神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

実臨床におけるレカネマブとAChE阻害薬の有用性比較

 アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬は、アルツハイマー病の症状を緩和する。一方、レカネマブは、アルツハイマー病の進行を修飾する可能性が示されている。しかし、レカネマブの安全性や臨床的影響に関するリアルワールド・エビデンスは、依然として限られている。台湾・Mackay Medical UniversityのChuo-Yu Lee氏らは、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病の患者を対象に、レカネマブ投与を開始した場合とAChE阻害薬を投与した場合の安全性および有効性を比較するため、本研究を実施した。Alzheimer's Research & Therapy誌オンライン版2026年6月22日号の報告。

話せる言語数が多いほど脳年齢は若い?

 言語を学ぶことには思わぬメリットがあるかもしれない。新たな研究で、複数の言語を話す人は、1つの言語しか話さない人と比べてAIで推定された脳年齢が若い可能性があることが示唆された。バスク認知・脳・言語センター(スペイン)の副科学ディレクターであるLucia Amoruso氏らによるこの研究結果は、欧州神経科学会連合フォーラム(FENS Forum 2026、7月6~10日、スペイン・バルセロナ)で発表された。Amoruso氏は、「簡単に言えば、話せる言語数が多い人ほど、脳年齢が実年齢より若い傾向が見られた」と述べている。

日本におけるVZV髄膜炎発生率、12年で3倍超に

 日本における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)髄膜炎の発生率は、過去12年間で3倍超に増加していることが、東京大学の山形 直毅氏らによる研究で明らかになった。一方で、大多数の患者はアシクロビルの長期静注療法により治療され、退院時には転帰が良好であったことも示されている。Journal of the Neurological Sciences誌2026年9月15日号掲載の報告より。  本研究では、2011年4月~2023年3月にVZV髄膜炎と診断された1,680例を、日本の全国入院患者データベースであるDPCデータを用いて特定した。

抗炎症作用のある食事、認知症の予防に有効か

 抗炎症作用のある食品が豊富な食事は認知症の予防に役立つ可能性があることが、新たな研究で示唆された。アルツハイマー病関連病理や神経変性に関連する血液バイオマーカーが高い人では、抗炎症作用のある食事パターンへの遵守度が高いほど認知症リスクが低いことが示されたという。リュブリャナ大学(スロベニア)のAnja Mrhar氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に6月25日掲載された。Mrhar氏らは、「約15年間にわたる高齢者コホート研究において、健康的な食事パターンの遵守率が高いほど認知症リスクは低いことが示された。この関連は、アルツハイマー病関連病理や広範な神経生物学的リスクを有する参加者においても認められた」と結論付けている。

臨床医が見落としやすい認知症のタイプは?

 認知症の早期かつ適切な診断(タイムリーな診断)は、治療計画や支援において重要とされるが、実臨床での過少診断(見落としや診断の遅れ)は頻繁に発生している。米国・Rush University Medical Center Rush Alzheimer's Disease CenterのYi Chen氏らの研究グループは、認知症コホートとメディケアの医療保険請求データ、および死後病理解剖データを結合した大規模解析を行った。その結果、アルツハイマー病(AD)やADと類似した臨床像を呈する辺縁系優位型加齢性TDP-43脳症(LATE-NC)の病理像を持つ患者は医療機関でタイムリーに認知症と診断されやすい一方、血管性病変や新皮質レビー小体(LB)病理を持つ患者は見落とされやすいことを明らかにした。Neurology誌2026年8月11日号に掲載。

高齢者では認知機能低下が心血管疾患イベントに先行か

 高齢者では、認知機能低下が心血管疾患(CVD)イベントに先立って認められるという研究結果が、「JAMA Network Open」に4月20日掲載された。  モナシュ大学(オーストラリア)のSwarna Vishwanath氏らは、ネステッドケースコントロール研究において、CVDイベント発生前の高齢者における認知機能の推移を、CVDイベントがない対照群と比較した。データは、Aspirin in Reducing Events in the Elderly(ASPREE)ランダム化比較試験およびその延長観察研究(ASPREE-XT)から抽出した。対象は、CVDの病歴がない、オーストラリアおよび米国の地域在住高齢者(65歳以上)から成る前向きコホートであった。

認知症リスクを考慮した帯状疱疹ワクチン、最適なタイミングは

 これまでの観察研究において、帯状疱疹ワクチン接種と認知症との間に予防的な関連があることが報告されている。しかし、これらの研究には方法論的な限界がある、あるいは米国では現在利用できない生ワクチンが対象となっていた。米国・Brown UniversityのKaleen N. Hayes氏らは、亜急性期ケアまたは長期ケアを目的として専門看護施設に最近入所した高齢者を対象に、入所後12ヵ月以内または退所後の遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチン接種(RZV)と認知症との関連を推定するため、本研究を実施した。Annals of Internal Medicine誌7月号の報告。

早期アルツハイマー病、OGA阻害薬ceperognastatの有用性/JAMA

 O-結合型N-アセチルグルコサミニダーゼ(OGA)阻害薬のceperognastatは、早期症候性アルツハイマー病(AD)の疾患進行抑制効果が認められなかった。米国・Eli Lilly and CompanyのAdam S. Fleisher氏らが、日本を含む5ヵ国72施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第II相試験「PROSPECT-ALZ試験」の結果を報告した。OGAを阻害することで、過リン酸化タウの蓄積や神経原線維変化の形成を抑制できることが示唆されていたことから、開発が行われていた。JAMA誌オンライン版2026年7月13日号掲載の報告。

中高年のp-tau217値、認知機能低下を予測/JAMA

 米国・Mass General BrighamのRachel F. Buckley氏らは、6件の長期追跡研究に参加した認知機能が正常な中高年のデータを統合し、血漿中リン酸化タウ217(p-tau217)値の増加が、認知機能障害への進行リスクおよび認知機能の低下速度と関連していることを明らかにした。アルツハイマー病(AD)の血液バイオマーカー、とくに血漿p-tau217値は、認知機能が正常な人のAD初期の脳病理を正確に反映することから、認知機能障害への進行リスクとの関連について検証が求められていた。著者は、「今回の結果は、認知機能が正常な高齢者における予後予測モデルの開発、および認知機能低下の長期リスクの推定においてp-tau217が有用であることを支持するものであり、AD治療薬の臨床試験の設計に示唆を与えるものであった。

カフェインは頭痛を誘発するのか、軽減するのか

 カフェインは、鎮痛作用と頭痛の誘因となる可能性という二面性を有している。エジプト・Beni-Suef UniversityのMona Hussein氏らは、この二面性に焦点を当て、カフェインと頭痛との多面的な関係を検証し、さらにカフェインの鎮痛作用の根底にあるメカニズムを明らかにするため、ナラティブレビューを実施した。Brain and Behavior誌2026年6月号の報告。  本ナラティブレビューでは、カフェインの薬理作用、アデノシン受容体調節への関与、さまざまな頭痛タイプ(片頭痛、睡眠時頭痛、硬膜穿刺後頭痛[PDPH]、薬剤の使用過多による頭痛[MOH]、カフェイン離脱性頭痛など)への影響に関する実験的、臨床的、疫学的な研究のエビデンスを統合し、検討を行った。