内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:59

心筋梗塞へのコルヒチンは予後を改善するか/NEJM

 急性心筋梗塞患者の治療において、発症後すぐに抗炎症薬コルヒチンの投与を開始し、3年間継続しても、プラセボと比較して心血管アウトカム(心血管系の原因による死亡、心筋梗塞の再発、脳卒中、虚血による冠動脈の予期せぬ血行再建術の複合)の発生率は減少せず、その一方で3ヵ月後には炎症マーカーが有意に低下することが、カナダ・マクマスター大学のSanjit S. Jolly氏らCLEAR Investigatorsが実施した「CLEAR試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2024年11月17日号で報告された。

英国の一般医を対象にした身体症状に対する介入の効果―統計学的な有意差と臨床的な有意差とのギャップをどう考えるか(解説:名郷直樹氏)

18〜69歳で、Patient Health Questionnaire-15(PHQ-15)スコア(30点満点で症状が重いほど点数が高い)が10~20の範囲、持続的な身体症状があり、過去36ヵ月間に少なくとも2回専門医に紹介されている患者を対象に、症状に対する4回にわたる認識、説明、行動、学習に要約できる介入の効果を、52週間後の自己申告によるPHQ-15スコアで評価したランダム化比較試験である。介入の性格上マスキングは不可能であるが、アウトカム評価と統計解析については割り付けがマスキングされているPROBE(Prospective Randomized Open Blinded Endpoint)研究である。ただPROBEであっても、アウトカムが症状であることからするとバイアスを避け難い面があり、効果を過大評価しやすいという限界がある。

水分摂取を増やすと肥満や腎結石以外にも有効な可能性

 1日の水分摂取量に関しては、公的な推奨がいくつかされているもののそれを裏付けるエビデンスは明確ではなく、水分摂取量を変更することによる利点は十分に確立されていない。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のNizar Hakam氏らが実施したシステマティックレビューの結果、エビデンスの質と量は限定的であるものの、少数の研究で1日の水分摂取量の増加が体重減少や腎結石予防に有益であることが示され、また、単一の研究では片頭痛予防、尿路感染症、糖尿病管理、低血圧に対する有益性が示唆された。JAMA Network Open誌2024年11月25日号掲載の報告。

麻疹ワクチン、接種率の世界的な低下により罹患者が増加

 麻疹ワクチン接種率の低下により、2022年から2023年にかけて、世界中で麻疹罹患者が20%増加し、2023年には1030万人以上がこの予防可能な病気を発症したことが、世界保健機関(WHO)と米疾病対策センター(CDC)が共同で実施した研究により明らかになった。この研究の詳細は、「Morbidity and Mortality Weekly Report」11月14日号に掲載された。  CDC所長のMandy Cohen氏は、「麻疹罹患者が世界中で増加しており、人命と健康が危険にさらされている。麻疹ワクチンはウイルスに対する最善の予防策であり、ワクチン接種の普及拡大に向けた取り組みに引き続き投資する必要がある」とCDCのニュースリリースで述べている。

蒸留酒、ワイン、ビール、最も悪い生活習慣に関係するのはどれ?

 好きな酒の種類が、その人の生活習慣を知る手がかりになる可能性を示す研究結果が報告された。ビール好きの人は、ワインや蒸留酒などを好む人と比べて不健康な生活習慣を送っている人が多いことが明らかになったという。米テュレーン大学医学部研修医プログラムのMadeline Novack氏らによるこの研究結果は、米国肝臓学会議年次学術集会(AASLD 2024、11月15~19日、米サンディエゴ)で発表され、「Nutrients」に11月13日掲載された。  Novack氏は、「米国では、アルコールの過剰摂取が肝硬変の主な要因となっている。また、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)も急増している」と話す。同氏はまた、「これらの肝疾患は併存することも多く、管理や予防には生活習慣の改善が重要だ。そのためには、飲酒と栄養不良の関係について理解することから始める必要がある」とAASLDのニュースリリースの中で述べている。

医師の「スーツ」事情、所持数や予算は?/医師1,000人アンケート

 ビジネスパーソンにとってユニフォーム的な存在である「スーツ」。一方、医師の仕事着といえば白衣のイメージがあるが、実際には勤務中に何を着ているのか?スーツを着る機会はいつなのか? ケアネット会員の男性医師を対象に、仕事中の服装やスーツの所有状況などについてアンケート形式で聞いた。

脳卒中の重症度を高める3つのリスク因子とは?

 喫煙、高血圧、心房細動の3つのリスク因子は、脳卒中リスクだけでなく、脳卒中の重症度を高める可能性のあることが、新たな研究により明らかになった。ゴールウェイ大学(アイルランド)老年医学分野のCatriona Reddin氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に11月13日掲載された。  Reddin氏は、「脳卒中は、障害や死にさえつながる可能性があるが、生活習慣の是正や薬物療法により改善できるリスク因子は数多くある。われわれの研究結果は、障害を伴う重度の脳卒中を予防するためには、さまざまな脳卒中のリスク因子の中でも特に、高血圧、心房細動、喫煙の管理が重要であることを強調するものだ」と述べている。

時間制限食でメタボ該当者のHbA1cが有意に低下

 メタボリックシンドローム(MetS)該当者の食事療法に時間制限食を用いることで、標準的な食事療法よりもHbA1cが有意に低下したとする研究結果が報告された。米ソーク生物学研究所のEmily N.C. Manoogian氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に10月1日掲載された。  時間制限食(time-restricted eating;TRE)は、1日の中でエネルギー量のある飲食物を摂取可能な時間帯を限定し、少なくとも14時間以上はエネルギーを摂取しないという食事療法。一方、摂取を禁止する時間帯以外はエネルギー量を考えず自由な飲食が可能で、総摂取量の増大が許容されることもある。この手軽さから人気が高まりつつあり、また減量や心代謝関連マーカーの改善につながるとする研究報告が増えているものの、まだ評価は確立されていない。

CKDの早期からうつ病リスクが上昇する

 腎機能低下とうつ病リスクとの関連を解析した結果が報告された。推定糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2を下回る比較的軽度な慢性腎臓病(CKD)患者でも、うつ病リスクの有意な上昇が認められるという。東京大学医学部附属病院循環器内科の金子英弘氏、候聡志氏らの研究によるもので、詳細は「European Journal of Clinical Investigation」に9月27日掲載された。  末期のCKD患者はうつ病を併発しやすいことが知られており、近年ではサイコネフロロジー(精神腎臓学)と呼ばれる専門領域が確立されつつある。しかし、腎機能がどの程度まで低下するとうつ病リスクが高くなるのかは分かっていない。金子氏らは、医療費請求データおよび健診データの商用データベース(DeSCヘルスケア株式会社)を用いた後ろ向き観察研究により、この点の検討を行った。

世界の糖尿病罹患率、日本の女性が低下し世界最低群に/Lancet

 英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのBin Zhou氏らNCD Risk Factor Collaboration(NCD-RisC)は、200の国と地域における1990~2022年の糖尿病の罹患率と治療動向を調べ、ほとんどの国、とくに低所得国と中所得国では、罹患率の上昇に比べて糖尿病治療率(糖尿病治療薬を使用している患者の割合)はまったく増えていないか、十分には増えていないことを示した。糖尿病はプライマリケアレベルでの検出が可能で、また効果的な治療により合併症リスクを低減できるが、糖尿病治療の実態と、それがどのように変化しているのかについて十分なデータはなかった。Lancet誌2024年11月23日号掲載の報告。