腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:17

血尿診断で内科医も知っておきたい4つのこと―血尿診断ガイドライン改訂

 『血尿診断ガイドライン』が10年ぶりに改訂された。改訂第3版となる本ガイドラインは、各専門医はもちろんのこと、一般内科医や研修医にもわかりやすいように原因疾患診断のための手順を詳細な「血尿診断アルゴリズム」として提示した。また、コロナ禍での作成ということもあり、最終章では「新型コロナワクチンと血尿」について触れている。今回、本ガイドライン改訂委員会の事務局を務めた小路 直氏(東海大学医学部外科学系腎泌尿器科学)に、内科医が血尿時の問診や専門医への紹介を行ううえで注意すべきポイントなどを聞いた。

IgA腎症のメサンギウム領域に障害をもたらすIgA1は腸管由来が主体?(解説:浦信行氏)

 つい先日のNEJM誌オンライン版(2023年6月16日号)に、欧州における多施設共同研究であるCONVINCE研究の結果が報告された。その結果は、従来のハイフラックス膜の血液透析(HFHD)に比較して、大量置換液使用のオンライン血液透析濾過(HDF)は全死亡を有意に23%減少させたと報告された。それまでの両者の比較はローフラックスHDとの比較が多く、またHFHDとの比較では一部の報告では有意性を示すが、有意性がサブクラスにとどまるものも見られていた。また、置換液量(濾過量+除水量:CV)の事前設定がなされておらず、階層分析で大きなCVが確保できた症例の予後が良好であった可能性も報告され、患者の病状によるバイアスが否定できなかった。本研究においては目標CVが23±1Lと定められ、患者背景にも群間に差はなかった。そのうえでの予後の改善の報告は大変意義の大きいものである。

在宅アルブミン尿スクリーニング、最適な方法は?/Lancet

 一般住民におけるアルブミン尿増加の在宅スクリーニングは、採尿器(UCD)法で参加率が高く、アルブミン尿高値ならびに慢性腎臓病(CKD)や心血管疾患のリスク因子を有する個人を正しく同定した。一方、スマートフォンのアプリケーションを用いる方法(スマホアプリ法)は、UCD法より参加率が低く、精密スクリーニングによる個人のリスク因子の正確な評価のためには検査の特異度が低かった。オランダ・フローニンゲン大学のDominique van Mil氏らが、前向き無作為化非盲検試験「Towards Home-based Albuminuria Screening:THOMAS試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「UCDスクリーニング戦略により、CKD患者の進行性腎機能低下と心血管疾患を予防するための早期の治療開始が可能となるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年8月16日号掲載の報告。

IgA腎症、新規腸管作用型ステロイドが有効/Lancet

 IgA腎症患者において、ブデソニドの新規の腸管作用型経口剤であるNefeconは、9ヵ月間の治療でプラセボと比較し、臨床的に意義のあるeGFR低下および蛋白尿の持続的な減少をもたらし、忍容性も良好であった。米国・スタンフォード大学のRichard Lafayette氏らが、20ヵ国132施設で実施された2年間の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「NeflgArd試験」の結果を報告した。IgA腎症は、慢性免疫介在性腎疾患で腎不全の主な原因であり、発症機序には腸粘膜免疫システムが関与している。Nefeconは、ブデソニドが腸管で徐々に放出され腸粘膜で作用するようデザインされている。Lancet誌オンライン版2023年8月14日号掲載の報告。

わが国のオンラインHDFの現況(解説:浦信行氏)

 つい先日のNEJM誌オンライン版(2023年6月16日号)に、欧州における多施設共同研究であるCONVINCE研究の結果が報告された。その結果は、従来のハイフラックス膜の血液透析(HFHD)に比較して、大量置換液使用のオンライン血液透析濾過(HDF)は全死亡を有意に23%減少させたと報告された。それまでの両者の比較はローフラックスHDとの比較が多く、またHFHDとの比較では一部の報告では有意性を示すが、有意性がサブクラスにとどまるものも見られていた。また、置換液量(濾過量+除水量:CV)の事前設定がなされておらず、階層分析で大きなCVが確保できた症例の予後が良好であった可能性も報告され、患者の病状によるバイアスが否定できなかった。本研究においては目標CVが23±1Lと定められ、患者背景にも群間に差はなかった。そのうえでの予後の改善の報告は大変意義の大きいものである。

『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』改訂のポイント/日本腎臓学会

 6月9日~11日に開催された第66回日本腎臓学会学術総会で、『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』が発表された。ガイドラインの改訂に伴い、「ここが変わった!CKD診療ガイドライン2023」と題して6名の演者より各章の改訂ポイントが語られた。 第1章 CKD診断とその臨床的意義/小杉 智規氏(名古屋大学大学院医学系研究科 腎臓内科学) ・実臨床ではeGFR 5mL/分/1.73m2程度で透析が導入されていることから、CKD(慢性腎臓病)ステージG5※の定義が「末期腎不全(ESKD)」から「高度低下~末期腎不全」へ変更された。 ・国際的に用いられているeGFRの推算式(MDRD式、CKD-EPI式)と区別するため、日本人におけるeGFRの推算式は「JSN eGFR」と表記する。 ・一定の腎機能低下(1~3年間で血清Cr値の倍化、eGFR 40%もしくは30%の低下)や、5.0mL/分/1.73m2/年を超えるeGFRの低下はCKDの進行、予後予測因子となる。

リアルワールドエビデンス、高カリウム血症が心腎疾患患者の転帰におよぼす影響/AZ

 AstraZeneca(英国、CEO:Pascal Soriot氏)は、同社のリアルワールドエビデンス(RWE)に基づくZORA研究(以下、本研究)の解析から、高カリウム血症を発症している患者において、レニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系阻害薬(RAASi)の投与量減量または中止による影響が示されたと発表した。  イタリアのミラノで開催された欧州腎臓学会(ERA)2023総会で発表された本研究の解析の1つより、慢性腎臓病(CKD)および/または心不全(HF)を患う心腎疾患患者におけるRAASi治療の継続を提案する複数のガイドラインがある一方で、米国および日本の臨床現場では、高カリウム血症発症後にRAASi治療の中止が依然行われていることが示された。また、RAASi治療を中止した患者のうち、6ヵ月以内に再開した割合は、米国では10~15%、日本では6~8%で、RAASi治療を再開した少ない患者の中で、米国および日本ともにその17~37%の患者において投与量が25%を超えて減量されていた。

腎不全死亡、オンラインHDFが従来血液透析よりリスク低下/NEJM

 腎不全患者において、大量血液透析濾過(high-dose hemodiafiltration with on-line production:オンラインHDF)は従来のハイフラックス膜を使用した血液透析(HFHD)と比較して、全死因死亡リスクを低下することが示された。オランダ・ユトレヒト大学病院のPeter J. Blankestijn氏らが欧州8ヵ国の61施設で実施した実用的な無作為化比較試験「CONVINCE研究」の結果を報告した。いくつかの研究で、腎不全患者では標準的な血液透析と比較し、オンラインHDFが有用である可能性が示唆されているが、発表されている研究には限界があり追加データが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2023年6月16日号掲載の報告。

CKD-MBDガイドライン改訂に向けたデータの吟味/日本透析医学会

 日本透析医学会による慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の診療ガイドラインが発表されてから10年以上が経過し、これまでに多くのデータが蓄積されてきた。そのデータを吟味し、今後のガイドラインのアップデートにつなげる目的として、2023年6月16日、日本透析医学会学術集会・総会のシンポジウム1「CKD-MBDガイドライン改訂に必要なデータを吟味する」にて、8名の医師からその方向性に関する報告と提案があった。

フォシーガ、心不全の罹患期間によらず、循環器・腎・代謝関連の併存疾患で一貫したベネフィット/AZ

 AstraZeneca(英国)は、チェコのプラハで開催された欧州心臓病学会の心不全2023年次総会において、第III相DELIVER試験の2つの新たな解析結果から、心不全(HF)の罹患期間にかかわらず、循環器・腎・代謝(CVRM)疾患のさまざまな併存状態におけるフォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)の一貫したベネフィットが裏付けられたと発表した。  第III相DELIVER試験の事前規定された解析として、左室駆出率(LVEF)が40%超の心不全患者におけるフォシーガの治療効果を、HFの罹患期間(6ヵ月以内、6ヵ月超~12ヵ月以内、1年超~2年以内、2年超~5年以内、および5年超)別に検討した。その結果、フォシーガのベネフィットがHFの罹患期間にかかわらず一貫していることが示された。さらに、高齢かつ1つ以上の併存疾患を有し、HF悪化および死亡率の高い、罹患期間が長期にわたるHF患者において、絶対利益が増加した(治療必要数[NNT]:HF罹患期間5年超の患者と6ヵ月以内の患者との比較で24:32)。