内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:614

2型糖尿病患者に対する厳格な降圧、全死因死亡のリスクを低下させない

 新規診断2型糖尿病患者に対する厳格な降圧(<130/80mmHg)は、心血管疾患合併の有無にかかわらず全死因死亡のリスクを低下させず、低血圧は不良な予後のリスクを増大させることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのEszter Panna Vamos氏らの検討で確認された。欧米のガイドラインでは、心血管疾患のリスクが高い患者の血圧は<130/85mmHgに維持することが推奨されている。一方、糖尿病患者における正常血圧の維持が、心血管リスクにベネフィットをもたらすことを示す信頼性の高いエビデンスはなく、積極的な降圧の有害性を示唆する知見もあるという。BMJ誌2012年9月22日号(オンライン版8月30日号)掲載の報告。

認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は?

 認知症患者の治療では、問題行動や精神症状をコントロールするために抗精神病薬が処方されることもある。英国における認知症患者の死亡数に関する報告によると、抗精神病薬の処方と関連付けられた認知症患者の年間死亡数は約1,800名といわれている。英国のChild氏らは、認知症患者に対する抗精神病薬処方を制限することの意義について検討を行った。BMC Psychiatry誌オンライン版2012年9月25日号の報告。

重症患者における低血糖、死亡リスクを1.4~2.1倍に増大

 重症患者において、低血糖は死亡リスクを1.4~2.1倍増大することが明らかにされた。死亡リスクは中等症低血糖よりも重症低血糖のほうがさらに増大し、血液分布異常性ショックによる死亡との関連が最も強かった。オーストラリア・シドニー大学のSimon Finfer氏らにより行われたNormoglycemia in Intensive Care Evaluation-Survival Using Glucose Algorithm Regulation(NICE-SUGAR)試験の結果で、これまで重症患者における低血糖が死亡に結びつくのかどうかは明らかではなかった。なお、同関連の因果関係については、この試験では明らかにはならなかった。NEJM誌2012年9月20日号掲載より。

せん妄は超高齢者における認知症の強いリスク因子

 せん妄は85歳以上の超高齢者(oldest-old)における認知症の強いリスク因子であることが、英国・ケンブリッジ大学のDavis氏らによる集団コホート研究の結果、報告された。著者は、「適正な集団をサンプルとした初の知見である」と本研究の成果を強調している。これまでも、せん妄は認知症のリスクであり、認知症患者においては衰弱を加速することが示唆されていたが、先行研究ではベースラインでの認知機能状態の把握が完全ではなかった。Brain 誌2012年9月号(オンライン版2012年8月9日号)の掲載報告。

不眠症に対する鍼治療のエビデンスは?

 不眠症に対して、鍼治療のような非薬物療法は多くの人に有効で広く行われているが、いまだエビデンスは不十分であるとされている。中国・香港大学のCheuk DK氏らは、不眠症に対する鍼治療の有効性と安全性を評価するメタ解析を行った。33試験、2,293例を含んだ分析の結果、試験の方法論的な質が不良であったり、不均一性や出版バイアスが高く、鍼治療の支持・不支持を論ずるに足りるエビデンスが十分かつ厳密ではなかった。著者は、「より大規模な質の高い臨床試験が求められる」と述べている。Cochrane Database Syst Rev. 2012年9月12日号の報告。

自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は?

 統合失調症やうつ病は自殺の主要なリスクファクターである。とりわけ、中年や高齢者の統合失調症患者による自殺は、社会的な問題ともなっている。しかし、年齢とうつ症状から自殺リスクを予測できるかは、まだわかっていない。米国 Kasckow氏らは統合失調症および閾値下うつ病患者におけるうつ症状と自殺念慮との関係に、年齢がどう関わるかを検討した。Am J Geriatr Psychiatry誌オンライン版2012年9月18日号の報告。

多剤耐性結核、PA-824を含む3剤併用レジメンが有望

 薬剤感受性の多剤耐性結核の新規治療法として、PA-824+モキシフロキサシン+ピラジナミド併用療法は適切なレジメンであり、今後、開発を進める価値があることが、南アフリカ共和国Stellenbosch大学のAndreas H Diacon氏らの検討で示された。薬剤抵抗性の結核による世界的な疾病負担を軽減するには、投与期間が短く耐性になりにくい新規薬剤の開発が求められる。近年、種々の新規抗結核薬の臨床評価が進められ、なかでもbedaquiline(ジアリルキノリン、TMC207)とPA-824(nitroimidazo-oxazine)は用量依存性の早期殺菌活性(early bactericidal activity; EBA)が確認され有望視されている。Lancet誌2012年9月15日号(オンライン版2012年7月23日号)掲載の報告。