造血幹細胞移植後のCMV感染症予防にletermovirは有効か/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2017/12/14

 

 造血幹細胞移植レシピエントに対する、移植後の抗サイトメガロウイルス(CMV)薬letermovirの予防投与は、プラセボと比較してCMV感染症リスクを有意に減少することが示された。有害事象の発現はプラセボと同程度で、大半が軽度だった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のFrancisco M. Marty氏らが、565例を対象に行った第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2017年12月6日号で発表した。同種造血幹細胞移植後のCMV感染症は、頻度が高い合併症のままで、letermovirは、CMVテルミナーゼ複合体を阻害する抗ウイルス薬として開発された。

移植後14週間、letermovirまたはプラセボを投与
 研究グループは、2014年6月~2016年3月にかけて、CMV血清反応陽性の造血幹細胞移植レシピエント565例を対象に試験を行った。

 被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、letermovirまたはプラセボを1日1回480mg(シクロスポリン投与患者は1日240mg)投与した。投与は移植を受けてから中央値9日後に開始し14週間行った。投与中に臨床的に重篤なCMV感染症(CMV疾患またはCMV血症で先制治療を要した)を発症した患者は、試験薬投与を中止し抗CMV治療を受けた。

 主要エンドポイントは、無作為化時点でCMV-DNAが検出されなかった患者における、移植後24週間以内に臨床的に重篤なCMV感染症を発症した患者の割合とした。途中で試験薬投与を中止した患者や、24週時点でエンドポイントデータが得られなかった患者は、主要エンドポイントが認められたとみなして解析に組み込んだ。

 フォローアップは、移植後48週まで行われた。

CMV感染症の発症、letermovir群37.5%に対しプラセボ群60.6%で有意な差
 無作為化時点でCMV-DNAが検出されなかった患者は495例だった。このうち移植後24週時点でCMV感染症を発症した患者(または主要エンドポイントを発生したとみなされた患者)の割合は、プラセボ群60.6%(103/170例)に対し、letermovir群は37.5%(122/325例)と、有意に低率だった(p<0.001)。

 有害事象の発現頻度や重症度については、両群でおおむね同等だった。嘔吐を認めたのはletermovir群18.5%に対しプラセボ群13.5%、浮腫はそれぞれ14.5%と9.4%、心房細動・心房粗動は4.6%と1.0%だった。骨髄毒性イベントや腎毒性イベント発生率も、両群で同等だった。

 移植後48週時点の全死因死亡率は、letermovir群20.9%、プラセボ群25.5%だった(p=0.12)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 吉田 敦( よしだ あつし ) 氏

東京女子医科大学 感染症科

J-CLEAR推薦コメンテーター