日本語でわかる最新の海外医学論文|page:588

日本人は身長が高いと脳血管死亡リスク低い~JPHC研究

 成人の身長と死亡リスクの関連が以前の研究で示唆されているが、日本人における身長と全死因死亡率・疾患別死亡率との包括的な関連は不明である。今回、わが国の前向きコホート研究(JPHC研究)で評価したところ、成人での身長が高いと、男女共に脳血管疾患死亡リスクが低く、逆に男性のがん死亡リスクが高いことが示唆された。PLOS ONE誌2018年5月14日号に掲載。

軽度~中等度のアルツハイマー病患者における急速な認知機能低下の予測因子

 アルツハイマー病(AD)は、治療や予防手段がなく、進行を遅らせる方法が証明されていない疾患である。ADは、あまり知られていないさまざまな因子に起因する認知機能悪化と関連している。フランス・リモージュ大学のAchille E. Tchalla氏らは、高齢者のAD患者における急速な認知機能低下に関連する要因について検討を行った。Dementia and geriatric cognitive disorders誌オンライン版2018年4月23日号の報告。

心房細動、サイナスになっても 脳梗塞リスク 高いまま/BMJ

 正常洞調律を取り戻し回復した状態(resolved)であると診断された心房細動(AF)患者について、非AF患者と比べると、脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)のリスクは有意に高いままであることが、英国・バーミンガム大学のNicola J. Adderley氏らによる、同国の一般診療所(GP)で集められたデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。リスクの増大は、再発の記録がなかった患者でも認められたという。AFは明らかな回復後も再発の可能性があるが、そのような患者で脳卒中/TIAリスクの増大が認められるのかは明らかになっておらず、ガイドラインでも、同患者に関する治療は明示されていない。BMJ誌2018年5月9日号掲載の報告。

認知症の薬はいったいいつできるのか? バプティスト史観から(解説:岡村毅氏)-855

本論文はメルク社の研究チームからの直球の論文である。アルツハイマー型認知症の病理の中核にアミロイドがあるが、それをつくる酵素(BACE)の阻害薬を軽度から中等度のアルツハイマー型認知症の方に投与したが、効果はみられなかったというものだ。

エピシルが化学療法や放射線療法の口内炎の口腔内疼痛を緩和/Meiji Seikaファルマ

 Meiji Seikaファルマ株式会社は2018年5月16日、局所管理ハイドロゲル創傷被覆・保護材エピシル口腔用液(以下、エピシル)の販売を開始した。  エピシルは口腔内病変の被覆および保護を目的とする非吸収性の液状機器。口腔粘膜にエピシル適量を適用すると数分以内に口腔粘膜の水分を吸収してゲル状になり、物理的バリアを形成することにより、化学療法や放射線療法に伴う口内炎で生じる口腔内疼痛を管理および緩和する。

うつ病に関する理解とスティグマの調査

 うつ病による負荷は、世論、スティグマ、そしてその結果として生じる行動から影響を受ける。うつ病患者やその周囲に関する知識の欠如、誤解、スティグマは、彼らのメンタルヘルスを改善するうえで障壁となっている。筑波大学の横谷 省治氏らは、うつ病に関する世論、とくに認知、治療法、スティグマについて調査を行った。Journal of clinical medicine research誌2018年3月号の報告。

握力が5kg低いと全死亡リスクが2割高い/BMJ

 握力と健康アウトカムの関連が指摘されている。英国・グラスゴー大学のCarlos A. Celis-Morales氏らは、UK Biobankのデータを解析し、握力は全死因死亡のほか、心血管疾患、呼吸器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がんの発生やこれらの疾患による死亡と関連し、従来の診察室ベースのリスク因子に加えると、死亡や心血管疾患の予測能を改善することを明らかにした。研究の成果は、BMJ誌2018年5月8日号に掲載された。筋機能が低下するほど、死亡率や罹患率が増加することが多くの研究で示されている。また、低い握力は不良な健康アウトカムの範囲の拡大と関連し、年齢や性別に握力測定を加えると、死亡の予測能が強化されることが報告されている。

執刀医別の術後死亡率公表は臨床成績に影響するか?/BMJ

 待機的大腸がん手術について、外科医ごとの術後90日死亡率の公表制度を導入しても、リスクを回避するような臨床行動やデータの不正操作(gaming)に結びつくというエビデンスは認められなかった。一方で、導入後に90日死亡率の有意な低下がみられたという。英国・イングランド王立外科医師会のAbigail E. Vallance氏らによる、住民ベースのコホート研究の結果で、BMJ誌2018年5月2日号で発表された。病院レベルのアウトカムデータの公表は、質の改善を推進することが示唆されている。個々の外科医のアウトカム公表の導入については意見が分かれている状況で、心臓手術についてのみ、米国の大半において検討されている。

8種類の抗てんかん薬における主要な先天性奇形リスク比較のコホート研究

 抗てんかん薬による催奇形リスクを比較したエビデンスは不十分であり、とくに投与量に関連したエビデンスが不足している。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のTorbjorn Tomson氏らは、抗てんかん薬の先天性奇形の発症頻度を比較するため、単剤療法で最も一般的に使用される8種類の抗てんかん薬について検討を行った。The Lancet. Neurology誌オンライン版2018年4月18日号の報告。

抗微生物薬適正使用の手引き改正へ向けて

 2018年5月14日、第4回の抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(座長:大曲 貴夫氏[国立国際医療研究センター病院国際感染症センター長])が、厚生労働省で開催され、「抗微生物薬適正使用の手引き」の改正の方向性の確認、改正内容の検討が行われた。今後、数度の部会での検討を経たうえで、薬剤耐性(AMR)に関する小委員会および厚生科学審議会感染症部会で審議、発表される。なお、発表時期は未定。

水分摂取増やしても、CKDの進行抑制できず/JAMA

 成人の慢性腎臓病(CKD)患者において、飲水量の増加を指導しても、通常の飲水量を維持するよう指導した場合と比較し、1年後の腎機能低下に有意な影響は認められなかった。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のWilliam F. Clark氏らが行った無作為化試験「CKD WIT(Chronic Kidney Disease Water Intake Trial)」の結果、明らかになった。これまで、観察研究では飲水量の増加が良好な腎機能と関連することが示唆されていたが、飲水量の増加がCKD患者にとって有益かどうかについては不明であった。JAMA誌2018年5月8日号掲載の報告。

心房細動の発症、リスク1つでも明らかに上昇/BMJ

 心房細動の生涯リスクは、指標年齢(55歳、65歳および75歳)にかかわらず、リスク因子を有していない場合で約5分の1、1つ以上のリスク因子があると約3分の1強に上昇することが、米国・ボストン大学のLaila Staerk氏らによるフラミンガム心臓研究を基にした解析の結果、明らかにされた。これまで、心房細動の生涯リスクは40歳以上で約4分の1と推定されてきた。心房細動の短期的なリスク因子は確立されているが、リスク因子の負荷が心房細動の生涯リスクにどれほど影響するかは不明であった。結果を踏まえて著者は、「心房細動の疾病負担を減らす予防的な取り組みは、修正可能な境界域および明らかなリスク因子を目標とし、複数の併存疾患を考慮すべきであろう」と述べている。BMJ誌2018年4月26日号掲載の報告。

オセルタミビル10代への使用制限解除へ

 2018年5月16日、厚生労働省は「抗インフルエンザウイルス薬の安全対策」を議題に、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開催した。主な論点は、抗インフルエンザ薬と異常行動に関する安全対策措置について、2007年からオセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)のみに適用されている、10代への原則使用差し控え措置についてなど。

慢性疼痛治療ガイドラインが発刊

 2018年3月、痛みに関連する7学会のメンバーが結集し作り上げた「慢性疼痛治療ガイドライン」(監修:厚生労働行政推進調査事業費補助金慢性の痛み政策研究事業「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究」研究班、編集:慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ*)が発刊された。

自殺リスク患者に対するesketamine鼻腔内投与の有効性、安全性に関する二重盲検ランダム化比較試験

 自殺リスク患者において、標準治療にesketamine鼻腔内投与を追加した際の、抑うつ症状の急速軽減効果について、米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのCarla M. Canuso氏らが、検討を行った。併せて、自殺リスクについても検討を行った。The American journal of psychiatry誌オンライン版2018年4月16日号の報告。