmHg/BMJ

 中国で行われたコミュニティベースの長期前向き試験で、80歳以上の超高齢者では、収縮期血圧値と全死因死亡リスクとの関連はUカーブを示し、収縮期血圧値が129mmHgで同リスクが最低であることが示された。中国疾病管理予防センターのYue-Bin Lv氏らが、同国22省に居住する80歳以上4,658例を対象に行った試験で明らかにし、BMJ誌2018年6月5日号で発表した。Uカーブの関連結果については、収縮期血圧値107~154mmHgを基準に、同値よりも高値では心血管死リスクの上昇が、低値では非心血管死リスクの上昇が関与している可能性があるという。著者は「今回の結果は、超高齢者では高血圧治療が再び重要になり、同年齢群のガイドラインを整備する重要性を強調するものである」とまとめている。

閉経前乳がん術後、卵巣機能抑制の上乗せ効果/NEJM

 閉経前の乳がん患者に対する内分泌療法では、タモキシフェン単独に比べ、タモキシフェン+卵巣機能抑制により、無病生存率と全生存率が改善することが示された。無病生存率はタモキシフェン単独に比べ、エキセメスタン+卵巣機能抑制でも改善が認められた。オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのPrudence A.Francis氏らが、閉経前乳がん患者への内分泌療法について行った2つの無作為化試験、SOFT試験とTEXT試験の最新の結果をまとめたもので、NEJM誌オンライン版2018年6月4日号で発表した。

ウエアラブル技術と遠隔コーチングを用いた家庭での運動療法は、末梢動脈疾患患者の6分間歩行距離を延ばさなかった(解説:佐田政隆氏)-872

現在、循環器疾患患者の生命予後、生活の質を改善するうえで、心臓リハビリテーションが非常に注目されている。末梢動脈疾患患者においても、監視下の運動療法が歩行距離を延ばすことが報告され、ガイドラインでも推奨されている。しかし、そのためには頻回に医療機関に通院しないといけないが、それは遠方在住者や末梢動脈疾患患者にとってはしばしば困難なことである。