内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:374

新型コロナ、米国成人の抗体陽性率は約9%/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの第1波の期間中に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への抗体を獲得していた米国成人集団は10%に満たず、抗体保有者で診断を受けていたのも10%未満であった。米国・スタンフォード大学のShuchi Anand氏らが、米国の透析患者を対象としてSARS-CoV-2抗体陽性率を検証した横断研究の結果を報告した。米国の透析患者の多くが毎月定期的に検査を受けており、実用的で偏りなく繰り返しSARS-CoV-2血清陽性率を評価することが容易であった。検討では、4つの層別(年齢、性別、地域、人種/民族)の推定値も算出し、それらの結果を踏まえて著者は、「SARS-CoV-2の伝播を抑える公衆衛生の取り組みは、とくに人種/民族的マイノリティーと人口密度の高いコミュニティーを対象とする必要がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2020年9月25日号掲載の報告。

1日1杯以上の飲酒が糖尿病患者の高血圧リスクと関連?

 これまで、2型糖尿病患者における飲酒と高血圧の関連は、十分に研究されていない。今回、米国・ウェイクフォレスト大学のJonathan J. Mayl氏らのデータ分析で、2型糖尿病患者では、適度な飲酒でも高血圧リスクに関連する可能性が示された。JAHA誌オンライン版2020年9月9日号での報告。  本研究は、成人の2型糖尿病患者を対象に心血管疾患(CVD)を軽減するための介入を比較したランダム化試験(ACCORD試験)の参加者1万200人(平均年齢約63歳)のデータを利用した。参加者は、軽度の飲酒(1~7杯/週)、中程度の飲酒(8~14杯/週)、重度の飲酒(15杯以上/週)の3群に分類された。なお、“1杯”の定義は12オンスのビール、6オンスのワインまたは1.5オンスのリキュールとした。

Moderna社のコロナワクチン、高齢者に安全・有効か/NEJM

 米国・国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)とModerna(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)が共同で開発中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)mRNAワクチン「mRNA-1273」について、56歳以上の高齢者を対象にした第I相臨床試験の結果が明らかにされた。米国・エモリー大学のEvan J. Anderson氏らによる検討で、主な有害事象は軽度~中等度であり、2回接種後全例で中和抗体が検出。抗体結合・中和抗体力価は100μg用量群が25μg用量群よりも高値であることが示された。mRNA-1273については、すでに18~55歳を対象にした第I相臨床試験で安全性と被験者全例で中和抗体が検出されたことが報告されている。今回の結果を踏まえて著者は、「第III相臨床試験では100μg用量を用いることが支持された」と述べている。NEJM誌オンライン版2020年9月29日号掲載の報告。

10月からロタワクチン定期接種化、知っておくべきことは?

 10月1日より、ロタウイルス胃腸炎のワクチンが定期接種となった。これに先立ってMSDが主催したプレスセミナーにおいて、日本大学の森岡 一朗氏(小児科学系小児科学分野)が疾患の特性やワクチン接種時の注意点について解説した。  ロタウイルス胃腸炎は冬の終わりから春にかけて流行する急性疾患で、下痢、嘔吐、発熱などの症状を引き起こす。ロタウイルスワクチンが導入される前は、国内で毎年約80万人が罹患し、7~8万人が入院し1)、数名が死亡していた。感染するのは5歳までの乳幼児が中心だが、5歳までの入院を要する下痢症に占める割合は42~58%と推計される2)。最近では5歳以上の幼児の感染が増加しており、10~20代の感染報告もある。糞口感染し、感染力が非常に強いことが特徴で、先進国においても乳幼児下痢症の主要原因であり、院内感染や保育所等での集団感染の報告例も多い。感染した場合、抗ウイルス薬などの治療法はなく、経口補液や点滴などの対症療法が中心となる。

認知症リスクに対するPTSDの影響~メタ解析

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、認知症発症の潜在的なリスク因子といわれている。しかし、このリスクを定量化するためのメタ解析はこれまで実施されていなかった。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のMia Maria Gunak氏らは、一般集団におけるPTSDに関連する将来の認知症リスクを定量化するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年9月15日号の報告。  2019年10月25日までのPTSDと認知症リスクを評価した縦断的研究を、9つの電子データベースより検索した。研究全体の推定値をプールし、ランダム効果と固定効果モデルのメタ解析を行った。

急増するオンライン学会、参加経験と満足度は?/医師1,000人に聞きました

 新型コロナウイルス感染症の影響により、今年には入って急増したのがオンライン(Web)上で行われる学会だ。感染流行初期の2、3月は開催中止に追い込まれる学会が多かったが、4月以降からオンラインへのシフトが本格化し、秋以降もオンライン上のみ開催、もしくは現地開催とのハイブリッド形式を採用する学会が大半となっている。  ケアネットでは、会員医師に協力いただき、オンライン学会への参加経験の有無や、参加した感想をアンケート形式で聞いた。2020年8月13日~19日に1,000名を対象にオンライン学会への参加経験の有無を聞き、「参加経験あり」の回答者に参加学会や満足度、感想を聞いた。

コロナ流行した2020年上半期の超過死亡、例年より少なく/厚労省研究班調べ

 2020年1~6月における日本の超過死亡は、過去3年に比べて少ないことが、厚生労働省研究班の推計で明らかになった。今年の上半期は、世界的に新型コロナウイルスの発生および感染拡大があり、超過死亡にかかわる重要なファクターと見られたが、推計値ではコロナ流行前を大きく下回った。  本調査では、2020年1~6月、例年の死亡数を基に推定される死亡数(予測死亡数の点推定)およびその95%片側予測区間(上限)と、実際の死亡数(観測死亡数)との差のレンジを週別、都道府県別に推計。データ分析には、米国疾病予防管理センター(CDC)のFarringtonアルゴリズムおよび欧州死亡率モニターのEuroMOMOアルゴリズムの2つを使用している。

職場における不眠症介入~メタ解析

 スペイン・セビリア大学のJuan Vega-Escano氏らは、従業員の不眠症の改善または軽減に対する介入の影響を特定および評価するため、ランダム化臨床試験を通じたシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2020年9月2日号の報告。  PRISMAおよびMARSステートメントの推奨事項に従って、PubMed、Web of Science、CINHAL、PsycINFOのデータベースよりシステマティックに文献を検索した。アウトカムの尺度として、変量効果モデルと不眠症重症度指数を用い、メタ解析を実施した。バイアスリスクとエビデンスの質の評価には、コクラン共同計画ツールとGRADEシステムをそれぞれ用いた。

胃バイパス術による2型糖尿病改善効果はほとんどすべてが体重減少で説明できる(解説:住谷哲氏)-1291

肥満外科手術bariatric surgeryが肥満合併2型糖尿病患者の糖代謝異常を大幅に改善することが明らかとなっている。肥満外科手術の術式には、本試験で用いられた胃バイパス術(Roux-en-Y gastric bypass surgery)、スリーブ状胃切除術(sleeve gastrectomy)が代表的であるが、わが国で保険適用となっているのは後者のみであり、主としてこちらの術式が用いられている。これまでの報告で、腸管の連続性ntestinal continuityを解除する胃バイパス術が他の術式に比べて糖代謝異常改善効果が高いことが示唆されていたが、統計解析上交絡因子が十分に調整されていないとの批判があり疑問が持たれていた。本試験はその点を明らかにするため、胃バイパス術群と食事療法群との2群において、体重減少の程度(約18%)をマッチさせたうえで、前後における種々の糖代謝パラメータを詳細に比較検討した非ランダム化前向きコホート試験である。

低血糖時の救急処置に初の点鼻薬、バクスミー発売/日本イーライリリー

 2020年10月2日、日本イーライリリーは、「低血糖時の救急処置」を効能・効果として、低血糖時救急治療剤「バクスミー点鼻粉末剤3mg」(一般名:グルカゴン)を発売したと発表した。本剤はグルカゴン点鼻粉末剤で、注射剤以外の低血糖治療剤として初の製剤。室温(1~30℃)で持ち運びができる1回使い切りの製剤で、看護者(家族等)が投与することにより重症低血糖の救急処置を行うことができる。また、鼻粘膜から吸収されるため、重症低血糖に陥り意識を失っている患者に対しても使用可能である。薬剤は噴霧器に充填されており、点鼻容器の先端を鼻に入れ、注入ボタンを押すことで緊急時に迅速かつ簡便に投与できる。