日本語でわかる最新の海外医学論文|page:290

オミクロン株優勢下、小児~青少年でも追加接種が必要か/JAMA

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のオミクロン変異株が優勢な時期に、年齢5~15歳の小児・青少年では、BNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の2回接種後の推定有効率は高くなく(約60%)、その後2ヵ月後までに急速な低下が認められたが、12~15歳では3回目の追加接種により上昇に転じたことが、米国・疾病予防管理センター(CDC)のKatherine E. Fleming-Dutra氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年5月13日号で報告された。  研究グループは、オミクロン変異株優勢期の小児および青少年における症候性SARS-CoV-2感染症とBNT162b2ワクチン接種との関連を評価し、当ワクチンの有効率を推定する目的で、検査陰性者を対照とする症例対照研究を行った(米国・CDCの助成を受けた)。

オミクロン含む2価ワクチン、秋までに国内提供予定/モデルナ

 2022年5月27日、モデルナ・ジャパンはメディアセミナー「mRNAワクチンの革新と使命~最新エビデンスとパイプラインから~」を開催した。  セミナーでは、モデルナ チーフメディカル・オフィサー(CMO、最高医療責任者)ポール・バートン氏が、開発中の2価ワクチンや今後のmRNAワクチンの展望について説明した。  SARS-CoV-2が急速に変化し新しい変異株が出現するなか、ワクチンの感染予防効果が経時的に減弱することを踏まえると、定期的なワクチン追加接種による効果の回復が望まれる。バートン氏は、モデルナの既存ワクチン・スパイクバックスの4回目接種による予防効果を示したうえで、より広い免疫を確保できる可能性があるワクチンとして、開発中の2価ワクチンを紹介した。

米国における片頭痛治療開始患者に対するフレマネズマブの有効性

 成人の片頭痛予防に承認されている、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を選択的標的としたヒト化モノクローナル抗体(IgG2Δa)フレマネズマブの有効性および忍容性は、ランダム化二重盲検比較プラセボ対照試験で実証されている。リアルワールドでのデータはこれら臨床試験のデータを支持しており、フレマネズマブの臨床的ベネフィットは明らかになっている。オランダ・Teva PharmaceuticalsのMaurice T. Driessen氏らは、実臨床診療に従って治療された成人片頭痛患者の臨床アウトカム改善に対するフレマネズマブの有効性を評価するため、チャートレビューを実施した。その結果、実臨床において、投与レジメンや過去の片頭痛予防治療の失敗数にかかわらず、最大6ヵ月間のフレマネズマブ治療の有効性が確認されたことを報告した。The Journal of Headache and Pain誌2022年4月11日号の報告。

日本人統合失調症患者におけるQOLと臨床的要因の関係

 徳島・城南病院のYoshimune Ishii氏らは、統合失調症入院患者におけるQOLと臨床的要因の関係を明らかにするため検討を行った。その結果、抑うつ症状の治療が統合失調症入院患者の主観的QOLの改善に影響を及ぼす可能性が示唆された。The Journal of Medical Investigation誌2022年1.2号の報告。  対象は、統合失調症入院患者50例(平均年齢:56.48±11.93歳)。主観的QOLの評価には、統合失調症QOL尺度日本語版(JSQLS)および主観的ウェルビーイング評価尺度短縮版-日本語版(SWNS-J)を用い、認知機能の評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)-日本語版を用いた。うつ症状の重症度、精神症状、薬物誘発性錐体外路症状の評価には、それぞれ、カルガリー統合失調症用抑うつ症状評価尺度日本語版(JCDSS)、簡易精神症状評価尺度(BPRS)、薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)を用いた。JSQLSおよびSWNS-Jに影響を及ぼす因子を特定するため、段階的回帰分析を実施した。

ワクチンはlong COVIDに有効か/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)におけるlong COVID(罹患後症状、いわゆる後遺症)の発現は、COVID-19ワクチンの登場以降に減少し、2回目の接種後は少なくとも約2ヵ月にわたり持続的な改善が得られることが、英国・国家統計局のDaniel Ayoubkhani氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2022年5月18日号に掲載された。  研究グループは、COVID-19ワクチン接種前に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した成人において、ワクチン接種とlong COVIDの症状の関連を評価する目的で、地域住民ベースの観察研究を実施した(特定の研究助成は受けていない)。

オンデキサ発売、国内初の直接作用型第Xa因子阻害剤中和剤/アレクシオンファーマ・アストラゼネカ

 アストラゼネカは5月25日付のプレスリリースで、アレクシオンファーマが製造販売承認を取得したオンデキサ静注用 200mg(一般名:アンデキサネット アルファ[遺伝子組換え]、以下:オンデキサ)の販売を開始したことを発表した。  直接作用型第Xa因子阻害剤は、血栓が形成されないよう血液の凝固を防ぐ一方で、生命を脅かす重大な出血のリスクを高める可能性がある。しかし、大出血を起こした直接作用型第Xa因子阻害剤を服用している患者に対して中和剤はこれまでなく、高いアンメットニーズが存在していた。

nAMD/DME治療薬、バビースモ発売/中外製薬

 中外製薬株式会社は5月25日付のプレスリリースで、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)および糖尿病黄斑浮腫(DME)の治療薬であるバビースモ硝子体内注射液120mg/mL(一般名:ファリシマブ[遺伝子組換え])の販売を開始したことを発表した。  バビースモは、眼科領域における初のバイスペシフィック抗体であり、血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)およびアンジオポエチン-2(Ang-2)の働きを阻害することでnAMD、DMEに関与する2つの疾患経路を阻害し、視力を改善する作用を持つ。

アルツハイマー病の脆弱性と出生した季節との関係

 愛知・国立長寿医療研究センターの安野 史彦氏らは、高齢のアルツハイマー病(AD)患者において、患者の出生した季節がADの病理学的脆弱性に及ぼす影響を評価するためPETを用いた検討を行った。その結果、秋冬に出生した人は、春夏に出生した人と比較し、タウ蓄積が少ないことが明らかとなった。これは、秋冬に出生した人のタウ病理に対する脆弱性を示唆しており、寒い季節関連のリスク因子による周産期または出生後の脳損傷が影響している可能性があるという。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年4月26日号の報告。

機械学習でアルコール使用障害の再発リスクを予測

 機械学習により治療終了後に再発するリスクの高いアルコール使用障害(AUD)患者を特定できる可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。米イェール大学医学部精神医学分野のWalter Roberts氏らが実施したこの研究の詳細は、「Alcoholism: Clinical and Experimental Research」に4月14日掲載された。  AUDに対する治療は再発率が高く、多くの患者が治療中や治療後に大量のアルコール飲料を摂取してしまう。そのため、特に重度のAUD患者では、長期にわたる禁酒を成功させるまでに、繰り返し治療を受けることも珍しくない。AUDの再発は、医療費にかける負担が大きいだけでなく、患者の治療に対する意欲を損なう。過去の研究では、治療アウトカムと関連するAUD患者の特徴が特定されているが、これらを体系的に活用して臨床的アウトカムの予測を試みた研究は少ない。

小児期の心血管リスク因子、中年期の心血管イベントと関連/NEJM

 心血管リスク因子であるBMI、収縮期血圧、総コレステロール値、トリグリセライド値および若年期喫煙は、とくに幼少期からの組み合わせで、成人期の心血管イベントおよび60歳前の心血管死と関連することが、米国・ミネソタ大学のDavid R. Jacobs Jr氏らによるInternational Childhood Cardiovascular Cohort(i3C)コンソーシアムの前向きコホート研究の結果、示された。小児期の心血管リスク因子は潜在的な成人期の心血管疾患を予測するが、臨床イベントとの関連は明らかになっていなかった。NEJM誌2022年5月19日号掲載の報告。

膀胱がん摘除術後の生存・回復、ロボット支援 vs.開腹術/JAMA

 根治的膀胱摘除術を受けた転移のない膀胱がん患者において、体腔内尿路変向術(ICUD)を伴うロボット支援根治的膀胱摘除術(RARC)は開腹膀胱全摘除術(ORC)と比較し、術後90日間の生存および入院不要の院外療養日数を統計学的に有意に増加することが、英国・シェフィールド大学のJames W. F. Catto氏らによる医師主導型多施設共同第III相無作為化非盲検試験「iROC試験」の結果、示された。近年、RARCの実施頻度が増加しているが、ORCと比較して回復を改善するかどうかは不明であった。なお著者は、「今回示された両群の差については、臨床的意義があるかどうかまだ不確かである」と述べている。JAMA誌オンライン版2022年5月15日号掲載の報告。

オゼンピック皮下注の複数回使用製剤、新発売/ノボ ノルディスク ファーマ

 ノボ ノルディスク ファーマは、2022年5月25日、2型糖尿病を効能・効果とする週1回投与のGLP-1アナログ製剤「オゼンピック皮下注2mg」の販売を開始した。オゼンピック皮下注2mgは、従来からインスリン製剤等に使用されているペン型注入器「フレックスタッチ」と同様の構造であり、投与に際してはA型専用注射針(30~34G)を使用する。  オゼンピック皮下注については、2020年6月29日に単回投与デバイスを用いた同0.25mg SD、同0.5mg SDおよび同1.0mg SDが発売されている。しかし、2022年3月中旬頃から日本において出荷停止となっていた。オゼンピック皮下注 SDが出荷停止となったことに伴い、医療機関では代替薬への切り替えが行われていた。このような中、用量調節が可能な複数回使用製剤であるオゼンピック皮下注2mgが発売されることとなった。

アテゾリスマブの非小細胞肺がん術後補助療法が承認/中外

 中外製薬は2022年5月26日、アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)について、「PD-L1陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」に対する適応追加の承認を取得した。  PD-L1発現状況の確認は、ロシュ・ダイアグノスティックスの病理検査用キット「ベンタナ OptiView PD-L1(SP263)」によって行う。同検査用キットはコンパニオン診断として2022年5月23日に適応追加の承認を取得している。

4回目接種・ノババックスなど追記、接種実施の手引き8版/厚生労働省

 厚生労働省は、5月25日に全国の市町村に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(8版)」を発出するとともに、同省のホームページでも公開した。本手引きは2020年12月17日の初版以来、十数回の更新を行い、その時どきの臨床知見、行政施策を反映した内容に改訂されている。 〔第2章 接種類型等〕 第2章3、第3章3(12)、第5章、第7章3 ・4回目接種について追記 第2章4(2)ク ・各ワクチンの接種機会の確保について更新 第2章5 ・ワクチンの契約状況について更新 ・ワクチンの有効期限について事務連絡の日付を更新し、記載を一部追記 第2章5 ・図3 新型コロナワクチンの各社情報を更新

双極I型障害における抗うつ薬治療と躁転リスク

 双極性障害の治療において、症状転換は臨床的な問題になることが多い。実臨床では、双極性うつ病の治療に抗うつ薬が用いられることがあるが、そのベネフィットについては議論の余地が残っている。これまで双極性うつ病の躁転に焦点を当てた遺伝子研究はほとんど行われておらず、ゲノムワイド関連解析(GWAS)はなかった。台湾・Chang Gung Memorial HospitalのChih-Ken Chen氏らは、双極I型障害の躁転リスクに対するゲノム研究と抗うつ薬の影響について調査を行った。その結果、抗うつ薬治療とrs10262219は、複合的に双極性うつ病後の躁転リスクを増加させることを報告した。Journal of Personalized Medicine誌2022年4月11日号の報告。

食道がんに対するニボルマブ+イピリムマブとニボルマブ+化学療法が承認/小野薬品・BMS

 小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年5月26日、ニボルマブとイピリムマブについて、根治切除不能な進行・再発の食道がんを対象とした併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。  また小野薬品は、ニボルマブについて、同適応症に対してニボルマブと化学療法との併用療法に係る一部変更承認も取得した。  今回の承認は、治療歴のない切除不能な進行性、再発または転移のある食道扁平上皮がん患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法およびニボルマブと化学療法の併用療法を、化学療法と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相試験であるCheckMate-648試験の結果に基づいている。

RCTでの有害事象の可視化、どんなグラフが有効か/BMJ

 臨床試験の有害事象の伝達において、グラフ化(可視化)は強力なツールであり従来の頻度表に代わる他の視点を提供し、臨床試験の報告書で有害事象の可視化の使用が増加することよって、明確な情報の提示とより有益な解釈が可能となる。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのRachel Phillips氏らが、有害事象を視覚的に提示するための推奨事項を作成するコンセンサス研究の結果を報告した。有害事象のデータは複雑であるが、可視化は安全性プロファイルを明確にし、潜在的な副作用の特定に役立つ可能性がある。著者は、「デシジョンツリーは可視化の選択を補助するが、最終的には統計学者および臨床試験チームがそのデータと目的に最適な可視化を決定しなければならない」と述べている。BMJ誌2022年5月16日号掲載の報告。

高リスクIgA腎症への経口ステロイドで転帰改善、用量は?/JAMA

 高リスクIgA腎症患者において、経口メチルプレドニゾロンによる6~9ヵ月の治療は、プラセボと比較して、腎機能低下・腎不全・腎疾患死亡の複合アウトカムのリスクを有意に低下させた。ただし、経口メチルプレドニゾロンの高用量投与では、重篤な有害事象の発現率が増加した。中国・北京大学第一医院のJicheng Lv氏らが、オーストラリア、カナダ、中国、インド、マレーシアの67施設で実施された多施設共同無作為化二重盲検比較試験「Therapeutic Effects of Steroids in IgA Nephropathy Global study:TESTING試験」の結果を報告した。本試験は、重篤な感染症が多発したため中止となったが、その後、プロトコルが修正され再開されていた。JAMA誌2022年5月17日号掲載の報告。

標準治療にアビラテロンの上乗せ効果、転移性ホルモン感受性前立腺がんで有効(解説:宮嶋哲氏)

転移性ホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)に対する現在の標準治療は、アンドロゲン除去療法(ADT)にドセタキセルや第2世代抗アンドロゲン薬、もしくは放射線治療の併用である。本研究は標準治療にアビラテロンを追加する意義を検討した多施設ランダム化第III相試験(PEACE-1)である。欧州7ヵ国における77施設において、ECOG PSが0~2でde novo mHSPC患者を対象としている。2013年11月から2018年12月までに1,173例の患者が登録され、標準治療296例、標準治療+放射線治療293例、標準治療+アビラテロン292例、標準治療+アビラテロン+放射線治療291例に割り付けられた。なお本研究の標準治療群にはADT単独投与、またはADT+ドセタキセル併用を含んでいる。

エスプレッソコーヒー、男性が飲むとコレステロール値が上がる?

 「コーヒーは身体に良い」という論文報告が散見されるも、コーヒー豆に含まれるジテルペン(とくにカフェストール、カーウェオール)が血清コレステロールを上昇させてしまうという報告1)もある。だが、このジテルペンの影響はコーヒーの抽出方法によって異なるようだ。そこで今回、ノルウェー・トロムソ大学のAsne Lirhus Svatun氏らがコーヒーの抽出方法、なかでも研究数の少ないエスプレッソコーヒー(短時間で高圧抽出)と血清総コレステロール(S-TC:serum cholesterol)との関連性を調査した。その結果、エスプレッソコーヒーの消費量は、血清総コレステロールの増加と関連しており、女性と比較して男性のほうが有意に強い関連が示された。また、ボイルド(サイフォン式など)/プランジャーコーヒー(フレンチプレスなど)を摂取したの場合は男女ともに血清総コレステロールが増加し以前の研究で示された結果と同様だったが、フィルターろ過コーヒーに至っては女性で血清総コレステロールがわずかに増加したことが示された。Open Heart誌4月号掲載の報告。