内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:60

就寝前の運動も睡眠の妨げにならない?

 就寝前の運動が、必ずしも睡眠を妨げるわけではないとする研究結果が報告された。短時間のレジスタンス運動で睡眠時間が長くなり、睡眠中の目覚め(中途覚醒)を増やすこともないという。オタゴ大学(ニュージーランド)のJennifer Gale氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ Open Sport & Exercise Medicine」に7月16日掲載された。  従来、激しい運動は体温や心拍数を上昇させて睡眠を妨げる可能性があるため、就寝時間が近づいてきたら運動を控えた方が良いと言われることが多かった。しかし本研究の結果、短時間のレジスタンス運動を行うことで、ソファでゆっくりするよりも睡眠が改善される可能性のあることが分かった。

対話型テキストメッセージの禁煙介入、青少年の禁煙率を上昇/JAMA

 ソーシャルメディアを通じて募集したベイピングの中止を希望する青少年に対して、対話型のテキストメッセージによる禁煙介入は、評価のみの対照と比較して、自己申告によるベイピングの禁煙率を上昇させることが、米国・Truth InitiativeのAmanda L. Graham氏らによる無作為化二重盲検比較試験の結果で示された。電子タバコは、青少年の間で最も一般的に使用されているタバコ製品である。10代の青少年のニコチン曝露による有害性は知られているものの、検証されたベイピングを中止するための介入法はなかった。JAMA誌オンライン版2024年8月7日号掲載の報告。

国内での小児の新型コロナ感染後の死亡、経過や主な死因は?

 2024年8月2日時点での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内での流行状況によると、とくに10歳未満の小児患者の占める割合が多い傾向にある。日本でCOVID-19発症後に死亡した0~19歳の小児・青年患者の特徴を明らかにするために、国立感染症研究所のShingo Mitsushima氏らの多施設共同研究チームは、医療記録および死亡診断書から詳細な情報を収集し、聞き取り調査を行った。その結果、53例の情報が得られ、ワクチン接種対象者の88%が未接種であったことや、発症から死亡までの期間は77%が7日未満であったことなどが判明した。CDCのEmerging Infectious Diseases誌2024年8月号に掲載。

糖質摂取と認知症リスク〜前向きコホート研究

 いくつかの研究において、食事中の糖質摂取と認知症との潜在的な関連が示唆されているが、実証するエビデンスは限られている。中国・四川大学のSirui Zhang氏らは、この関連性について、大規模集団による検証を行った。BMC Medicine誌2024年7月18日号の報告。  英国バイオバンクコホートに参加した21万832人を対象に、プロスペクティブコホート研究を実施した。食事中の糖質摂取を反映するため、糖質の絶対摂取量および相対摂取量、高糖質食スコアを用いた。糖質の絶対摂取量は、英国バイオバンクのOxford WebQにより特定した。糖質の相対摂取量は、絶対摂取量を総食事エネルギー量で割ることにより算出した。高糖質食パターンの特定には、縮小ランク回帰法を用いた。食事中の糖質摂取量とすべての原因による認知症およびアルツハイマー病との縦断的関係を調査するため、Cox比例ハザード回帰分析および制限付き3次スプラインを用いた。根本的なメカニズムを解明するため、探索的媒介分析を行った。

マイコプラズマ肺炎が8年ぶりの高水準、上位は大阪・埼玉・佐賀/感染研

 国立感染症研究所が8月13日付で報告した2024年第31週(7月29日~8月4日)のIDWR速報データによると、マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数が過去5年間の同時期の平均よりかなり多い。第27週(7月1~7日)以降5週連続で増加、2016年以来8年ぶりの高い水準となっている。  全国の定点当たり報告数は0.95人で、都道府県別にみると上位10都府県は以下のとおり。

高齢者のベンゾジアゼピン中止、長期的な抑うつ症状改善に寄与

 カナダ・ケベック大学モントリオール校のArnaud Allary氏らは、ベンゾジアゼピン(BZD)の使用が、将来の抑うつ症状、不安、睡眠の質に及ぼす影響を調査した。Aging & Mental Health誌オンライン版2024年7月2日号の報告。  大規模ランダム化比較試験(RCT)であるPASSE-60+研究よりデータを抽出した。60歳以上の参加者73例を対象に、4ヵ月間の中止プログラムを実施し、16ヵ月で4回の評価を行った。BZD使用の変化は、2回の評価時における1日当たりの投与量の差と定義した。コントロール変数は、RCT中止群、プログラム開始前でのBZD使用および抑うつ症状、不安、睡眠の質のいずれかとした。データ分析には、階層的多重回帰分析を用いた。

都市居住者VS郊外居住者、より幸せなのはどちら?

 都市居住者は、都市以外の場所に住む人に比べて幸福度や経済的な満足度などが低い傾向にあることが、新たな研究で報告された。この研究では、人が最も幸せになれる「ゴルディロックスゾーン」は、都市と農村の間の郊外にあることが示されたという。アムステルダム大学(オランダ)アーバン・メンタルヘルス・センターの心理学者であるAdam Finnemann氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に7月19日掲載された。Finnemann氏は、「都市に隣接する郊外が、心理的満足度が最も高く、かつ平等性も高い」と述べている。

日本の社会経済的指標と認知症リスク

 生涯にわたる社会経済的指標(Socioeconomic status:SES)の推移が、認知症の発症リスクと関連するかどうかを調査した、日本発の研究結果が発表された。大阪大学の坂庭 嶺人氏らによる本研究結果はJAMA Network Open誌2024年5月1日号に掲載された。  2010年8月~2016年12月に実施されたこの前向きコホート研究では、日本老年学的評価研究のデータを使用し、日本の31地域の65歳以上の参加者を対象とした。参加者は介護保険や医療福祉サービスを使用しておらず、認知症の診断を受けていない人とされ、自記式質問票で回答した。データ解析は2022年4月~2023年4月に実施された。SES値欠落者、追跡不能者、ベースラインから1年以内の認知症発症者は除外された。主なアウトカムは認知症発症リスクと、それに伴う生涯にわたる認知症のない期間の減少または増加だった。認知症の発症は介護保険のデータによって特定された。

大腸内視鏡検査の陰性後の検査間隔は長くできる

 大腸がんの家族歴がなく、最初の大腸内視鏡検査で陰性所見が得られた人では、大腸内視鏡検査の実施間隔を長くすることは安全であり、不必要な大腸内視鏡検査を回避できるようだという研究結果が、「JAMA Oncology」に5月2日掲載された。  ドイツがん研究センター(ドイツ)のQunfeng Liang氏らは、最初の大腸内視鏡検査で大腸がんの陰性所見が得られた場合、何年後に2回目の大腸内視鏡検査を実施できるかを評価した。検査陰性(曝露)群には、大腸がんの家族歴がなく、1990年から2016年の間に45~69歳で最初の大腸内視鏡検査を受け、大腸がんの陰性所見が得られた人11万74人が含まれた。対照群は、曝露群と性別や誕生年、基準年齢が一致し、追跡期間中に大腸内視鏡検査を受けなかった、または大腸内視鏡検査を受けて大腸がんの診断に至った人198万1,332人が含まれた。

日本におけるベンゾジアゼピンと向精神薬の併用状況

 さまざまな精神疾患のガイドラインでは、少数のケースにおいてベンゾジアゼピン系抗不安薬(BZD)単剤療法による短期介入が推奨されている。対照的に、BZD多剤併用療法は、いかなる場合でも推奨されていない。しかし実臨床では、BZD多剤併用療法が用いられることが少なくない。秋田大学の竹島 正浩氏らは、BZD多剤併用療法と向精神薬併用との関連を明らかにするため、本研究を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2024年7月4日号の報告。  JMDCの請求データを用いて、レトロスペクティブ横断的研究を実施した。2019年6月、BZD治療を行った健康保険加入者の医療情報を抽出した。BZD多剤併用療法の定義は、2種類以上のBZD使用とした。年齢、性別、保健者および睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬の併用数(0、1、2以上)を共変量とし、BZD多剤併用療法と関連する因子を特定するため、二項ロジスティック回帰分析を用いた。