脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:146

急性虚血性脳卒中、血栓除去術の追加は有用/NEJM

 急性期虚血性脳卒中患者に対する発症後8時間以内のステント型リトリーバー(血栓回収デバイス)を用いた血栓除去術は、脳卒中による障害の重症度を改善し、機能的自立の割合を増加させることが、米国・ピッツバーグ大学医療センターのTudor G Jovin氏らが実施したREVASCAT試験で示された。近年、機械的血栓除去療法の臨床的有効性が複数の無作為化試験によって報告されているが、脳卒中の血管内治療の試験では、間断のない連続的な患者登録が困難なことが問題とされる。その解決策として、本試験では地域住民ベースの前向き患者登録システムが用いられた。NEJM誌オンライン版2015年4月17日号掲載の報告。

t-PA+血栓除去、急性脳卒中の機能的自立率アップ/NEJM

 前大脳動脈近位部閉塞による急性脳卒中患者に対し、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)静注療法に加えてステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去術を行うことで、90日時点での機能的自立率は60%と、t-PA静注療法単独の35%と比べて大幅に改善することが示された。米国UCLA脳卒中センターのJeffrey L. Saver氏らが、196例について行った無作為化試験の結果、報告した。先行研究で、同患者へのt-PA静注療法単独では機能的自立率は40%未満と報告されており、ステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去術を併用した場合には再灌流率が上昇し、長期的な機能的アウトカム改善の可能性が示されていた。NEJM誌オンライン版2015年4月17日号掲載の報告より。

症候性の頭蓋内動脈狭窄患者に対する血管内治療の有効性示されず(解説:中川原 譲二 氏)-355

 脳梗塞の再発率の高い症候性の頭蓋内動脈狭窄患者に対して、自己拡張型ステントを用いた血管内治療の有効性を検証する目的で行われたSAMMPRIS(Stenting vs. Aggressive Medical Management for Preventing Recurrent Stroke in Intracranial Stenosis)試験では、積極的な内科治療単独群のほうが、Wingspan 自己拡張型ステントを用いた経皮的バルーン拡張治療群よりも優れていることが判明し、血管内治療の限界が示された。一方、SAMMPRIS試験の開始後ただちに始まったVISSIT(the Vitesse Intracranial Stent Study for Ischemic Stroke Therapy)試験では、試験デザインや使用するステントが異なっていたが、SAMMPRIS試験の否定的な結果を受けて、出資企業が研究を早期に中止し、短期間の転帰分析が行われた。その最終報告が、JAMA誌2015年3月24・31日号に報告され、あらためて血管内治療の限界が確認された。

緑茶で死亡リスクが減る疾患

 日本における大規模集団コホート研究において、緑茶の摂取が全死因および3つの主な死因の死亡リスクを減らす可能性が示唆された。わが国のJPHC Studyにおいて、緑茶の摂取量と原因別死亡率(全死因、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外傷、その他)との関連を調査した結果が、Annals of epidemiology誌オンライン版2015年3月25日号に掲載された。

葉酸補充で、脳卒中が減る-臨床試験デザインの重要さを、あらためて教えてくれたCSPPT試験(解説:石上 友章 氏)-352

 疫学や遺伝学研究から、MTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)遺伝子多型や高ホモシステイン血症が、心血管疾患の発症リスクになることが知られていたが、葉酸やビタミンB12を使った介入試験によって、予後の改善やnutrientの有効性が証明されることはなかった。

血栓吸引療法に何を求めるのか(解説:上田 恭敬 氏)-351

 本論文は、以前に行われた多施設、前向き、オープンラベル、無作為化比較対照試験のThrombus Aspiration in ST-Elevation Myocardial Infarction in Scandinavia (TASTE)trialの後に行われた、新たな多施設、前向き、オープンラベル、無作為化比較対照試験であるThe Trial of Routine Aspiration Thrombectomy with PCI versus PCI Alone in Patients with STEMI(TOTAL)trialの結果を報告したものである。

頭蓋内動脈狭窄へのバルーン拡張型ステントは転帰不良/JAMA

 頭蓋内動脈狭窄症の患者に対し、内科的治療+バルーン拡張型ステント治療は、内科的治療のみに比べ、12ヵ月間の同一部位の脳卒中やTIAのリスク増大、また30日間のあらゆる脳卒中やTIAのリスク増大に至ったことが報告された。米国・ウィスコンシン医科大学のOsama O. Zaidat氏らが無作為化比較試験の結果、示された。これまで、無作為化試験による、同比較の検討は行われていなかったという。著者は今回の結果について、「症候性頭蓋内動脈狭窄症の患者には、バルーン拡張型ステントの使用を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌2015年3月24・31日号掲載の報告より。

PCI前の血栓除去は有効か?RCTの結果/NEJM

 プライマリPCIを受けるST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者への、ルーチンの用手的血栓除去の実施は、180日間の心血管死や心筋梗塞の再発などの複合アウトカムを改善しなかったことが示された。一方で、30日以内の脳卒中発生率は、用手的血栓除去により約2倍増大した。カナダ・ハミルトン総合病院のS.S. Jolly氏らが、1万732例について行った無作為化試験の結果、報告した。プライマリPCI時の用手的血栓除去は遠位塞栓を抑制し、微小血管の循環を改善するとされる。先行研究の小規模試験では、血栓除去による臨床転帰の改善が示唆されたが、大規模試験では相反する結果が報告されていた。NEJM誌2015年4月9日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。

「エドキサバンは日本の薬なのに…」2~エドキサバン減量と出血、血栓イベントの関係~:ENGAGE AF-TIMI 48試験(解説:後藤 信哉 氏)-337

 EBM(Evidence Based Medicine)を基本原理とする現在の医療において、臨床データベースの保有には圧倒的な意味がある。エドキサバンは日本企業が開発した薬剤である。日本企業には抗トロンビン薬があるがトロンビンの時代から、選択的凝固因子阻害薬の開発力は外資企業に先行していた。残念ながら、分子としての抗Xa薬を介入したときの個人の反応は予測不可能な程度にしか、現在の医学は成熟していない。結果として、エドキサバン介入時の臨床データベースを持っているものが強い。