CLDN18.2+HER2-進行胃がんの1次治療、zolbetuximab併用で予後改善/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/28

 

 CLDN18.2陽性、HER2陰性で、未治療の切除不能な局所進行または転移のある胃腺がん/食道胃接合部腺がん患者において、CLDN18.2を標的とするモノクローナル抗体zolbetuximabとmFOLFOX6(5-FU+レボホリナートカルシウム+オキサリプラチン)の併用療法は、mFOLFOX6のみ投与と比較して、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に延長した。国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らが、20ヵ国215施設で実施された国際共同第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「SPOTLIGHT試験」の結果を報告した。著者は、「zolbetuximab+mFOLFOX6併用療法は、CLDN18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行または転移のある胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん患者において、1次治療の新しい選択肢となるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年4月14日号掲載の報告。

mFOLFOX6との併用でzolbetuximab vs.プラセボを比較、主要評価項目はPFS

 SPOTLIGHT試験の対象は、18歳以上、CLDN18.2陽性、HER2陰性で未治療の切除不能な局所進行または転移のある胃腺がん/食道胃接合部腺がんで、RECIST ver1.1に従い画像評価可能の病変があるECOG PS 0または1の十分な臓器機能を有する患者である。

 研究グループは適格患者を、zolbetuximab(初回投与量800mg/m2、その後600mg/m2を3週ごと)+mFOLFOX6(2週ごと)群(zolbetuximab群)、またはプラセボ+mFOLFOX6群(プラセボ群)に、地域(アジアまたは非アジア)、転移臓器数(0~2または3以上)、胃切除術既往の有無で層別化し、1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、無作為化されたすべての患者における、独立判定委員会の評価に基づくPFSで、主な副次評価項目はOSなどであった。また、安全性については投与を受けた全患者を対象に評価した。

 2018年6月21日~2022年4月1日に、計565例がzolbetuximab群(283例)とプラセボ群(282例)に割り付けられた。zolbetuximab群では283例中279例(99%)、プラセボ群では282例中278例(99%)が、少なくとも1回の試験薬投与を受けた。zolbetuximab群は男性176例(62%)、女性107例(38%)、プラセボ群はそれぞれ175例(62%)、107例(38%)であった。

zolbetuximab+mFOLFOX6群で、PFSおよびOSが有意に延長

 PFSに関する追跡期間中央値はzolbetuximab群12.94ヵ月、プラセボ群12.65ヵ月で、PFS中央値はそれぞれ10.61ヵ月(95%信頼区間[CI]:8.90~12.48)、8.67ヵ月(8.21~10.28)であり、プラセボ群と比較し、zolbetuximab群で病勢増悪または死亡のリスクが有意に低下することが認められた(ハザード比[HR]:0.75、95%CI:0.60~0.94、p=0.0066)。

 OSの追跡期間中央値はzolbetuximab群22.14ヵ月、プラセボ群20.93ヵ月で、OS中央値はそれぞれ18.23ヵ月(95%CI:16.43~22.90)、15.54ヵ月(13.47~16.53)であり、zolbetuximab群ではプラセボ群と比較し、死亡のリスクも有意に低下した(HR:0.75、95%CI:0.60~0.94、p=0.0053、優越性の有意水準p=0.0135)。

 試験治療下で発現したGrade3以上の有害事象は、zolbetuximab群で279例中242例(87%)、プラセボ群で278例中216例(78%)に認められた。主なGrade3以上の有害事象は悪心、嘔吐、食欲減退であった。治療関連死は、zolbetuximab群で5例(2%)、プラセボ群で4例(1%)報告された。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 上村 直実( うえむら なおみ ) 氏

国立国際医療研究センター国府台病院 名誉院長

東京医科大学 消化器内視鏡学講座 兼任教授

J-CLEAR評議員