せん妄ケアの重要性、死亡率への影響を検証

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 認知症入院患者は、せん妄リスクが高いが、認知症に併発したせん妄(delirium superimposed on dementia:DSD)が患者アウトカムに及ぼす影響については、あまり知られていない。ブラジル・サンパウロ大学のThiago J. Avelino-Silva氏らは、高齢者入院患者におけるDSDと院内死亡率および12ヵ月間の死亡率との関連を調査した。PLOS medicine誌2017年3月28日号の報告。

 本研究は、サンパウロ大学付属病院の老人病棟で実施したコホート研究である。対象は、2009年1月~2015年6月までの60歳以上の急性疾患入院患者1,409例。主な変数と指標は、認知症、認知症の重症度(IQCODE[Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly]、CDR[臨床的認知症尺度])、せん妄(CAM[Confusion Assessment Method])とした。主要アウトカムは、院内死亡までの時間および退院した場合では12ヵ月間での死亡までの時間とした。入院時に高齢者総合的機能評価を実施し、死亡または退院時に追加の臨床データを収集した。症例は、認知症単独群、せん妄単独群、DSD群、非認知症/せん妄(どちらも有しない)群の4群に分類した。非認知症/せん妄群を比較のための対照群として定義した。多変量解析では、交絡因子(社会人口学的情報、病歴および身体検査データ、機能および栄養状態、多剤併用など)を調整したCox比例ハザードモデルを用いて実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・全体として、女性の比率は61%、認知症は39%、平均年齢は80歳であった。

・認知症単独群が13%、せん妄単独群が21%、DSD群が26%であった。

・院内死亡率は、非認知症/せん妄群で8%、認知症単独群で12%、せん妄単独群で29%、DSD群で32%であった(ピアソンのχ2検定:112、p<0.001)。

・独立して院内死亡率と関連していたのは、DSD群(ハザード比[HR]:2.14、95%信頼区間[CI]:1.33~3.45、p=0.002)とせん妄単独群(HR:2.72、95%CI:1.77~4.18、p<0.001)であった。

・認知症単独群では、院内死亡率と統計学的に有意な関連は認められなかった(HR:1.69、95%CI:0.72~2.30、p=0.385)。

・退院後に死亡した24%の患者における12ヵ月死亡率は、いずれの群においても関連が認められなかった(DSD群[HR:1.15、95%CI:0.79~1.68、p=0.463]、せん妄単独群[HR:1.05、95%CI:0.71~1.54、p=0.810]、認知症単独群[HR:1.19、95%CI:0.79~1.78、p=0.399])。

・本検討の限界として、アウトカムに対するせん妄の期間や重症度の影響を検討していない。

 著者らは「DSD群およびせん妄単独群では、高齢入院患者の予後が不良だった。認知症との併発にかかわらず、せん妄は院内死亡率の予測因子として重要であることを認識すべきである」としている。

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