内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:458

非がん性慢性疼痛へのオピオイド、有益性と有害性/JAMA

 非がん性慢性疼痛に対するオピオイド使用は、プラセボとの比較において疼痛および身体機能の改善は統計学的に有意ではあるがわずかであり、嘔吐リスクは増大することが示された。また、オピオイド使用と非オピオイド使用の比較では、低~中程度のエビデンスであるが、疼痛、身体機能に関するベネフィットは同程度であった。カナダ・マックマスター大学のJason W. Busse氏らが、非がん性慢性疼痛のオピオイド使用に関する無作為化試験(RCT)のシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかにした。非がん性慢性疼痛に対するオピオイドの有害性および有益性は、不明なままであった。JAMA誌2018年12月18日号掲載の報告。

米国総合診療医の「時間がない」は本当か/BMJ

 米国のプライマリケアに従事する総合診療医(general practitioner:GP)の「患者との共同意思決定(shared decision making:SDM)や、予防的ケアをする時間がない」という主張について、米国・ミシガン大学のTanner J. Caverly氏らがマイクロシミュレーション試験で調べた結果、これまで広く持たれてきた疑念「GPは貴重な時間を“個人的なケア”の活動に費やしている」ことが確認されたという。著者は、「ひとたび個人的な時間が膨大であることを知らしめれば、プライマリケアの権威者は、増大している臨床的要求に、より多くの個人的な時間を再割当するようGPを“説得する”ための方法を、試しはじめることができるだろう」と述べている。BMJ誌2018年12月13日号(クリスマス特集号)掲載の報告。

高齢者の肥満診療はどうすべきか

 2018年12月18日に一般社団法人 日本老年医学会(理事長:楽木 宏実氏)は、同会のホームページにおいて『高齢者肥満症診療ガイドライン2018』(作成委員長:荒木 厚氏)を公開した。  本ガイドラインは、同会が作成方針を打ち出している「高齢者生活習慣病管理ガイドライン」、すなわち 「高血圧」「脂質異常症」「糖尿病」「肥満症」のガイドラインの第4弾にあたり、日本肥満学会の協力を得て作成されたものである。作成では既刊の『肥満症診療ガイドライン2016年版』を参考に、認知症・ADL低下の観点から新たにクリニカルクエスチョン(CQ)を設定し、システマティックレビューを実施したものとなっている。

抗凝固薬の選択~上部消化管出血とPPIの必要性(解説:西垣和彦氏)-985

“出血しない抗凝固薬はない”。もともと抗凝固薬自体に出血をさせる力はないが、一旦出血したら止血するのに時間がかかるために出血が大事をもたらすこととなる。そもそも出血傾向をもたらすことが抗凝固薬の主作用であるので至極自明なことではあるのだが、直接経口抗凝固薬(DOAC)だけでなくビタミンK依存性凝固因子の生合成阻害薬であるワルファリンを含めて、“凝固薬自体が出血を起こさせた”と理解している方がいかに多いことか。

飲酒運転、基準値下げても交通事故は減少せず/Lancet

 交通事故は世界中で公衆衛生上の大きな問題である。そのリスク因子として重要なのが死傷事故原因の大半を占める飲酒運転で、各国および司法権が及ぶ地域ではドライバーの血中アルコール濃度の規制が行われている。スコットランドでは、2014年12月5日に基準値が0.08g/dLから0.05g/dLへ引き下げられた。しかし、英国・グラスゴー大学のHoura Haghpanahan氏らが行った自然実験(natural experiment)の結果、規制変更によって、on-trade酒類(バーやレストランなどの飲食店)からの1人当たりのアルコール消費量はわずかに減少したが、交通事故減少は認められなかったという。著者は、「取り締まり(検問による呼気検査など)が不十分であったことが1つ考えられるが、ドライバーの血中アルコール濃度を厳しく規制するのみでは、交通事故は減少しないことが示唆された」と指摘し、「今回の結果は、同様にドライバーへの規制強化を考える国々にとって重要な政策的意義を持つものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2018年12月12日号掲載の報告。

コリンエステラーゼ阻害薬を使用した新規認知症患者における抗コリン作用の影響

 臨床試験において、コリンエステラーゼ阻害薬開始後の抗コリン作用性負荷と治療変容との関連を評価した研究は、ほとんどない。韓国・嶺南大学校のYoung-Mi Ah氏らは、認知症治療の変容、せん妄、死亡率に対する抗コリン作用性負荷の影響を評価するため、検討を行った。Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology誌オンライン版2018年12月3日号の報告。  韓国の国民健康保険サービスの高齢者コホートデータベース(Korean National Health Insurance Service Senior Cohort Database)より、2003~11年にコリンエステラーゼ阻害薬を開始した高齢者2万5,825例をレトロスペクティブに分析した。最初の3ヵ月間のAnticholinergic Cognitive Burden(ACB)の1日平均スコアが3超を、抗コリン作用性高負荷と定義した。治療変容、せん妄、死亡に対する抗コリン作用性高負荷の影響について、傾向マッチコホート7,438例におけるACB負荷最小群(ACBスコア1以下)との比較を行った。

オステオペニアへのゾレドロン酸、骨折リスクを低減/NEJM

 オステオペニアの高齢女性に対して、ゾレドロン酸の18ヵ月ごと投与はプラセボと比較して、長期の非脊椎・脊椎脆弱性骨折リスクを有意に低減することが示された。ニュージーランド・オークランド大学のIan R. Reid氏らが、2,000例を対象に行った6年間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、NEJM誌2018年12月20日号で発表した。閉経後女性における骨折の大半が、オステオペニアを有する女性で発生するため、そうした女性に対する効果的な治療法が必要とされている。ビスホスホネートは、骨粗鬆症患者の骨折を予防するが、オステオペニアの女性における有効性は不明だった。

新たなNASH治療薬、肝脂質比を有意に減少/Lancet

 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)患者に対する、開発中のpegbelfermin(BMS-986036)の16週間皮下投与は、概して忍容性は良好で、肝脂質比を有意に減少したことが、米国・バージニア・コモンウェルス大学のArun Sanyal氏らによる第IIa相試験の結果、示された。pegbelferminは、線維芽細胞増殖因子21(FGF21)のPEG化アナログで、これまでに2型糖尿病を有する肥満症患者において、代謝および肝線維化マーカーを改善したことが示されていた。Lancet誌オンライン版2018年12月13日号掲載の報告。

GIP/GLP-1受容体デュアルアゴニストLY3298176は第3のインクレチン関連薬となりうるか?(解説:住谷哲氏)-986

インクレチンは食事摂取に伴って消化管から分泌され,膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進するホルモンの総称であり、GIPとGLP-1の2つがある。GIPおよびGLP-1は腸管に存在するK細胞、およびL細胞からそれぞれ分泌され、インスリン分泌促進以外の多様な生理活性を有している。しかしGIPは高血糖状態においてはインスリン分泌作用が弱いこと、脂肪細胞に作用して脂肪蓄積につながることから、現在はGLP-1のみがGLP-1受容体作動薬として臨床応用されている。しかし生理状態では両者は同時に分泌される、いわば双子の腸管ホルモンであり、この両ホルモンの受容体を同時に刺激する目的で開発されたのがGIP/GLP-1受容体デュアルアゴニストLY3298176である。

インフルエンザ報告数、前週から倍増

 2018年第50週(12月10~16日)のインフルエンザ報告数が、21日、厚生労働省より発表された。全国約5,000の定点当たり報告数は3.35(患者報告数1万6,589人)となり、前週(1.70)のほぼ2倍となった。  都道府県別では、北海道(9.59)が最も多く、愛知県(8.41)、香川県(7.13)、奈良県(5.20)、三重県(5.04)と続き、46都道府県で前週の報告数より増加した。警報レベルを超えている保健所がある都道府県は3府県(北海道、兵庫県、大分県)であった。