日本語でわかる最新の海外医学論文|page:409

好きな医療系漫画ランキング、あなたのお気に入りはありますか?

 最近、医療現場のリアルを描いた医療系漫画が注目され、話題作が次々と映像化されている。では、実際の医師はどんな医療系漫画を好んで読むのだろうか。  ケアネットでは、会員医師に協力いただき、好きな医療系漫画についてのアンケートを実施した。2020年9月17日~10月2日に1,600名を対象として、今年に入ってから医療系漫画を1冊以上読んだかどうかを聞き、「はい」と回答した方に好きな作品や印象的なエピソードなどを聞いた。

臨床試験の利益相反、研究者の理解に大きなばらつき/BMJ

 臨床試験に関連する利益相反とは何か、どのような場合にそれを報告すべきかについての研究者の理解には、かなりのばらつきがあり、非営利的な金銭的利益相反(政治的な意図を持つ政府系医療機関による試験への資金提供など)の重大さを認識しつつも、その報告と管理は困難と考える研究者もいることが、デンマーク・オーデンセ大学病院のLasse Ostengaard氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年10月27日号で報告された。営利組織からの資金提供と、著者の金銭的な利益相反は、統計学的に有意な結果や好意的な結論の報告の頻度が高いことと関連する。また、利益相反は、試験のデザインや運営、解析、報告の仕方に影響を及ぼす可能性があるとの懸念が広まっている。利益相反が、試験の特定のデザインの特徴やバイアス、問題を最小化するための管理戦略に及ぼす適切でない影響に関連するメカニズムは、十分には理解されていないという。

PCI後チカグレロルvs.クロピドグレル、NACEリスク差は?/JAMA

 日常臨床で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた急性冠症候群(ACS)患者の抗血小板療法において、チカグレロルとクロピドグレルには、1年後の純臨床有害事象(NACE、虚血性イベント+出血性イベント)のリスクに差はないことが、韓国・亜洲大学校のSeng Chan You氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月27日号で報告された。欧米の現行のガイドラインは、主に単一の大規模な無作為化臨床試験(PLATO試験)に基づき、ACS患者への優先的なP2Y12阻害薬としてチカグレロルを推奨しているが、PLATO試験では北米やアジアの患者におけるチカグレロルの有益性は明確ではなく、薬剤誘発性の呼吸困難や出血イベントなどの問題が残されている。また、最近の観察研究の結果からは、日常臨床においてチカグレロルはクロピドグレルに比べ良好な転帰をもたらすとの見解に疑問が投げ掛けられているという。

双極性障害とうつ病患者の白質異常と認知機能との関係

 近年、うつ病患者と双極性障害患者の白質線維の整合性(white matter integrity)を比較した拡散テンソル画像(DTI)の研究数が増加している。しかし、両疾患の白質異常の違いを調査した研究はあまりない。広島大学の増田 慶一氏らは、白質異常と認知機能との関係を調査するため、全脳トラクトグラフィーを用いて、健常対照者と寛解期うつ病患者および双極性障害患者の白質線維の整合性を包括的に評価した。Brain and Behavior誌オンライン版2020年10月3日号の報告。

マンモ検診開始、40歳への引き下げは乳がん死を減少/Lancet Oncol

 40代から始めるマンモグラフィ検診の乳がん死への効果について、英国で行われた無作為化試験「UK Age試験」の最終結果が、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のStephen W. Duffy氏らにより公表された。40歳または41歳という、より若い年齢から始める毎年のマンモグラフィ検診は、乳がん死の相対的な減少と関連していることが示されたという。フォローアップ10年以降は有意差がみられなくなっていたが、絶対的減少は変わらなかった。結果を踏まえて著者は、「スクリーニング開始年齢を50歳から40歳に引き下げることは、乳がん死を減少すると思われる」とまとめている。Lancet Oncology誌2020年9月号掲載の報告。  研究グループは、40~48歳時のマンモグラフィ検診の乳がん死への影響を推定する無作為化試験を行った。英国全土にわたる23ヵ所の乳がん検診施設で被験者を募り、39~41歳の女性を、一般医(GP)で層別化して1対2の割合で無作為に介入群と対照群に割り付けた。

COVID-19に対する中和抗体LY-CoV555の有効性は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の外来患者へのSARS-CoV-2の中和抗体LY-CoV555投与について、2,800mg用量ではウイルス量を減少することが認められたが、他の用量では有効性が確認されなかった。米国・シダーズ・サイナイ医療センターのPeter Chen氏らが、進行中の第II相試験「Blocking Viral Attachment and Cell Entry with SARS-CoV-2 Neutralizing Antibodies trial:BLAZE-1試験」で事前に計画された中間解析(2020年9月5日現在)の結果を報告した。COVID-19は、多くの患者では軽症であるが、重症化し生命を脅かす可能性もある。ウイルス中和モノクローナル抗体は、ウイルス量を減らし、症状を改善し、入院を防ぐと予測されている。NEJM誌オンライン版2020年10月28日号掲載の報告。

内在性制御性T細胞、腎移植後の免疫抑制療法の減少を可能に/BMJ

 内在性制御性T細胞(nTreg)の自家移植は、腎移植を受け免疫抑制された患者においても安全で実施可能である。ドイツ・シャリテ大学のAndy Roemhild氏らが、単施設における医師主導型nTreg用量漸増第I/IIa相臨床試験「ONEnTreg13試験」の結果を報告した。前臨床研究では、nTregが固形臓器移植後または移植片対宿主病(GVHD)後の移植片拒絶反応を遅延または防止し、in vivoにおいて養子移入後、生物学的薬剤や先進治療製剤による自己免疫や好ましくない免疫原性を制御する力があることが示されている。しかし、nTregによる養子細胞治療を広く実施するには、容易で堅実な製造方法、過剰な免疫抑制のリスク、標準治療薬との相互作用、安全性と有効性をモニタリングするバイオマーカーなど、実装に関連するさまざまな課題があった。BMJ誌2020年10月21日号掲載の報告。

術前療法を受けたHER2+乳がんの術後療法でのDS-8201、第III相試験開始/第一三共・AZ

 第一三共とアストラゼネカは11月4日、トラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ、開発コード:DS-8201)について、術前療法後に浸潤性残存病変を有する再発リスクの高いHER2陽性の乳がん患者を対象とした第III相試験(DESTINY-Breast05)を北米、欧州、アジアで開始したと発表した。  本試験は、術前療法を経た手術後に乳房または腋窩リンパ節に浸潤性残存病変を有するHER2陽性乳がん患者のうち、再発リスクが高い患者を対象とした本剤とT-DM1を直接比較する第III相試験。有効性の主要評価項目は無浸潤疾患生存期間(IDFS)、安全性の評価項目は有害事象などで、最大1,600例を登録予定である。

「抗菌薬は風邪に効果あり」の誤認識、若年・高齢層でいまだ多く

 11月は「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」である。今年は年初から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生・流行があったが、いま一度、抗菌薬および抗生物質の適切な認識と使用について考える契機としたい。国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターが先月取りまとめたインターネット調査の結果によると、10代・60代の7割および20代の6割近くが、抗菌薬・抗生物質は風邪に「効果がある」と誤って認識していることがわかった。一方、風邪症状で医療機関を受診した4割が抗菌薬を処方されており、回答者全体の2割が、風邪で今後受診する際に抗菌薬の処方を希望していることも明らかになった。  本調査は、抗菌薬・抗生物質および薬剤耐性について、一般の人がどう認識しているのかを把握し、問題点と今後の取り組みの方向性を提示することを目的に、2020年8月、全国の10~60歳代以上の男女700人を対象に、インターネット上で行われた。

COVID-19、エクソソームによる予防と治療の可能性/日本癌治療学会

 10月に行われた第58回日本癌治療学会学術集会において、医療のさまざまな場面で活用されることが急増するリキッドバイオプシーの現状について、「目を見張る進歩をきたしたリキッドバイオプシー」とのテーマでシンポジウムが行われた。この中で東京医科大学の落谷 孝広氏(分子細胞治療研究部門)は「エクソソームによる新型コロナウイルス感染症の予防と治療」と題し、発表を行った。  エクソソームとは、細胞から分泌される直径50~150nm程度の物質で、表面には細胞膜由来の脂質やタンパク質、内部には核酸(マイクロRNA、メッセンジャーRNA、DNAなど)やタンパク質など細胞内の物質を含み、細胞間の情報伝達の役割を担うとされる。近年の研究においては、がん細胞由来のエクソソームが、がんの転移に深く関わることも明らかになっている。

COVID-19流行下の仕事再開期におけるメンタルヘルス問題の調査

 中国・大連医科大学のYuan Zhang氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下の仕事再開期における不安症、うつ病、不眠症に影響を及ぼす因子について調査を行った。Journal of Psychosomatic Research誌2020年11月号の報告。  中国・山東省で2020年3月2日~8日に、割当抽出法(quota sampling)と機縁法(snowball sampling)を組み合わせた多施設横断調査を実施した。不安症、うつ病、不眠症の評価には、それぞれ全般性不安障害尺度(GAD-7)、こころとからだの質問票(PHQ-9)、不眠症重症度指数(ISI)を用いた。影響を及ぼす因子を調査するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。

COVID-19回復者血漿療法は有益か/BMJ

 インドで行われた第II相多施設共同非盲検無作為化試験の結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)回復期患者の血漿を用いた治療は、COVID-19の重症化や全死因死亡の抑制と関連しないことが、インド・Indian Council of Medical ResearchのAnup Agarwal氏らにより報告された。2020年10月現在、COVID-19回復期血漿療法に関しては、複数の小規模ケースシリーズと1つの大規模観察試験(3万5,000例超)および3つの無作為化試験が発表されている。観察試験では臨床的有益性が示唆されたが、試験は早期に中止され、また死亡への有益性を確認することはできていなかった。BMJ誌2020年10月22日号掲載の報告。

独裁主義は国民の健康アウトカムに悪影響/BMJ

 国の政治的特性として、自由・公平な選挙制度、市民団体や政治結社の自由、表現の自由といった民主主義的特性が薄れ、そうした点への規制や統制が強い独裁主義的特性が増すと、国民の推定平均余命、効果的な医療サービスを受ける機会および医療費の自己負担は、悪化するとの研究結果が示された。トルコ・Bilkent UniversityのSimon Wigley氏らが、136ヵ国を対象に行った検討で明らかにしたもので、BMJ誌2020年10月23日号で発表した。健康の政治的決定要因に関するこれまでの研究では、民主主義の全体的な質が、医療費や医療サービスの提供および国民の健康アウトカムに与える影響に視点が置かれていた。研究グループは、「しかし現在、民主主義的特性の大幅な増大(民主化)よりも大幅な減少(独裁化)を経験している国が少なくない」として、国の独裁化と健康アウトカムの関連を調べる検討を行ったという。

乳がんでの免疫チェックポイント阻害薬の臨床開発はかなり複雑/日本癌治療学会

 2020年の乳がん診療におけるトピックスの1つとして、トリプルネガティブ(TN)乳がんに対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の第III相試験の結果が多く発表されたことが挙げられる。しかし、これらの結果にはまだまだ未知の要因が関係しており、その理解はかなり複雑である。福島県立医科大学の佐治 重衡氏は、乳がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の試験結果によるディスカッションポイントについて、第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)の会長企画シンポジウムにおける「乳癌診療の新たな構築 2020」で解説した。  乳がんでは腫瘍遺伝子変異量(TMB)が少ないとされ、免疫チェックポイント阻害薬への期待は高くはなかった。しかし、2019年にPD-L1陽性進行/再発TN乳がんに対するアテゾリズマブ+nabパクリタキセルが承認され、今後、ペムブロリズマブもKEYNOTE-355試験の結果を基にPD-L1陽性進行/再発TN乳がんに承認される可能性が高い。今回、佐治氏は、乳がんにおける免疫チェックポイント阻害薬治療でのディスカッションポイントとして、早期乳がんと進行/再発乳がんで免疫チェックポイント阻害薬の効果が異なる点、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせる化学療法によって異なる点を挙げ、それぞれ解説した。

消化性潰瘍の予防法が明確に-『消化性潰瘍診療ガイドライン2020』

 消化性潰瘍全般の国内有病率は減少傾向を示す。しかし、NSAIDs服用患者や抗凝固薬、抗血小板薬服用患者の潰瘍罹患率は増加の一途をたどるため、非専門医による予防対策も求められる。これらの背景を踏まえ、今年6月に発刊された『消化性潰瘍診療ガイドライン2020』(改訂第3版)では、「疫学」と「残胃潰瘍」の章などが追加。また、NSAIDs潰瘍と低用量アスピリン(LDA:low-dose aspirin)潰瘍の予防に対するフローチャートが新たに作成されたり、NSAIDsの心血管イベントに関する項目が盛り込まれたりしたことから、ガイドライン作成委員長を務めた佐藤 貴一氏(国際医療福祉大学病院消化器内科 教授)に、おさえておきたい改訂ポイントについてインタビューを行った(zoomによるリモート取材)。

安定期双極性障害患者の再発率に対する継続的な薬物治療の影響~メタ解析

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、双極性障害患者に対し抗精神病薬や気分安定薬を中止した場合と継続した場合の再発率を比較するため、二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のランダム効果モデルメタ解析を実施した。Psychological Medicine誌オンライン版2020年10月13日号の報告。  2020年5月22日までに報告された研究を、言語制限なしで、Embase、PubMed、CENTRALデータベースよりシステマティックに検索した。独立した研究者が研究を評価し、データを抽出した。リスク比(RR)と有用性または有害性の治療必要数(NNTB/NNTH)を算出した。主要アウトカムは、6ヵ月時点での気分エピソードの再発率とした。副次的アウトカムは、抑うつエピソードおよび躁状態/軽躁状態/混合性エピソードの再発率、6ヵ月時点でのすべての原因による中止とした。また、これらのアウトカムの評価は、1、3、9、12、18、24ヵ月目に行われた。

praliciguat、HFpEF患者の最高酸素摂取量を改善せず/JAMA

 左室駆出率(LVEF)の保たれた心不全(HFpEF)患者の治療において、経口可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬praliciguatはプラセボに比べ、全身持久力の指標である最高酸素摂取量(peak VO2)を改善せず、6分間歩行検査(6-MWT)距離や換気効率にも有意な差はないことが、米国・タフツ医療センターのJames E. Udelson氏らが行った「CAPACITY HFpEF試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月20日号で報告された。HFpEFは、一般に一酸化窒素(NO)の欠乏で特徴付けられ、NO-sGC-サイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)のシグナル伝達経路の増強は、HFpEFの治療標的となる可能性があるという。

lirentelimab、好酸球性胃炎・十二指腸炎に有効な可能性/NEJM

 好酸球性胃炎または好酸球性十二指腸炎の患者の治療において、lirentelimab(AK002)はプラセボに比べ、消化管の好酸球数を減少させ、症状を軽減するが、infusion-related reaction(輸注反応)の頻度が高いことが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のEvan S. Dellon氏らが行った「ENIGMA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年10月22日号で報告された。好酸球性の胃炎・十二指腸炎は、消化管粘膜の好酸球増多、慢性症状、QOL低下を特徴とし、適切な治療法は確立されていない。その病因には、マスト細胞の活性化が寄与している可能性があるとされる。AK002は、抗シアル酸結合免疫グロブリン様レクチン8(Siglec-8)抗体であり、好酸球を減少させ、マスト細胞の活性化を阻害する。動物モデルでは、好酸球性胃炎・十二指腸炎の治療薬となる可能性が示されている。

筋電図バイオフィードバックは女性尿失禁に対する骨盤底筋訓練に有効なのか?:多施設共同研究(解説:宮嶋哲氏)-1313

無意識に行われている体内状態を適切な計測器によって測定し、その情報を画像や音の形で自身が意識できるよう呈示することにより、従来制御することが不可能であると考えられてきた体内の諸機能を意識的に制御することが可能であることがわかってきた。人体における意識にのぼらない情報を工学的な手段によって視聴覚等で感知させ意識上にフィードバックすることにより、体内状態を意識的に希望する方向へ調節する技術や訓練をバイオフィードバックと呼び、現在、さまざまな疾患において用いられている。

がん診療病院でのCOVID-19クラスター、その教訓は/日本癌治療学会

 市中感染が広がる状況下では、感染者が院内に入り込む可能性や病院内感染発生のリスクが常にある。リスクをいかに減らし、万が一予期せぬ感染者が発覚した場合にどのような対応が必要か、がん診療をどのように維持していけばよいのか。第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で、「COVID-19蔓延期の癌治療―体験と教訓―」と題した会長企画シンポジウムが開かれ、がん診療を担う病院での今春からの経験、実施している対策が相互に共有された。本稿では、加藤 秀則氏(北海道がんセンター)、佐藤 悠城氏(神戸市立医療センター中央市民病院)による発表内容を中心に紹介する。