日本語でわかる最新の海外医学論文|page:598

スマートウオッチによる自動心房細動検知の精度は?【Dr.河田pick up】

 心房細動の早期検知は、血栓塞栓症を未然に防ぐという観点からも非常に重要である。残念ながら、脳梗塞を契機に心房細動が発見されるということが多い。HolterやZio patchなどのモニターよりも低コストで簡易な携帯心臓モニターは、患者にとっては便利なものである。今回はApple Watchを用いた心臓モニターに関する論文を紹介したい。

抗PD-1/PD-L1抗体薬によるirAE発現のメタ解析/BMJ

 がん治療では、PD-1またはそのリガンドであるPD-L1を標的とする薬剤の使用頻度が増加しつつある。適切な臨床管理には免疫関連有害事象(irAE:臓器特異的免疫関連有害事象、免疫活性化関連の全身性有害事象、筋骨格系の問題と一致する有害事象)の理解が求められるが、これらの発症率は不明であり、予想外の有害事象に関して一貫性のない報告が行われている可能性があるという。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShrujal Baxi氏らは、抗PD-1/PD-L1抗体薬によるirAEの発現状況を調査し、BMJ誌2018年3月14日号で報告した。

ダブラフェニブ・トラメチニブ併用、BRAF変異肺がんに国内承認

 ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:綱場 一成)は2018年3月23日、BRAF阻害薬ダブラフェニブ(商品名:タフィンラー)およびMEK阻害薬トラメチニブ(メキニスト)の併用療法について、BRAF遺伝子変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬として、製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。

白内障手術後の持続性ドライアイ、予測因子は?

 韓国・延世大学校のYoung Joon Choi氏らは、白内障手術後の持続性ドライアイ症状について前向き研究を行い、手術前のドライアイ自覚症状(Ocular Surface Disease Index:OSDI)スコアと、術後1ヵ月時の涙液層破壊時間などの眼パラメータが、白内障手術後持続性ドライアイの予測に重要であることを示した。Cornea誌オンライン版2018年3月14日掲載の報告。

チェリージュースによる不眠症治療とそのメカニズムを研究するためのパイロット研究

 不眠症は高齢者において頻繁に認められ、慢性疾患と関連している。高齢者に対する睡眠薬による不眠症治療は、転倒の発生率を増加させる恐れもある。自己報告質問票では、トリプトファン分解酵素を阻害するモンモランシータルトチェリージュースが不眠症を改善するといわれている。米国・ルイジアナ州立大学のJack N. Losso氏らは、睡眠ポリグラフ検査で睡眠状態を確認し、不眠症治療にトリプトファンが有用であるかについて検討を行った。American journal of therapeutics誌2018年3/4月号の報告。

重症心不全への遠心流ポンプ、2年時も有用性持続/NEJM

 重症心不全患者への埋め込み型補助人工心臓による治療では、完全磁気浮上型遠心連続流ポンプ(HeartMate 3)が機械軸受軸流ポンプ(HeartMate II)に比べ、2年時の臨床アウトカムが良好であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMandeep R. Mehra氏らが進めるMOMENTUM 3試験の2年間のフォローアップで示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年3月11日号に掲載された。遠心流ポンプは、デバイス内血栓症の防止を目的にデザインされた。本試験の早期解析では、6ヵ月時の臨床アウトカムは、遠心流ポンプが軸流ポンプに比べ改善したと報告されている。

1型糖尿病患者の低血糖回避にリアルタイムCGM(Dexcom G5)は有用である(解説:住谷哲氏)-832

インスリン治療を必須とする1型糖尿病患者において低血糖は避けては通れない。健常人の場合、低血糖は動悸や異常な空腹感などの交感神経刺激症状の出現によって自覚されるが、多くの1型糖尿病患者はこの自覚が障害された状態(impaired awareness of hypoglycemia[IAH]:適切な訳語がないのでこのままで使用する)を合併している。低血糖無自覚症(hypoglycemia unawareness)とこれまで呼ばれてきたが、無自覚の程度まで至る患者は少なく、軽度の障害の場合が多いので最近はIAHが用いられることが多い。前向きコホート研究の結果、IAHを合併した患者は合併しない患者に比較して、重症低血糖の頻度が約6倍に増加することが明らかにされている。

血清尿酸値上昇は高LDL-C/高TG血症リスク~日本人コホート研究

 高い血清尿酸(SUA)値は脂質異常症と関連するが、高尿酸血症がLDLコレステロールを増加させるかどうかは不明である。今回、コロラド大学の桑原 政成氏らが行った日本人のコホート研究により、SUA値の上昇が高LDLコレステロールおよび高トリグリセライド血症の発症リスクを増加させたことが初めて報告された。著者らは「この結果は心血管疾患におけるSUAの役割を解明するかもしれない」としている。International Journal of Cardiology誌オンライン版2018年3月13日号に掲載。

僧帽弁閉鎖不全症、死亡率高いが過少治療の傾向:米国/Lancet

 孤立性僧帽弁閉鎖不全症は、地域における死亡を過度に増加させ、診断後の心不全の発生と関連があるにもかかわらず、僧帽弁手術を受けた患者はきわめて少ないことが、米国・メイヨー・クリニックのVolha Dziadzko氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2018年3月10日号に掲載された。僧帽弁閉鎖不全症は世界的に頻度の高い弁病変であり、低侵襲治療デバイスの開発が重視されているが、重篤なアウトカムや治療への満たされない必要性(unmet need)が実際に存在するかは不明だという。

急性脳梗塞の血管内治療は日常診療でも有効か/BMJ

 急性虚血性脳卒中の血管内治療は、無作為化対照比較試験の結果と同様に、ルーチンの臨床診療でも有効かつ安全であることが、オランダ・アムステルダム大学学術医療センターのIvo G. H. Jansen氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2018年3月9日号に掲載された。前方循環系の頭蓋内血管近位部閉塞による急性虚血性脳卒中では、症状発現後6時間以内の血管内治療の有効性と安全性が無作為化試験やメタ解析で示されているが、ルーチンの臨床診療でも既報の無作為化臨床試験と同等の有用性が得られるかは不明であった。

APROCCHSS試験-敗血症性ショックに対するステロイド2剤併用(解説:小金丸博氏)-831

敗血症性ショック患者に対するステロイドの有効性を検討した研究(APROCCHSS)がNEJMで発表された。過去に発表された研究では、「死亡率を改善する」と結論付けた研究(Ger-Inf-05)もあれば、「死亡率を改善しない」と結論付けた研究(CORTICUS、HYPRESS、ADRENAL)もあり、有効性に関して一致した見解は得られていなかった。

双極性うつ病に対する抗うつ薬補助療法による再入院率に関するコホート研究

 双極性うつ病に対し抗うつ薬が広く用いられているが、その有効性や安全性に関するエビデンスは弱い。また、双極性障害に対する抗うつ薬維持療法のリスク・ベネフィット比に関する研究は不十分である。イスラエル・テルアビブ大学のYahav Shvartzman氏らは、抗うつ薬補助療法の有無にかかわらず、気分安定薬や非定型抗精神病薬治療で退院したうつ病エピソードを有する双極I型障害患者の再入院率について比較検討を行った。European neuropsychopharmacology誌2018年3月号の報告。

PCI予定のACSにスタチンのローディング投与は有益か/JAMA

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)による侵襲的管理(確定診断や冠動脈再建術の系統的評価を目的とした冠動脈造影)が予定されている急性冠症候群(ACS)患者に、アトルバスタチンの周術期ローディング投与を行っても、30日主要心血管イベント(MACE)発生率は低下せず、こうした患者へのアトルバスタチンのローディング投与を日常的に使用することは支持されないことが明らかとなった。ブラジル・Research Institute-Heart HospitalのOtavio Berwanger氏らが、同国53施設で実施した多施設無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「SECURE-PCI試験」の結果を報告した。これまで、大規模無作為化臨床試験において、心血管疾患の1次および2次予防としてのスタチンの有効性および安全性は確立されていたが、ACSで侵襲的管理が予定されている患者において、スタチンのローディング投与の臨床転帰への影響は明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2018年3月11日号掲載の報告。

経口フルオロキノロンが大動脈瘤リスク増と関連/BMJ

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のBjorn Pasternak氏らは、スウェーデン国内の登録データを用いたコホート研究を行い、経口フルオロキノロン系抗菌薬の使用が大動脈瘤のリスク増加と関連していることを報告した。フルオロキノロンには、血管壁の細胞外マトリックスの完全性を損なう可能性のある非抗菌的特性があり、最近の研究でフルオロキノロン系抗菌薬が大動脈瘤のリスクを増加させる懸念が高まっていた。BMJ誌2018年3月8日号掲載の報告。

低脂肪食でも低炭水化物食でも減量効果は変わらない(解説:吉岡成人 氏)-830

体重を減らすために有効なのは、低脂肪食なのか、低炭水化物食なのか…、多くの臨床研究が行われ、いまだ意見の一致が得られていない。今回紹介する臨床研究では、肥満者における遺伝子多型と減量の関連に注目し、  今回紹介する臨床研究では、肥満者における遺伝子多型と減量の関連に注目し…………

CVD-REAL2試験、SGLT2阻害薬で心血管リスク低下

 アジア太平洋、中東、北米の6ヵ国の40万例超の2型糖尿病患者を対象としたCVD-REAL試験の新たな解析(CVD-REAL2)により、SGLT2阻害薬投与患者は他の血糖降下薬と比べて、患者特性にかかわらず心血管イベントリスクが低いことが示された。本結果は第67回米国心臓病学会年次学術集会(ACC2018)で発表され、Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2018年3月7日号にも掲載された。