治療抵抗性高血圧、超音波腎デナベーションが有用性示す/JAMA 最終更新:2023/03/10 ジャーナル四天王 治療抵抗性高血圧に対する超音波腎デナベーションは、シャムとの比較において降圧薬なしで2ヵ月後の日中自由行動下収縮期血圧(SBP)を低下させ、重大な有害事象は認められなかったことが、フランス・Universite Paris CiteのMichel Azizi氏らが実施した多施設共同無作為化シャム対照臨床試験「RADIANCE II試験」の結果、示された。超音波腎デナベーションは、2件のシャム対照試験(RADIANCE-HTN SOLOおよびTRIO試験)において、軽度~中等度の高血圧および治療抵抗性高血圧患者の血圧を低下させることが認められていた。JAMA誌2023年2月28日号掲載の報告。
2022年11月以降の中国・北京における新型コロナウイルス流行株の特徴(解説:寺田教彦氏) 最終更新:2023/03/10 CLEAR!ジャーナル四天王 本研究は2022年1月から12月までに収集された新型コロナウイルスサンプルについて、次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析結果を報告している。本研究結果からは、2022年11月14日以降の中国・北京における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時の主流はBA.5.2とBF.7で、新規亜種は検出されなかったことが報告された(「北京では22年11月以降、新たな変異株は認められず/Lancet」、原著論文Pan Y, et al. Lancet. 2023;401:664-672.)。
レムデシビル、コロナ入院患者の死亡リスクを低減/ギリアド 最終更新:2023/03/10 医療一般 ギリアド・サイエンシズ(日本)は3月6日付のプレスリリースにて、入院後2日以内の抗ウイルス薬レムデシビル(商品名:ベクルリー)投与により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院患者において、重症度にかかわらず死亡率および再入院率が低下したことを示すデータが、50万人超のリアルワールド試験から得られたことを発表した。死亡率の低下は、免疫不全者の集団においても認められた。米国本社が2月21日に英語で発表したものの邦訳版。本結果は2月19~22日に米国・シアトルで開催された第30回レトロウイルス・日和見感染症会議(Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections)にて発表された。
3月13日以降のマスク、濃厚接触者は7日間着用を推奨/厚労省 最終更新:2023/03/10 医療一般 厚生労働省は2023年3月7日、自治体・医療機関向けの事務連絡「B.1.1.529系統(オミクロン株)が主流である間の当該株の特徴を踏まえた感染者の発生場所毎の濃厚接触者の特定及び行動制限並びに積極的疫学調査の実施について」を一部改正した。2023年2月10日に発表された「マスク着用の考え方の見直し等について」に基づき、2023年3月13日よりマスクの着用は、個人の判断を基本とすることとなるが、濃厚接触者については7日間のマスク着用が推奨されることとなった。
肺がん減少の一方で乳がん・前立腺がんは増加/全米がん統計 最終更新:2023/03/10 医療一般 米国がん協会は、毎年米国における新たながんの罹患数と死亡数を推定して発表している。2023年の最新データがCA Cancer Journal for Clinicians誌オンライン版に掲載された。発表されたデータによると、2023年に米国で新たにがんと診断される人は195万8,310人、がんによる死亡者は60万9,820人と予測されている。死亡者数が最も多いがん種は、男性は肺がん、前立腺がん、大腸がんの順で、女性は肺がん、乳がん、大腸がんの順であった。
SNS依存が大学生の学業成績に及ぼす影響 最終更新:2023/03/10 医療一般 依存症では、身体的または心理的な極度の渇望および没頭を生じるが、近年、若者世代においてソーシャルメディア依存症が問題となっている。エチオピア・Mettu UniversityのAman Dule氏らは、SNSサービスの1つであるFacebookに対する依存状態と大学生の学業成績との相関関係を評価した。その結果、若者のFacebook依存度は高く、このことは学業成績低下だけでなく、精神的ウェルビーイングや自尊心の低下などとも関連していることを報告した。著者らは、学生におけるSNS依存による悪影響を減少させるためにも、大学などの教育機関は、安全な使用促進につながるしっかりとした方針を整備すべきであろうとしている。PLOS ONE誌2023年2月6日号の報告。
尿路感染症疑い高齢者への抗菌薬、医師への適正使用支援で6割減/BMJ 最終更新:2023/03/09 ジャーナル四天王 尿路感染症が疑われる70歳以上のフレイル高齢者について、医療者に対して適切な抗菌薬使用決定ツールの提供や教育セッションなどの多面的抗菌薬管理介入を行うことで、合併症や入院の発生率などを上げずに、安全に抗菌薬投与を低減できることが示された。オランダ・アムステルダム自由大学のEsther A. R. Hartman氏らが、ポーランドやオランダなど4ヵ国の診療所などで行ったプラグマティックなクラスター無作為化試験の結果を報告した。ガイドラインでは限定的な抗菌薬使用が推奨されているが、高齢患者においては、処方決定の複雑さや異質性のため推奨使用の実施には困難を伴うとされていた。BMJ誌2023年2月22日号掲載の報告。
コロナへのイベルメクチン、最大用量でも効果認められず/JAMA 最終更新:2023/03/09 ジャーナル四天王 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者へのイベルメクチン治療について、最大目標用量600μg/kgの6日間投与はプラセボ投与と比較して、持続的回復までの期間を改善しなかった。米国・デューク大学のSusanna Naggie氏らが、約1,200例を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照プラットフォーム試験「ACTIV-6試験」の結果を報告した。著者は、「結果は、軽症~中等症のCOVID-19患者へのイベルメクチン使用を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2023年2月20日号掲載の報告。
軽症から中等症のCOVID-19外来患者において、フルボキサミンはプラセボと比較して症状改善までの期間を短縮せず(解説:寺田教彦氏) 最終更新:2023/03/09 CLEAR!ジャーナル四天王 本研究では、軽症から中等症のCOVID-19外来患者で、フルボキサミンが症状改善までの期間を短縮するか評価が行われたが、プラセボと比較して症状改善までの期間を短縮しなかったことが示された。フルボキサミンは、うつ病や強迫性障害などの精神疾患に使用される選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であり、比較的安価な薬剤である。COVID-19流行初期において、このフルボキサミンは、サイトカインの産生を制御するσ-1受容体のアゴニストとして機能することから、臨床転帰の改善効果を期待して臨床試験が行われた。初期の臨床試験では有効性を示した報告もあり、ブラジルで行われたプラセボ対照無作為化適応プラットフォーム試験(TOGETHER試験)でも有効性が示されていた。そして、これらの研究に基づいたsystematic reviewやCochrane COVID-19 Study Registerでは、フルボキサミンは28日の全死因死亡率をわずかに低下させる可能性や、軽症COVID-19の外来および入院患者の死亡リスクを低下させる可能性があると評されていた。
2023年度コロナワクチン接種スケジュールを発表/厚労省 最終更新:2023/03/09 医療一般 厚生労働省は3月7日、新型コロナワクチンの2023年4月以降の接種についてスケジュールの方針を発表した。2023年度も、すべての国民に自己負担なしで新型コロナワクチンを接種できる「特例臨時接種」が延長される。 12歳以上については、重症化リスクの高い高齢者(65歳以上)や基礎疾患を有する人、および医療従事者は、5月8日からオミクロン株対応2価ワクチン接種を開始する。年2回の接種が可能となる。高齢者は春~夏に1回、秋~冬に1回の接種が推奨されている。いずれの対象者も、最終接種からの接種間隔は少なくとも3ヵ月以上となる。
クライオ生検vs.従来法、日本人末梢肺病変の診断率と安全性/Lung Cancer 最終更新:2023/03/09 医療一般 2017年に本邦でも使用可能となったクライオ生検は、従来の経気管支肺生検よりも大きく、かつ良質な検体が得られる手法である。しかし、末梢肺病変の診断率について、クライオ生検と従来法を直接比較した報告は、ほとんどないのが現状である。そこで、国立がん研究センター中央病院の古瀬 秀明氏らは、診断的気管支鏡検査を受けた患者のデータを後ろ向きに解析し、クライオ生検は従来法と比べて末梢肺病変の診断率が高かったことを報告した。本研究結果は、Lung Cancer誌2023年4月号に掲載された。
アルツハイマー病治療薬lecanemab、FDAフル承認への優先審査に指定/エーザイ・バイオジェン 最終更新:2023/03/09 医療一般 エーザイとバイオジェン・インクは3月6日付のプレスリリースにて、同社のアルツハイマー病治療薬lecanemab(米国での商品名:LEQEMBI)について、迅速承認かららフル承認への変更に向けた生物製剤承認一部変更申請(supplemental Biologics License Application:sBLA)が米国食品医薬品局(FDA)に受理されたことを発表した。本申請は優先審査に指定され、審査終了目標日であるPDUFA(Prescription Drugs User Fee Act)アクションデートは2023年7月6日に設定された。 本剤は、米国において、2023年1月6日にアルツハイマー病の治療薬として迅速承認され、同日にフル承認に向けたsBLAがFDAに提出されていた。ヒト化IgG1モノクローナル抗体のlecanemabによる治療は、アミロイドβ病理が確認されたアルツハイマー病による、軽度認知障害または軽度認知症患者を対象としている。今回のsBLAは、大規模グローバル臨床第III相検証試験であるClarity AD試験のデータに基づく。
尿酸と認知機能障害との関係~新規双極性障害患者の横断研究 最終更新:2023/03/09 医療一般 認知機能障害は、双極性障害患者の主要な症状の1つである。また、認知機能障害に対しプリン体関連の障害が重要な影響を及ぼしていることが示唆されている。しかし、双極性障害における認知機能障害とプリン体作動性代謝との関連を調査した研究は十分ではない。中国・The Second Xiangya Hospital of Central South UniversityのSujuan Li氏らは、これらの関連性とその潜在的な生死学的メカニズムについて調査を行った。その結果、尿酸値レベルの上昇は、双極性障害患者の認知機能に対する潜在的なメカニズムである可能性があり、尿酸値のコントロールが双極性障害の予防や治療においての新たな戦略となりうる可能性が示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年2月2日号の報告。
アルツハイマー病、APOEε3/ε4遺伝子型を持つ民族で上昇か/JAMA 最終更新:2023/03/08 ジャーナル四天王 米国のアフリカ系の家系で、APOEε3/ε4遺伝子型を持つ集団では、APOEε3のR145Cミスセンス変異体がアルツハイマー病(AD)のリスク上昇と関連するとともに、ADの早期発症をもたらす可能性があることが、米国・スタンフォード大学のYann Le Guen氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2023年2月21日号に掲載された。 研究グループは、アフリカ系の家系における2つのAPOEミスセンス変異体(R145CとR150H)がADリスクと関連するかを評価する目的で、3万1,929人を対象とする探索的な症例対照研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成を受けた)。
パーキンソン病の淡蒼球超音波アブレーション試験(解説:内山真一郎氏) 最終更新:2023/03/08 CLEAR!ジャーナル四天王 パーキンソン病では黒質線条体ニューロンの鉄濃度が上昇しており、酸化ストレスや細胞死に関与していると考えられる。実際、初期の研究では鉄のキレート剤であるdeferiproneがパーキンソン病患者の鉄濃度を減少させることが示唆されているが、その効果については不明であった。FAIR PARK-II試験はドーパミン製剤をまだ投与されていない、パーキンソン病と新規に診断された372例においてdeferiproneの有効性と安全性を評価した第II相プラセボ対照無作為化比較試験であった。
日本人における砂糖と大腸がんリスクの関連は? 最終更新:2023/03/08 医療一般 日本の中年成人における砂糖摂取量と大腸がんリスクとの関連を大規模コホート研究のJPHC研究で検討した結果、明らかな関連はみられないものの、総摂取量が多い女性で直腸がんリスクが増加する可能性が否定できなかった。国立がん研究センターの金原 理恵子氏らの報告がCancer Science誌オンライン版2023年2月27日号に掲載された。 砂糖の摂取量が大腸がんリスクに及ぼす影響はまだ定まっていない。アジア人が摂取する砂糖の原料は欧米人とは異なり、アジア人集団における砂糖の総摂取量および特定の種類の摂取量における前向きコホート研究はほとんどない。
コロナワクチンの重症化と死亡減少効果、RCT28件をメタ解析/Lancet Microbe 最終更新:2023/03/08 医療一般 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンのCOVID-19重症や死亡に対する有効性と、ワクチンによって得られた抗体濃度と有効性の相関性を評価するため、中国科学院深セン先進技術研究院のZhi-Rong Yang氏らの研究グループは、ワクチンの有効性に関する28件のランダム化比較試験(RCT)について、系統的レビューとメタ解析を行った。その結果、ワクチンはCOVID-19感染予防よりも、重症化や死亡に対する予防効果のほうが高いことや、接種後の時間経過とともに有効性は低下するが、ブースター接種によって効果を強化することが可能であることが示された。Lancet Microbe誌オンライン版2023年2月28日号に掲載の報告。
うつ病に対するSSRIの治療反応 最終更新:2023/03/08 医療一般 うつ病に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の臨床反応の発現には、数週間を要することも少なくない。また、そのメカニズムは十分に把握されているとはいえない。オランダ・ユトレヒト大学のLynn Boschloo氏らは、うつ病の臨床症状に対するSSRIの直接的および間接的な効果について、プラセボ対照の状態と比較し評価を行った。その結果、SSRIは主に感情症状の改善を介して、間接的に認知症状やいくつかの覚醒/身体症状を改善することが明らかとなった。著者らは、本結果はSSRIの作用機序の解明や、臨床でのSSRIに対するレスポンダーおよび非レスポンダーの早期特定に役立つ可能性があると述べている。Translational Psychiatry誌2023年1月21日号の報告。
エリスリトールが血栓、主要心血管イベントの発生リスクと関連 最終更新:2023/03/08 医療一般 人工甘味料は砂糖の代用として広く使用されているが、人工甘味料の摂取が2型糖尿病や心血管疾患と関連するという報告もある。米国・クリーブランドクリニック・ラーナー研究所のMarco Witkowski氏らは、アンターゲットメタボロミクス研究において、糖アルコールに分類される甘味料エリスリトール(多くの果物や野菜に少量含まれる)が3年間の主要心血管イベント(MACE:死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)の発生と関連していることを発見し、その後の米国および欧州の2つのコホートを用いた研究でも、その関連は再現された。また、エリスリトールはin vitroにおいて血小板反応性を亢進し、in vivoにおいて血栓形成を促進することを明らかにした。健康成人にエリスリトールを摂取させたところ、血小板反応性の亢進および血栓形成の促進についての閾値を大きく超える血漿中エリスリトール濃度の上昇が引き起こされた。Nature Medicine誌オンライン版2023年2月27日号の報告。
BRCA/ATM遺伝子変異陽性の転移を有する前立腺がん、rucaparibが有効/NEJM 最終更新:2023/03/07 ジャーナル四天王 第2世代アンドロゲン受容体経路遮断薬(ARPI)による治療後に増悪した、BRCAまたはATM遺伝子変異陽性の転移性前立腺がんの治療において、ポリ(アデノシン二リン酸[ADP]リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬rucaparibは、医師が選択した対照薬と比較して、画像所見に基づく無増悪生存期間が有意に長く、BRCA変異陽性例で最大の効果が認められたが、ATM変異陽性例では両群で同程度であったことが、フランス・パリサクレー大学のKarim Fizazi氏らが実施した「TRITON3試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2023年2月23日号で報告された。