日本語でわかる最新の海外医学論文|page:782

統合失調症の性機能障害改善のための補助療法:名古屋大学

 補助的アリピプラゾール療法は、高プロラクチン血症を改善することは知られているが、性機能障害に対する効果についての十分なエビデンスが得られていない。名古屋大学の藤生氏らは、性機能障害を有する統合失調症患者に対する補助的アリピプラゾール両方の有用性を評価した。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2016年9月22日号の報告。

非小細胞肺がん脳転移に対する全脳照射追加の意義

 著者らは、非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の脳転移において、生存率とQOLへ悪影響を及ぼすことなく全脳照射(以下、WBRT)が省略できるかを評価するために、QUARTZ(The Quality of Life after Treatment of Brain Metastases)研究を実施した。Paula Mulvenna氏らによるLancet誌オンライン版9月4日号の掲載の報告。

心房細動は心筋症の原因か、結果か?

 孤立性心房細動(AF)は隠れた心筋症を反映しており、洞調律復帰しても残存する心筋症によりAFが再発するのではないか―。この仮説を検証するため、英国・オックスフォード大学の研究グループが、左室に関与する病態を有しない孤立性AF患者において、カテーテルアブレーション後の洞調律復帰が左室の機能およびエナジェティクスに及ぼす影響を調べた。この研究では、アブレーション前後の左房および左室の容量と機能の評価にMRIを用いた。また、心筋症のマーカーとしてエネルギー代謝が有用なことから、エナジェティクスの評価にはPhosphorus-31 MRスペクトロスコピー(31P-MRS)を使用した。Circulation誌オンライン版9月14日号掲載の報告。

心筋梗塞後の平均余命、病院パフォーマンスで格差/NEJM

 急性心筋梗塞の入院30日死亡率が低い(高パフォーマンス)病院に入院した患者は、同死亡率が高い(低パフォーマンス)病院に入院した患者に比べ、平均余命が0.74~1.14年長いことが明らかにされた。米国・ボストン小児病院のEmily M. Bucholz氏らが、患者約12万例を17年間追跡したデータを分析し明らかにしたもので、NEJM誌2016年10月6日号で発表した。病院の質を評価する際に、心筋梗塞入院患者の30日リスク標準化死亡率が用いられるが、今回の検討により、同指標が患者の長期生存率にも関連することが示された。

ショック未発症の重症敗血症にヒドロコルチゾンは有用か/JAMA

 ショックを発症していない重症敗血症患者に対し、ヒドロコルチゾンを用いた補助療法を行っても、2週間以内の敗血症性ショック発症リスクは減少しないことが示された。集中治療室(ICU)内および院内死亡リスクや、180日時点の死亡リスクについても減少しなかった。ドイツ・シャリテ大学のDidier Keh氏らが、380例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、明らかにしたもので、「検討の結果は、ショック未発症の重症敗血症患者に対するヒドロコルチゾン補助療法の適用を支持しないものだった」とまとめている。同療法は「Surviving Sepsis Campaign」において、難治性敗血症性ショックに対してのみ推奨されており、ショック未発症の重症敗血症に対する同療法については議論の的となっていた。JAMA誌オンライン版2016年10月3日号掲載の報告。

MCIから初期アルツハイマー病を予測、その精度は

 軽度認知障害(MCI)は、正常な老化からアルツハイマー型認知症(AD)への過渡期である。そのため、安定状態からAD進展高リスクMCI高齢者を抽出するために使用可能な基準を開発することはきわめて重要である。米国・The Nathan S. Kline Institute for Psychiatric ResearchのBabak A Ardekani氏らは、構造的MRIスキャンにより海馬体積インテグリティ(HVI)の新規測定値を計測するための自動アルゴリズムを開発した。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2016年9月20日号の報告。

重症大動脈狭窄症への生体弁SAVRの予後、93試験のメタ解析/BMJ

 生体弁による外科的大動脈弁置換術(SAVR)を施行された重症大動脈狭窄症患者は、同年代の一般人口に比べ生存期間がわずかに短いが、長期的には脳卒中の発生率が低減し、20年後までに約半数が弁劣化を経験することが、カナダ・マクマスター大学のFarid Foroutan氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2016年9月28日号に掲載された。重症大動脈狭窄に対する生体弁を用いたSAVRでは、周術期や長期的な死亡率は許容範囲とされることが多いが、統合データに基づく予後は明らかにされていない。SAVR後1年以内の弁劣化はまれだが、それ以降は増加することが知られているという。

アジスロマイシン追加で緊急帝王切開の母体感染リスク低減/NEJM

 緊急帝王切開時の標準的な予防的抗菌薬投与に、抗菌スペクトルを拡大するためにアジスロマイシンを追加すると、術後の母体の感染リスクが低減することが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のAlan T N Tita氏らが行ったC/SOAP試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年9月29日号に掲載された。米国では、妊娠関連感染症は母親の死因の第4位を占めており、母体感染は入院期間を延長し、医療費を増加させる。帝王切開は最もよく行われる手術手技であり、子宮内膜炎や創感染を含む手術部位感染率は経膣分娩の5~10倍に達するという。

今のところ順調なapo(a)アンチセンス療法(解説:興梠 貴英 氏)-599

2015年に、心血管イベントおよび石灰化大動脈弁狭窄症のリスク因子であるLp(a)の血中濃度を低下させる、アンチセンス薬(IONIS-APO[a]Rx)の第I相試験の結果が報告された。本試験は、その続き(第II相試験)および元の薬剤にリガンドを結合させて特異的に肝細胞に取り込まれるように改変したもの(IONIS-APO[a]-LRx)の第I/IIa相試験の報告である。

緑内障治療に革新、ラタノプロスト持続溶出コンタクトレンズ

 ラタノプロスト持続溶出コンタクトレンズの開発が進められている。米国ハーバード・メディカル・スクールのJoseph B. Ciolino氏らは、カニクイザル緑内障モデルを用いて薬効薬理試験を行い、コンタクトレンズを介したラタノプロストの持続送達は、毎日点眼と比較して同等以上の眼圧低下効果があることを明らかにした。

ヒトの感知能力を司る遺伝子を特定/NEJM

 ヒトの機械知覚(mechanosensation)を司る遺伝子PIEZO2を特定したことを、米国立補完統合衛生センター(NCCIH)のAlexander T. Chesler氏らが発表した。機械知覚とは、感知能力(触覚と自己受容によって認知範囲が喚起される)のことであり、機械刺激を検出し変換する能力に依存する。ヒトや動物に、周辺環境に関する重大な情報を提供し、社会生活を送るうえで重要かつ必要となる感覚であるが、その基礎をなす分子・神経メカニズムは、十分に解明されていなかった。研究グループは、マウスモデルで機械知覚に必須であることが示されたストレッチ依存性イオンチャネルPIEZO2に着目し、ヒトにおける役割を調べた。NEJM誌2016年10月6日号(オンライン版2016年9月21日号)掲載の報告。

TAVI vs.SAVR、アウトカムは留置経路で変化/BMJ

 重症大動脈弁狭窄症で周術期死亡リスクが低度~中程度の患者に対する弁置換術について、大半の患者、とくに余命が短い患者、あるいは長期的な弁変性のリスクに留意する必要のない患者では、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)が外科的大動脈弁置換術(SAVR)よりもネットベネフィットが認められるようだ。ただし、留置経路について経大動脈アプローチが候補とならない患者に関しては、SAVRのほうがアウトカムは良好になるという。カナダ・トロント大学のReed A Siemieniuk氏らがシステマティック・レビューとメタ解析の結果、報告した。BMJ誌2016年9月28日号掲載の報告。

悪性黒色種、発見者による予後の違いが明らかに

 悪性黒色種(メラノーマ)は早期診断が重要であるが、患者は疾患が進行してから受診することが多い。悪性黒色種を最初に誰が発見するかによって予後にどのような影響があるかは明らかになっていなかったが、スペインのグレゴリオ・マラニョン大学総合病院 Jose Antonio Aviles-Izquierdo氏らの調査によって、皮膚科医が発見したほうが患者自ら発見した場合よりも、予後は良好であることが明らかとなった。ただし皮膚科医の発見は80%が偶発的であったことも判明した。また、本人自ら発見した患者においては、とくに70歳超で男性より女性のほうが予後良好であった。著者は「この集団が、悪性黒色種発見のための教育を行う論理的なターゲットになるだろう」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年9月16日号掲載の報告。

気管支喘息への新規抗IL-5受容体抗体の治療効果は?(解説:小林 英夫 氏)-598

気管支喘息の有病率は減少していないが、本邦での年間死亡数は20年前に7千人を超えていたものが近年は2千人以下と減じた。その最大の理由として、吸入ステロイド薬の普及が挙げられる。しかし、高用量の吸入ステロイド薬ないし吸入ステロイド+長時間作用型β2刺激薬でもコントロールに難渋する重症・難治性気管支喘息が約1割でみられる。そこで、さらなる治療効果を求め、抗IgE抗体や抗interleukin-5(IL-5)抗体が臨床に登場した。新規抗IL-5抗体benralizumabは、Il-5のアルファサブユニット(IL-5Rα)を標的とするヒト化モノクローナル抗体で、受容体結合により抗体依存性細胞障害作用を発揮し、ナチュラル・キラー細胞を介し好酸球のアポトーシスを誘導する。すでに、第II相試験で好酸球性喘息の増悪を改善する効果が得られている。本論文では、benralizumabがプラセボ群に比して年間喘息増悪を有意に抑制すると報告している。

維持期統合失調症、LAI使用で注意すべきポイント:慶應義塾大

 統合失調症の維持療法において、必要なドパミンD2受容体占有率は明らかになっていない。慶應義塾大学の猪飼 紗恵子氏らは、ベースライン時、リスペリドン長時間作用型注射剤(RLAI)を投与された統合失調症患者の臨床転帰を3年間追跡し、ドパミンD2受容体占有率を調査し、血漿中薬物濃度を推定した。Psychopharmacology誌オンライン版2016年9月8日号の報告。

スタチン療法 vs.非スタチン療法、心血管リスク低減は同等/JAMA

 LDL受容体の発現増加を介して低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値を低下させるスタチン療法と非スタチン療法の比較において、LDL-C値低下当たりの主要血管イベントの相対リスクは同等であることが明らかとなった。LDL-C値の低下が、主要冠動脈イベント発生率の低下と関連することも確認された。これまで、非スタチン療法によるLDL-C低下の臨床的な有益性はよくわかっていなかったが、米国・ハーバード大学医学大学院のMichael G. Silverman氏らが、LDL-C低下と相対的心血管リスク減少との関連を、スタチン療法 vs.非スタチン療法で検討するシステマティックレビューとメタ解析を行い報告した。JAMA誌2016年9月27日号掲載の報告。

アンチセンスオリゴヌクレオチド、リポ蛋白(a)濃度低下を第II相で確認/Lancet

 低比重リポ蛋白(LDL)にアポリポ蛋白(a)(apo[a])が結合したリポ蛋白(a)(Lp[a])の増加は、心血管疾患および石灰化大動脈弁狭窄症の遺伝的リスク因子であることが知られている。現在、apo(a)を標的としたオリゴヌクレオチドのIONIS-APO(a)Rxと、肝細胞に高度かつ選択的に取り込まれるようデザインされたリガンド結合アンチセンスオリゴヌクレオチドのIONIS-APO(a)-LRxが開発中であるが、とくに後者がLp(a)濃度を低下させる有効かつ忍容性のある新しい治療薬として有望であることが明らかとなった。米国・Ionis PharmaceuticalsのNicholas J Viney氏らが、IONIS-APO(a)Rxの第II相試験とIONIS-APO(a)-LRxの第I/IIa相試験の2件の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。IONIS-APO(a)Rxの健常成人を対象とした第I相試験では、用量依存的に血漿Lp(a)濃度が減少することが示唆されていた。Lancet誌オンライン版2016年9月21日号掲載の報告。