神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

日本の実臨床におけるCGRP関連抗体の長期有効性と治療順守

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連抗体は、片頭痛予防に有効である。しかし、実臨床における1年を超えるデータは限られている。獨協医科大学の鈴木 圭輔氏らは、日本における片頭痛患者における3つのCGRP関連抗体の長期有効性を評価するため、単施設レトロスペクティブ観察コホート研究を実施した。European Journal of Neurology誌2026年3月号の報告。  対象は、獨協医科大学病院の頭痛外来において、2022年4月~2025年2月にCGRP関連抗体(エレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブ)を3ヵ月以上投与した片頭痛患者307例。

鼻腔ブラシ生検でアルツハイマー病が検出可能に?

 将来、嗅裂と呼ばれる鼻の奥の部位から採取した検体を用いた鼻腔ブラシ生検で、アルツハイマー病(AD)の初期兆候を検出できるようになるかもしれない。米デューク・ヘルスが特許を取得した実験段階にあるこのブラシ生検によって、思考力や記憶力の問題が現れる前に神経細胞や免疫細胞の初期の変化を捉えることができたとする研究結果が報告された。この小規模ながら有望な研究は、「Nature Communications」に3月18日掲載された。責任著者である米デューク大学医学部教授のBradley Goldstein氏は、「もし早い段階で診断できれば、臨床的なADの発症を防ぐ治療の開始につなげられる可能性がある」と述べている。

神経疾患外来で患者と医師に“認識ギャップ”、機械学習モデルが予測可能性示す

 神経疾患の外来診療では、患者と医師の評価や満足度に小さなズレが生じることがある。この認識ギャップは、治療理解の不十分さや信頼関係の低下を通じて、生活の質や長期的な治療アウトカムに影響し得る。今回、パーキンソン病、多発性硬化症、てんかんの患者と医師のペアを対象にアンケートを実施し、認識ギャップを定量化するとともに、機械学習モデルでギャップを予測できることを明らかにした。研究は、順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科の大山彦光氏(現:埼玉医科大学医学部脳神経内科)、富沢雄二氏、服部信孝氏らによるもので、詳細は2月9日付で「Scientific Reports」に掲載された。

経口CGRP受容体拮抗薬「アクイプタ錠」、片頭痛発作の発症抑制の適応で発売/アッヴィ

 アッヴィは2026年4月17日に、アクイプタ錠(一般名:アトゲパント水和物)を発売したと発表した。適応は「片頭痛発作の発症抑制」である。  本剤は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬であり、1日1回経口投与する。CGRPとその受容体は片頭痛の病態生理に関与しており、片頭痛発作時にCGRP濃度が上昇することが示されている。現在、世界60ヵ国以上で片頭痛の予防治療薬として承認されており、国内においては2026年2月19日に、片頭痛患者に対する片頭痛発作の発症抑制に関して製造販売承認を取得した。

受診ごとのBMI変動、とくに女性で認知症リスクと関連

 これまでの研究では、認知症リスクを検討する際に、BMIのスロープや変動を別の概念として区別することは一般的ではなかった。東北医科薬科大学の佐藤 倫広氏らは、スロープ調整済み受診ごとのBMI変動と認知症リスクとの関連性を評価した。International Journal of Obesity誌オンライン版2026年3月13日号の報告。  5年間の年次健康診断を受けた50~74歳を対象に、日本の国民健康保険データ(2015~23年)を用いたレトロスペクティブコホート研究を実施した。BMI変動は、経時的な傾向を考慮するため、スロープ調整済み標準偏差(SD)を用いて評価した。抗認知症薬の投与開始を認知症の代理指標とし、死亡を競合リスクとして考慮したFine-Gray競合リスクモデルを用いて解析した。

片頭痛が短期記憶とワーキングメモリに及ぼす影響は

 片頭痛は、世界人口の最大15%が罹患する一般的な神経疾患である。片頭痛は、頭痛、悪心、嘔吐、光や音への過敏症などの身体症状を伴う疾患である。また、視覚性前兆の有無など、特定の症状に基づいて分類されるさまざまな亜型が存在する。さらに、報告頻度の高い認知症状として「ブレインフォグ」がある。これは、主に注意力や記憶力に関連する日常生活における認知機能の低下を表す状態である。片頭痛における記憶機能に関する実証研究の結果は、一貫性が認められていない。一部の研究では、明らかな認知機能低下が報告されている。その一方で、他の研究では軽微あるいはまったく障害がないことが報告されている。

魚を週1、2回食べると認知機能が維持される?

 魚の摂取量が多いほど認知機能の低下速度が遅くなり、認知症の発症率が低くなることが、これまでの疫学研究において一貫して示されている。イタリア・カターニア大学のJustyna Godos氏らは、高齢者の魚の摂取と認知機能との関連性を調査したこれまでの観察研究をシステマティックにレビューした。GeroScience誌オンライン版2026年3月15日号の報告。  レビューの対象となった研究は25件(横断的研究:8件、プロスペクティブ研究:17件)。対象は、主に健康な高齢者(年齢範囲:プロスペクティブ研究のベースライン時18~30歳、65~91歳[年齢スペクトルの上限を網羅])。現在までに発表されているほとんどの研究で調査されている認知機能には、全般的認知機能、記憶(エピソード記憶、ワーキングメモリ)、実行機能(計画、抑制、柔軟性)、注意、処理速度など、さまざまな領域が含まれていた。

アルツハイマー病への抗アミロイドβ抗体薬、日本での導入実態は?/長寿研

 アルツハイマー病(AD)の病態に直接作用する抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬であるレカネマブとドナネマブが、日本でも2023~24年にかけて実臨床に導入された。東京都健康長寿医療センター研究所の井原 涼子氏らの研究グループは、日本の国民皆保険制度下におけるこれら薬剤の導入実態と、患者の意思決定要因に関する調査を実施した。その結果、本治療を希望して受診した患者のうち、実際に投与を開始したのは約20%にとどまり、高額療養費制度によって経済的障壁が低い環境下でも、治療適格性や副作用への懸念が大きなハードルとなっている現状が浮き彫りになった。Alzheimer's & Dementia: Diagnosis, Assessment & Disease Monitoring誌オンライン版2026年3月24日号に掲載。

慢性片頭痛に対するオナボツリヌス毒素A+抗CGRP抗体~メタ解析

 オナボツリヌス毒素Aと抗CGRP抗体による二重標的療法は、単剤療法で効果が不十分な慢性片頭痛患者に対する潜在的な治療選択肢として浮上している。個々の観察研究報告からのエビデンスにおいて有益性が示唆されているが、利用可能な研究の規模、一貫性、方法論的な質については依然として不明である。イラン・テヘラン医科大学のAbbas Sarvari Soltani氏らは、慢性片頭痛におけるオナボツリヌス毒素Aと抗CGRP抗体の併用療法の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。European Journal of Medical Research誌オンライン版2026年2月20日号の報告。

早期アルツハイマー病、経口セマグルチドは進行を抑制せず/Lancet

 2型糖尿病患者などでは、GLP-1受容体作動薬の投与により認知症およびアルツハイマー病のリスクが低下することを示唆する実臨床研究のエビデンスがある。米国・ネバダ大学のJeffrey L. Cummings氏らは、「evoke試験」および「evoke+試験」において、経口セマグルチドは早期の症候性アルツハイマー病の臨床的な進行を遅らせる効果を有さず、安全性や忍容性は他の適応症を対象とした試験の結果と一致することを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2026年3月19日号で報告された。  evoke試験およびevoke+試験は、40ヵ国566施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2021年5月~2024年9月に参加者を登録した(Novo Nordiskの助成を受けた)。