日本語でわかる最新の海外医学論文|page:332

2021年に注目された記事は?「ベストPicker アワード」発表

 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」(医師会員限定)は、2021年にサイト上で最も活躍した医師を表彰する「2021年 ベストPicker アワード」を発表した。投稿(Pick)数と他ユーザーからの評価を足した指標を基に毎年行っているもので、2021年に表彰された5名の医師と受賞コメントは以下のとおりとなっている。 ◆田中 希宇人氏(日本鋼管病院)  このたびは「ケアネットDoctors'Picks 2021年ベストPicker」を頂きまして誠に嬉しく思います。昨年もコロナで日常診療も私生活も相当制限された1年でした。このような世界的パンデミック下だからこそ正確で効率的な情報収集と分かりやすい情報発信の重要性を改めて認識することになりました。2022年は新しいことにもチャレンジしつつ、ケアネットさんとも一緒にこれからの令和の医療の発展に引き続き尽力していきたいと思っています。

子宮内膜がん、レンバチニブ+ペムブロリズマブでPFS/OSを延長/NEJM

 進行子宮内膜がん患者において、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法は化学療法と比較し、無増悪生存(PFS)期間および全生存(OS)期間を有意に延長した。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのVicky Makker氏らが、21ヵ国167施設で実施した非盲検第III相試験「Study 309/KEYNOTE-775試験」の結果を報告した。プラチナ製剤による化学療法後の進行性子宮内膜がんに対する治療選択肢は、限られていた。NEJM誌オンライン版2022年1月19日号掲載の報告。  研究グループは、少なくとも1レジメンのプラチナ製剤による化学療法の治療歴のある進行子宮内膜がん患者を、レンバチニブ(20mg、1日1回経口投与)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと静脈投与)併用群、または化学療法(治験医師選択によるドキソルビシン60mg/m2の3週ごと静脈投与、またはパクリタキセル80mg/m2の週1回静脈投与3週・1週休薬)群のいずれかに、1対1の割合で無作為に割り付けた。

非重症コロナ入院患者の心肺支持療法離脱に有用な治療法は?/JAMA

 非重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の治療において、治療量のヘパリンにP2Y12阻害薬を上乗せしても、ヘパリン単独療法と比較して21日以内の心肺支持療法離脱日数(organ support-free days)は増加しなかった。米国・NYU Grossman School of MedicineのJeffrey S. Berger氏らが、ブラジル、イタリア、スペイン、米国の病院60施設で実施した非盲検並行群間比較ベイズ流適応型無作為化試験「Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines 4 Acute:ACTIV-4a」の結果を報告した。非重症のCOVID-19入院患者に対するヘパリン療法は、マルチプラットフォーム無作為化比較試験で生存日数や心肺支持療法離脱日数を増加することが示されたものの、患者の24%が死亡または集中治療を必要としたことから、この集団における追加治療が検討されていた。JAMA誌2022年1月18日号掲載の報告。

ブースター接種こそ感染対策の要 -コロナワクチンブースター接種がコロナ死亡を90%減らす-(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

現在、日本でも世界でもオミクロン株の猛威により急激な新型コロナウイルス感染症の感染者が増加しているような状況である。米国や欧州の一部では感染拡大のピークを越え、収束傾向になっている地域もあるようだが、2022年1月中旬現在においてWHO(世界保健機関)でも各国の警戒を呼び掛けているような緊迫した状況が続いている。本邦のコロナワクチン接種は2022年1月20日の時点で2回目接種終了者が全国民の約79%にあたる9,963万人を超えている状況である。ただし2021年末から始まったコロナワクチンの3回目接種、いわゆるブースター接種は194万人(日本全国民の約1.5%)にとどまっており、2回目接種終了後から時間が経過した高齢者や基礎疾患を持つ者、新型コロナウイルスやCOVID-19症例と接触する機会の多い医療従事者はブースター接種を待ち望んでいるところである。

COVID-19治療薬の特徴一覧を追加、薬物治療の考え方12版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、1月24日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第12版」をまとめ、同会のホームページで公開した。  今回の改訂では、適用・効果の追加承認がなされたトシリズマブ(商品名:アクテムラ)に関する記載が追加されたほか、他の治療薬の知見を更新し、現在使用できる治療薬4剤の特徴を記した一覧表が附表として追加された。

慢性不眠症患者のベンゾジアゼピン中止に対する意思決定ツールの受容性

 聖路加国際大学の青木 裕見氏らは、ベンゾジアゼピン(BZD)およびベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BZRA)睡眠薬の中止を考慮した(中止する場合、不眠症に対する認知行動療法[CBT-I]の有無にかかわらず漸減)、慢性不眠症患者に対する意思決定支援ツールの開発およびその受容性について評価を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2021年11月22日号の報告。  慢性不眠症に関連する文献を確認し、オプションの特定を行った。すでに実施されたシステマティックレビューおよびメタ解析の結果を用いて、BZD/BZRA睡眠薬の中止における2つのオプション(漸減のみによる中止、CBT-Iを用いた段階的な漸減)に関連するアウトカムを決定した。次に、国際基準(IPDAS)に従い意思決定支援ツールのプロトタイプを開発した。患者および医療提供者における受容性を評価するため、混合研究法を用いた。

2型DM発症リスク、肥満でなくても腹囲が影響/BMJ

 体格指数(BMI)が高値ほど2型糖尿病を発症するリスクは高く、肥満であるか否かにかかわらず、腹囲の大きさと2型糖尿病リスクには強い正の線形の関連性が認められることが明らかにされた。イラン・Semnan University of Medical SciencesのAhmad Jayedi氏らが、200件超の試験を対象に行ったメタ解析の結果を報告した。BMJ誌2022年1月18日号掲載の報告。  研究グループは、BMI、腹囲、肥満およびこれらの測定比の違いと2型糖尿病リスクとの関連を統合的レビューで明らかにするため、PubMed、Scopus、Web of Scienceを基に、2021年5月1日までに収載された試験を対象に、システマティックレビューと用量反応性メタ解析を行った。対象とした試験は、一般成人集団を対象に行われ、肥満・体脂肪含有量と2型糖尿病リスクに関して検討したコホート試験。

ロナプリーブ、コロナ無症候者への投与で症状悪化を抑制/JAMA

 初期無症候性の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が確認された家庭内濃厚接触者に対し、皮下投与によるカシリビマブ+イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)の抗体カクテル療法はプラセボと比較し、28日間の症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症リスクを有意に低下する。米国・Regeneron PharmaceuticalsのMeagan P. O'Brien氏らが、314例を対象に行った第III相無作為化試験の結果を報告した。JAMA誌オンライン版2022年1月14日号掲載の報告。

CAR-T ide-cel、多発性骨髄腫に国内承認/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年1月20日、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするCAR T細胞療法イデカブタゲン ビクルユーセル(製品名:アベクマ)について、再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象とした再生医療等製品製造販売承認を取得した。再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象にしたCAR T療法の承認取得は今回が国内初。  今回の承認取得は、国際共同第II相試験(実施地域:日本・米国・欧州・カナダ)、ならびに海外第I相試験(実施地域:米国)で得られた有効性および安全性の結果に基づいている。

KRAS G12C変異の非小細胞肺がんにソトラシブ国内承認/アムジェン

 アムジェンは、2022年1月20日、KRASG12C阻害薬ソトラシブ(製品名:ルマケラス)について、がん化学療法後に増悪したKRASG12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの効能・効果で、日本における製造販売承認を取得した。  日本における製造販売承認は国際共同第I/II相多施設共同単群非盲検試験(CodeBreaK100試験)の結果に基づいたもの。同試験の第II相パートでは、非小細胞肺がん(NSCLC)患者126例(日本人11例を含む)を対象に、ソトラシブ960mgが1日1回経口投与され、主要評価項目である奏効率は、有効性評価対象123例で37.4%であった。

治療抵抗性片頭痛患者に対するフレマネズマブの有効性~年齢や性別の影響

 片頭痛の有病率は、年齢や性別により異なり、成人初期および中年の女性でとくに高いが、男性やすべての年齢の成人においても片頭痛の問題を抱えている人は少なくない。そのため、性別や年齢を超えた片頭痛予防薬の有用性を理解することは重要である。既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療が奏効しなかった反復性および慢性片頭痛成人患者を対象としたランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験である第IIIb相FOCUS試験において、ヒト化モノクローナル抗体フレマネズマブの安全性、有効性は明らかとなった。オランダ・エラスムス大学ロッテルダムのAntoinette MaassenVanDenBrink氏らは、FOCUS試験参加者を年齢および性別でサブグループ化し、フレマネズマブの有効性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年12月18日号の報告。

日本における統合失調症急性期入院患者に対する抗精神病薬治療の有効性

 順天堂大学の八田 耕太郎氏らは、統合失調症患者に対する長時間作用型持続性注射剤(LAI)と抗精神病薬の多剤併用(クロザピンを含まない)の実臨床における有効性の比較を行った。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年11月6日号の報告。  日本の精神科救急病院12施設において、19ヵ月間のプロスペクティブ研究を実施した。対象は、DSM-Vで定義される統合失調症およびその他の精神病性障害の急性発症または悪化のために、2019年9月~2020年3月に精神科救急病棟に新たに入院した患者。すべての患者を退院後1年間または2021年3月31日までフォローアップを行った。主要アウトカムは、治療失敗リスク(精神科再入院、治療薬使用の中止、死亡、1年間の入院継続)とした。分析は、Cox比例ハザード多変量回帰を用いた。

コロナ流行開始以降、小児の感染症による入院・死亡が減少/BMJ

 イングランドの小児では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の発生以降、重度の侵襲性感染症や呼吸器感染症、ワクチンで予防可能な感染症による入院が大幅かつ持続的に減少し、このうち敗血症や髄膜炎、細気管支炎、肺炎、ウイルス性喘鳴、上気道感染症による入院から60日以内の死亡数も減少したことが、英国・オックスフォード大学のSeilesh Kadambari氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2022年1月12日号で報告された。  本研究は、イングランドにおける小児の呼吸器感染症、重度の侵襲性感染症、ワクチンで予防可能な感染症による、入院および死亡に及ぼしたCOVID-19の世界的大流行の影響の評価を目的とする住民ベースの観察研究である(Office for Health Improvement and Disparitiesなどの助成を受けた)。

コロナ疑似症患者の扱いは?感染状況に応じた外来診療の考え方/厚労省

 オミクロン株への急速な置き換わりが進み、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が急拡大する中、一部地域ではすでに発熱外来の電話がつながらない、予約が取れないといった状況が生じている。そのような状況を鑑み、厚生労働省では1月24日に事務連絡を発出。「診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合」および「外来医療のひっ迫が想定される場合」に分けて、自治体(都道府県又は保健所設置市)の判断で行うことができる対応について示した。

軽度アルツハイマー病患者の安全運転に対するメマンチンの影響

 米国・フロリダアトランティック大学のPeter J. Holland氏らは、軽度アルツハイマー病患者の安全運転能力の維持に対するメマンチンの潜在的な有効性を評価するために、プラセボ対照二重盲検比較試験の実現可能性を判断する目的でパイロット研究を実施した。Canadian Geriatrics Journal誌2021年12月1日号の報告。  スクリーニング基準を満たした60歳以上の軽度アルツハイマー病患者43例を対象に、メマンチン群22例と対照群21例にランダム化を行った。運転能力の評価には、標準化された路上運転免許試験を用いた。アウトカムは、6、12ヵ月時点の運転能力と12ヵ月間の路上試験完了率とした。

12~18歳、ワクチン2回接種でCOVID-19入院をほぼ回避/NEJM

 年齢12~18歳の入院患者のうち、BNT162b2ワクチン(mRNAワクチン、Pfizer-BioNTech製)の2回接種を受けた患者は非接種例と比較して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院の回避に関する有効率が高く、集中治療室(ICU)入室や生命維持介入の回避割合も優れることが、米国疾病予防管理センター(CDC)のSamantha M. Olson氏らが実施したOvercoming COVID-19試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年1月12日号に掲載された。

ゲフィチニブの非小細胞肺がんアジュバント、DFSとOSの結果(IMPACT)/JCO

 近年、非小細胞肺がん(NSCLC)のアジュバント療法として、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬を使用したさまざまな臨床試験が実施されている。  このたび、吹田徳洲会病院の多田 弘人氏らが、アジュバント療法におけるゲフィチニブの有効性を検討した国内臨床試験、IMPACT試験の結果をJournal of Clinical Oncology誌2022年1月20日号で報告した。  IMPACT試験は、EGFR変異陽性患者に対する標準的なアジュバント療法であるシスプラチン+ビノレルビン療法を対照としたゲフィチニブのランダム化比較第III相試験であり、WJOG(西日本がん研究機構)が実施した。

重症コロナ肺炎治療薬にトシリズマブを承認/厚労省

 厚生労働省は1月21日、関節リウマチ治療薬トシリズマブ(商品名:アクテムラ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する効能・効果の追加を承認した。SARS-CoV-2による肺炎で、酸素投与、人工呼吸器管理またはECMOが必要な患者に限り、入院下で治療投与できる。  トシリズマブは、炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持つ、中外製薬創製の国産初の抗体医薬品。国内では2005年6月に販売を開始し、点滴静注用製剤では関節リウマチなど6つの適応症、皮下注製剤では3つの適応症で承認を取得している。

日本人双極性障害外来患者に対する処方パターン~I型とII型の違い

 双極I型障害(BD-I)および双極II型障害(BD-II)患者に対する向精神薬の使用に関して、入手可能なエビデンスは限られている。獨協医科大学の篠崎 將貴氏らは、BD-IおよびBD-IIの外来患者に対する薬物療法、とくに抗うつ薬の使用に関して、その特徴を調査した。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年11月23日号の報告。  2017年に実施された日本の精神科クリニックにおける双極性障害の多施設治療調査(MUSUBI研究)に参加したBD-IまたはBD-IIの外来患者2,774例を対象に、現在の精神状態、治療薬およびその他の要因に関するデータを収集した。

若年者の再発VTEへの抗凝固療法、6週が3ヵ月に非劣性/JAMA

 21歳未満の若い誘発性静脈血栓塞栓症(VTE)患者において、6週の抗凝固療法は3ヵ月の同療法に対して、再発VTEリスクと出血リスクとのトレードオフに基づく非劣性基準を満たしたことが、米国・Johns Hopkins All Children's HospitalのNeil A. Goldenberg氏らによる無作為化試験「Kids-DOTT試験」で示された。VTEに対する抗凝固療法について、21歳未満の患者における至適な治療期間は不明であった。JAMA誌2022年1月11日号掲載の報告。  試験は、21歳未満の誘発性VTE患者に対する抗凝固療法について、6週投与は従来法の3ヵ月投与に非劣性であるとの仮説を検証するため、2008~21年に、5ヵ国42医療施設で登録された417例を対象に行われた(主要エンドポイントの最終受診評価は2021年1月)。主な除外条件は重度の抗凝固因子欠乏症またはVTE既往で、持続性の抗リン脂質抗体がなく、診断後6週時の再画像診断で血栓が解消または完全な閉塞は認められない患者を無作為化に2群に割り付け、6週(207例)または3ヵ月(210例)の抗凝固療法を行った。