内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:44

降圧薬を減らすと認知機能の低下が抑制される!?

 中年期の高血圧は認知機能低下のリスクであるという報告があるが、日常生活動作(ADL)が低下している高齢者では血圧が高いほうが認知機能の低下が小さいという報告もある。このように、高齢者における降圧薬と認知機能の関係は複雑である。そこで、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のBocheng Jing氏らの研究グループは、長期介護施設に入居する65歳以上を対象として、target trial emulationの手法を用いた後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、降圧薬の減薬により認知機能の低下が抑制されることが示唆された。本研究結果は、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年9月23日号で報告された。

座位時間を毎日1時間減らすと腰痛の悪化は防げるか

 ソファや椅子に座って過ごす時間を短くすることは、腰痛の悪化を防ぐ効果的な方法であるかもしれない。腰痛リスクのある人が6カ月間、毎日わずかでも座位時間を減らすことで、腰痛の悪化を抑えられる可能性を示唆した研究結果が報告された。論文の筆頭著者であるトゥルク大学(フィンランド)のJooa Norha氏は、「腰痛や座位時間が長過ぎる傾向があり、腰の健康が心配な人は、仕事中や余暇中の座位時間を減らす方法を考えてみるとよいだろう」と助言している。研究結果の詳細は、「BMJ Open」に9月28日掲載された。

感染症学会ほか、コロナワクチン「高齢者の定期接種を強く推奨」

 日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会の3学会は、10月21日に「2024年新型コロナワクチン定期接種に関する見解」を共同で発表した。3学会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の⾼齢者における重症化・死亡リスクはインフルエンザより高く、今冬の流行に備えて、10月から始まった新型コロナワクチンの定期接種を強く推奨している。本見解は、接種を検討する際の参考となる科学的根拠を提供している。

高用量ベンゾジアゼピン使用の特徴とは

 フィンランド・トゥルク大学のHanna Sarkila氏らは、新たにベンゾジアゼピン(BZD)を使用した患者におけるBZDの高用量使用と関連する社会人口学的および臨床的要因を調査した。BJPsych Open誌2024年9月23日号の報告。  対象は、2004〜05年にBZD未使用で、2006年に使用を開始した18〜65歳の新規BZD使用患者。フォローアップ期間は、5年または死亡までとした。BZDの用量は、PR E2DUP法に基づき、開始後6ヵ月ごとに1日当たりの定義済み1日用量(DDD)とし、ポイント推定値を算出した。用量カテゴリーに関連する社会人口学的および臨床的要因は、多項ロジスティック回帰を用いて調査した。

頬の内側の細胞を使った検査で寿命の予測が可能に?

 頬の内側を軽くこすって採取した口腔粘膜細胞を利用するCheekAgeと呼ばれる検査によって、寿命を予測できるようになる可能性があるとする研究結果が報告された。米ニューヨークの企業であるTally Health社とウェルカム・トラストの助成を受けて、Tally Health社計算生物学・データサイエンス部門の部門長であるMaxim Shokhirev氏らが実施したこの研究の詳細は、「Frontiers in Aging」10月1日号に掲載された。  CheekAge検査は「エピジェネティック・クロック」の一種で、頬の内側をこすって採取した細胞に含まれる特定のDNAメチル化の分析により、生涯を通じた環境や生活習慣が遺伝子の機能に影響を与える仕組み(エピジェネティクス)を調べるものである。DNAのメチル化は、エピジェネティクスの重要なメカニズムであり、遺伝子の塩基配列を変えることなくその働きに影響を与えるDNA領域での分子変化のことをいう。

日本人の牛乳・乳製品の摂取と不眠症との関連

 労働安全衛生総合研究所の佐藤 ゆき氏らは、日本人における牛乳や乳製品の習慣的な摂取と不眠症との関連を調査した。Nutrition and Health誌オンライン版2024年9月25日号の報告。  東日本で20〜74歳の6万633人(男性:2万2,721人、女性:3万7,912人)を対象に、コホート研究データを用いた横断的研究を実施した。牛乳、乳製品の摂取、睡眠状況、その他の生活習慣に関するデータは、自己記入式質問票を用いて収集した。牛乳、乳製品に関する質問は、全乳、低脂肪牛乳、チーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料を含め、摂取頻度(週1回未満、週1〜2回、週3〜6回、1日1回以上)を評価した。睡眠状況の評価には、アテネ不眠症尺度を用いた。

インフルワクチンの日本人の心不全に対する影響~PARALLEL-HF試験サブ解析/日本心不全学会

 呼吸器感染症に代表されるインフルエンザ感染は、心筋へウイルスが移行する直接作用、炎症惹起性サイトカイン放出による全身反応などによって心血管障害を及ぼす。また、プラークの不安定化、炎症による心拍数の不安定化への影響なども報告されているが、海外研究であるPARADIGM-HF試験が検証したところによると、インフルエンザワクチン接種が心不全患者の死亡リスク低下と関連する可能性を示唆している。

心血管疾患リスクの予測にはBMIよりも体丸み指数が有用

 過体重が人の心臓の健康に与える影響を予測する上では、「体丸み指数(body roundness index;BRI)」の方がBMIよりも優れた指標である可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。6年にわたって継続的にBRIが高かった人では低かった人に比べて、心血管疾患(CVD)リスクが163%高いことが示されたという。南京医科大学(中国)Wuxi Center for Disease Control and PreventionのYun Qian氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Heart Association」に9月25日掲載された。  2013年に提唱されたBRIは、ウエスト周囲径と身長を基に算出する腹部肥満の指標で、BMIやウエスト周囲径などよりも体脂肪や内臓脂肪の割合を正確に反映すると考えられている。一方、従来から使われているBMIは体重と身長のみから算出する。そのため、筋肉量が非常に多い人では値が高くなることもあり、肥満度の指標としては不正確だとして批判されることもある。

10月25日開催『第6回ヘルスケアベンチャー大賞』最終審査会【ご案内】

 2024年10月25日(金)に『第6回ヘルスケアベンチャー大賞』最終審査会が開催される。「アンチエイジングからイノベーションを!」をテーマに、アンチエイジングに資するヘルスケア分野のビジネスプランやアイデアを企業から募集。その中から書類審査を経て、見事に選ばれたファイナリスト5社がヘルスケアベンチャー大賞の獲得を目指し、最終ピッチを行う。そのほか、中村 雅也氏(慶應義塾大学医学部整形外科学教室)による特別講演や、イベント後には、最終審査会を終えたばかりのファイナリストとの交流の場として懇親会などが設けられる。

医師国家試験、不合格となる学生の特徴は?

 岐阜大学医学部医学科の学生を対象として、医師国家試験に不合格となる学生の特徴を検討する研究が実施された。本研究の結果が、塩入 俊樹氏(岐阜大学大学院医学系研究科 脳神経科学講座 精神医学分野)らによって、BMC Medical Education誌2024年8月27日号で報告された。  本研究では、2012~18年に岐阜大学医学部医学科に入学した学生637人を対象として、入学時と1、2、4、6年次の5つの時点のデータを収集した。データには、大学入学前の情報(性別、年齢、出身高等学校の所在地、成績など)および大学在学中の成績(基礎医学、臨床医学、CBT-IRT、卒業試験の成績など)が含まれた。これらのデータを用いて、ロジスティック回帰分析を実施し、医師国家試験の予測合格率を算出した。