日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1108

認知症患者のビデオを見せながらのIC

患者が自ら選択した治療を尊重することは、人生の終末期の質を高める重要な鍵となる。その選択に際し医師は伝統的に、言葉だけでインフォームド・コンセント(IC)を行ってきた。米国マサチューセッツ総合病院内科のAngelo E Volandes氏らは、実際の末期患者を撮影したビデオを見せながらのICが、患者が望むケアの選択に寄与すると提唱する。ビデオを見せることが、患者が望むケア選択を形作ることができるのか。高齢者を対象に、認知症が進行した場合の治療選択について、ビデオを見せた群と口頭のみの群との選択肢の違いに関する無作為化試験を行った。BMJ誌2009年6月6日号(オンライン版2009年5月28日号)より。

内視鏡検査による結腸直腸がんリスク低下の効果、7年後時点では確認できず

内視鏡検査が結腸直腸がんを、前悪性腺腫の段階で検出・除去でき予防に寄与することは確認されている。しかし、腺腫の自然退縮の期限についてはほとんどわかっていないため、この内視鏡検査による効果は過大評価されているのではとも言われている。そこで、ノルウェーのGeir Hoff氏らの研究グループは、大規模コホートを対象とする、軟性S状結腸鏡検査後被験者の追跡調査を行っている。その7年時点の結果が、BMJ誌2009年6月6日号(オンライン版2009年5月31日号)にて掲載された。

進行卵巣がん患者の再発性の症候性癌性腹水がafliberceptで改善

サノフィ・アベンティス株式会社は17日、仏サノフィ・アベンティス社と米Regeneron社が行った、プラセボ対照無作為化第II相試験でaflibercept(VEGF Trap)の投与を受けた再発性の症候性癌性腹水(SMA)を伴う進行卵巣がん患者において、試験の主要エンドポイントである初回の再穿刺(腹腔内からの液体の除去)までの期間の中央値に関し、プラセボ対照群と比較して統計的有意な改善が見られたことを発表した。症候性癌性腹水は、進行がん患者さんの腹腔内に液体が異常に溜まる病気。

非ステロイド性消炎・鎮痛剤「セレコックス錠」追加適応取得

アステラス製薬株式会社とファイザー株式会社は、非ステロイド性消炎・鎮痛剤(COX-2選択的阻害剤)「セレコックス錠」」(一般名:セレコキシブ)に関し、「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎」の追加適応症について6月17日付けで承認を取得したと発表した。

段階的弾性ストッキングは脳卒中後の深部静脈血栓を予防しない

大腿部までの長さの段階的弾性ストッキング(GCS)の着用は、脳卒中後の深部静脈血栓(DVT)のリスクを低減しないことが、イギリスEdinburgh大学臨床神経科学部のMartin Dennis氏らが実施した無作為化試験(CLOTS 1)によって明らかとなった。脳卒中後は一般にDVTや肺塞栓症が見られるが、手術を受けた患者を対象とした小規模な試験においてGCSによるDVTリスクの低減効果が確認されている。エビデンスとしては十分でないにもかかわらず、脳卒中ガイドラインはこれらの知見を外挿して脳卒中患者に対するGCSの使用を推奨している。Lancet誌2009年6月6日号(オンライン版2009年5月27日号)掲載の報告。

4価HPVワクチンは24~45歳の未感染女性にも有効

ヒトパピローマウイルス(HPV)に対する遺伝子組換え4価(HPV-6、-11、-16、-18)ワクチンは、HPV未感染の24~45歳の女性にも有効であることが、コロンビア国立がん研究所(ボゴタ市)のNubia Munoz氏らが実施した無作為化試験で明らかとなった。4価ワクチンは、すでに16~26歳の女性における有効性が確認されている。女性のHPV感染は初回性体験から5~10年以内(おおよそ15~25歳)にピークを迎えるが、30~40歳代あるいは閉経後に第2のピークが見られるとする報告もある。この第2のピークが潜伏感染の再活性化あるいはコホート効果なのか、それとも新たなHPV感染によるものなのかは不明だが、同氏らの以前の検討では新規感染による可能性が高いという。Lancet誌2009年6月6日号(オンライン版2009年6月2日号)掲載の報告。

新規素材「中分子キトサン」を開発 実験モデルにて、「プリン体」を吸着、尿酸値の上昇防止を確認

 ロート製薬株式会社は16日、機能性素材の探索を重点研究テーマに掲げる研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」において、血中尿酸値の上昇原因の一つであるプリン体を吸着する新素材「中分子キトサン」を開発したと発表した。研究の結果、「中分子キトサン」は動物モデルにおいて、プリン体の過剰摂取に起因する尿酸値の上昇を抑制する作用があることを確認。「中分子キトサン」は、従来の高分子キトサンよりも溶解性に優れることから、飲料形態での利用も可能であり、機能性食品素材としての応用範囲が広がるものだという。

大腸がん治療における国際標準と日本の現状・・・米国のOptimized chemotherapyと今後の展望

 2009年6月11日、コンラッド東京にて「大腸がん治療における国際標準と日本の現状」と題して開催された、株式会社ヤクルト本社によるプレスセミナーの第2報をお届けする。  臨床の第一線で活躍する腫瘍内科医である米国メイヨークリニック腫瘍学部内科腫瘍学科教授のA.Grothey氏(写真)は、今後の治療戦略として分子標的薬の現状について述べた。また、肝転移時の集学的治療、米国における標準的な術後補助化学療法について紹介した。

タシグナが初発の慢性骨髄性白血病の治療に優れた効果を発揮

ノバルティス ファーマ株式会社は16日、「タシグナ」(一般名:ニロチニブ塩酸塩水和物)の投与を受けた初発の慢性骨髄性白血病(CML)の患者において、治療開始から12ヵ月の時点で速やかな効果が見られ、CMLの原因となる異常なタンパクの発現が大幅に減少することが、GIMEMA (Gruppo Italiano Malattie Ematologiche dell’Adulto)グループが実施する試験からの新たなデータで示されと発表した。

早期関節リウマチへのエンブレルとメトトレキサートの併用による抑制効果について

ワイス・ヨーロッパは12日、デンマーク・コペンハーゲンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR)にて、早期活動性関節リウマチ患者を対象としたエタネルセプト(商品名:エンブレル)とメトトレキサートの併用に関する臨床試験(COMET試験)の結果が発表されたと報告した。同試験結果では、活動性が中等度から重度の早期関節リウマチ患者において、エンブレルとメトトレキサートの併用により、関節破壊の進行抑制が2年目も継続していることが明らかになったとのこと。

機能性ディスペプシア治療剤Z-338の臨床薬理試験結果がDDW2009で発表される

6月に米国シカゴで開催された米国消化器病週間2009(DDW2009)において、世界で初めての機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)治療剤として開発中のZ-338(一般名:アコチアミド塩酸塩水和物)のオーストラリアで実施されたFD患者と健常人を対象とした臨床薬理試験結果が発表された。ゼリア新薬工業株式会社が15日に報告した。

米国における移民・難民の結核疫学調査

結核は、感染症死亡世界第2位で、発病率は1990年から2003年の間に世界的に増加した。WHOによれば、2005年の新規患者は世界で約880万人、うち84.1%がアジアおよびサハラ以南のアフリカからの報告だったという。一方、先進国の発病率も、こうした国からの移民・難民の影響を受けていると言われ、米国では、1年間の結核の新規患者の約6割が、外国生まれの人であり、その大半は、移民や難民と推定されるという(2007年調べ)。こうした外国生まれの人に対する結核予防対策を講じるため、米国疾病管理予防センター(CDC)のYecai Liu氏らは、詳細な疫学調査を実施した。NEJM誌2009年6月4日号より。

新しい抗結核薬TMC207、多剤耐性肺結核の治療薬として有効:第II相第1段階試験

新たな抗結核薬として開発が進められているdiarylquinoline(TMC207)の第II相試験第1段階の結果、多剤耐性肺結核の治療薬として有効であることが確認された。南アフリカUniversity of Stellenboschヘルスサイエンス学部のAndreas H. Diacon氏らによる報告で、NEJM誌2009年6月4日号で発表された。TMC207は、結核菌のATP合成酵素を阻害するというこれまでにない作用機序を有する。in vitroで、薬剤感受性・薬剤耐性結核菌を強力に阻害すること、薬剤感受性の肺結核患者で殺菌作用を示すことが明らかになっていた。