sparsentan、IgA腎症の蛋白尿を長期に低減/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2023/11/22

 

 免疫グロブリンA(IgA)腎症の治療において、非免疫抑制性・単分子・エンドセリン受容体とアンジオテンシン受容体二重拮抗薬であるsparsentanはイルベサルタンと比較して、36週時に達成された蛋白尿の有意な減少を110週後も持続し、腎機能の維持に有効であることが、米国・オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターのBrad H. Rovin氏らが実施した「PROTECT試験」の2年間の追跡調査で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年11月3日号で報告された。

国際的な第III相試験、すでにIgA腎症の治療薬として迅速承認

 PROTECT試験は、18ヵ国134施設が参加した二重盲検無作為化実薬対照第III相試験であり、2018年12月~2021年5月に患者の登録を行った(Travere Therapeuticsの助成を受けた)。

 主要エンドポイントは、36週の時点における治療群間の蛋白尿の変化量の差であった。中間解析により、イルベサルタン群に比べsparsentan群で相対的に41%の蛋白尿の有意な減少を認め、これに基づきsparsentanはIgA腎症の治療薬として迅速承認を受けている。今回は、110週の追跡データを報告した。

 本試験では、年齢18歳以上、生検で原発性IgA腎症が確認され、12週間以上レニン・アンジオテンシン系を最大限に抑制しているにもかかわらず、1.0g/日以上の蛋白尿を認める患者を、sparsentan(目標用量400mg、1日1回、経口)またはイルベサルタン(目標用量300mg、1日1回、経口)の投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

 404例を解析の対象とした。sparsentan群に202例(平均年齢46.6[SD 12.8]歳、男性69%、白人64%)、イルベサルタン群に202例(45.4[12.1]歳、71%、70%)を割り付けた。

eGFRの低下速度を有意に抑制

 110週時における推算糸球体濾過量(eGFR)の低下速度は、イルベサルタン群に比べsparsentan群で抑制された。2年間のeGFRのchronic slope(勾配)(6~110週)は、イルベサルタン群が-3.8mL/分/1.73m2/年であったのに対し、sparsentan群は-2.7mL/分/1.73m2/年と有意に良好であった(群間差:1.1mL/分/1.73m2/年、95%信頼区間[CI]:0.1~2.1、p=0.037)。

 また、2年間のeGFRのtotal slope(1日目~110週)は、イルベサルタン群(-3.9mL/分/1.73 m2/年)に比べsparsentan群(-2.9mL/分/1.73 m2/年)で抑制されていたが、有意差は認めなかった(群間差:1.0mL/分/1.73 m2/年、95%CI:-0.03~1.94、p=0.058)。

 一方、36週時に認めたsparsentan群での蛋白尿の有意な減少は、試験期間を通じて維持されており、110週時の蛋白尿(尿蛋白/クレアチニン比のベースラインからの変化量で評価)はイルベサルタン群(-4.4%[95%CI:-15.8~8.7])よりもsparsentan群(-42.8%[-49.8~-35.0])で相対的に40%低かった(幾何最小二乗平均比:0.60、95%CI:0.50~0.72)。

 腎不全の複合エンドポイント(eGFRの40%の低下、末期腎不全、全死因死亡)は、sparsentan群の202例中18例(9%)、イルベサルタン群の202例中26例(13%)で発生した(相対リスク:0.7、95%CI:0.4~1.2)。

 試験薬投与期間中の有害事象(TEAE)は、sparsentan群が187例(93%)、イルベサルタン群は177例(88%)で発現した。sparsentan群で頻度の高いTEAEとして、めまい(15% vs.6%)と低血圧(13% vs.4%)を認めた。急性腎障害はそれぞれ6%および2%で発生し、重篤なTEAEはsparsentan群が37%、イルベサルタン群は35%、投与中止の原因となったTEAEはそれぞれ10%および9%であった。新たな安全性シグナルは認めなかった。

 著者は、「重要な点は、これら2つの薬剤は異なる経路で作用するため、併用することで蛋白尿の減少および腎機能の維持において相加的な作用をもたらす可能性が示唆されることである。また、sparsentanは免疫抑制薬ではないことから、IgA腎症の治療パラダイムにおいては、腎機能を維持するための最大限の蛋白尿の抑制の達成に向け、必要に応じて免疫抑制薬を断続的に使用することが可能な長期的な基礎治療として、本薬を位置付けるよう提案する」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 浦 信行( うら のぶゆき ) 氏

札幌西円山病院 名誉院長

J-CLEAR評議員