腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

腎結石の再発予防のための食事とは

 腎結石の痛みを経験したことのある人なら、目がくらむほどの激痛を二度とは経験したくないと思うことだろう。腎結石の再発予防に役立つ可能性のある食事スタイルが報告された。米メイヨー・クリニックのJohn Lieske氏らが行った前向き研究の結果であり、詳細は「Mayo Clinic Proceedings」に8月1日掲載された。  Lieske氏らは、腎結石の再発に食事スタイルが関与しているか否かを検討するために、2009年1月~2018年8月に腎結石の痛みのために同院で治療を受けた411人と、比較対照群384人の食物摂取状況を把握した上で、4.1年(中央値)追跡した。その結果、腎結石既往群の73人が追跡期間中に症状を再発した。

低BMIの蛋白尿リスクに“朝食抜き”が影響

 蛋白尿は心血管疾患と死亡率の重要な予測因子であり、いくつかの研究では、朝食を抜くことと蛋白尿の有病率との関連性が報告1)されている。また、朝食を抜くと肥満のリスクが高まることも明らかになっている。そこで、村津 淳氏(りんくう総合医療センター腎臓内科)らは蛋白尿が肥満の人でよく見られることに着目し、朝食を抜くことによる蛋白尿の有病率とBMIとの関連について調査を行った。その結果、蛋白尿は低BMIと関連性が見られ、低BMIの人の場合には、朝食を抜くことに注意する必要があることが示唆された。本研究結果はFront Endocrinol誌8月19日号に掲載された。 . 本研究者らは、正常な腎機能者における朝食抜きと蛋白尿の有病率との関連に対するBMIの臨床的影響を評価することを目的に、2008年4月~2018年12月までの期間に市中病院で健康診断を受け、腎疾患の既往がなく、推定糸球体濾過量(eGFR)が60mL/min/1.73m2 以上であった2万6,888例 (男性:1万5,875例、女性:1万1,013例) を対象に横断研究を実施した。

ケレンディア、2型糖尿病を合併するCKD患者に関する最新データ発表/バイエル

 バイエル薬品の2022年8月30日付のプレスリリースによると、欧州心臓病学会(ESC)学術集会2022において、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者(CKD)の死亡率にケレンディア(一般名:フィネレノン)が及ぼす影響を示した最新データが発表された。  2型糖尿病を合併するCKD患者を対象としたフィネレノン第III相臨床試験プログラムは、FIDELIO-DKDとFIGARO-DKDの2つの試験で構成されている。この2つの試験を含むFIDELITYは2型糖尿病を合併するCKD患者1万3,000名以上を対象に、心腎アウトカムを検討した最大規模の第III相臨床試験プログラムである。FIDELITYの全体集団では、全死因死亡および心血管死に対するフィネレノンの効果は統計学的有意差にわずかに至らなかったものの、FIDELITYの事前規定した探索的on-treatment解析から得られた最新データによると、本集団ではフィネレノン群がプラセボ群と比べ、全死因死亡の発現率(ハザード比[HR]:0.82[95%信頼区間[CI]:0.70~0.96]、p=0.014)および心血管死の発現率(HR:0.82[95%CI:0.67~0.99]、p=0.040)を有意に減少させることが示された。追跡期間4年時点での心血管死までの時間に関するイベント確率解析では、ベースライン時点の推算糸球体濾過率(eGFR)および尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)に関係なくフィネレノンの有用性は一貫しており、eGFRが60mL/min/1.73m2以上の場合、プラセボと比べフィネレノンのより顕著な効果が示された。

4つのステップで糖尿病治療薬を判断/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、9月5日に同学会のホームページで「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を発表した。  このアリゴリズムは2型糖尿病治療の適正化を目的に、糖尿病の病態に応じて治療薬を選択することを最重要視し、エビデンスとわが国における処方実態を勘案して作成されている。  具体的には、「Step 1」として病態に応じた薬剤選択、「Step 2」として安全性への配慮、「Step 3」としてAdditional benefitsを考慮するべき併存疾患をあげ、「Step 4」では考慮すべき患者背景をあげ、薬剤を選択するアルゴリズムになっている。

慢性腎臓病+睡眠時無呼吸で死亡リスク上昇―国内医療費請求データの解析

 慢性腎臓病(CKD)に睡眠時無呼吸症候群(SAS)を併発している場合、死亡や心血管疾患などのリスクが有意に高いことを示すデータが報告された。名古屋大学医学部附属病院腎臓内科の田中章仁氏らが、国内医療機関の医療費請求データを解析した結果であり、詳細は「Frontiers in Medicine」に5月31日掲載された。SASに対して持続陽圧呼吸療法(CPAP)を行っているCKD患者では、リスク上昇が見られないことも分かった。  CKD患者はSAS有病率が高いことが知られているが、両者の併発が予後へどの程度の影響を及ぼすかは明らかでなく、またSASに対してCPAP治療を行った場合に予後が改善するのか否かも不明。そこで田中氏らは、国内449病院の医療費請求データベースを用いて、この点の解析を行った。

CKD患者は野菜・果物摂取量が少ない―米国国民健康栄養調査

 色とりどりの果物や野菜を食べることは健康増進のための一般的なアドバイスだが、慢性腎臓病(CKD)患者は野菜・果物の摂取量が少ないことが、米国国民健康栄養調査(NHANES)から明らかになった。米バージニア大学(UVA)のJulia Scialla氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Renal Nutrition」に7月5日掲載された。  腎臓専門医であるScialla氏は、「野菜や果物の積極的な摂取は、さまざまな病気のリスクの低さと強い関連がある。CKD患者に対してはカリウム制限のために野菜や果物の摂取量に気を付けるよう指導することがあるが、今回の研究結果を見ると、そのような指導が行き過ぎないように配慮が必要なようだ」と語っている。

固形がんの第I相試験、20年間で奏効率2倍に/Lancet

 2000~19年に行われた固形がんに関する第I相臨床試験の奏効率は、治療関連の死亡率を増大することなく2倍近くになっていることが判明した。一方で、同期間の奏効率の改善は、がんの種類、治療薬、試験デザインなどさまざまな要因によるばらつきも認められたという。米国・国立がん研究所(NCI)のDai Chihara氏らが、がん治療評価研究プログラム(Cancer Therapy Evaluation Program:CTEP)の患者データを分析し明らかにした。Lancet誌2022年8月13日号掲載の報告。  研究グループは、2000年1月1日~2019年5月31日に行われたNCIが資金を提供した研究者主導の固形がんに関する第I相臨床試験のCTEPから患者データを集めて分析した。治療関連死(「おそらく」・「十中八九」・「明確に」治療に起因するGrade5の毒性による)、治療中の全死亡(がん種にかかわらずプロトコール治療中の死亡)、Grade3-4の毒性、全奏効の程度(完全奏効および部分奏効)、対象期間中(2000~05年、2006~12年、2013~19年)の完全奏効率、および経時的傾向を評価した。

熱中症に伴う急性腎障害の早期検出に適したマーカーは?―自衛隊富士病院

 熱中症に伴う急性腎障害(AKI)の検出能を、複数の尿バイオマーカーで比較検討した研究結果が報告された。5種類のバイオマーカーの中でL-FABPのクレアチニン補正値のみが、AKIの有無による有意差が見られ、かつ、血清クレアチニンやシスタチンCと有意に正相関したという。防衛医科大学校病院腎臓内分泌内科の後藤洋康氏らの研究によるもので、詳細は「Nephrology, Dialysis, Transplantation」に5月2日掲載された。  気候温暖化の影響で近年、夏季の熱中症の多発が社会的問題になっている。熱中症に伴いAKIを発症することがあり、それが急性転帰に影響を及ぼしたり、回復後に慢性腎臓病(CKD)へ移行する可能性があるため、AKIの速やかな診断と介入が求められる。そこで後藤氏らは、5種類の腎機能の尿バイオマーカーを用いて、熱中症関連AKIの診断能を比較した。

コーヒーが急性腎障害のリスクを下げる可能性

 コーヒー好きの人は、いくつかの健康上のメリットを得ている可能性のあることが既に知られているが、また新たなコーヒー摂取の良い影響を示唆するデータが報告された。コーヒーが、急性腎障害のリスクを下げるかもしれないという。米ジョンズ・ホプキンス大学のChirag Parikh氏らの研究によるもので、詳細は「Kidney International Reports」に5月5日掲載された。  Parikh氏は、「習慣的にコーヒーを摂取している人は、2型糖尿病や心血管疾患、肝疾患などのリスクが低いという事実は、現在では広く知られるようになった。われわれの研究に基づけば、コーヒー摂取がリスク抑制というメリットになり得るそのような疾患のリストに、急性腎障害の追加が可能だ」と、同大学発のリリースで述べている。

腎機能障害がCOVID-19重症化に独立して関連―国内多施設共同研究

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院時に腎機能障害を有することが、COVID-19重症化リスクと独立して有意に関連していることが国内の研究から明らかになった。横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター内科の佐藤亮佑氏、松澤泰志氏、同大学大学院医学研究科循環器・腎臓・高血圧内科学の田村功一氏らによる多施設共同研究の結果であり、詳細は「Clinical and Experimental Nephrology」に6月3日掲載された。  肺炎や尿路感染症などの感染症での入院時には、腎機能障害が予後に関連していることが既に知られている。ただしCOVID-19入院患者での腎機能と予後との関連は不明。松澤氏らはこの点について、国内8病院の入院患者のデータを遡及的に解析した。