日本語でわかる最新の海外医学論文|page:702

日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの効果は

 自閉スペクトラム症を有する小児および青年(6~17歳)における易刺激性の治療に対するアリピプラゾールの有効性、安全性を評価するため、東京都立小児総合医療センターの市川 宏伸氏らは、8週間のプラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。Child psychiatry and human development誌オンライン版2016年12月21日号の報告。

硬水と乳児アトピー性皮膚炎リスク増大の関連を確認

 アトピー性皮膚炎は、家庭用水の硬度が高い地域、および秋~冬に生まれた小児に多くみられるようだが、相乗作用があるかどうかはわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のKristiane Aa Engebretsen氏らは、大規模出生コホートを用いた研究を行い、生後早期の硬水への曝露ならびに秋~冬の出生は、生後18ヵ月以内におけるアトピー性皮膚炎の相対有病率の増加と関連していることを明らかにした。

骨転移へのゾレドロン酸の投与間隔、4週 vs.12週/JAMA

 乳がん、前立腺がんの骨転移および多発性骨髄腫の骨病変の治療において、ゾレドロン酸の12週ごとの投与は、従来の4週ごと投与に比べて骨格イベントの2年リスクを増大させないことが、米国・Helen F Grahamがんセンター・研究所のAndrew L Himelstein氏らが行ったCALGB 70604(Alliance)試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年1月3日号に掲載された。第3世代ビスホスホネート製剤であるゾレドロン酸は、多発性骨髄腫や固形がん骨転移の疼痛や骨格関連事象を抑制し、忍容性も全般に良好であるが、顎骨壊死、腎毒性、低カルシウム血症などのリスク上昇が知られている。標準的な投与間隔は4週とされるが、これは経験的に定められたもので、さまざまな投与法の検討が進められているものの、至適な投与間隔は確立されていないという。

FITZROY試験:活動性クローン病におけるJAK1選択的阻害薬filgotinibの有用性と安全性(解説:上村 直実 氏)-634

クローン病は原因不明の炎症性腸疾患であり、わが国の特定疾患に指定されているが、最近、抗TNF-α阻害薬の出現とともに本疾患に対する薬物治療の方針が大きく変わってきている。症状や炎症の程度によって、5-ASA製剤、ステロイド、代謝拮抗薬、抗TNF-α阻害薬および栄養療法などを段階的にステップアップする治療法から、代謝拮抗薬と抗TNF-α阻害薬を早期から使用する方法が推奨されつつある。今回、新たに、非受容体型チロシンキナーゼであるJAK1の選択的阻害薬filgotinibの有効性を検証した研究成績が報告された。

統合失調症患者への抗精神病薬高用量投与、自律神経系への影響は:横浜市大

 統合失調症患者は、一般集団と比較し、異常な自律神経系(abnormal autonomic nervous system:ANS)の活性を有する。この理由の1つとして、抗精神病薬のムスカリン親和性があり、ムスカリン受容体遺伝子の一塩基多型が、ANS機能不全に影響を及ぼすといわれている。横浜市立大学のmasatoshi miyauchi氏らは、抗精神病薬が投与されている統合失調症患者のANS活性に対するコリン作動性ムスカリン性受容体(cholinergic muscarinic receptor:CHRM)遺伝子の一塩基多型の影響を検証した。Neuropsychobiology誌2016年12月7日号の報告。

末梢動脈疾患と関連する食事~前向き研究

 食事はアテローム性動脈硬化性心血管疾患の発症に関連しているが、食物摂取量や食事パターンと末梢動脈疾患(PAD)との関係を調べた研究はほとんどない。米国ミネソタ大学のRachel P. Ogilvie氏らは、中年期の習慣的な食事とその後の約20年間のPAD発症の関係を前向きコホート研究で調査した。その結果、肉の摂取量が多いほどPADリスクが高く、適度な飲酒はPADリスクが低いことと関連していた。なお、これらの関連における因果関係の有無は不明である。The American journal of clinical nutrition誌オンライン版2017年1月11日号に掲載。

多発性骨髄腫の1次治療、ボルテゾミブ追加で予後改善/Lancet

 新規診断多発性骨髄腫患者の治療において、プロテアソーム阻害薬(PI)と免疫調節薬(IM)を含む3剤併用療法は、従来の標準治療に比べ予後を改善し、リスクベネフィット・プロファイルも許容範囲内であることが、米国・Cedars-Sinai Samuel OschinがんセンターのBrian G M Durie氏らが実施したSWOG S0777試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年12月22日号に掲載された。米国の新規診断多発性骨髄腫の標準治療は、レナリドミド+デキサメタゾンである。PIであるボルテゾミブとIMであるレナリドミドは、異なる作用機序による相乗効果が確認され、デキサメタゾンとの3剤併用療法の第I/II相試験では、未治療の多発性骨髄腫患者において高い有効性と良好な耐用性が報告されている。

ドライアイ患者の主観的健康感を損ねる因子とは

 ドライアイでは、しばしば自覚症状と他覚所見の間に乖離がみられる。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのJelle Vehof氏は、この不一致が主観的健康感の指標であることを大規模な横断研究により示した。不一致に関与する因子も明らかにされ、「その因子を認識しておくことは、日常診療においてドライアイ患者の評価に役立つ」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2016年12月23日号掲載の報告。

降圧や脂質低下治療の無作為化試験での効果、その後どうなる?

 降圧治療および脂質低下治療において、治療中止後も長期的ベネフィットが持続することが示唆されている。今回、シドニー大学の平川 洋一郎氏らが大規模無作為化試験の系統的レビューを行ったところ、全死亡率および心血管系死亡率における降圧および脂質低下によるベネフィットは、試験後も持続しているものの減衰が認められ、治療を継続することの重要性が示された。Journal of hypertension誌オンライン版2017年1月5日号に掲載。

上部消化管出血患者のリスク評価スコア5種を比較/BMJ

 上部消化管出血患者のリスク評価は、Glasgow Blatchfordスコアが治療の必要性や死亡に関する予測精度が最も高い。英国・グラスゴー王立診療所のAdrin J Stanley氏らが、複数のシステム(admission Rockall、AIMS65、Glasgow Blatchford、full Rockall、PNED)について予測精度と臨床的有用性を比較する国際多施設前向き研究を行い明らかにした。ただし、Glasgow Blatchfordスコアも、その他のエンドポイントに関しては臨床的有用性には限界があるという。上部消化管出血患者の管理では、リスク評価スコアを用いて外来管理か緊急内視鏡検査、またはより高度な治療を実施するかを決定することが推奨されているが、これまで、予測精度や普遍性、リスクを判断する最適閾値などが不明のままであった。BMJ誌2017年1月4日号掲載の報告。

妊娠中のn-3系脂肪酸摂取、児の喘鳴・喘息リスク低下/NEJM

 妊娠24週以降にn-3系長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)を摂取することで、出生児の持続性喘鳴または喘息、および下気道感染症のリスクが絶対値で約7%、相対的には31%低下することが明らかになった。デンマーク・コペンハーゲン大学のHans Bisgaard氏らが、妊娠中のn-3系LUPUFA摂取が出生児の持続性喘鳴または喘息リスクに及ぼす効果を検討した単施設二重盲検プラセボ対照比較試験の結果を報告した。n-3系LCPUFAの摂取不足は、喘鳴性疾患の有病率増加に寄与している可能性がある。これまで、観察研究では妊娠中のn-3系LCPUFA摂取不足と出生児の喘息・喘鳴性疾患のリスク増加との関連が示唆されていたが、無作為化比較試験は検出力が低く結果は不確かであった。NEJM誌2016年12月29日号掲載の報告。

魚を食べると認知症は予防できるのか

 ここ20年の研究では、魚類およびDHAなどのn-3脂肪酸が高齢者のアルツハイマー病を含む認知機能低下を抑制することが示唆されている。スウェーデン・ウプサラ大学のTommy Cederholm氏は、2015~16年の研究結果をレビューした。Current opinion in clinical nutrition and metabolic care誌オンライン版2016年12月12日号の報告。

可能性あるなら遺伝子検査を…NSCLC患者の9割

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:デイヴィド・フレドリクソン、以下、アストラゼネカ)、認定NPO 法人キャンサーネットジャパン(以下、CNJ)、がん情報サイト オンコロ(運営会社:株式会社クリニカル・トライアル、以下、オンコロ)は2016年12月14日、「進行・再発非小細胞肺がん患者への組織採取や遺伝子検査に関する意識調査」の結果を発表した。

米国で医療費が最も高い疾患は?/JAMA

 米国の1996~2013年の医療費の推移について、病態ごとに調査し推定額を算出したところ、2013年に最も高額だったのは糖尿病の治療費で約1,014億ドル(うち57.6%が薬剤費、外来医療費は23.5%)で、2番目は虚血性心疾患で881億ドル、3番目は腰部・頸部痛876億ドルだった。一方で各年の医療費は、患者の状態や治療の種類で異なることも明らかになったという。米国・ワシントン大学のJoseph L Dieleman氏らが、政府予算や保険請求支払データなどを基に分析し報告した。米国の医療費は増大を続けており、現在米国経済の17%超を占める。しかし、病態ごとにどれほどの支出があるのか、年齢別や経時的な変化はほとんど明らかになっていなかった。著者は、「今回の調査結果は、米国の医療費の支出コントロールに効果的に用いられるであろう」と述べている。JAMA誌2016年12月27日号掲載の報告。

ADHD発症や重症度にビタミン摂取が関連

 ビタミンを含む微量栄養素は、ADHDの症状レベルを低下させることが報告されているが、ADHDのビタミンレベルに関するデータは希薄である。ノルウェー・ベルゲン大学のElisabeth Toverud Landaas氏らは、若年成人ADHD患者および対照群におけるビタミン濃度、ADHD診断および精神医学的症状との関連を調査した。BJPsych open誌2016年11月号(オンライン版2016年12月13日号)の報告。

武田薬品 肺がん、血液腫瘍のポートフォリオ拡充

 武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とARIAD Pharmaceuticals, Inc. (本社:マサチューセッツ州ケンブリッジ、以下「ARIAD社」)は、2017年1月9日(米国時間1月8日)、武田薬品がARIAD社の発行済株式のすべてを1株当たり24.00米ドル(企業価値では総額約52億米ドル)で、現金により取得し、ARIAD社を買収することについて合意したことを発表。本買収は両社の取締役会にて承認されており、競争法上のクリアランス等の手続きを経た後、2017年2月末までに完了する予定。

小児の神経線維腫症1型に有望なMEK阻害薬/NEJM

 神経線維腫症1型と手術不能な叢状神経線維腫の小児患者に対し、開発中の経口selumetinibを投与することで、約7割で腫瘍容積が2割以上減少することが示された。米国国立がん研究所のEva Dombi氏らが、第I相臨床試験の結果、明らかにした。神経線維腫症1型関連の叢状神経線維腫は、RASマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達が活発であるのが特徴で、現状では有効な薬物療法はない。NEJM誌2016年12月29日号掲載の報告。

リスペリドンの功績は、プラセボ比較試験を解析

 リスペリドンは、ジェネリック医薬品が発売された初めての新世代抗精神病薬である。オーストラリア・ローガン病院のRanganath D Rattehalli氏らは、統合失調症治療におけるリスペリドンの臨床効果、安全性、コスト効果についてプラセボとの比較を行った。The Cochrane database of systematic reviews誌オンライン版2016年12月15日号の報告。