脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:137

急性虚血性脳卒中の血栓除去術、Solitaireデバイスの有用性を確認:SWIFT試験

 神経障害を伴う急性虚血性脳卒中の治療では、Solitaire血流回復デバイスは従来のMerci血栓回収デバイスに比べ安全性および臨床転帰が実質的に良好なことが、米国カリフォルニア大学ロサンジェルス校のJeffrey L Saver氏らによる検討(SWIFT試験)で示された。欧米の虚血性脳卒中の治療ガイドラインでは、発症後4.5時間までは遺伝子組み換え組織プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)、6時間までは動脈内線溶療法、8時間までは機械的血栓除去術が推奨されている。Solitaireは、主幹動脈閉塞による急性虚血性脳卒中における迅速な血流回復を目指して開発された、自己拡張型ステント式の血栓回収デバイスである。Lancet誌2012年10月6日号(オンライン版2012年8月26日号)掲載の報告。

主幹動脈大血管閉塞脳卒中の血栓除去術、Trevoデバイスの有用性を確認:TREVO 2試験/Lancet

 主幹動脈大血管閉塞脳卒中に対する機械的血栓回収療法では、新たに開発されたTrevo血栓回収デバイスは従来のMerci血栓回収デバイスに比べ再開通率が優れることが、米国・エモリー大学医学部のRaul G Nogueira氏らの検討(TREVO 2試験)で示された。急性虚血性脳卒中の標準治療は遺伝子組み換え組織プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)による血栓溶解療法だが、適応が発症早期に限定されたり、広範な血栓では再開通率が不良などの限界がある。機械的血栓回収療法は血栓溶解療法よりも再開通率が優れる可能性があるが、現行の機械的デバイスは再開通不成功率が最大20~40%に達するという。Lancet誌2012年10月6日号(オンライン版2012年8月26日号)掲載の報告。

交代勤務で血管イベントが増加、200万人以上の国際的メタ解析

 交代勤務制の労働形態により、血管イベントが有意に増加することが、カナダ・ウェスタン大学のManav V Vyas氏らの検討で示された。交代勤務は、一般に規則的な日中勤務(おおよそ9~17時の時間帯)以外の勤務時間での雇用と定義され、高血圧、メタボリック症候群、脂質異常症、糖尿病のリスクを増大させることが知られている。さらに、概日リズムの乱れにより血管イベントを起こしやすいとの指摘があるが、相反するデータもあるという。BMJ誌2012年8月25日号(オンライン版2012年7月26日号)掲載の報告。

t-PA療法後の早期アスピリン静注追加は急性虚血性脳卒中の予後を改善するか?

 アルテプラーゼ(商品名:グルトパ、アクチバシン)静注療法を施行された急性虚血性脳卒中患者に対し、再閉塞予防の目的で早期にアスピリン静注を行うアプローチは有効ではないことが、オランダ・アムステルダム大学のSanne M Zinkstok氏らが行ったARTIS試験で示された。欧米ではt-PAであるアルテプラーゼによる血栓溶解療法は、急性虚血性脳卒中に対する唯一の承認された治療法である。アルテプラーゼによる再疎通の達成後に、患者の14~34%が血小板の活性化によると考えられる再閉塞を来すが、早期に抗血小板療法を行えば再閉塞のリスクが低減し、予後も改善する可能性があるという。Lancet誌2012年8月25日号(オンライン版2012年6月28日号)掲載の報告。

総頸動脈内膜中膜複合体厚、従来の心筋梗塞・脳卒中予測モデルを改善せず

 総頸動脈内膜中膜複合体厚(CIMT)を予測モデルに加えても、従来のフラミンガムリスクスコアの予測モデルに比べ、初回心筋梗塞または脳卒中の10年発症予測能は改善しないことが示された。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのHester M. Den Ruijter氏らが、14件のコホート試験について行ったメタ解析の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月22・29日号で発表した。CIMTが心血管イベントの絶対リスクを予測するリスクスコアを改善することに関しては、研究結果に一貫性がなかった。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(8)〕 結果は正しいが・・・

 無作為化試験のメタ解析で得られたエビデンスのレベルは最も高いとされるが、どの試験を解析対象とするかといった点に解析者の作為が入る余地があることからより注意深い批判的吟味(Critical Appraisal)が必要である。しかしCTT Collaborationは公平、中立な解析を行うグループであり、その点では安心してよい(高血圧領域ではBPLTTCが有名)。

スタチンによるLDL-C低下療法、低リスク集団でも血管イベントを低減

 スタチンによるLDLコレステロール(LDL-C)低下療法は、血管イベントの低リスク集団においても主要血管イベント(MVE)の抑制効果を発揮することが、Cholesterol Treatment Trialists’(CTT)Collaboratorsによる検討で示された。スタチンはLDL-Cを低下させることで血管イベントを予防するが、血管イベントのリスクが低い集団における効果は、これまで明らかにされていなかった。血管疾患の既往歴のない集団は血管イベントの絶対リスクが低いものの、血管イベントの半数以上はこの集団で発生しているため、とくにスタチン治療の1次予防効果は解明すべき重要な課題とされる。Lancet誌2012年8月11日号(オンライン版2012年5月17日号)掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(4)〕 シチコリン、急性虚血性脳卒中に対する有効性示せず:ICTUS試験

 シチコリンは神経血管の保護と修復作用を併せ持つ新規薬剤で、動物モデルでは虚血発作から数時間後でも急性の脳損傷の抑制や機能の回復効果を示すことが報告され、統合解析で有効性のエビデンスが示されていた。ICTUS(international citicoline trial on acute stroke)試験は、急性虚血性脳卒中に対するシチコリンの有効性を検証する国際的な多施設共同プラセボ対照無作為化試験として実施され、対象は中等度~重度の急性虚血性脳卒中による入院患者とされた。