日本語でわかる最新の海外医学論文|page:207

再発・難治性DLBCL、複数の分子標的薬を含む5剤併用療法が有効/NEJM

 再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療において、ベネトクラクス+イブルチニブ+prednisone+オビヌツズマブ+レナリドミド(ViPOR)の5剤併用療法は、特定の分子サブタイプのDLBCLに持続的な寛解をもたらし、有害事象の多くは可逆性であることが、米国・国立衛生研究所(NIH)のChristopher Melani氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年6月20日号に掲載された。  研究グループは、DLBCLの複数の発がん性遺伝子変異を標的とするレジメンであるViPOR療法の安全性と有効性の評価を目的に、単一施設において第Ib/II相試験を行った(米国国立がん研究所などの助成を受けた)。  2018年2月~2021年6月に、年齢18歳以上でECOG PSスコアが0~2点の再発または難治性B細胞リンパ腫患者60例を登録した。このうち20例(DLBCL 10例を含む)を第Ib相試験、40例(すべてDLBCL)を第II相試験の対象とした。

心房細動とその合併症の生涯リスクの2000~22年における経時的変化:デンマークの一般住民を対象とした全国規模のコホート研究(解説:原田和昌氏)

これまで心房細動発症後の患者ケアでは脳卒中リスクに最も焦点が当てられてきた。しかし、脳卒中だけでなく心不全、心筋梗塞などの心房細動合併症の長期的な影響についても知る必要がある。心房細動の生涯リスクの経時的変化と、心房細動発症後の合併症の生涯リスクの経時的変化を、DOAC上市前後のコホートで調べた。2000年1月1日から2022年12月31日までのデンマークの一般住民を対象とした全国規模の登録研究において、45歳以上の心房細動を有しない350万人(女性51.7%)が、心房細動の発症、転居、死亡、または調査の終了のいずれか早い時点まで追跡された。心房細動を発症したが合併症のない36万2,721人(女性46.4%)について、心不全、脳卒中、または心筋梗塞の発症を追跡した。主なエンドポイントは心房細動の生涯リスクと、心房細動発症後の合併症の生涯リスクである(2000~10年と2011~22年を比較した)。

臨床現場で認知症やMCI患者のアドヒアランスは把握可能か

 多くの患者でみられるアドヒアランスの不良は、健康状態の悪化、QOLの低下、医療費の増大の原因となる。スペイン・Instituto CUDECA de Estudios e Investigacion en Cuidados Paliativosの氏Pilar Barnestein-Fonsecaらは、軽度認知障害(MCI)および認知症患者におけるアドヒアランス不良の割合を推定するため、錠剤カウントの参照法(RM)を考慮し、実臨床で有用かつ簡便な2つの自己報告法(SRM)の診断的妥当性を評価した。Frontiers in Pharmacology誌2024年5月22日号の報告。  本コホートは、多施設ランダム化比較試験に組み込まれた。8施設より387例が、非確率的連続サンプリング法を用いて選択された。包括基準は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア20〜28点、55歳以上、薬物治療中、治療薬剤の自己管理とした。対象患者のフォローアップ調査は、ベースラインから6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月にわたり実施した。治療アドヒアランスに関連する変数は、フォローアップ期間の各ポイントで測定した。変数には、年齢、性別、治療、併存疾患、MMSE testを含めた。アドヒアランスには、錠剤数、SRMとしてのMorisky-Green test(MGT)、Batalla test(BT)を含めた。統計分析には、記述式分析および95%信頼区間(CI)を含めた。診断の妥当性には、SRMとRMのオープン比較統計的関連性、層別比較(アドヒアランス不良を評価するための最良の方法としてRM、κ値、感度、特異度、尤度比)を含めた。

ライフステージごとの運動で健康寿命の延伸を目指す/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催し、運動・健康スポーツ医学委員会(委員長:津下 一代氏[女子栄養大学 特任教授])の「令和4・5年度の運動・健康スポーツ医学委員会答申」ならびに医師会としてスポーツ庁長官の室伏 広治氏へ要望書を提出したことを常任理事の長島 公之氏(長島整形外科院長)説明した。  今回の答申は、「『健康スポーツ医学実践ガイド』(2022年6月発行)と『運動・スポーツ関連資源マップ作成』を通じて促進する地域の多職種連携について」と題され、全国の医師会を中心に医師と他の医療職種と地域が協同して、運動やスポーツを通じ、住民の健康寿命の延伸を目指す取り組みを記している。

脳梗塞発症後4.5時間以内、reteplase vs.アルテプラーゼ/NEJM

 発症後4.5時間以内の脳梗塞急性期患者において、90日後の良好な機能的アウトカムに関してreteplaseのアルテプラーゼに対する優越性が示された。中国・首都医科大学のShuya Li氏らRAISE Investigatorsが、同国62施設で実施した第III相無作為化非盲検非劣性試験「Reteplase versus Alteplase for Acute Ischemic Stroke trial:RAISE試験」の結果を報告した。アルテプラーゼは脳梗塞急性期再灌流療法の標準的な薬剤であるが、それに代わる血栓溶解薬としてreteplaseをアルテプラーゼと比較した有効性が第II相試験で示されていた。NEJM誌2024年6月27日号掲載の報告。

家族性アルツハイマー病、APOE3Chヘテロ接合体も発症遅延に関与/NEJM

 常染色体優性遺伝性アルツハイマー病に関連するPSEN1E280A変異保因家系において、アポリポ蛋白E3クライストチャーチ変異体(APOE3Ch)を1コピー有するヘテロ接合体保有者では認知機能障害の発症が遅いことを、米国・ハーバード大学医学大学院のYakeel T. Quiroz氏らがレトロスペクティブコホート研究で明らかにした。アポリポ蛋白EをコードするAPOEとプレセニリン1をコードするPSEN1の変異はアルツハイマー病のリスクを変化させる。著者らは先行研究にて、PSEN1E280A変異による常染色体優性遺伝性アルツハイマー病患者において、APOE3Chを2コピー有するホモ接合体患者における認知機能障害の発症遅延を報告していた。NEJM誌2024年6月19日号掲載の報告。

メトホルミンに追加すべき薬剤はSGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬それともSU薬?(解説:住谷哲氏)

GRADE(Glycemia Reduction Approaches in Diabetes: A Comparative Effectiveness Study)研究は、メトホルミン単剤で血糖管理目標を達成できない患者に追加する血糖降下薬としてインスリン(グラルギン)、SU薬(グリメピリド)、GLP-1受容体作動薬(リラグルチド)またはDPP-4阻害薬(シタグリプチン)の有用性を比較検討したランダム化比較試験である。その結果は、HbA1c低下作用はグラルギンとリラグルチドが他の2剤に比べて優れており、体重減少効果はリラグルチドが最も優れていた。

心臓植込み電気デバイスの革新的一歩 ーモジュール式リードレスペーシング除細動システムー(解説:高月誠司氏)

本邦では1968年ペースメーカー、1996年に植込み型除細動器が保険収載された。これらは静脈内にリードを留置するシステムであるが、リードには断線や感染のリスクがあり、植込み遠隔期のリード抜去はリスクを伴う。そのため経静脈リードのないシステムが開発されてきた。2016年に皮下植込み型除細動器(SICD)、2017年にはリードレスペースメーカーが保険収載されたが、どちらも血管内にリードを留置しないシステムである。ただしSICDは、心室頻拍に対する抗頻拍刺激ができない、徐脈性不整脈に対するペーシングができないという限界があった。SICDとリードレスペースメーカーを組み合わせて植え込み、通信させて使うことにより、SICDの欠点をカバーするのが、モジュラー通信リードレスペーシング・除細動器システムである。MODULAR ATP研究では、本システムのfeasibilityが報告された。151例が6ヵ月のフォローアップ期間を完了し、ワイヤレスデバイスの通信成功率は98.8%であった。151例の患者のうち147例(97.4%)が2.0V以下のペーシング閾値を有しており、抗頻拍ペーシングによる頻拍停止率は61.3%であった。本研究では平均年齢60歳という比較的若い患者群に植え込まれたが、リードレスペースメーカーの電池寿命時の対応など課題もあるが、心臓植込み型電気デバイスにおける画期的な進歩と考える。

統合失調症に対する2種類の長時間作用型注射剤抗精神病薬の併用療法

 統合失調症患者のうち、複数の治療に対し抵抗性を示す患者の割合は、最大で34%といわれている。継続的かつ適切な治療が行われない場合、再発、再入院、抗精神病薬による薬物治療の効果低減、副作用リスクの上昇を来す可能性が高まる。統合失調症患者のコンプラインアンスを向上させ、臨床アウトカムやQOLの改善に対し、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の有用性が示唆されており、治療抵抗性統合失調症患者に対しては、2種類のLAI抗精神病薬を同時に投与することが推奨されている。イタリア・University of Campania Luigi VanvitelliのSalvatore Cipolla氏らは、統合失調症またはその他の精神病スペクトラム障害患者に対する2種類のLAI抗精神病薬併用に関する利用可能なエビデンスのレビューを行った。Brain Sciences誌2024年4月26日号の報告。

アトピー性皮膚炎の症状を改善するレブリキズマブ発売/リリー

 日本イーライリリーは、アトピー性皮膚炎の治療薬である抗ヒトIL-13モノクローナル抗体製剤レブリキズマブ(商品名:イブグリース)を2024年5月31日より販売を開始した(製造販売承認日は2024年1月18日、薬価収載日は2024年4月17日)。このレブリキズマブの販売に合わせて、都内で「アトピー性皮膚炎患者さんの抱えるアンメットニーズおよび新たな選択肢」をテーマにメディアセミナーを開催した。  セミナーでは、皮膚科専門医によるアトピー性皮膚炎の現状と課題、患者さんの意識調査の結果、レブリキズマブの臨床試験について説明が行われた。

転移乳がんへのCDK4/6阻害薬+内分泌療法の効果、HER2ゼロと低発現で解析(PALOMA-2、PALOMA-3)

 CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用は、転移を有するHR+/HER2-乳がんに対する1次治療として推奨されているが、HER2低発現とHER2ゼロのそれぞれに対する効果は不明である。今回、米国・Duke University School of MedicineのHuiyue Li氏らが、PALOMA-2試験とPALOMA-3試験の2次解析で、HR+でHER2低発現またはHER2ゼロの転移乳がんにおけるCDK4/6阻害薬と内分泌療法併用の有効性を評価したところ、HER2低発現患者で無増悪生存期間(PFS)の有意な改善が認められた。一方、HER2ゼロ患者では、前治療の内分泌療法で進行した患者では有意なPFS改善が認められたが、1次治療では有意ではなかった。eBioMedicine誌2024年6月10日号に掲載。

不定愁訴を改善する介入法をRCTで検証/Lancet

 持続性身体症状(persistent physical symptoms:PPS)を有する成人に対して、自己管理の支援に重点を置き、症状に関する説明を強化した臨床的介入(symptom-clinic intervention)は、複数のPPSの改善をもたらすことが、英国・シェフィールド大学のChristopher Burton氏らが実施したプラグマティックな多施設共同無作為化並行群間比較試験「Multiple Symptoms Study 3:MSS3試験」で示された。先行研究で、複数のPPSを抱える人々は生活の質が低下し、医療を受ける機会も不足していることが示されているが、地域の総合診療医(GP)によるコミュニケーションの強化に重点を置いた介入が、PPSを改善するかは検討されていなかった。Lancet誌2024年6月15日号掲載の報告。

CAR-T療法、2次がん・T細胞リンパ腫のリスクは?/NEJM

 キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法では、2次がん、とくにウイルスベクターの組み込みに関連するT細胞腫瘍のリスクが新たな懸念事項となっているが、米国・スタンフォード大学のMark P. Hamilton氏らは、同大学医療センターで2016年以降にCAR-T細胞療法を行った症例について解析し、2次がんはまれであることを明らかにした。「クローンの関連を明確にし、ウイルスベクターのモニタリングに関する枠組みが必要と考えられる」とまとめている。NEJM誌2024年6月13日号掲載の報告。  研究グループは、2016年2月4日~2024年1月15日に、スタンフォード大学医療センターでCAR-T細胞療法を実施した724例(791件)について、2次がんの発生率を調査した。

リウマチ性心疾患に関する知見を改めて見直した研究(解説:野間重孝氏)

本研究の主な目的は、さまざまな国のさまざまな所得水準におけるリウマチ性心疾患(RHD)の発生率と臨床転機の予測因子を明らかにすることにあったが、同時に現在世界をカバーするRHD患者に関するデータの集積が十分になされていないため、そのコホートを構築することでもあった。実際、今回この研究グループは現代のRHD患者に関する最大のコホートを作成することに成功した。もっとも、類似した研究が行われたことがなかったということはなく、実際このジャーナル四天王でも2017年8月に「世界のリウマチ性心疾患死、25年で半減/NEJM」が掲載されている。この研究では132ヵ国のデータ分析が行われており、十分に大きな研究だったといえるだろう。

抗菌薬持続間欠の比較(解説:栗原宏氏)

 βラクタム系抗菌薬は、最小発育阻止濃度以上の時間(time above MIC)が長いほど効果がある時間依存性であり、頻回投与、長時間投与が望ましいとされている。そのため、究極的に持続投与ならばMIC以上の最適な状態が維持され、より高い治療効果が得られるのではないかと推論される。

「糖尿病医療者のための災害時糖尿病診療マニュアル2024」発行/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会の年次学術集会(会長:植木 浩二郎氏[国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター長])が、5月17~19日に東京国際フォーラムなどで開催された。  2024年1月1日に石川県はじめとする北陸地方を襲った「能登半島地震」は記憶に新しい。災害時に糖尿病患者やその家族へのサポートなどはどのようにあるべきであろう。  本稿では「災害時の糖尿病診療支援と糖尿病対策推進会議の活動」より「災害時糖尿病診療マニュアル2024の概要 総論」(講演者:荒木 栄一氏[熊本大学名誉教授/菊池郡市医師会立病院/熊本保健科学大学健康・スポーツ教育研究センター 特任教授])をお届けする。

初発統合失調症患者に対する長時間作用型注射剤と経口剤抗精神病薬の有用性〜メタ解析

 長時間作用型注射剤抗精神病薬(LAI)は、慢性期統合失調症患者の再発および入院の予防に対し、経口抗精神病薬(OAP)よりも優れていることが示唆されているが、初発や最近発症した統合失調症、つまり早期段階の統合失調症患者におけるエビデンスは、明確ではない。イタリア・ヴェローナ大学のGiovanni Vita氏らは、早期段階の統合失調症患者の維持療法におけるLAIとOAP治療による中長期の相対的な有効性および安全性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2024年6月2日号の報告。

フラボノイド積極摂取で高血圧患者の死亡リスクが低減

 米国疾病予防管理センター(CDC)の国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いた前向き試験によって、総フラボノイド摂取量が多いほど高血圧症患者の全死亡リスクが低減するという正の相関関係が認められたことを、中国・Second Xiangya Hospital of Central South UniversityのKang Wang氏らが明らかにした。Nutrients誌2024年5月20日号掲載の報告。  フラボノイドは天然に存在するポリフェノール化合物で、主にフラバノン、フラボン、フラバノール(フラバン-3-オール)、フラボノール、イソフラボン、アントシアニジンの6つのサブクラスが含まれる。フラボノイド摂取による抗酸化作用や抗炎症作用、血管拡張作用などが報告されており、高血圧症のリスク低減だけでなく、全死亡率、がん関連死亡率、心血管疾患(CVD)関連死亡率の低下にもつながるというエビデンスが増えつつある。しかし、フラボノイド摂取量の増加が高血圧症患者にどのような利益をもたらすかはいまだ不明である。そこで研究グループは、総フラボノイドおよびフラボノイドサブクラスの摂取と全死亡率、がん関連死亡率、CVD関連死亡率との関係を明らかにし、さらに高血圧症患者にとっての至適な摂取量を確立するために調査を行った。

慢性硬膜下血腫の穿頭ドレナージ術、洗浄なしvs.あり/Lancet

 慢性硬膜下血腫に対する穿頭ドレナージ術について、硬膜下洗浄を行わない場合(洗浄なし群)の6ヵ月以内の再手術率は、行った場合(洗浄あり群)より6.0%ポイント高率であり、洗浄なし群の洗浄あり群に対する非劣性は示されなかったことを、フィンランド・ヘルシンキ大学のRahul Raj氏らFinnish study of intraoperative irrigation versus drain alone after evacuation of CSDH(FINISH)試験グループが報告した。慢性硬膜下血腫に対する穿頭ドレナージ術には、アクセス用穿頭孔の作成、硬膜下腔の洗浄、硬膜下ドレーンの挿入という3つの要素が含まれる。硬膜下ドレーンの有益性は確立されているが、硬膜下洗浄の治療効果は検討されていなかった。結果を踏まえて著者は、「機能的アウトカムや死亡率について群間差がなかったことを考慮すると、硬膜下洗浄を行うことを支持するものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年6月6日号掲載の報告。

D型肝炎へのbulevirtide、PEG-IFN上乗せが有効/NEJM

 慢性D型肝炎に対して、bulevirtide+ペグインターフェロン アルファ-2a(PEG-IFNα-2a)の併用療法はbulevirtide単独療法と比べて、治療後24週時点のD型肝炎ウイルス(HDV)RNA陰性化率の評価において優れることが示された。フランス・パリ・シテ大学のTarik Asselah氏らが第IIb相非盲検無作為化試験の結果を報告した。bulevirtide単独療法は慢性D型肝炎患者におけるウイルス学的奏効をもたらすことが、第III相試験において示されている。また、PEG-IFNα-2aは本疾患へ適応外使用されているが、両薬の併用によりウイルス学的抑制が強化され、慢性D型肝炎患者の投与期間を限定した治療となりうるのかは明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版2024年6月6日号掲載の報告。